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ECとは【物流用語】

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ECとは?

EC(Electronic Commerce)はEコマース=電子商取引を指します。インターネット上でモノやサービスの売買全般を指します。

ECの歴史は浅く、米国で1990年代半ばに誕生以来、この20年間で急速に市場規模が拡大してきました。国内では、楽天が1997年に「楽天市場」を開始しました。当時は決済のセキュリティなどがネックとなり、インターネットでモノを買わないと言われた時代。そこで楽天はECというブルーオーシャン市場に対し、可能な限り敷居を下げて、地方の小さな商店やコンピュータに詳しくない人でも、簡単にサイト内で店を開けることができるコンセプトを打ち出しました。2000年代前半には多くの企業がEC事業に参入し、2005年のEC市場は5兆円、2019年には19兆円市場へと拡大していきました。

アマゾンジャパンのEC市場への参入は2000年、書籍に特化したサービスからスタートしました。アマゾン以外の出品者が商品を販売する「Amazon マーケットプレイス」の提供を開始したのが2002年、以来、アマゾンジャパンの品揃えは数億点規模にまで高まり、物流を起点とした質の高いサービスを手掛け、国内ではアマゾンがECの代名詞ともなりつつあります。

Amazonマーケットプレイスへの出品は中小企業が中心となりますが、大手小売事業者の出品も増加しています。日本ではビックカメラ、上新電機など、自社ECサイトで高い実績を持つ企業が出品しています。自社ではアプローチできないアマゾンの顧客セグメントへの販売を狙う一方で、アマゾンを競合と見なし、出品しない企業も多数あります。

またアマゾンは独自の物流網を構築、直販商品を販売するのに対し、楽天市場の配送は販売事業者任せとなっていたため、配送サービスの充実化には遅れをとっていましたが、楽天は2020年6月に新たな物流センター「Rakuten Fulfillment Center Narashino」の稼働を開始、「楽天スーパーロジスティクス」に本腰を入れ始めました。繁忙期でも高い波動対応力を持ち、競合ショップとの差別化を図る戦略を採用したのです。楽天では今度、倉庫内オペレーションのノウハウを活かし、倉庫運営の効率化・省人化に取り組みと配送サービス「Rakuten EXPRESS」を充実化させていく構えです。

グローバルでのECの動きとして、Amazonは世界16カ国で展開していますが、中国最大手EC事業者・アリババが2018年11月11日の「独身の日」に大々的なキャンペーンを打った結果、売上高は3.5兆円に達しました。これは楽天の年間売上に匹敵するものとなります。中国のEC市場は2010年を境に急速に拡大した結果、2011年8000億元(12兆円)から2019年には10兆6000億元(160兆円)と、9年間で13倍まで成長しています。

「EC化率」という言葉をお聞きしたことがあるでしょうか。すべての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合を指すものですが、中国のEC化率は18%前後。経済産業省の2020年発表によれば、日本のBtoC(物販系分野)のEC化率は6.76%と成長が鈍化しています。2019年の日本国内のEC市場規模は19.4兆円(前年比7.65%増)となりますが、BtoBのEC市場は353.0兆円(同2.5%増)となります。

ECが消費者に与えるメリット

ECの爆発的拡大はスマートフォンなどの普及が牽引しています。個人のスマートフォンの保有率の推移をみると、2011年に14.6%から2016年には56.8%と5年間で4倍にまで上昇しています(2017年・総務省調べ)。スマートフォンは1人1台持っているとまで言われています。

スマートフォンを手にした消費者は入手できる情報量が飛躍的に増え、いつでも・どこでも買い物ができる土壌が形成されました。その結果、ECとリアル店舗が融合したサービスを展開され、消費者の利便性をさらに高められるようになりました。決済方法が多様化され、セキュリティが担保されていくうち、会員登録などの手続きは最初のみ、2回目以降は簡単に買い物ができるなど、高い利便性もEC拡大の大きなトリガーとなり、気軽な消費行動に直結することができました。

一方で、商品を直接見ることができない不安や店や店員の顔が見えないといった、ネガティブな側面があったことも事実です。しかし、今日では、こうした課題を解消する仕組みも進化しており、関連する重要なキーワードがクローズアップされるようになりました。その一例がオムニチャネルの進化です。ネットショップで商品(実物)を見ることができない消費者の不安に対して、リアル店舗とネットショップが連携して、互いの利点を生かしつつ、消費者の都合に合わせて好きな方で購入できる仕組みが構築されました。また、人工知能(AI)を搭載した接客システムやチャットシステムを活用した、心を通い合うことができる接客」が日々進化しています。こうしたECの進化によって、消費者はさらに便利に買い物をできるようになることでしょう。

EC事業者のメリット

従来の買い物は、実店舗において直接取引を行う販売形式が主流となっていました。しかし、消費地圏内に店舗がないとモノを売ることができず、出店には莫大なコストがかかります。消費者側も、店舗まで足を運ばなければ買うことができなかったため、相応の労力が必要とされていました。

ECが普及されると消費者は自宅や好きな場所にいながら、スマートフォンやPCで売買取引ができます。そこで事業者側としては、国内のみならず海外の消費者へのアピールも視野に入れるようになります。そこで注目を浴びているのが「越境EC」です。国境を越えて通信販売を行うオンラインショップが、有望なビジネスモデルとして日本でも注目を集めています。きっかけはインバウンドで来日した中国人客による爆買い現象でした。観光客は帰国後も、日本のネットショッピングを利用したことで、リピート買いや知人・友人への口コミが派生、ひとつの市場が形成されるようになりました。世界的にも越境EC市場は拡大しているため、海外にネットショップを新規出店することで、EC事業の売上拡大につなげることができます。

越境ECには新規顧客獲得による売上が見込める点や、海外現地で実店舗を運営するよりも低コストで運営できるメリットがあります。近年は海外企業でもECに参入しやすい環境やサービスが整い、日本国内向けのECサイトがあれば海外のプラットフォームへの出店、サイトの翻訳、消費者からの問い合わせ対応、国境をまたいだ配送手配を行う提供する業者が増え、参入障壁が低くなっています。アジア市場では、メイドインジャパンのものづくりの品質が一目置かれていること、中国との物理的な距離の近さも、越境EC市場では有効に働く要素だと言えます。

2019年経産省発表「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」によると、米国と中国に向けた日本の越境ECの総市場規模は 2,765 億円。このうち米国経由の市場規模は 2,504 億円、中国経由の市場規模は 261 億円でした。また、日本と米国に向けた中国の越境ECの総市場規模 3兆2,623 億円。このうち日本経由の市場規模は 1兆5,345 億円、米国経由の市場規模は 1兆7,278 億円。今後の拡大が予想されています。

日本の物流業者も越境ECに注力しています。日本通運は中国アリババグループと業務提携し、T-MALL国際(天猫国際)出店者への物流サービスを開始。アリババグループの菜鳥網絡、出店者、日通間をEDIで結び、オーダー管理、通関情報、輸送履歴情報、運賃決済情報を提供しています。日本郵便は従来郵税より税率が低い越境EC総合税を利用可能な受取人の個人IDが取得できないEC事業者に対し、クーリエ通関(個人宛て配送サービス)および電子データによる通関(日本郵便と提携関係にあるレントングループと中国郵政が共同開発した配送サービス)を利用するUGX(ゆうグローバルエクスプレス)を提供、国際スピード郵便(EMS)に比べ、約半額の料金で利用できるようになり、今後の拡大に期待されます。

また、ECでの販売に欠かせないのが、消費者の氏名・性別・年齢などの個人情報です。年月を重ねるうちに、それら情報はデータベースとして蓄積されていきます。男性・女性別に、どの世代が、どのカラー、どのサイズの商品を好むのか――。消費傾向からニーズを把握し、他の世代との違いから、消費行動に関わる価値観を分析することができます。ターゲットへの理解も深まり、リピート購買の展開も可能となります。

既に入手している顧客情報をどれだけ有効活用できるか、それはECで成功するために重要なことであるのは間違いありません。マーケティングへの重要なツールともなり、セール品選定や新商品開発のヒントにも繋がるためです。ただし、個人情報を扱う際は流出リスクをも抱えることになるため、企業規模の大小に関わらず、データの管理とセキュリティ対策に対する意識を高める必要があります。