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D2Cとは?従来モデルの違いや成功させるポイントを解説【物流用語】

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D2Cとは

D2Cは、D2CとはDirect to Consumerの略。企業対企業取引のBtoB(Business to Business)、企業対消費者のBtoC(Business to Consumer)と並び、製造者・メーカーが消費者間で直接取引きするビジネスモデルを指します。

従来、メーカーは、卸売業者を経由してコンシューマに商品を販売するスタイルが一般的でしたが、インターネットが普及し、通販という概念が大きく変わるようになりました。これにより自社サイトでの販売(直販)形式として、2010年ごろにアメリカでアパレル業を中心として生まれました。
とはいうものの、中間業者を介さない販売スタイル自体は目新しいものではなく、自社で作り、自社で売るスタイルは、現在の流通が普及する以前は主流となっていました。しかし今、直販スタイルが大きなビジネスチャンスをもたらすためのキーとなるのが、EC市場の拡大とテクノロジーの進化です。テクノロジーの要素で販売するスタイルがD2Cとなります。

2020年7月、経済産業省が発表したEC市場調査レポートによれば、2019年のEC市場規模(BtoC)は年間10兆円を超えました。国内のEC市場規模は過去5年で約1.5倍に拡大し、EC事業への新規参入やECの本格展開に乗り出す企業が今後さらに増加すると見られています。
総務省の調査によると、インターネット利用者(個人)のうち、インターネットの使い道として「商品・サービスの購入・取引」を行っていると答えた消費者は2019年時点で55.8%。ネットユーザーの過半数が何らかの買い物でネットを利用していることとなります。

ECにおける市場規模は上位から「衣類、服飾雑貨等」、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」、「食品、飲料、酒類」、「生活雑貨、家具、インテリア」のカテゴリ順。それぞれの産業は1兆円市場となり、2兆円にも到達しそうな勢いです。その中、ECに不向きと言われていたアパレル(衣類、服飾雑貨等)は、返品サービスの拡充、サイズ感がわかる機能の進化によって、EC化率は前年比0.91ポイント増の13.87%まで成長しています。

そこでポイントなるのがスマートフォンの活用です。2019年EC市場(BtoC)のうち、スマートフォン経由の市場規模は4兆2618億円。EC市場全体のうち、スマホからのECが占める割合は42.4%(前年比16.6%増)を占めています。スマホ経由のEC成長率は年率10%以上を維持、この5年間で2倍以上に拡大しています。

EC市場の拡大とともにスマートフォンを介した販売の重要性が高まるなか、衣類や食品・飲料、化粧品などの幅広い分野でEC化が進んでいます。Amazonや楽天などのECモールで商品を販売する事業者がいる一方で、自らネットショップを立ち上げてD2Cに力を入れる事業者が増加しているのです。

SPAとD2Cの違い

アパレル業界には、自社で企画・生産した商品を直営店舗で販売するSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)も多く存在します。SPAとは「製造小売業」のこと。アパレルメーカーの機能と専門店の機能が一体となった業態として、日本ではユニクロなどが代表的な例となります。
SPAとD2Cの違いはどこにあるのでしょうか。両スタイルとも直販形式となりますが、SPAはアパレルの「業態」を指し、D2Cは「取引形態」を意味するもので、D2Cにはアパレル以外の業態も導入しています。

ECとD2Cの違い

D2CはECも異なっています。ECとはelectronic commerce、「販路」を指します。リアルな店舗を持たず、卸を通さないで直接販売する流通手段はD2Cと同じです。
しかし、D2CはECの持つ販路に別の要素を加え、SEO対策によるアクセス誘導やSNSを用いた販促活動などで製品購入を促したり、イベントへなどに招致してオンライン購入を伸ばすことも含まれます。販売チャネルだけでなく、自社ブランディング情報をできるだけ直接伝え、EC的なチャネル(モノを直販するチャネル)をミックスしたのがD2Cです。

D2Cを取り入れたECサイトでは、商品購入前後に及ぶ「商品体験」を重視するコンシューマの消費行動の変化に対応することが可能です。ブランドの持つストーリー、ビジョンなど、商品価値が購入の決め手となるコンシューマを引きつけていきます。

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D2Cモデルのメリット・デメリットとは

D2Cのメリット

(1)顧客データを収集・蓄積しやすい

D2Cでは、ECサイトをはじめとしたデジタルなフィールドで販売活動を行うことから、実店舗や他者を介した販売方法と比較しても、詳細情報を多く収集することができます。蓄積したデータから売上分析を行え、新商品の企画にも活かすことが可能です。
B2C型のECサイトでは、仲介業者として利用されるショッピングモールやカートシステムによって、自社で管理できる情報が限定されますが、自社で自由に運営することのできるD2C型のECサイトでは、収集・蓄積したデータはすべて自社で管理することができます。

(2)ビジョンや思想をアピール

「自社でつくって自社で売る」というモデルのD2Cは、仲介業者を介さずに、企画から販売を行うことができ、一連の販売活動を通して自社でアピールしたいことを消費者に伝えることができます。とりわけ、ECサイトにおけるブランディングを通して、「どのような想いで」「だれが携わり」「商品を通してなにを実現したいのか」をアピールすることができます。

(3)適切なコストを設定できる

D2Cでは、仲介業者や外部システムを利用しないため、仲介料や売上に伴う手数料、月額コストなどを支払う必要がありません。大手ショッピングモールに出店する場合、価格競争の激しいEC業界では低価格なものが好まれる傾向があり、物流コストや人件費など商品原価と固定手数料以外でコスト削減を図る必要がありました。
D2Cでは、固定手数料の支払いは不要で、自社にとっても適切なコストを設定でき、コストの調整も可能となるため、低価格で商品を提供することも可能になります。価格が下げた結果、顧客層が拡大したという事例も多く見られます。

(4)顧客との関係を構築できる

D2Cでは、商品のマーケティング施策などのフロント業務だけでなく、受注業務など、商品の発送または配達が完了するまでに発生するバックエンド業務においても、自社ですべてを行う必要があります。そのため、顧客と直接の接点をもつ機会が増えます。
またた、商品購入時に発生するメール配信や、その他顧客対応だけでなく、リピート層獲得のための定期的なメールマガジンの作成や配信、購入頻度に基づく会員ランク付け、それに伴う特典の実施なども自由に行うことができます。

D2Cのデメリット

(1)ブランド構築やマーケティング施策を中長期的に行う必要がある

上述の通り、ECサイトなど、D2Cにおける販売チャネル構築には、多くの時間やコスト、労力などがかかります。しかしながら、販路の構築に加えて、ブランディングや商品販売のためのマーケティング戦略を実施することにも、多くの時間や労力、場合によってはコストがかかります。
高い集客力をもつ大手ショッピングモールなどを利用した販売と比較して、コンスタントな集客ができるようになるまでにも、より多くの時間を要するだけでなく、失敗におわるリスクもあります。
そのため、D2Cでの成功を見込むためには、構築やブランディングを行う前から、ブランドが一定数以上認知されている必要があるでしょう。

(2)ECサイトなどの構築に多くのリソースが求められる

D2Cにおける代表的な販売チャネルとして、ECサイトが挙げられますが、ECサイト構築には多くの「コスト」「ノウハウ」「労働力」「時間」が必要となります。自社で十分なノウハウやリソースをもっていない場合、外部のプロへ委託することができます。その場合は、さらにコストがかかります。
また、競合性の高いEC業界では、ECサイト構築後から、実際に効果がでるまでに時間がかかるため、D2CモデルのECにてすぐに多くの利益を創出することは容易ではありません。

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D2Cの成功事例

D2Cモデルを展開して成功を収めた事例をご紹介しましょう。

(1)Allbirds

Allbirds社は、商品や経営戦略を広く認められ、調達資金30億円超と大きな注目を浴びているECサイトを運営しています。サンフランシスコ発のスニーカーを中心にアパレル、ソックスなどを販売しており、Instagramの広告運用によって多数のユーザーを獲得しています。
また、Instagramに商品ポストを投稿、寄せられた顧客からの要望をヒヤリング、新製品の発売時にはアップデートされた商品に仕上げた事例もあります。SNSと自社マーケットの連動により、顧客の満足度を高めていく形を作り上げました。

(2)BULK HOMME

女性向け化粧品、アパレルも多く取り扱う「BULK HOMME」は、顧客がInstagram上に投稿していた商品写真をSNS広告のクリエイティブに活用しています。どのような人が商品を使っているかの想起ができる顔写真、商品購入後の具体的な使用イメージが伝わる写真を使い収集して、広告掲載に実現しています。ユーザー視点の写真は投稿者が増えるほど、クリエイティブに使える素材も増え、新規顧客の獲得にも大きな効果を呼んでいます。
同社はフランス代表のサッカー選手・キリアン・エムバペ選手をグローバルアンバサダーに起用するなど、幅広いマーケティングを行い、SNSやSEOで自社ECサイトに集客や定期購入コースによる囲い込みなど、D2Cの特性を活かした戦略を採用しています。

(3)ROCKETS OF AWESOME

サブスクリプション型のD2Cを成功させているのが子供服の「ROCKETS OF AWESOME」です。創業から半年で23億円の資金を調達したスタートアップ企業として知られています。
顧客が好みのデザイン、系統などを登録すると、身長・体重や季節に合わせた洋服の全身コーディネートの商品が年に4回直接送られてきます。気に入らなかった商品はもちろん返品できますので、流行を取り入れた新しい服を季節ごとの購入することができます。

D2Cを導入する際のポイント

D2C型のECサイトを成功へと導くためのポイントは3点となります。

(1)ブランドビジョンを明確に

仲介業者の介在を不要とするD2Cを選択するうえで、自社ブランドの誕生ストーリーや実現したい想いなど、コンシューマに伝える必要があります。多数のブランドの中から選ばれ、ファンを増やしていくためには、ビジョンをアピールすることが求められます。SNSでの商品マーケティング活動だけでなく、チャリティーなどの社会活動への参加、環境や多様性など、社会課題へのアプローチ方法などをアピールすることも、購入の決め手になり得るため、様々な施策を講じる必要があります。

(2)マーケティングに注力

ブランド構築のために、Webマーケティングは欠かせません。特にInstagramやFacebook、TwitterなどのSNSでのマーケティング、Googleなど検索エンジンへの対策を行うSEO施策などに注力する必要があります。SEO施策の代表的なコンテンツ制作では、自社ブランドや商品に関するノウハウやメッセージをブログや動画にして発信してもよいでしょう。顧客の直接流入を図るためにも、SEOを意識したマーケティングに注力しましょう。

(3)顧客データを活かす

D2Cは他チャネルより多くの情報を収集できることに加え、その情報を自社で管理することができます。市場ニーズや売上の傾向から決済完了までの消費者の意思決定まで、分析することができます。収集したデータや分析結果を既存商品の改良や新規商品の開発にしっかりと反映させることで、ブランドへの信頼性や顧客のリピート率の向上を図ることができます。

まとめ

アメリカの2020年のD2C市場の市場規模は1兆9000億円、この数年で急増しています。売上の高いジャンルはアパレルや美容系、生活関連商品(ペット関連、オーラルケア関連など)が多めです。

D2Cは、企業と顧客の間に他の会社やサービスを挟まないため、従来のBtoCよりも幅広いマーケティングの展開が可能です。料金を抑えられることよりも、その幅広く便利なサービスがユーザーの満足度を高め、結果的に良いサービスとして継続利用にも繋がります。

D2Cにおいても顧客ファーストで経営戦略を考えていくことが重要でしょう。

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