倉庫業について解説 【物流用語】
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倉庫業とは?
倉庫業とは「寄託を受けた荷物を倉庫で保管する」営業形態」を指します。原料から製品、冷凍・冷蔵品や危険物に至るまで、国民生活・経済活動に欠かせない多種多様な物品を大量かつ安全に保管する役割を担っています。
荷主から荷物を預かり、保管することで、対価を得るビジネススタイルです。倉庫業は荷主の貴重な物品を預かる特性があることから、国土交通大臣に倉庫業法に基づく登録を受ける必要があります。その際、保管する物品に応じた倉庫施設の基準をクリアした倉庫であること、倉庫ごとに一定の要件を備えた倉庫管理主任者を選任することなどが必須要件となります。
倉庫業は2018年、登録手続きが緩和されました。公益性の高さから2002年までは許可制とされていましたが、競争力の向上や物流業務の効率化を目的に、登録制に変更されました。倉庫の施設設備基準の適合性をあらかじめ確認する「基準適合確認制度」を創設・運用開始したのです。これは倉庫業者が自社所有以外の倉庫(借庫)を借りて事業を行う割合が増加していることが背景にあります。
国土交通省発表(2020年)によると、国内の倉庫業者は6,557事業者で構成され、営業収入は2兆2448億円規模。うち中小企業の割合は91%となります。
倉庫業を種類ごとに解説
倉庫業は大きく3種類に分類されています。
(1)普通倉庫業
農業、鉱業(金属、原油・天然ガス等)、製造業(食品、繊維、化学工業、紙・パルプ、機械等)といった幅広い産業の様々な貨物に加え、消費者の財産(家財、美術品、骨董品等)を保管します。
普通倉庫は、倉庫業法施行規則で定められた施設設備基準によっていくつの種類に分けられます。
【1類倉庫】
日用品や繊維、紙・パルプ、電気機械などが対象の厳しい施設設備基準を満たした倉庫。防湿性能や耐火性能、防火性能などのほか、国土交通大臣が定める防犯措置やそ害(ねずみによる害)防止設備を有していることが求められます。
【2類倉庫】
1類倉庫の施設設備基準の要件から、耐火性や防火性の貨物を除いた麦、でんぷん、飼料、塩、肥料、セメントなどが対象。
【3類倉庫】
1類倉庫の施設設備基準から、防水性能、防湿性能、遮熱措置、耐火・防火性能などを除いた、湿度などで変質しにくいガラス製品や陶磁器、鉄材などが対象。
【野積倉庫】
土地の周囲に柵や塀など、国土交通大臣が定める防護施設により守られていることが条件。主な保管品は、雨・風・日光の影響を受けない原材料やレンガ、セメント製品、木材、廃タイヤなど。
【貯蔵槽倉庫】
「サイロ」や「タンク」と呼ばれる倉庫。防火・防水性能があり、消火器などの消火設備を設置することが基準。小麦や大麦、トウモロコシ、糖蜜など、液体・ばら穀物などが対象。
【トランクルーム】
家財、美術骨董品など、個人の財産を保管する倉庫。
(2)冷蔵倉庫業
8類物品(10℃以下で保管することが適切な貨物)を保管します。
(3)水面倉庫業
5類物品(原木等)を水面で保管します。
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営業倉庫と自家用倉庫の違い
倉庫業法に則り、国土交通大臣の登録を受けた倉庫が「営業倉庫」、それに対して、倉庫オーナーが自社の荷物を保管・管理する目的で使うのが「自家用倉庫」です。
営業倉庫は火災保険への加入が義務づけられているため、万が一の場合の際にリスクを担保できる点や、耐火性や耐震性などの基準が設けられており、火災や水濡れ、カビの発生、虫害などを防げる建物であることを求められています。
また、倉庫業の登録を行う際、倉庫業者はサービス利用者に提示する約款を取り決め、国土交通省に届け出をする必要があります。もし、荷主が倉庫業者と契約を締結していない場合でも、何らかのトラブル発生時には約款に基づいて対処することになります。
倉庫業を運営するために必要な条件
倉庫業を運営するには、倉庫業法で定められた条件を満たし、倉庫業登録を申請する必要があります
(1)2点の欠格事由に該当しない
倉庫業法の登録を受ける際、申請者は以下の欠格事由に該当しない必要があります。
・1年以上の懲役あるいは禁錮を受け、その執行が終わった、あるいは受ける必要がなくなった日から2年経過していない
・倉庫業の登録を取り消され、その後2年経過していない
登録の際、役員が上記の2点に該当しない人物でなければなりません。
(2)施設設備基準を満たす
倉庫業を営む建物が施設設備基準を満たしている必要があります。基準は倉庫種類ごとに決められています。1類倉庫の施設設備基準は以下の通りとなります。
【使用権限】
倉庫や敷地の使用権限を持つこと
【関係法令適合性】
建築基準法やそのほかの規定に適合していること
【土地定着性】
倉庫が地面に定着し、屋根や壁を持つこと
【外壁・壁の強度】
国土交通大臣の定める基準を満たしていること
【防水・防湿・遮熱・耐火性能】
国土交通大臣の定める基準を満たしていること
【災害防止措置】
危険品を扱う施設に近隣する倉庫では特定の災害対策をすること
【防火区画】
倉庫内に火気を使う施設がある場合、それを区画していること
【消火設備】
消火器などを設置していること
【防犯措置】
防犯対策を行っていること
【防鼠措置】
鼠害の防止策をとっていること
(3)倉庫管理主任者を選任する
倉庫を営業するには、原則として1つの倉庫につき1人の倉庫管理主任者を設置する必要があります。これに選任される人物は、以下の条件を満たす必要があります。
・倉庫管理業務において、2年以上の指導監督的実務経験を持つ
・倉庫管理業務において、3年以上の実務経験を持つ
・国土交通大臣が定める講習を修了している
倉庫管理主任者は申請者と同様、上記欠格事由に該当しないことが求められます。
まとめ
倉庫業は物流の縁の下の力持ちと言われています。安全に荷主の大切な荷物を預かる場合は、営業倉庫としての届け出は不可欠です。
倉庫業法改正で参入への敷居が低くなりましたが、倉庫業法は荷主が不利益を被らないための重要なルールとなりますので、遵守しなければなりません。
また、倉庫を利用する立場の方なら、保管対象物、に合致した倉庫を選ぶようにしましょう。
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