越境ECとは?参入のメリットとデメリットを解説【物流用語】 | 物流機器・輸送機器のレンタル | upr
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越境ECとは?参入のメリットとデメリットを解説【物流用語】

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越境EC

越境ECとは

インターネットを通じた、国際的な電子商取引で、企業が自社の商品を自社サイトやECモールなどを通じて、海外の消費者に販売することを指します。ECとは”electronic commerce”(エレクトロニックコマース=電子商取引)の略称です。
企業が自社ECサイトの多言語化やECモール等に出店する事でより広い市場への進出が可能となります。また、顧客から見ると自国にはない商品を購入可能となり、より消費活動の選択肢が増えることとなります。近年は、先進諸国のインターネット網の充実やパソコンやスマートフォンの普及、アマゾンやアリババグループに代表されるマーケットプレイスの充実により、越境ECの市場規模は拡大の一途をたどっています。
また日本企業にとっては、中国や米国からの訪日外国人が、日本で購入した商品を改めて越境ECで購入するリピーターが増えており、大きなビジネスチャンスとなっています。

越境ECの市場規模について

グローバルにおける、越境ECの市場規模は拡大傾向にあります。経済産業省の推計値によると2014年度の2330億(米ドル)から毎年20%超の急激な伸び率で伸長してきており、20年度には9123億ドルの市場規模が推計されています。主要国の市場規模を2017年度の推計値で見てみると、アメリカが400億ドル、中国が390億ドルと突出しており、他には英国が120億ドル、ドイツが90億ドルと続いております。越境ECの利用人数を見ると中国の7000万人、アメリカの3400万人、英国は1400万人、ドイツとフランスが1200万人、日本は900万人と推計されています。以上の事からグローバルにおける越境ECの市場はアメリカと中国が牽引していると言えるでしょう。
 日本、アメリカ、中国の3国間における越境ECの市場規模(2020年度)について経済産業省が発表した推計値によると、日本が2国の商品を購入した市場規模は3175億円と推計されています。一方でアメリカの規模(日本・中国からの購入)は1兆5570億円、中国の規模は3兆6652億円となり、日本の販売額(2国に対する販売額)は2兆5592億円であり、今後も年10%〜20%程度の伸長が予想され、日本企業にとって重要な市場となっているといえます。
 
グローバルにおける越境ECの市場規模は2027年度には4兆8561億ドルまでに達するとの推計値もあり、この時点では先行したアメリカや中国の伸びがやや鈍化するものの、アフリカや東南アジア地域の伸長が大きく見込まれています。日本企業にとっては、台湾やインドネシアなどの比較的物流費が安価となる、アジア地域が重要な市場となってくるであろうと予想されます。
 また、マーケットプレイスのシェアに関する世界41市場での調査によると(2018年)、アマゾン23%、アリババ系列16%、イーベイ14%、ウィシュコム10%、ラザダ3%、その他が31%となっています。

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越境ECが拡大している背景

越境EC拡大の背景には、主要国における通信環境の充実があげられます。日本におけるインターネットの普及率は、2010年の約80%からの上昇が続き、2019年の時点で約90%を達成しており、飽和状態と言えるでしょう。これに歩調を合わせ、国内EC市場も拡大を続けており、その延長線上に越境ECの拡大基調が2014年前後から続いています。越境ECの主要国であるアメリカと中国においても、インターネットの普及率はアメリカで75.2%(2017年)中国で54.3%(2017年)となっており、EC市場も拡大基調が続いています。特に中国は今後の環境整備で更なる上昇が見込まれているようです。

近年はスマートフォンの普及率が上がり「モバイルコマ―ス」が進んでいる事もEC市場を押し上げている。日本においては、2019年の時点でスマートフォンによるインターネットの利用率が63.3%となり、2014年時点からPCを上回っています。2018年のスマートフォンで越境ECを利用する割合は、日本で24%、アメリカが32%、中国は42%となっています。今後はアジアを中心にモバイルコマースの傾向が強まる予測がされているようです。

ECモールの充実やWebマーケティングの進化も大きな要因となります。アマゾンやアリババに代表される国際的なECモールにおいては、セキュリティの確保、商品点数の拡大、決算方法の簡素化や多様化などが購入者の利便性向上が市場拡大につながっています。  
Webマーケティングにおいても、顧客の購入や閲覧履歴に添った「広告発信」や「サイト表示方法」などを行う顧客のパーソナリゼーションが進んでおり、EC及び越境EC市場の拡大につながっています。また、SNSによる著名人やインフルエンサーからの影響力も大きく、国際的な著名人の発信は売上に大きな影響を及ぼします。近年は企業がSNSを戦略的に活用し自社商品の購入につなげています。
日本企業にとっては、訪日外国人による越境ECでのリピート購入が増えている点も見逃せない背景といえます。近年は特に中国からの訪日客が急増加しており、2019年には約1000万人が訪日しています。訪日中国人の約40%が越境ECで日本商品をリピート購入するといったデータもあり今後の成長が期待されます。

また、企業サイドの販売方法の多様化も市場拡大の要因となっています。実店舗はショールームとしての機能も重視し、購入のボリュームゾーンはECサイトからといったオムニチャネル化へ舵を切る企業も増え始めております。さらには、Ⅾ2Ⅽ(ダイレクトツーコンシューマー)といった、店舗を持たない企業の参入もアメリカを中心に増えています。店舗を持たない事で間接費が節減され、より安価に良質な商品を提供するビジネスモデルで、SNS等を通じてブランドのスタイルを発信し、顧客と双方向で情報交換を行いながら一定のファンを獲得し続けています。

前述に加え、越境ECにおいては物流網の整備も重要な要素となります。国内におけるフルフィルメント同様、越境ECのフルフィルメントプラットフォームが大手物流事業者などを中心に整備されています。配送、保管、包装、梱包などに加えて関税処理やインヴォイスの発行、現地保税倉庫による保管、空輸の手配など越境ECをサポートする物流網の充実も市場拡大の背景にあります。

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越境ECのメリット

近年、日本国内の個人消費動向は2014年〜19年でほぼ横ばいの状況が続いています。
商業販売額においてもほぼ同様で、今後の国内人口の減少などを勘案すると企業の大きな成長は難しくなっています。一方で、国内のEC市場は年率5%程度の成長を続けており2019年度は19兆円に達する有力な事業分野といえるでしょう。その中で越境ECにおいても、訪日客のリピート購入にも見られるように、海外の日本製品への信頼は大きいです。中国の越境ECの購入額では日本が約22%を占め国別ではトップとなっているなどの状況もあります。こういった中で、日本企業がアメリカや中国の巨大市場、更には成長市場であるアジア各国などに直接アプローチ出来る事が越境EⅭの最大のメリットとなるでしょう。
また、従来の輸出入は大企業が現地の販売代理店等を通じて、大量に製品を販売するスキームであったが、これは一部の大企業のみが進出できる分野です。一方で越境ECは、ECモールの充実や、サイトの構築から物流までをアウトソーシング出来る共有型プラットフォームが整備されており、中小企業が比較的低リスクで小さな規模から事業をスタートできる状況が整ってきています。
また、顧客の購買動向は多岐にわたっており、国内のEC市場同様にロングテール化が進んでいる。こういった要素も中小企業にとっては参入しやすいでしょう。

越境ECのデメリット

越境ECでは、国内販売と違い法律や規制、決済方法、発送手段など現地の状況に合わせなければならない煩雑さがあります。また、商習慣の違いからクレームや返品への対応等、販売に付随する業務が煩雑になりやすいことも挙げられます。
外貨決済の場合、為替変動のリスクも発生しています。また、国や地域によって法的な理由で発送出来ない禁制品や関税の課税基準値が違う事も注意が必要となります。課税基準値とは条件を満たした品目に対し、正式通関を通さず課税されない事で、この金額が高い地域であればより商品を売りやすくなるが、低い国は販促活動への大きなデメリットとなります。
物流においては長距離輸送の為、物流費は高額となり利益を圧迫する。大量販売商品であればスケールメリットにより比較的物流費は安価になるが、ロングテールに当たる商品などはこれに当てはまらないといえます。この場合フルフィルメント事業者のプラットフォームを活用することが効果的となる。国による物流品質の違いにより、商品の破損や紛失などのリスクは国内と比べて高くなるといったデメリットもあります。

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越境ECに参入する方法

越境ECへの参入には準備するべき項目が多いです。第1に参入する国や地域においての自社商品の需要を見極める必要があり、類似商品の有無、価格の優位性、品質的な優位性、ブランド力、日本製品への評価など様々な側面から検討していく必要があります。同時に参入する国の人口(年齢層の分布等)、GDP、消費活動の指数、インターネット普及率、EC化率、関税、法整備状況など様々な情報から総合的に判断する事が必要でしょう。またその国の商習慣やECへのニーズも押さえておく必要があります。LPI(物流効率化指数)やマーケティングに有効なSNS普及率も必須と言えるでしょう。

実際に進出する国や地域にどのような事業モデルで進出するか検討する必要があります。
国内の自社サイトの多言語化、国内の越境EC対応モールへの出展、相手国のECモールへの出展など様々です。また、物流においても日本から国際郵便や国際宅配便などで発送するケース、大量の場合物流事業者等に保管から発送をアウトソースするなど、様々な組み合わせからの選択が必要となると思われます。さらに現地の保税倉庫や一般倉庫(相手国の輸入業者)で商品を保管し発送する事でリードタイムの短縮を図ることとも出来ます。事業規模によって最適な事業モデルの選択が成功の鍵となるが、越境ECに対応したフルフィルメント業者や物流事業者へのアウトソーシングも有効であるといえるでしょう・

マーケティングであるが、進出する国や地域の消費者傾向に合った、マーケティングの導線を構築していき、いかにコンバージョンを上げていくかがポイントとなります。主にWeb上での取り組みが重要となってくるが、大手ECモールに出店するのも方法の一つと言えます。しかし、現実的には企業や商品にブランド力がないと、出店しただけで売上が上がる状況はなかなか作りだせないかもしれません。検索エンジンに広告を出し誘導する、現地のイベントなどに定期的に出店して知名度を上げる等手法は様々であるが、近年のD2Ⅽ企業に代表されるように、SNSに企業アカウントを持ち、自社の商品情報などの発信していく方法も低コストの上効果が見込まれます。
基本的には、大手ECモールに出店し、同時に自社ECサイトを多言語化し、SNSなどで情報発信を続ける方法が最もポピュラーです。顧客は様々なサイトをチェックした後に購入するケースが多く、また複数のサイトへの出店や自社サイトを持つ企業に安心感を持つ傾向が各国で見られます。更に、自社や商品の知名度が十分となった時点で、自社サイトのみの運営に切り替え利益率を上げるという手法もとれます。より低コストで参入するのであれば、SNS上に自社アカウントを持ちそこから自社サイトへ誘導し反応を見るのも始め方のひとつです。

在庫管理に必要なものをレンタルしよう

在庫管理の際には様々な保管器具を利用します。収納や運搬が容易になるカートやカーゴ台車や、保管している荷物をまとめてフォークリフトで動かすことができるパレットや、一時的な段積みを可能にできるような移動式ラック(ネスティングラック)などといったものがあります。

それらは必ずしもいつの時期も同じ数利用するものではないため、季節波動や急な荷物の増加に合わせて物流機器をレンタルする、という考え方もあります。

ユーピーアールでは物流機器のレンタルを行っております。また、RFIDタグ付きの「スマートパレット」(https://www.upr-net.co.jp/case/smartpallet)も導入が急増中です。その他、「アングルクロスサポーター」、「サポーター」、「カゴ車」、「ネスティングトップ」、「ネスティングラック」などのレンタル商品(https://www.upr-net.co.jp/products_type/other)も多数ご用意しております。お気軽にご相談ください。

まとめ

越境ECの顧客が重視する項目の上位には必ず「製品の信頼性」が挙げられます。日本製品の品質は世界でも評価されており、今後ますます巨大になる越境ECの市場において、日本企業には大きなビジネスチャンスがあるといえるでしょう。
自社製品の優位性と企業の発信力で、中小企業でも巨大市場である中国やアメリカにチャレンジが出来る可能性のある分野と言えるでしょう。スマートフォンやSNS等の通信技術の大きな進歩がマーケティングや企業と顧客の関係性を変え、更に巨大な市場を生み出そうとしています。

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