QC(品質管理)とは?有効的な進め方を解説【物流用語】
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QC(品質管理)とは
QCは「Quality Control(品質管理)」の略称です。テクノロジーの発達に伴い、企業にはより高度な品質が求められるようになりました。製造業では、テクノロジーを用いた改善手法が導入されるようになりましたが、品質管理の基本として古くから「改善活動」の一環として知られているのがQCです。
企業が顧客に提供する商品およびサービスの品質向上を目指す一連の活動体系では、製品の品質を一定水準に保つために、設計→製造→検査・販売→調査・サービスという「デミング・サイクル」各過程を担当する部門が品質管理を実施します。
また、製品の品質維持や不良品の発生防止を目的とする体系的な手法として、製品に対する規格を明確化し、製造工程や製品に対してテストや検査を実施します。さらに、統計的な管理と改善活動を組み合わせることで、品質の向上を図るのです。JISでは「品質要求事項を満たすことに焦点を合わせた品質マネジメントの一部」と定義しています。
QC(品質管理)活動のメリット
QC活動には、品質向上を実現する目的に加え、様々なメリットがあります。QC活動は統計的な手法を用いて改善手法を図るため、数値に基づいて現状を正確に把握することが可能です。例えば、不良品発生率等のデータを定量的に分析することで、自社の問題点を明確にすることができます。また、現場の第一線で働く社員が主体となり、自主的に改善案を提案し、それを実行・議論するプロセスを通じることで、社員のモチベーションアップにもつながります。
特に製造部門では、部品の仕分けや工程の一部に特化した反復作業が多く、業務が単調になりやすい傾向があるのです。このような状況では、工程全体の流れを把握しづらく、モチベーションが低下しかねません。しかし、QC活動を通じて、社員が自ら業務改善に貢献しているという達成感や、成果を認められることによる満足感を得ることができます。そして、QC活動を会社全体で取り組むことにより、情報の共有化が進み、組織全体の一体感を作り出す効果にも期待できます。
QC(品質管理)の進め方のポイント
(1)テーマの選定
問題意識を持ち、問題点を見つけたら付箋紙等に気づきを抽出し、些細なことでも書き出します。
その後、品質のバラツキ、納期の遅延やレスポンスの低下、品質ロス等を整理し、重要度・緊急度の高い順にテーマを選定します。選定理由を明確にし、なぜそのテーマに取り組むのかを具体化することが重要です。
(2)現状の把握
テーマとして取り上げた問題の全体像と事実を正確に把握します。問題の原因や程度を示す指標や実績データを収集し、5W1Hの観点から、「いつから、どこで、誰が、なぜ、何が、どのように、なっているのか」を調査・測定し、把握します。データが不足している場合は、改めて現場に足を運び自分の目で確認しながら、必要な情報を集めることが大切です。
(3)目標の設定
テーマに対し、「何を、いつまでに、どれだけ」を明確にした目標を設定します。この際、達成可能な段階的目標を設けると効果的です。目標値の設定は、テーマの問題を解決するための段階的な目標としてもよいでしょう。目標値は生産性アップの具体的な数値を基準とし、チーム全員で共有することで実現可能性を高めます。
(4)原因の分析
問題には、必ず発生原因と流出原因があります。「なぜ、不良やミスを止めることができなかったのか」を繰り返し分析し、発生原因と流出原因を深堀します。しかし、ただ考えれば、原因を見つけ出すことができるわけではありません。そこで「4M」で洗い出す必要があります。
4Mとは、物事を「人、設備やシステム、手順や方法、モノや材料」という4つの視点で考える手法です。問題の原因を4つの視点で整理することで、偏りや漏れのない分析ができます。
- 人の視点:スキル不足、ヒューマンエラーとしてのポカミスはないか
- 設備・システムの視点:設備の能力不足、故障が原因ではないか
- 手順や方法の視点:方法の間違いや手順の抜けが原因ではないか
- モノや材料の視点:モノそのものの欠陥、部品同士等不整合が原因ではないか
洗い出された原因に対して、特性値との関係をデータで検証しながら評価を行い、真の原因に言及します。裏付け調査では問題発生が論理的に成り立つのか、複数の人に客観的な評価や科学的分析を行うこともよいでしょう。
(5)対策立案/実施
究明した原因に基づき、発生原因と流出原因に対応した対策案を立案します。発生原因に対する対策案は、不良やミスを生み出した原因そのものを取り除くための改善です。人のスキル不足が原因であれば、スキルを高めるための教育を行うことも必要です。
有効な改善はスキルが低い人でも不良やミスを出さないようにするため、作業の簡素化やスキル不足を補う道具の開発等を行います。流出原因に対する対策案は、次の工程に流さないための改善です。例えば、確認手順の抜けが原因であれば、確認の抜けを防止するチェックリストを利用するようにします。
しかし、より有効な改善は作業者に負担をかけない、手順の抜けを機械的に検出する道具の開発等が挙げられます。一方で、対策案でよく陥りがちなのが、「追加型の改善」です。
例えば、確認のためのダブルチェックを増やすことは「追加型の改善」に該当し、結果として現場に責任を押しつけ、作業者の負担を増やすだけの対応になりがちです。このような改善は、現場の忙しさに拍車をかけ、管理を複雑化させることで、かえってミスを誘発させることもあります。そのため、こうした施策はむしろ「改悪」となり得ることに注意が必要です。
より良い改善を実現するためには、「ECRSの4原則」を活用することが有効です。ECRSとは以下の4つの視点から改善策を検討する手法で、、効果の高い順に「E(排除)」から「S(簡素化)」へと考えることが推奨されています。
例えば、以下のような対策案を考えていきます。
- 不良を生み出す作業そのものをやめられないか
- ミスを誘発している作業中断行動の排除はできないか
- 確認作業を調整作業と同時に行い、その場で確認して調整できないか
(6)効果の確認
対策を実施した後は、必ず効果測定を行います。この際、完璧な案を待つよりも、拙い案でも早く実行に移すことが大切です。計画(PLAN)の段階で時間をかけすぎると、実行(DO)が遅れ、効果を測定(CHECK)する機械を失う可能性があります。そのため、効果測定を迅速に行い、その結果を踏まえてまた次の案を立案(ACT)することで、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
効果があまり得られていない場合は、原因分析や対策立案に戻り、PDCAサイクルを何度も繰り返して問題解決を進めます。効果の確認は、発生原因に対する改善の効果と流出原因に対する改善の効果の双方を行うことが必要です。発生原因に対する改善効果は不良やミスを生み出した原因そのものが取り除かれ、不良やミスの発生がなくなったか等を確認します。また、流出原因に対する改善効果は、不良やミスを次の工程に流さないように止められるか、有効性について確認します。最後に当初の定量的な目標値が結果として、どこまで達したか、という効果を測定するのです。
(7)歯止め/標準化
歯止めとは、改善後に元の状態に戻ってしまうことを防ぐための仕組みのことです。例えば、安全面の対策として高さ制限を設定した場合、その制限を明確に表示し、スタッフ全員が確認できるようにする必要があります。このように、ルールを定め、それを確実に守らせることで、再び問題が発生することを防止します。
QC(品質管理)導入までの流れ
貴社がQC導入をお考えであれば、まず理想的な職場像を明確に定義することが必要です。例えば、「ピカピカな工場であること」「先進的な技術を取り入れる」「原価を半分まで落とす」等といった具体的な目標を設定します。これらの目標を設定する際には、現場メンバー全員の意見を収集し、会社方針に合致する提案を抽出・共有することが必要です。
目標設定後、理想像の定義に基づき、QC活動で解決したいテーマをピックアップします。このテーマは、現場の課題や問題解決に直接的につながるものであることが望ましいです。その後は、上記「QC(品質管理)の進め方のポイント」に従い、活動を進めてください。適切な機会を提供すれば、社員は自ら現状を見直してくれるはずです。そのような機会をつくることが、組織の成長を促すための有効な戦略と言えるでしょう。QC活動には、職場全体に前向きな空気を生み出すパワーを持っています。
まとめ
QC活動は品質意識を高めることで、品質のつくり込みができます。導入する際は本記事をご参考いただき、ステップ・バイ・ステップで重ねあげてみてください。
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