パレットラックとネステナーの違いとは?使い勝手や価格などを徹底比較
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パレットラックとは、パレットを載せる用途のラック(棚)を指します。1段に500kgから最大3500kgまでの重量を載せることが可能な重量棚として、パレット運用をされている倉庫、工場で多く導入されている保管機器です。
フォークリフトを用いて荷役を行う倉庫、物流センターでは一般的で、主にプラスチックパレットの収納を行います。荷物積載面には合板やスチール製の棚板をボルト締めで行うため、組立てや段増し、分解、移動が容易にできます。
倉庫の高さを活かした保管効率を向上させたい場合、パレットラックのほかネステナーも導入する現場も多数あります。その違いは積載する重量の耐荷重となります。
パレットラックとネステナーの違いとは?
パレットラックとネステナーはスチール製で、ともにパレットを積載、フォークリフトを用いて収納を行います。大きな違いはラックに積載したパレットの耐荷重となります。
パレットラックとネステナーの特徴
パレットラックとネステナーはパレットに貨物を載せた状態のまま、つまり安全な状態で保管することができます。荷物の破損や落下事故などを防ぐことができる物流機器で、保管効率向上のために多くの現場で使われています。
それでは、具体的にパレットラックとネステナーの違いを見てみましょう。
パレットラックの特徴
パレットラックは一段(1間口)あたり、1t~3.5tのパレット積みの荷物を積載することができます。積載面サイズは一般的なパレット約2枚分の大きさとなります。
限られた床面スペースを有効に利用でき、保管物の荷崩れ破損を防ぎ、積層タイプを採用すれば、倉庫の上部空間を有効活用できます。
パレットラックはトラス(二本の柱を筋交いでつないだ面状の部材)、ビーム(棚の梁にあたる部分の部材)、デッキチャンネル(前のビームと奥のビームを渡す形で取り付ける梁)の3つの部材で構成されます。
一般的なパレットラックは1間口に2枚のパレットが保管できるよう設計されています。例えば、幅1100mmパレット(T11)を使用する場合、2枚の合計幅である2200mmにフォークリフト操作のためのクリアランス300mmを加えた内寸幅2500mmのパレットラックが最適サイズで、幅1200mmのパレットを利用する場合は、内寸幅2700mmが最適サイズとなります。
ビーム幅が約半分のサイズ(半間口)もあり、1間口あたり1枚のパレットを保管します。倉庫内の柱を避けて、効率的にレイアウトすることができ、間口の幅は1100mmパレットで内寸幅1300が一般的です。
ネステナーの特徴
ネステナーは一段(1間口)あたり、1tのパレット積みの荷物を積載することができます。積載面サイズはほぼパレット1枚分の大きさとなり、設置レイアウトの自由度はパレットラックより柔軟にできます。
ネステナーは倉庫の限られたスペースを有効活用でき、サイズは保管する荷物の荷姿で決まります。例えば幅1100mmのパレットに対し、高さ1500~1600mmの荷物を扱う現場では、内寸W1250×D1150×H1700のネステナーを選びます。
ネステナーは2~4段ほど上に積み重ねることができ、保管効率を向上させることができます。固定ラックとは異なり、床へのアンカー固定する必要がなく、レイアウトを自由に変えることができます。使用しない時は5~8段ほどの多段積み(ネスティング)に保管することで、ムダな設置スペースを取りません。
パレットラックとネステナーの高さ
パレットラックとネステナーを利用することで、倉庫の高さを活かし保管効率を向上させることが可能です。
倉庫の天井高やフォークリフトの有無・種類、荷物の大きさなどにより、パレットラックかネステナー、どちらを利用するのか決めてよいでしょう。
併せて、最大何段積みにして使用するかによって高さが決まります。
パレットラック
パレットラックの積載面サイズはネステナーよりも大きく、一般的なパレット約2枚分が一般的ですが、パレット仕様や倉庫形状に合わせて間口、奥行、高さを自由に設計することができます。
二本の柱を筋交でつなぐ「トラス」の高さを調整することで、ラックの段の高さを任意に決めることができます。奥行は余裕を設ける必要がなく、パレットサイズとぴったり合う設計で問題ありません。パレットラックは、保管物に合わせて柔軟に設定することで保管効率が高くなります。
また、レギュラー以外の荷物を保管する必要がある場合、パレットラックならフレキシブルに対応することができます。大型物流施設のデフォルトになっている天井高5.5mを上回る、支柱を最大6mまで対応可能のパレットラックもあります。
ネステナー
ネステナーの積載面サイズは、パレット1枚分の大きさとほぼ同じです。
ネステナーの高さは、積み重ねる台数で決定します。最大積み重ね段数は4段程度となりますが、2m超えるような背の高いネステナーの場合は積み重ね可能数が少なくなり、1m以下の背の低いネステナーの場合は高くなることが一般的です。積み重ねる際の目安は最大高4mとなります。奥行は荷役作業のために少し余裕を設けられることが多いです。
パレットラックと異なり組立の必要がないところがネステナーのメリットです。移動はフォークリフトで変えられますが、キャスターつきで簡単に移動できるものもあり、必要に応じてすぐに保管効率を向上させることができます。
パレットラックとネステナーの使い勝手
次にパレットラックとネステナーの使い勝手を比較してみましょう。工場や物流センターにおける物流機器の使い勝手は、大きく分けて「保管効率」「移動しやすさ」の2点に左右されます。
保管効率は、設置面積に対するパレットの格納枚数で計算できます。たとえば、標準的な規格である「幅1100mm×奥行1100mm」のパレット12枚を保管するケースを考えてみましょう。
パレットラックを使用する場合は、1間口につき2枚のパレットを保管できます。荷役操作のためにパレットの間隔を75mm程度開ける必要があるため、パレット1枚あたり横幅150mmのロスが発生します。ネステナーはパレットラックと違い、1間口につき1枚のパレットしか保管できません。
しかし、ネステナーを横に並べて設置すれば、パレット12枚あたりの設置面積はほとんど変わりません。ただし、ネステナーはパレットの間隔(横幅75mm)だけでなく、荷役操作のために奥行50mmの余裕を設ける必要があります。そのため、横幅の保管効率はほぼ同等ですが、奥行の点で若干パレットラックの方が保管効率が高くなります。
移動しやすさの点で比較すると、床へのアンカー工事を必要としないネステナーの方がパレットラックよりも上回っています。ネステナーはフォークリフトでの移動のほか、キャスター付きのものは自由に移設することが可能です。
一方、パレットラックは設置場所の高さやスペースに合わせて組み立てを行い、床へのアンカー工事が必要です。そのため、倉庫の移転やレイアウト変更が必要になった場合、ネステナーよりも移設に手間がかかります。
パレットラックとネステナーの価格の違い
パレットラックは1段あたりに1t~3.5tのパレット積みの荷物を積載することが可能です。合板やスチール製の棚板を配置することで、一般的なスチールラックよりも強度の高い物品棚として利用することが可能です。どのような重量の荷物を積載するかで、価格に開きが生まれます。
一般的な1100×1100mm(T11)のパレットを利用する際、500kgのパレットの荷物を3段・2列積みにする場合のパレットラック単価は5~6万円が相場となります。
ただし、パレットラックは固定棚として、床にアンカーボルトを打ち付けて固定する必要があります。ラック全体のサイズ、積載質量、レイアウト、運用方法から地震の際を考慮して最適な固定方法を選定します。床固定のほか、背合わせで配置するラックの支柱同士を「連結背つなぎ」、通路を隔てたラックの支柱上部を連結する「天つなぎ」などで接続すれば転倒を抑制することができます。
ネステナーの設置は工事が不要です。パレットラックと異なり、組立や設置の必要はなく、すぐに使えてレイアウトを自由に変えることができるためです。キャスターつきでレイアウト変更が楽に行えるタイプや、レールに特殊接合することで耐震性を高める製品も出ています。ネステナーの単価もサイズや機能、発注台数によりますが、製品価格は1~2万円が相場となります。
購入費を見ると、パレットラックのほうが高くなることに加えて施工費が発生します。初期コストで見ると、パレットラックのほうが割高となります。
パレットラック・ネステナーがおすすめのケース
パレットラック・ネステナーは、倉庫の限られた有効面積をフル活用する際に有効です。保管物があふれ、新たに倉庫を借りる必要が生じた場合に導入されることが多数あります。
パレットラックがおすすめのケース
フォークリフトを使用する倉庫の一般的な保管設備として、管理効率が格段に向上します。積載面に合板やスチール製の棚板を配置することで一般的なスチールラックよりも強度の高い物品棚として利用することも可能です。
ネステナーがおすすめのケース
レイアウト変更が楽に行え、組み立てや設置の必要がないため、手軽に使えるのがネステナーです。天井がある程度高い倉庫において、保管効率を向上したいとお考えの際にオススメします。
パレットラックを配置するメリットとは?
パレットラックに格納したパレット上の貨物出し入れが容易になり、荷役の時間効率が向上する
整然と収納することにより管理効率向上と棚段の高さ位置を自由に調整できるため、様々な荷姿に対応できるようになります。
またパレットラックは、段の高さを自由に調整できます。1段目と2段目は、保管物に合わせて高さを設定できるため、保管効率が向上します。取り扱いの荷物が変更した場合でも、パレットラックのままで対応できます。
パレットラックを利用する際のポイントとは?
作業効率の良いレイアウト
ラックを使う際は収納容量を重要視されがちですが、作業効率を考えた場合、収納力だけでは片手落ちです。
それでは、作業効率の良い倉庫レイアウトとはどのようなものなのでしょうか。
まず、「作業をどんな順で行うのか」で決める必要があります。どんな作業を行うのか、どの程度の作業スペースが必要なのか、スペースを共有するべき作業と分けるべき作業を考えます。
倉庫・物流センターの作業工程は、大きく分けて入荷、保管、移動、ピッキング、仕分け、梱包、出荷などに分類されます。各工程の際の動線を見極め、一連の作業が一筆書きとなるスペース配置が理想とされています。
また、庫内が狭小でスペースがとれない場合には一筆書きの動線を作ることは難しいこともありますが、保管と作業のバランスが重要です。
出荷頻度で商品をグループ分け
保管スペースは出庫頻度によるグループ分けを行い、移動経路をコントロールする必要があります。
ピッキング時、どの商品をどのラックで保管するかによって、移動距離が大きく変わります。そこで出庫頻度をもとにしたグループ分けをする必要があります。例えば、出庫頻度が高い場合は作業効率を最優先したエリア、出庫頻度が平均的な場合は作業効率と保管効率で選び、出庫頻度が低い商品軍は保管効率を優先して少し遠い場所で保管すればよいでしょう。
このように高出荷頻度の商品は、ピッキングする際の効率性を考慮して、作業しやすい最短距離の動線上に配置することで、移動距離の短縮とピッキング効率が向上します。
十分な通路幅を確保
パレットラックに載せる荷物はフォークリフトで搬送しますので、通路幅を確保する必要があります。フォークリフトがUターンできるスペースやピッキングする際のエリアも考慮する必要があります。
また、パレットラックの必要台数を割り出すのに最適な数量の計算方法として、保管数量÷ラックあたりの保管数量から、ラック数を算出することができます。
例えば、倉庫全体で10万点の荷物を保管する倉庫で、1段あたり500点保管するパレットラック(3段)に保存する場合、1台のパレットラックに2000点を保管できます。
その際の計算方法として
100,000÷1,500=66.66
つまり、67台のパレットラックが必要となります。
また、ラック台数を算出したら通路幅を計算して、適切で無駄のないレイアウトを心がけましょう。パレットラックは床に1枚しか置くことができないパレット上に、2段、3段と置くことができ、スペースの有効活用につながります。
倉庫天井高を利用した上部空間有効利用も保管もパレットラック導入検討の鍵となります。ご検討のパレットラックが求める重量物にも耐えられる規格を持つか、調査する必要があります。
ネステナーはレンタルがおすすめ
3PL業者様は、荷主様との契約の更新期間によって、一定期間しかネステナーを使用しないこともよくあると聞きます。そういったケースも含め、ネステナーは一時的な物流波動に対応できる、レンタルで使用することがオススメです。
パレットラックは設置工事が必要ですが、ネステナーは設置・解体工事が必要なく、フォークリフトによる移動で手軽に設置・撤去ができますのでレンタルサービスのニーズが高まっています。物量に大きな変動があった場合、気軽に返却することも可能です、
また、レンタルの場合、初期コストも抑えられ、導入のハードルを下げることができることも大きなメリットです。
パレットラックの選定方法
パレットラックを選定する際、以下4点をご確認ください。
■保管物
保管物の荷姿の寸法と質量をお確かめ下さい。パレットサイズとパレット収納す枚数を確認します
■ラック寸法
クリアランスを含め、間口有効寸法を選定します。1段にパレットが2枚並ぶ様に選定してください
■全高
間口寸法と積載荷重でビームを選定します。建物有効高さ内かをお確かめください
■通路幅・揚程
パレットが1100×1100mm、質量500kg、荷高900mm、パレットを6枚収納する場合。
レンタルから導入までの流れ
【ご相談】
uprの物流機器レンタルは、簡単STEPで開始可能です。まずはお気軽にご相談下さい。お問い合わせは担当営業、または各営業所へご連絡ください。お客様に最適なレンタルシステムをご提案します。
【お見積り】
費用:商品、数量、期間によって異なりますため、まずはご相談ください。
期間:10日間以上からとなります。10日間未満の場合でも、10日分のレンタル料金 をご請求させていただきます。
料金:物流機器やパレットのレンタル料金は(お取引日よりご返却までの日数)× (使用数量)×(単価1日)にて算出させていただきます。
【ご発注】
商品、数量、期間によって異なります。お見積もり後、ご発注となります。
発注の際はレンタル商品、数量、期間、料金、およびお受け渡しデポ、お受け渡し日等をご確認ください。
【お受け渡し】
近隣のデポで受け渡しいたします。弊社にて運賃をいただいてお送りすることも可能です。
デポでの在庫が流動的ですので、ご利用時には必ず2・3日前に弊社にお問い合わせください。
パレットラックの設置例
建材関連を扱う倉庫では、在庫品を分別しながらピッキング及び出荷に時間がかかっていたため、資材ごとに分類して保管できるパレットラックを導入しました。資材を縦置きに保管管理することで、見つけやすく、取り出しやすくなり、作業生産性が向上しました。また、不良在庫を減らすことができ、倉庫内のスペースも向上しています。
また、機械部品をフリーロケーションで収納する倉庫では、収納物の大きさがまちまちで重量物であったためパレットラックを導入。イレギュラーの大きな貨物を収納に対応、フリーロケーションの棚として活用されています。
まとめ
パレットラック、ネステナーとも保管に適した物流機器として、多くの倉庫で採用されています。整然と貨物を保管することができるため管理面でも大変有利で、労働力不足に対応することも期待されています。
最後にパレットラックとネステナーの違いを表にまとめました。
パレットラック | ネステナー | |
一段(1間口)あたりの積載量 | 1t~3.5t | 1t |
積載面のサイズ | 一般的なパレット約2枚分 | 一般的なパレット約1枚分 |
積み重ね可能な高さ | 最大6mまで | 最大4mまで |
価格 | 5~6万円 (500kgのパレットを3段・2列積みにする場合) |
1~2万円 |
適した場所 | ・フォークリフトを使用する倉庫 ・強度の高い物品棚が必要な倉庫 |
・天井高がそれほど高くない倉庫 ・パレットラックの設置や組み立てが難しい倉庫 |
設置するメリット | ・貨物の出し入れが容易になる ・パレットの管理効率が向上する ・棚段の高さを自由に調整できる |
・工事をしなくても設置・撤去できる ・レイアウトを自由に変更できる ・施工費がなく、低コストで導入できる ・レンタルサービスも利用できる |
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