物流コストとは?削減方法まで解説【物流コラム】
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物流コストとは
物流コストとは、経済活動において物を移動させる際に発生する費用の総称です。完成した商品が工場から消費者の手元に届くまでの過程で、保管、荷役、輸送、包装等、様々な費用が発生します。
物流コストの内訳
物流コストは主に、「輸送費」「保管費」「荷役費」「管理費」に分けられます。
1)運送費
商品の配送にかかる費用の中で、最も大きな割合を占めているのが運送費です。運送費には、輸送・配送のためにトラックを利用する際の運賃、車両費用、燃料費、高速道路料金、駐車場費用、ドライバーの人件費等が含まれます。さらに、鉄道、航空、船等を利用した際にかかる費用も運送費に分類されます。
2)保管費
在庫品を保管・維持するために発生する費用が保管費です。これには、倉庫内で利用されるマテリアルハンドリング機器の導入費用、物件費、倉庫人件費等の実際に発生する支出に加え、自家倉庫の資本コストや在庫に投資することで生じる機会損失も含まれます。
保管費は、製品・半製品・部品・原材料等を自家倉庫や外部の営業倉庫に保管する際に発生する原価として、「自家保管費」と「支払い保管費」に分類されます。
●自家保管費
自家保管費とは、自営の物流センターや自家倉庫で発生するコストのことです。これには、借用倉庫等の借用料に加え、倉庫で従事する要員の賃金等の変動人件費、荷役機器の燃料、動力費、部品・バッテリー、機器修繕費、消耗品費の変動荷役費が含まれます。さらに、倉庫の減価償却費、各種税金、施設保険料等も保管費の構成要素です。
●支払保管費
外部の営業倉庫を賃貸する際に発生する保管料に加え、支払い荷役料・手数料、外注費、販売先センターの使用料等が含まれます。
一般的に、倉庫を賃貸する際には「賃借料」、倉庫に収容する貨物に対する「保管料(倉敷料)」、貨物の出し入れの際に発生する「入出庫料」が必要です。特に、外部倉庫を賃貸する場合は「寄託(きたく)保管料」が発生し、保管する荷物の量に応じてコストが変動します。保管量に応じて支払いコストが決まるため、繁忙期等一時的に外部倉庫を利用したい場合におすすめです。
また、倉庫の利用スペースの大きさに応じてコストが変動していく契約として「坪貸し保管」があります。この契約では、契約坪数と契約坪単価に基づいて保管料が算出され、保管スペースごとに月額料金が発生します。
3)荷役費
入出庫作業や庫内移動、荷役機械の運用にかかる諸費用の原価を「荷役料」といいます。荷役料は、ユニタイズ貨物、包装品、有姿、ばら貨物等の主要な商品分類ごとに、「倉入(入庫)」や「倉出(出庫)」等の作業単位別に、1トンあたりの単価で計算されます。
具体的には、入庫・出庫作業のほか梱包費、シール貼り・タグ付け・プレス加工等の流通加工費です。さらに、輸出時に発生する通関料・ドレージ料・取扱手数料・港湾施設利用料・関税等も経費として計上されます。
4)物流管理人件費
文字通り、物流を管理するために発生する費用のことです。特に、物流業務の遂行に必要なコストを「物流管理人件費」と呼び、戦略・企画等のマネジメント業務とは異なり、社内物流費と調達物流費に分類されます。
社内物流費
社内物流費とは、自社内で発生する物流コストの総称のことです。「自家物流費」とも呼ばれ、自社の人件費や、自社所有の倉庫利用の費用、自社所有のトラックの車両費や修繕費等が含まれます。
調達物流費
調達物流費とは、原材料等を調達する際に発生する物流コストのことです。仕入れ先からの輸送費や、調達に関連する荷役費・保管費等が該当します。
ドライバー不足が物流コストを押し上げる
物流コストには「支払物流コスト」という考え方があります。これは、運賃、倉庫賃貸料、作業委託料等、実際の支払い金額をベースにしたコストを指します。企業によっては、支払物流コスト=物流コストと捉えている場合もありますが、実際には社内物流費や調達物流費も含めた総合的な視点で考えることが必要です。
物流コストの削減は、多くの業種業態で重要な課題となっています。物流コストの中でも運送費は全体の約5割強を占めており、そのうちドライバーの人件費が約半分を占めるのが現状です。EC市場の拡大や多頻度小口配送の増加により、トラックドライバーの労働環境はさらに厳しくなっています。これに伴いドライバー不足が深刻化し、今後も物流コストの上昇要因となることが懸念されています。
物流コスト削減のためには、運送方法の見直しが有効です。その一例として、「混載便」があります。これは、複数の依頼主から預かった荷物を、特定の地域の配送センターまでまとめて輸送する方式です。センターを拠点として個別配送されるため、少量の荷物や不特定多数の宛先への発送に適しています。ただし、大量の荷物を同じ宛先に送る場合は、専属の「チャーター便」の方がコストを抑えられるケースもあります。
「チャーター便」とは、トラックを1台貸し切り、同じ目的地へまとめて荷物を輸送する方式です。トラックの積載量を最大限活かしながら、一定の料金で輸送できるため、1カ所に大量の荷物を届ける際にコストを抑えやすいメリットがあります。
また、「定期便」というサービスもあります。これは、決められた日時に必ず利用することを前提に、送料を割引する仕組みです。荷物の量に関わらず一定料金がかかりますが、定期的な輸送が必要な場合には、コスト面で大きなメリットになります。
物流コストの削減
倉庫内の物流コストを削減するためには、5S(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)の徹底や業務の見える化が不可欠です。これらが徹底されていない倉庫では、商品が乱雑に並び、保管にも明確なルールがない場合が多くあります。その結果、作業の非効率化やミスが発生し、無駄なコストがかかる要因となります。
特に、現場担当者の経験や判断に依存した属人的な運営が続くと、「担当者のやり方がルールそのもの」となり、業務の標準化が難しくなりかねません。現場改善を進めることで、物流コストを大幅に削減できる可能性があります。
また、以下のようなケースもあるのではないでしょうか。
1)「ムリ」「ムダ」「ムラ」が多い
作業量がキャパシティを上回っている「ムリ」、キャパシティより作業量が少なく稼働率が低下する状態の「ムダ」、作業量の波が大きくタイミングによって「ムリ」と「ムダ」が繰り返される状態が「ムラ」となります。作業環境を最適化するためには、作業を単純化し平準化することが有効です。業務の流れを均一化することで、作業スピードが向上し、ミスの減少にもつながります。さらに、人員を最小限に抑えながら効率的な運営が可能です。
2)工程管理ができていない
入荷から出荷までの工程を追跡しても、「誰が・いつ・どこで・どんな作業をしたのか」が記録・管理されていない現場では、問題が発生しやすくなります。作業履歴が不明確な状態では、ミスや遅延の原因が特定できず、現状分析も困難です。また、現状分析ができないと現場へのフィードバックによる課題解決を図ることができません。
3)人為的なミスが多い
ピッキングミスや配送先の間違い等による誤出荷が多発すると、クレームの増加につながり、後処理に多くの手間と時間がかかります。
このような課題は、マテリアルハンドリング機器の導入によって解決できるケースも多くあります。例えば、庫内作業の中心となる仕分け作業は、人時生産性と物流品質向上の観点から、合理化・効率化を追求すべき重要な業務です。簡易的な機器を導入するだけでも、生産性向上や作業効率化の効果が期待できます。自社の物流を見直し、適切な設備投資を行うことで、物流の最適化につなげることが可能です。
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