アソートとは?業界で異なる意味を解説【物流用語】
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アソートとは
アソート(Assort)とは「詰め合わせ」を意味する言葉ですが、物流業界では特に倉庫や物流センターで、商品を入荷・出荷する際に利用されます。具体的には、指定された通りに商品を仕分けし、組み合わせて梱包することです。この過程により、顧客の注文に応じた商品が正確に準備され、配送されます。
「アソート」は英語の「assorted」に由来し、「assorted」は「分類された」や「多種多様な」という意味を持つ言葉です。しかし、実際には業界によって様々な意味で利用されており、物流業界では「仕分ける」という意味で利用されています。
業界別のアソート
(1)物流業界
アソートという言葉は「詰め合わせ」という意味ですが、物流業界では特に近年ネット通販等における同梱作業を「アソート作業」と呼んでいます。入荷した商品を指定された保管場所に分類し、出荷の際には指示されたピッキングオーダー通りに複数の商品を組み合わせ、最終的に梱包することがアソート作業です。
(2)アパレル業界
アパレルでは商品の品ぞろえ、つまり商品構成を「アソート」と呼びます。ブランド、サイズ、デザイン、柄、色、素材、価格等を中心に、顧客のニーズに合った商品を選び、どのようなアソートにするかを決めます。
(3)スノーボード
様々な色やタイプを選ぶことができるスノーボードでは、ECサイトで購入する際に「ソールカラーはアソートとなります」と断り書きされていることも少なくありません。これは、見本の写真と色が反転したソールで届ける可能性があるという意味です。ソールの基材を打ち抜いて2色を組み合わせてスノーボードのソールを作る場合、抜いたパーツを組み合わせて作ることがあり、色が反転した2種類のソールが作られることがあります。材料を無駄にしないためのアソート」となり、ユーザーにはどの色のボードが届くかわからないため、断り書きが必要です。
(4)お菓子業界
お菓子業界のアソートは商品の「詰め合わせ」という意味です。複数のお菓子を多数集めて詰め合わせたもので、パックの中身は自社製品のみの場合や、他社の商品を仕入れて詰め合わせにすることもあります。お菓子業界では、アソートを形容詞として活用し「アソートパック(詰め合わせの包み)」、名詞形として「アソートメント(詰め合わせ)」と呼ぶこともあります。
アソートピッキング
物流業界ではアソートとピッキングの関わりは深く、ピッキングリストや作業員が持つハンディターミナル等に表示された商品名・数量を正しく集めないと、アソート(荷揃え)することができません。アソートの前段階となるピッキングは、大きく「摘み取り方式」と「種まき方式」の2種類の手法に分けられます。
(1)「摘み取り方式」
発送先ごとに商品を集める方法です。「シングルピッキング」や「オーダーピッキング」とも呼ばれています。出荷する数量は少ないものの発送先が多いといった、多種多様な商品を出荷する場合に採用されるも手法で、少量多品種の出荷に最適です。
(2)「種まき方式」
第1仕分けとして、出荷する商品をバッチ単位等でまとめてピッキングしておきます。その後、荷さばき場等で発送先別に分ける(第2仕分け)という、2段階でピッキングを行う方法です。「アソート式」とも呼ばれ、少ない納品先に対し、少ない品数を出荷する場合に有効です。第1仕分けでまとめて商品を取りに行くため、作業者は何度も商品保管エリアに行く必要がなく、移動距離と移動時間を短縮できます。
ピッキングの種類
ピッキング作業にはどのような種類があるのでしょうか。
(1)リストピッキング
出荷指示書やピッキングリストを利用した方法です。リストに記載されている商品名と数量を確認し、保管場所から商品を探し出すもので、最も基本的なピッキング方法となります。正確さと作業スピードはすべて作業者に依存するため、ミスを起こしやすい作業であり、梱包前に検品確認作業が必要です。
(2)デジタルピッキングシステム(DPS)
商品が保管されている棚にデジタル表示器を装着し、表示器の指示に従って商品を取っていくのがピッキングシステムです。表示器によって異なりますが、該当する間口にライトで位置を作業者に知らせ、必要個数が表示されるため、商品知識のなかったり作業に慣れていなかったりする人でも簡単に作業ができます。これにより、ピッキングミスの減少、作業スピードの向上、ペーパーレスが実現します。
(3)バーコード
出荷指示情報がバーコード化されたピッキングリストをハンディターミナルで読み取った後、指示通りにピッキングを行う方法です。WMS(倉庫管理システム)等と連携し、作業者がハンディターミナルを用いて商品を読み込んでいくことにより、異なる商品や数量をピックアップしてしまった場合、アラーム音やバイブ等で通知されるため、ピッキングミスの減少につながります。
(4)音声認識システム
ピッキングリストの代わりにヘッドセットを利用し、音声の指示に従って商品のピッキングを行う方法です。この方法では、ピッキングリストやハンディターミナルを手に持つ必要がなく、ハンズフリーでのピッキング作業が実現します。
(5)カートピッキング
商品を積載するための専用カートを用いてピッキングする方法です。カートに搭載されている端末にピッキングする商品の情報が写真等で表示されるため、それに従ってピッキングを行います。
(6)RFID
商品の保管されている棚に、RFIDタグが付いた商品内容を表示した品番表を取り付けます。作業者が商品を取ろうと棚間口に手を近づけると、RFIDタグを読み取り正しい商品かをチェックすることが可能です。
アソート注文とは
物流でも商品を発注する際に「アソート注文」を行う場合があります。アソート注文は「指定できない詰め合わせ」を意味し、ランダムに組み合わせた注文にすることで、仕入価格を安くすることができます。
例えば、赤、白、青、緑のTシャツを100枚発注する場合、「ランダムに色を組み合わせて100枚」とする注文方法です。詳細まで指定できないのが難点ですが、卸業者や小売店にはランダムにすることで、安く仕入れることができるメリットもあります。
アソートとランダム注文の違い
アソート注文について、お菓子業界の項目でご紹介した通り、「ランダムに色を組み合わせて詰め合わせる」ことがありますが、アソートとランダムは言葉の持つ意味が異なるため、混合しないようにしましょう。
アソートは前に紹介した通り、「詰め合わせ」「取り揃える」という意味です。しかし、ランダムは「無作為・任意であること」を指す名刺や動詞となります。ランダムに抽出することが「無作為に選ぶ」ことを意味するため、違いを理解して使い分けができるようにしておきましょう。
物流のピッキング作業をアシストするデバイス
ピッキング作業は物流センターの中で最も大きな負荷と時間を要する作業です。この作業を外部のデバイスで支援することで、物流の生産性向上につながります。色々なメーカーから、ピッキング作業支援のデバイスが販売されています。
その最も代表的な例が「デジタルピッキングシステム」です。これは、デジタル表示器を利用してピッキング作業を支援するシステムです。商品が保管されている棚にデジタル表示器を取り付け、作業者はランプが光った表示器まで移動し、表示器の指示に従って商品を取り出します。これにより、商品を知らなくても表示器の指示に従って正確にピッキングができるようになります。
また、Amazonが導入したことで脚光を浴びたのが、商品棚を移動させる自走式ロボットです。このロボットは、作業者が待機するピッキングステーションに商品棚を搬送し、商品のピッキング作業を完了させることが可能です。日本国内では2016年12月に初めて導入され、現在では全世界25か所以上で100万台以上が稼働しています。このロボットは国内外でも多数製品化されています。
まとめ
EC市場拡大に伴い、商品数の増加、注文内容も細分化が進むようになり、ピッキング作業後のアソートはさらに重要なウェイトを占めるようになりました。ミスなく、正しく、短時間に行うことで物流の生産性にも直結します。庫内の物流改善を進める際には、絶対見落としできないポイントとなるでしょう。
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