物流業界のIoT導入効果とは?注意点や事例を3つ紹介【IoT活用事例】 | 物流機器・輸送機器のレンタル | upr

物流業界のIoT導入効果とは?注意点や事例を3つ紹介【IoT活用事例】

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物流

物流業界のIoT導入効果とは?注意点や事例を3つ紹介

【IoT活用事例】

 

物流×IoTとは

物流業界でも、IoT(Internet of Things)の導入に向けた動きが活発化しています。物流にIoTなどの先端技術を導入することを「スマートロジスティクス」といい、輸送中の温度管理や、在庫管理の効率化、配車計画の最適化、さらには自動運転技術の応用など、多岐にわたる分野でIoTが活躍しています。

物流業界で主に使われるIoTとして、次の5点が挙げられます。

温度センサー 輸送中の温度変化を計測し、基準値を逸脱していないかモニタリングを行う
RFID(Radio Frequency Identification) 無線通信機能が搭載された小型のICチップのこと
専用のリーダーでRFIDをスキャンすることで、倉庫内でのピッキングや在庫確認を効率化する
重量計測器 商品の重量やサイズを計測し、仕分けやデータベースへの登録を自動で行う
無人搬送ロボット(AGV)
自律走行ロボット(AMR)
倉庫内で働く人の代わりに働き、荷物の運搬やピッキングなどを補助する
配車システム(TMS) トラックに搭載したGPSから位置情報を読み取り、各車両の配送状況を見える化したり、配車計画を最適化したりする

 

物流業界で想定される課題

食品物流では輸送に際して、荷主企業や納品先から様々な要望を請ける可能性があります。但し、それは全て運賃に変換できるような話ではなく物流企業側の努力として達成しなければならないケースがあるため、極力安価に荷主企業からの要望に応える必要があります。

例えば

  • 食品メーカー等の荷主企業から輸送中のリアルタイムでの温湿度管理を依頼されたが、すぐに導入できるようなサービスがない
  • 納品先である食品取扱店などから、いつ納品されるのかといった問い合わせが多く、問合せに対して人的リソースが割かれている
  • 物流業としてHACCP対応を今後求められる可能性があるが、どのように対応すればよいかわからない

物流企業の方々は上記の様なことを頼まれることも少なくないのではないでしょうか?

こういった課題は、食品物流のビジネスを行う上で検討していかなくてはならない課題の一部です。その食品物流の課題をIoTによってどのように解決できるかを御紹介いたします。

食品物流の現状

 

食品物流は常温だと傷んでしまう生鮮食品や冷蔵・冷凍食品といった荷物を輸送するケースもあるため、一般的な物流と異なり輸送中の徹底した温度管理が求められます。

物流センターから納品先まで鮮度・品質を損なうことなく荷物を届ける物流システムが「コールドチェーン」であり、食品物流はもちろん血液や化学薬品などを輸送する業態で活用されることも珍しくありません。

共同配送で車両の積載効率を高めて輸送コストダウン

食品物流では荷物ごとの小口な輸送ではなく、複数のメーカーがそれぞれの荷物を車両に積み合わせて同一の納品エリアに一括配送する「共同配送」が取り入れられています。同一の納品エリアに各メーカーの荷物をまとめて輸送することで車両の積載効率が高まり、コスト低減・ロット問題の解消といった利点が生じるのです。

 

食品物流におけるその他2つの課題

食品物流の課題は極力コストを抑えつつ荷主企業の要望をクリアしなくてはいけない点に加え、以下2つの課題も擁しています。

1. 輸送中の過剰なドア開閉などによる温度逸脱

物流センターにおける固定された冷蔵冷凍設備であれば温度管理が容易な一方、輸送中は温度管理が難しく、過剰なドア開閉などによる温度逸脱が発生して食品の鮮度・品質が落ちてしまうことが考えられます。とくに同一エリアで複数の配送先に納品する場合はドアの開閉頻度が多くなり、常温食品以外は冷蔵庫内の温度上昇によって劣化するリスクが伴います。

物流センターから納品先までの輸送中における温度逸脱を防ぐためにはトラブル発生時の場所や時間を把握するトレーサビリティの整備に加え、現場での適宜な対応が必要です。しかし、これらを実現するためには、冷蔵庫内の温度変化をリアルタイムで監視・把握できる体制を構築しなくてはいけません。

2. コールドチェーンは導入コストが高く作業の手間もかかる

コールドチェーンは生産・加工および物流センターから納品するまですべての工程で常温にしないよう温度管理を徹底するため、多大なイニシャルコストが発生します。また、コールドチェーンは輸送中の位置情報や温度・湿度変化などのデータを随時取得するためにデータロガーを利用するプロセスが一般的です。

しかし有線式のデータロガーから内包データを取得するためには、その都度デバイスを取り外す必要があり作業の手間もかかります。一方で無線式のデータロガーは遠隔によるデータの取得が難しいため、温度変化をリアルタイムに把握するためには他の設備機器を併用して副次的なシステムを構築しなくてはいけません。

運用するデバイスが増えるごとに管理・作業の工程も複雑になるため、無線式のデータロガーは結果的にコストが増加してしまうのです。

HACCPとは?食品衛生法との関連

HACCP(ハサップ:Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、国際的な食品衛生管理の基準で、食品の製造・加工・流通のすべてのプロセスで危害要因(ハザード)を取り除くことを目的としています。

従来の抜き取り検査が中心の衛生管理と違い、HACCPに基づく衛生管理は異物混入や食中毒菌の増殖といった食品事故を未然に防止できます。

とくに重要なのが、食品の温度管理です。HACCPに基づく衛生管理は、各製造工程や流通工程の食品リスクを洗い出す危害要因分析(HA)に基づき、食品の温度管理を「重要管理点(CCP)」に設定して、食品の安全性を徹底的に確保するのが特徴です。

これまで、HACCPの導入は任意とされていましたが、平成30年6月に公布された「食品衛生法等の一部を改正する法律」により、令和3年6月1日からはHACCPに剃った衛生管理が制度化されることになりました。[注3]

これ以降、原則として食品の製造・加工、調理、販売等を行うすべての食品等事業者は、HACCPに基づく衛生管理またはHACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行うことが法律で義務づけられています。

特に大規模事業者と、と畜場、食鳥処理場については、コーデックスのHACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料や製造方法等に応じて計画を作成し、管理を実施しなければなりません。

一方、小規模な営業者等(食肉・魚介類の販売やパン製造業など)に関しては、各業界団体がHACCPの考え方を取り入れて作成した手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行うことが義務づけられています。

事業所の規模に応じてHACCPとの関連性は若干変化しますが、共通して実施する項目は以下の通りです。

一般的な衛生管理(小規模な営業者)およびHACCPに沿った衛生管理(大規模事業者等)に関する基準に基づき、衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底すること
必要に応じて、清掃・洗浄・消毒・食品の取り扱い等について、具体的な方法を定めた手順書を作成する
衛生管理の実施状況を記録・保存する
衛生管理計画および手順書の効果を定期的または工程に変化が生じたときなどに検証し、必要に応じて内容の見直しを行う

 

物流業界へのIoT導入で期待できる効果

食品物流をはじめとして、物流業界には輸送中の温度逸脱のリスクや、コールドチェーンの構築にかかるコストといった課題があります。

そうした物流の課題解決につながるのが、IoTの導入による「スマートロジスティクス」の実現です。IoTを導入することで、具体的にどんな効果が得られるのでしょうか。ここでは、物流業界へのIoT導入によって期待できるメリットを2つ紹介します。

輸送サービスを向上させ、顧客満足度を高められる

温度センサーやGPSを活用すれば、輸送中の温度データをリアルタイムに取得でき、厳格な温度管理を実現できます。温度変化を検知し、温度逸脱が発生した際にアラートを送信するIoTシステムを構築すれば、万が一輸送中にトラブルが発生しても迅速な初動対応を実現できます。

また、荷主に対しても、取得した温度データを検証し、エビデンスに基づいた説明が可能です。IoTデバイスを導入することで、輸送サービスを向上させ、顧客満足度を高められます。

配送作業や配車管理を効率化できる

少子高齢化の進行にともない、物流業界でもベテランスタッフの退職や、若手人材の減少が課題となっています。とくに配送作業や配車管理は工数がかかり、労働力不足の問題がより顕著です。IoTを導入すれば、配送作業や配車管理を効率化し、限られたリソースで円滑に業務を行えます。

たとえば、配車システム(TMS)を導入すれば、運行中車両の位置情報や積載情報、空車となっている車両のデータを一元管理し、配車計画を最適化できます。また、同一方向へ運行するトラックにまとめて積付けを行い、積載率を向上させることも可能です。

物流業務にIoT導入をする際の注意点

 

物流業務へのIoT導入を検討する際、注意すべき点がいくつかあります。

まず大切なのが、IoTの導入にあたって、新たにIoTユーザーとなる従業員から理解を得ることです。物流業界は中高年の従業員が多く、スマホの未利用者をはじめとして、ITリテラシーが不足した方も少なくありません。国土交通省の調べによると、とくにトラックドライバーは高齢化が進んでおり、大型・普通・小型いずれの平均年齢も全産業平均を上回っています。[注1]

従業員の協力がなければ、物流のIoT化は実現しません。IoTユーザーとなる従業員に焦点を当てた研修や講習会の実施により、IoTの導入への理解を得るとともに、必要なスキルの確保に向けて取り組むことが大切です。

また、近年はIoTデバイスを対照としたサイバー攻撃も社会課題となっています。たとえば、2016年9月にはマルウェアの一種の「Mirai」が出現し、IoTデバイスをターゲットとした大規模なサイバー攻撃が頻発しました。物流業界においても、IoT導入後の運用イメージを想定し、センサーやネットワークのセキュリティ対策を行う必要があります。

[注1]国土交通省:物流を取り巻く動向と物流施策の現状について[pdf]

物流業務にIoT導入をする際の注意点

物流業務へのIoT導入を検討する際、注意すべき点がいくつかあります。

まず大切なのが、IoTの導入にあたって、新たにIoTユーザーとなる従業員から理解を得ることです。物流業界は中高年の従業員が多く、スマホの未利用者をはじめとして、ITリテラシーが不足した方も少なくありません。国土交通省の調べによると、とくにトラックドライバーは高齢化が進んでおり、大型・普通・小型いずれの平均年齢も全産業平均を上回っています。[注1]

従業員の協力がなければ、物流のIoT化は実現しません。IoTユーザーとなる従業員に焦点を当てた研修や講習会の実施により、IoTの導入への理解を得るとともに、必要なスキルの確保に向けて取り組むことが大切です。

また、近年はIoTデバイスを対照としたサイバー攻撃も社会課題となっています。たとえば、2016年9月にはマルウェアの一種の「Mirai」が出現し、IoTデバイスをターゲットとした大規模なサイバー攻撃が頻発しました。物流業界においても、IoT導入後の運用イメージを想定し、センサーやネットワークのセキュリティ対策を行う必要があります。

[注1]国土交通省:物流を取り巻く動向と物流施策の現状について[pdf]

物流業界がIoT導入する場合の要素技術・役割分担

デバイス

物流でエビデンスとなる位置情報、温度、湿度のデータが取得できるIoTデバイス「なんつい」端末を利用

通信

「なんつい」端末は公衆無線ネットワーク(3G等)を利用して10分に1回(可変可能)定期的に上記データをサーバにアップロードする
通信モジュールは端末の中に内蔵されており、通信料金もサービスの利用料と合わせて提供する

アプリケーション

標準アプリケーション「なんついWEB」に位置情報・温度・湿度などの端末が取得したデータが保存される
インターネットからであればいつでも、様々なデバイスからリアルタイムでデータの閲覧が可能

[注1]国土交通省:物流を取り巻く動向と物流施策の現状について[pdf]

ユーピーアールのメリットと期待される導入効果

 

IoTデバイスのレンタルが可能

「なんつい」は1台、1カ月からレンタルが可能なので、イニシャルコストをそれほど気にせずにすぐに安価導入ができた。

長寿命バッテリ

「なんつい」は端末内にリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、バッテリーが1カ月持つ(通信間隔によっては半年以上持たせることができる)ため、電源工事などの設備投資もなく、バッテリー交換等の手間のかかる運用も最小限に抑えることができた。

自動アラート機能

温度逸脱が発生した際、管理者、乗務員の携帯電話にアラートメールを送信する設定にしたことで、食品の品質が低下したまま納品をすることがなくなり、定期的な輸送依頼を受けることができるようになった

HACCP対策

IoTサービス導入による温度管理や輸送状況のエビデンスが取れるようになったことで、HACCPで求められる輸送品質に対応することが出来るようになった

物流業界でIoT導入をした事例3つ

食品輸送のほかにも、物流業界では様々なシーンでIoTが活躍しています。たとえば、食品輸送と同様に輸送中の厳格な温度管理が求められるのが「医薬品輸送」です。ここでは、物流業界におけるIoT導入事例を3つ紹介します。

IoTで医薬品輸送の温度管理を実現した事例

中央運輸株式会社様の事例では、厚生労働省が発表した「医薬品の物流に関する基準(GDP)」への対応のため、医薬品輸送中の厳格な温度管理を実現する必要がありました。しかし、外部パートナー企業などと協力し、不特定多数のトラックで医薬品輸送を行うため、据付型の追跡システムが使えないという制約がありました。また、複数の事業所が存在するため、輸送中の温度データや位置情報を本社で一括管理したいという要望がありました。

ユーピーアールのIoTパッケージ「なんつい」なら、モバイル型の追跡システムのため、外部パートナーのトラックへ積替えを行っても問題ありません。さらに「なんつい」は携帯電話ネットワーク(3G)を通じ、取得したデータをクラウド環境に転送する仕組みのため、温度データや位置情報の一括管理という目標も達成できました。

なんついの詳細はこちら

IoTで倉庫への不正侵入を監視した事例

埼玉県草加市で倉庫業を展開するお客様の事例では、突発的な案件で倉庫が使えず、急遽代わりの倉庫スペースを確保したため、不正侵入を防ぐ警備システムが存在しないという課題がありました。

そこで、ユーピーアールのIoTパッケージ「なんモニ」を活用し、できるかぎり短納期でのIoT導入を目指しました。課題解決策として、倉庫スペースの非常ドアと搬入用ドアの2箇所に磁石センサーを設置し、不正侵入を検知した場合、警備担当者へアラートを送信するシンプルなシステム構成を提案しました。

結果として、希望の納期で迅速にソリューションを提供でき、導入コストも最小限に抑えることができました。

事例の詳細はこちら

IoTでカーゴ台車の紛失を防止した事例

食品メーカー系の物流会社様の事例では、商品発送の際にたびたびカーゴ台車が紛失し、レンタル会社への紛失料の支払いが発生していました。そこで、ユーピーアールのIoTパッケージ「なんつい」を導入し、カーゴ台車の位置情報を取得するシステムを構築しました。

GPS端末を通じて、カーゴ台車の位置をリアルタイムにモニタリングできるようになったため、カーゴ台車の滞留状況や回収状況を担当者が把握し、紛失防止につながりました。レンタル会社への紛失料の支払いが減少し、大幅なコストカットを実現できました。

事例の詳細はこちら

まとめ

物流業界では、輸送中の温度管理や、在庫管理の効率化、配車計画の最適化などを目的として、IoTの導入に向けた取り組みがスタートしています。物流とIoTを組み合わせ、スマートロジスティクスを実現することで、輸送サービスをさらに向上し、顧客満足度を高めることが可能です。

また、食品輸送におけるHACCP対応や、医薬品輸送におけるGDPを進めるうえでもIoTの導入は欠かせません。IoTの導入にあたっては、新たにIoTユーザーとなる従業員の理解を得るため、あらかじめ研修や講習会の実施を行っておくとスムーズです。また、近年IoTデバイスを対照としたサイバー攻撃が増加している点を踏まえて、センサーやネットワークへのセキュリティ対策の強化も検討しましょう。

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