フォークリフトとは

フォークリフトとは、トラックやトラックからの荷下ろし、積み込み、収納、さらには荷物の運搬まで幅広く用いられる産業車両です。優れた荷役機能と小回りの利く旋回性能を兼ね備えており、工場や倉庫内で広く利用される代表的な荷役・搬送機器のことです。

フォークリフトの特長

フォークリフトは、日本工業規格(JIS)によると「動力を用いてフォーク等を昇降させるマスト(柱)を備えた荷役運搬機械」と定義されています。運搬時には、車体前方にある2本のツメ(フォーク)を貨物の下部やパレットに差し込み、動力で持ち上げます。機種により性能は異なりますが、数百kgから数tの貨物を持ち上げたまま走行でき、大量の重量物を効率的に移動させることで作業時間の大幅な短縮が可能です。さらに、マストを伸ばしてフォークを上昇させることで、車体高を超える位置への貨物の積み上げや収納も行えます。

フォークリフトの種類

フォークリフトの種類は、JISの機能形式による分類では、積載物との重量バランスを取るため、車体後方にカウンターウェイトを設けた「カウンタバランスフォークリフト」、停車状態でマストまたはフォーク部が前後に移動できる「リーチフォークリフト」、車体前方に張り出したリーチレグで車体の安定性を保てる「ストラドルフォークリフト」、フォークおよびマストを車体側方に備え長尺物の運搬に適している「サイドフォークリフト」、荷役装置部と共に運転手を載せた運転台も移動し、ピッキング作業向けの「オーダピッキングトラック」等、多くのバリエーションがあります。

また、動力源形式による分類では、いわゆるエンジンを搭載する①内燃機関(エンジン)式と、電気モーターで駆動する②蓄電池(バッテリー)式に分けられ、内燃機関式は燃料種別によって、ガソリン式、ディーゼル式、液化石油ガス式等にさらに細分化されます。

内燃機関式のフォークリフトは、高負荷の重作業にも対応可能であり、燃料を補給すれば長時間の連続稼働が可能という点がメリットです。しかし、エンジンの騒音と排ガスの発生により、密閉空間の倉庫内作業には適していません。

一方、蓄電池式のフォークリフトは、排ガスを出さないため屋内・屋外を問わず作業可能で作動音も比較的静かという特長があります。しかし、電池残量が減ると稼働できなくなり充電に時間を要する点が課題です。加えて、高負荷の作業には適さないため、使用環境や作業内容に応じた選定が重要です。

今後のフォークリフトについて

倉庫等の閉鎖環境内でフォークリフトを業務として操作する場合、最大積載荷重に応じて「フォークリフト運転特別教育」、「フォークリフト運転技能講習」等の受講・修了が義務付けられています。さらに、公道を走行するためには、道路交通法に基づき、車体寸法や最高速度の区分に応じた特殊自動車の運転免許が必要とです。

また、近年ではオペレーター不在でステアリング、走行、リフト操作を自動で行う無人フォークリフトが注目を集めています。加えて、蓄電池に代わり、水素と酸素の化学反応で発電するFCスタックを搭載した燃料電池フォークリフトも登場しており、環境負荷の低減や作業効率の向上が期待されています。

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