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【HACCP作成手順】フローダイアグラムの作製方法や、確認方法について解説

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フローの構築

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簡単にHACCP対応

2018年6月の食品衛生法改正により、食品等事業者はHACCPに則った衛生管理を実施することが義務づけられました。

HACCPを導入するには、原料の受け入れから出荷までの流れを可視化するフローダイアグラムを作製し、それを現場で実際に確認する体制を整える必要があります。

そこで今回は、HACCP導入の手順として、フローダイアグラムの作製方法や確認方法、フローダイアグラムをより良くするためのポイントについて解説します。

出典:厚生労働省「食品衛生法の改正について」(令和6年10月1日利用)
 

HACCPとは

HACCPとは、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程において、特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理手法のことです。

食品を取り扱う事業では、食中毒菌による汚染や異物混入といった危害要因のリスクが少なからず伴い、場合によっては消費者の健康を害するおそれがあります。

食品等事業者はそうした危害要因を正確に把握した上で、少しでもリスクを低減させるための取り組みに注力しなければなりません。

国連食糧農業機関(FAO)と、世界保健機構(WHO)の合同期間である食品規格(コーデックス)委員会は、HACCPに取り組むための食品衛生の一般原則を発表し、その採用を世界的に推奨しています。

これまでHACCPの導入は事業者の意向に委ねられていましたが、改正食品衛生法により、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理に取り組むことが義務づけられています。

出典:厚生労働省「HACCP(ハサップ)」(令和6年10月1日利用)

HACCPに関する詳細な説明は、以下のリンクも参考にしてください。

参考記事:HACCP導入の7原則12手順とは?プランの作成方法を具体例を用いて解説

 

フローダイアグラムとは?

フローダイアグラムとは、原材料の入荷から製品の出荷に至るまでの流れを可視化した製造工程一覧図のことです。

製造の流れを工程ごとに書き出すことで、製造工程の順序や工程間の相互関係、外部に委託しているプロセス、再利用可能な材料や製品、そして廃棄物の処理等の情報を正確に把握できるようになります。

 

フローダイアグラムの作製手順

1.原材料や添加物、包材等をピックアップし、横軸に記入する

製造工程で利用する原材料や添加物、包材をピックアップし、それらをエクセルの横軸に記載します。

基本的には原材料ごとに記入しますが、取り

扱う原材料が多い場合、エクセルの表自体が大きくなりすぎて見づらくなる可能性があります。

その場合、工程が同じものを集約して「生食用」「冷凍調理用」等のカテゴリで大別し、内訳はかっこ書きで補足する方法も有効です。

また、原材料が少ない場合でも、処理工程や保存工程が重複するものをいくつも羅列すると、フローダイアグラムの利便性が損なわれます。そのため、適度に整理しながら記入することをおすすめします。

2.すべての工程・作業を箇条書きにする

原材料の入荷から製品の出荷に至るまでのすべての工程を縦軸に記載します。

業種によって工程や作業内容は異なりますが、主な工程は以下の通りです。

  • 原材料の受入
  • 保管
  • 下処理
  • 調理・加工
  • 盛り付け
  • 包装
  • 出荷

原材料の受入や保管については、すべての原材料や包材に該当しますが、それ以外の工程は原材料の取り扱い方法によって異なります。

そのため、自社で取り扱っている原材料や包材をもとに、工程を箇条書きにしてからセルを埋めていきましょう。

なお、フローダイアグラムはマニュアルではないため、工程を細かく記載する必要はありません。

例えば「下処理」に関しては、「三枚におろす」「骨を除去する」といった詳細な工程まで記載しなくても問題ないのです。

逆に、工程ごとに詳細を記載しすぎるとフローダイアグラムが複雑になり、表全体が見づらくなるため、必要最低限の工程をシンプルに記載することを意識しましょう。

3.製造工程の流れを矢印で繋ぐ

製造工程の流れに沿って、矢印で工程を繋いでいきます。

矢印はセルをまたいで繋がるため、交錯するときは矢印が重なって見づらくならないよう、レイアウトを調整することが必要です。

原材料や工程が多い場合は、矢印の線をできるだけ細くすると、矢印の重なりを防げるだけではなく、表全体が大きくなることも防止できます。

もし矢印が交錯して見づらくなった場合は、基本となる工程の流れを一番左に配置すると、矢印の方向が下と左に集約され、見やすくなります。

4.装置・管理基準を記入する

各工程で用いる装置・道具やデバイスについても、可能な範囲で記載が必要です。

例えば、原材料原材料の殺菌工程で消毒剤を用いる場合は、「次亜塩素酸ナトリウム」「200ppm」等の情報を記載します。

また、管理基準が決まっている工程についても、補足として情報の記載が必要です。

例えば、加熱が必要な原材料の場合、「塩ゆで加熱」「再沸騰後5分以上」「中心温度75度で1分以上」等を記載します。

なお、保管方法については原材料ごとに分けている場合を除き、一番左のセルに「冷凍-15度以下」「冷蔵10度以下」等とまとめて記載しておくことで、項目ごとに情報を補足する手間を省くことが可能です。

5.工程ごとに番号を振る

最後に、各工程に番号を振ります。番号を振る目的は、万一問題が発生した場合、番号ごとに確認し危害要因を分析するためです。

そのため、番号は原則として横軸の一列目から、左→右の順に振っていきます。

また、この後、フローダイアグラムを現場で確認し、見直す作業が行われますが、抜けている工程があった場合は、表に追加することになります。

その際、既存の番号を振り直す必要があるため、フローダイアグラムを見直した際は1から順に番号の並びが正しいか確認しましょう。

 

フローダイアグラムをより良くするためのポイント

施設図面や動線図の作製

フローダイアグラムに加え施設の図面を作製しておくと、衛生管理のクオリティを高めることが可能です。

施設図面は、衛生管理の目的に応じて、清潔区域・準清潔区域・汚染区域の3つに区分します。

清潔区域は、加熱後の製品を取り扱う特に重要な場所であり、病原微生物の汚染を徹底して防ぐことが必要です。

準清潔区域は、計量や加工・調理、金属探知機での検査等の工程を行う場所で、病原微生物による汚染をコントロールすることが求められます。

汚染区域は、原材料の受入や保管、下処理、梱包等の工程を行う場所で、ほかの2つの区域に比べると、病原微生物への衛生管理の重要性はやや低くなります。

このように、同じ施設内でも衛生管理の重要性に基づいて区域分けしておくことで、管理効率を向上させることに期待できます。

また、より厳しい衛生管理が必要な製品を取り扱う場合は、人や物、空気の流れを把握できる動線図も作製しておくと、さらなる管理強化につながります。

詳細な衛生管理情報の記載

フローダイアグラムは表の見やすさも重視するため、詳細な情報はあまり記載できません。

そのため、フローダイアグラムとは別に、加熱・冷却の温度や時間、pH値、作業の手順等、詳細な情報は別途まとめておくことがおすすめです。

工程ごとに詳細な情報を記載しておくと、危害要因を分析する際に貴重な資料として活用できます。

フローダイアグラムとは異なり、詳細な衛生管理情報の記載方法や書式に決まったルールがないため、見やすさや手直しのしやすさを考慮して、ニーズに合った形式で作成しましょう。

情報を羅列する場合は、フローダイアグラムに振った番号順に記載していくと、情報の照会がスムーズになります。

 

フローダイアグラムを現場で確認

フローダイアグラムを作製したら、実際の製造現場に持ち込み、手順や流れに食い違いが生じていないか確認します。

以下では、フローダイアグラムを現場で確認する際の主な内容をまとめました。

製造工程の確認

製造工程に抜けがないか、ほかの工程との繋がりに間違いがないか等を確認します。

工程を熟知しているつもりでも、机上でまとめた場合と現場で実際に確認した場合では、意外な抜けや漏れが発生しやすくなります。一つひとつ丁寧にチェックすることが重要です。

製造の諸条件の確認

加熱や冷却の温度・時間、利用する機械・器具等、製造に関連する諸条件を確認します。

特に温度や時間といった数値情報は、誤入力や思い違いが発生しやすいため、注意深くチェックしましょう。

想定される不具合の確認

不具合や問題はどの工程でも発生する可能性があるため、各工程ごとのリスクを確認していきます。

あらかじめ想定される不具合をチェックしておくことで、実際に問題が発生した際に原因を特定しやすくなり、速やかな対応が可能です。

一般衛生管理上の注意点を確認する

製造工程で利用する設備やデバイス、環境等で、注意すべき点がないか確認します。

例えば、設備機器の特定部分に汚れがたまりやすい、配管に結露が発生しやすい等、気になる部分があれば逐一チェックし、必要に応じて情報を書き留めておきましょう。

最新の作業状態が反映されているか確認する

現場では、作業の効率化や衛生管理の向上等を目的に、工程が見直されることがあります。

一度チェックして終わりにするのではなく、定期的に工程を確認し、フローダイアグラムに常に最新の作業状態が反映されているかを確認しましょう。

 

まとめ

食品衛生法改正により、食品等事業者はHACCP導入が義務化されました。

特に、フローダイアグラムの作製・確認はHACCP導入における重要な工程の1つです。ポイントを押さえ、有用性の高いフローダイアグラムを作製しましょう。

さらに、施設図面や動線図の作製、詳細な衛生管理情報の記載等をあわせて行うことで、より効果的な衛生管理を実現できます。

完成したフローダイアグラムは必ず現場で確認し、実際の状況と食い違いがないかをチェックすることを忘れないようにしましょう。

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