HACCP義務化の罰則について | 物流機器・輸送機器のレンタル | upr

HACCAP義務化の対象は?違反した場合の罰則は?導入ステップも解説!

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違反

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簡単にHACCP対応


 

HACCPってなに?

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)とは、食品の製造工程に潜む危害要因(ハザード)に注目し、重点的な管理を行うことで食品事故のリスクをとりのぞく衛生管理の手法を指します。厚生労働省のホームページでは、HACCPを次のように定義しています。[注1]

HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。

つまり、危害要因の分析(HA:Hazard Analysis)と重点的な管理(CCP:Critical Control Point)の2つの要素で成り立っているのがHACCPです。HACCPと従来の衛生管理の手法の違いは、最終製品の出荷前だけでなく、食品製造の全行程にわたって危害要因を分析し、とりのぞく点にあります。

従来方式では、主に最終製品のサンプルを抽出し、抜き取り検査を行うのが一般的でした。しかし、抜き取り検査には「品質不良や異物混入の見逃しが起きる」「原因究明に時間がかかる」という欠点があります。

HACCPに沿った衛生管理を導入すれば、品質不良や異物混入のリスクが高い製造工程を特定し、重点的な衛生管理を行うため、食品事故が起きづらくなります。万が一食品事故が発生した場合でも、どの製造工程に品質不良や異物混入のリスクがあるかが事前にわかっているため、すみやかに原因究明を行うことが可能です。

 

HACCP義務化はいつから?

HACCPとは、原材料の入荷から製品の出荷までの全行程の危害要因(ハザード)を分析し、重点的に管理を行う衛生管理手法です。日本でもアメリカやカナダに続き、HACCPに基づく衛生管理を義務化する動きが始まっています。

HACCPは2021年6月に完全義務化

2018年6月に食品衛生法が改正され、日本でもHACCPの義務化がついにスタートしました。HACCPの義務化は2020年6月からでしたが、1年間の猶予期間が設けられ、2021年6月に完全義務化となりました。

 

HACCP義務化の対象は誰?

改正食品衛生法では、HACCP義務化の対象は「すべての食品等事業者」となっています。ただし、事業規模によっては早急なHACCP対応が難しいことから、厚生労働省は食品等事業者を2つに分け、HACCP対応の範囲を決めています。

  事業規模 義務化対象
一般事業者 従業員数が50名以上 HACCPに基づく衛生管理
小規模事業者 従業員数が50名未満
※一般衛生管理の範囲で対応可能な業種
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

一般事業者向けと小規模事業向け

一般事業者と小規模事業者ではHACCPへの対応範囲が異なります。一般事業者の場合、従業員数が少ない小規模事業者よりも厳格な衛生管理体制を構築することが求められます。

一方、小規模事業者の場合は一般的な衛生管理に取り組みながら、各業界団体の手引書などを参考として、より簡略化されたアプローチでHACCPに沿った衛生管理を実施することが認められます。一般事業者と小規模事業者の対応内容の違いは下記の通りです。[注1]

一般事業者 旧基準A(HACCPに基づく衛生管理)
コーデックスのHACCP7原則に基づき、食品等事業者自らが、使用する原材料
や製造方法等に応じ、計画を作成し、管理を行う
旧基準B(HACCPの考えを取り入れた衛生管理) 小規模事業者
各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行う

旧基準A(HACCPに基づく衛生管理)の対象事業者

大規模工場
旧基準A(HACCPに基づく衛生管理)の対象事業者は、コーデックス委員会が定めたHACCP7原則を遵守し、より厳格なHACCP対応を行う必要があります。前述の通り、HACCPに基づく衛生管理の対象事業者は、従業員数が50名を超える一般事業者です。

しかし、食品衛生上のリスクの大きさを考慮し、と畜場や食鳥処理場などの事業者もHACCPに基づく衛生管理の対象となっています。[注1]

  • ◯大規模事業者(一般事業者)
  • ◯と畜場(と畜場設置者、と畜場管理者、と畜業者)
  • ◯食鳥処理場(食鳥処理業者)
    ※認定小規模食鳥処理業者をのぞく

 

旧基準B(HACCPの考えを取り入れた衛生管理)の対象事業者

厳格なHACCP対応が求められる旧基準Bの対象事業者に対し、より簡略化されたアプローチが認められるのが旧基準B(HACCPの考えを取り入れた衛生管理)の対象事業者です。前述の通り、旧基準Bの対象事業者は従業員50名未満の小規模事業者です。そのほかにも、取り扱う食品によっては、旧基準Bの対象事業者に分類される場合があります。[注1]

  • ◯小規模事業者
  • ◯食品の製造・加工施設に併設または隣接され、食品の小売販売を行う事業者(菓子の製造販売、豆腐の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売)
  • ◯飲食店営業や喫茶店営業など、食品の調理や提供を行う事業者(そうざい製造業、パン製造業、学校・病院等の営業以外の集団給食施設、調理機能を有する自動販売機)
  • ◯容器包装された食品の貯蔵や運搬、販売を行う事業者
  • ◯食品を分割して容器包装し、小売販売を行う事業者(八百屋、米屋、コーヒーの量り売り)

 

HACCP対応が不要な事業者

一方、食品衛生上のリスクが少ない業種の場合、旧基準A(HACCPに基づく衛生管理)、旧基準B(HACCPの考えを取り入れた衛生管理)のいずれも対応する必要がありません。

具体的には、食品衛生法に基づく営業届出や、衛生管理記録や手順書を作成・保存する義務が免除されます。HACCP対応が原則として不要な事業者は次の通りです。[注1]

  • ◯食品または添加物を輸入する事業者
  • ◯食品または添加物の貯蔵や運搬を行う事業者
  • ◯常温での長期保存が可能で、食品衛生上のリスクが小さい包装食品を販売する事業者
  • ◯合成樹脂以外の器具容器包装を製造する事業者
  • ◯器具容器包装の輸入や販売を行う事業者
  • ◯1回の提供食数が20食を下回る給食施設

 

ただし、合成樹脂以外の器具容器包装を製造する事業者については、衛生管理記録や手順書の作成・保存が必要です。

 

HACCP導入違反による罰則は?

前述の通り、令和3年(2021年)6月1日から改正食品衛生法の完全施行となりました。完全施行=義務化ととらえた場合に義務を履行しなかった場合、HACCP義務化に従わなかった場合はどうなるのでしょうか?罰則規定などあるのでしょうか?考えてみましょう。
一般的にHACCPと言われる改正食品衛生法に罰則が明確に記載されてはいませんが、以下のような条文が含まれております。

【改正後の食品衛生法(器具容器包装部分の抜粋)第50条の3(第52条)※新設】
「都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第1項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。」[注2]

つまり、義務化に従わない場合都道府県の判断によって罰則規定を条例として定められるということです。そのため、条例で定めることができる罰則の上限である「2年以内の懲役、100万円以下の罰金」という罰則、もしくは自治体で発行されるような営業許可証を更新しない、などといった罰則が定められる可能性があります。

まず最初は口頭や書面での指導・改善要望となるとは思いますものの、しっかり対策しておいた方がよいでしょう。

食品衛生法に違反

現行の食品衛生法には、HACCPに沿った衛生管理へ対応しなかったこと自体への罰則は定められていません。しかし、HACCPを始めとした衛生管理体制が不十分な場合、食品衛生法第71条(改正後第81条)の規定により、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

具体的には、食品事業者が次のような違反を行った場合です。

  • ◯人の健康を害する食品または添加物や、法令によって承認されていない添加物を使用した場合
  • ◯厚生労働省等が販売を禁止した食品を販売した場合
  • ◯厚生労働省等の命令に反し、人の健康を害する食品または添加物を廃棄しなかった場合
  • ◯厚生労働省等の禁止命令を守らずに営業をつづけた場合

 

都道府県が定めるルールに違反

前述の通り、食品衛生法では地方自治体が独自にルールを定め、2年以内の懲役または100万円以下の罰金の罰則を科すことができます。また、地方自治体のルールに違反すれば、営業停止処分を始めとした行政処分がくだされる可能性があります。

そのため、HACCPに対応する過程で、食品衛生法上のルールだけでなく、都道府県が定めるルールをしっかりと確認することが大切です。事業所のある自治体や所轄の保健所のホームページを定期的にチェックしましょう。

 

HACCP違反をした場合のリスク

ずさんな管理
もし食品事業者側がHACCPのルールを守らなかった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。想定される2つのリスクを解説します。

企業の対外的なイメージが低下する

HACCPを遵守し、HACCPに基づく衛生管理を行っていると対外的にアピールすれば、企業イメージアップにつながります。しかし、「HACCPの仕組みを導入していない」「HACCPに違反し、行政指導を受けた」という事実が取引先や消費者に知られた場合、食品衛生に対する意識が低い企業だとみなされる可能性があります。

また、HACCPを遵守せず、ずさんな衛生管理を行っていれば、異物混入や食中毒などの食品事故が起きる可能性も高まります。取引先との信頼関係や、一般消費者のブランドイメージを守るうえでもHACCP対応は欠かせません。

海外企業との取引が難しくなる可能性がある

また、HACCPに基づく衛生管理を導入していない場合、今後海外企業との取引が難しくなる可能性もあります。

海外の食品事業者は、日本に先駆けてHACCPの仕組みを導入し、食に対する安全を強化してきました。たとえば、米国は1997年の段階で、食肉や水産食品などの一部取引にHACCPに基づく衛生管理を義務付けています。EUでは、2006年に一次生産をのぞく全ての食品事業者に対し、HACCP対応が完全義務化されました。

もし、HACCPの仕組みを導入していなかったり、HACCP違反の事実が公表されたりした場合、HACCPへの先進的な取り組みを行う海外企業からの輸出入が困難になり、事業が立ち行かなくなる恐れがあります。こうしたリスクを避けるためにも、HACCP義務化への対応が必要です。

 

HACCPを導入した場合のメリット

HACCPを導入した場合のメリットとして、次の6点が挙げられます。

  • 1.HACCPの導入をきっかけとして、管理者や従業員の衛生管理についての意識向上が期待できる
  • 2.HACCPを導入し、衛生管理を計画的に行うことで、生産効率の改善が期待できる
  • 3.食品事故のリスクを減らし、消費者からのクレームが減少する
  • 4.万が一食品事故が発生した場合も、すみやかに原因究明できるようになる
  • 5.HACCPへの対応を起点として、自社の製造工程の安全性を対外的にPRできる
  • 6.取引先からの信頼を得られ、販路拡大につながる可能性がある

 

HACCPの導入ステップ

段階を進める
HACCPに基づく衛生管理をどのような流れで導入すべきでしょうか。HACCP導入については、「HACCP導入のための7原則12手順(7原則12手順)」と呼ばれるガイドラインが存在し、導入企業はこれに沿って対応を進めています。

日本食品衛生協会のホームページより、7原則12手順を抜粋します。

手順1 HACCPのチーム編成
手順2 製品説明書の作成
手順3 意図する用途及び対象となる消費者の確認
手順4 製造工程一覧図の作成
手順5 製造工程一覧図の現場確認
手順6【原則1】 危害要因分析の実施(ハザード)
手順7【原則2】 重要管理点(CCP)の決定
手順8【原則3】 管理基準(CL)の設定
手順9【原則4】 モニタリング方法の設定
手順10【原則5】 改善措置の設定
手順11【原則6】 検証方法の設定
手順12【原則7】 記録と保存方法の設定

[注3]

この7原則12手順について、「HACCPの事前準備(手順1~5)」「HACCPの導入方法(手順6~12)」の2つの項目に分けて解説します。

HACCPの事前準備(手順1~5)

手順1~5では、HACCP導入にあたっての事前準備の流れが示されています。このプロセスでは、HACCP導入を担当するHACCPチームの編成や、HACCPの対象となる食品の製品説明書の作成を実施します。

また、重要なのが「製造工程一覧図(フローダイアグラム)」の作成です。製造工程一覧図では、原料の入荷から食品の製造までの全工程をフローチャート化し、現場検証によって確認します。

手順6~12では、ここで作成した製品説明書や製造工程一覧図を参照します。

HACCPの導入方法(手順6~12)

手順6~12のプロセスは、HACCPの7原則とも呼ばれ、HACCPに基づく衛生管理を実現するうえで非常に重要です。

ポイントとなるのが、「重要管理点(CCP)の決定」「管理基準(CL)の決定」の2つのプロセスです。重要管理点(CCP)とは、手順4~5で確認した製造工程のうち、食に及ぼす危害要因(ハザード)が大きく、とくに衛生管理の重要度が高いものを表します。

管理基準(CL)は、重要管理点に設定した製造工程から、危害要因を取り除くために必要な基準のことです。たとえば、食品の温度や調理時間のように、客観的かつ科学的に検証できる基準のことを管理基準と呼びます。

重要管理点と管理基準の2点が決まったら、各製造工程が管理基準を遵守しているか確認するため、モニタリング方法を設定します。また、もし管理基準を逸脱した場合の改善措置や、衛生管理に関する記録をとり、保存するための方法も決める必要があります。

 

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まとめ

2018年6月に食品衛生法が改正され、日本でも「すべての食品等事業者」に対し、HACCP対応が義務化されました。

HACCPについて定めた食品衛生法では、事業者がHACCPを遵守しない場合、都道府県の判断で罰則を設けられると定めています。今後、罰金刑や懲役刑、営業許可証の停止など、具体的な罰則が定められる可能性もあります。

また、HACCPの仕組みを導入していない場合、取引先や消費者へのイメージダウンや、海外企業との取引への影響といったリスクもあるため、早急にHACCP対応を進めることが大切です。HACCP導入の際は、「HACCP導入のための7原則12手順」と呼ばれるガイドラインを参考にしましょう。

[注1]厚生労働省:HACCP(ハサップ)
[注2]厚生労働省:食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会(改正食品衛生法について)[pdf]
[注3]日本食品衛生協会:HACCP(HACCP導入のための7原則12手順)

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