ICTとは?通信技術を活用したコミュニケーションICTの特徴とIoTとITの違いを解説
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近年よく耳にするようになったICTは、総務省も利活用を推進している情報通信技術です。今回は、ICTの意味とICT、IoT、ITそれぞれの違いやICTの具体的な活用法ついて紹介します。
ICTとは通信技術を利用したコミュニケーション
ICTとは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、通信技術を活用した情報のやり取りやコミュニケーションを意味します。ICTを活用したシステムやサービスの普及により、社会インフラとして新たなイノベーションが生まれることが期待されています。
ICTとIoT・ITの違いと特長
ICTと似た言葉に「IoT」や「IT」があります。これら3つは似た響きですが、それぞれ異なる特長と意味を持っています。
IoTは「モノとインターネット」を意味する
IoTとは「Internet of Things」の略で、日本語では「モノとインターネット」という意味です。このIoTという考え方は、90年代から提唱されてきた「ユビキタス」という概念に由来します。ユビキタスでは、誰もがモノを通じて誰もがインターネットにアクセスすることを目指していましたが、IoTはさらに一歩進み、モノ同士が自律的にデータをやり取りすることを重視しています。
IoTの代表例としてスマート家電があり、遠隔操作やSNSを通じて電気のオンオフやセンサー管理が可能です。
「情報技術」を意味するITはICTとほぼ同義
ICT、IoTに比べ、日本で普及している言葉がITです。ITは「情報技術」を意味し、コンピューターやインターネット等を総称しています。
ITとICTはほぼ同義ですが、ITが情報技術そのものを指すのに対し、ICTは情報を伝達・活用する方法も含む広い概念です。
日本国内では、2000年に「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法)が成立し、インターネットの急速な普及も相まって、「IT」という言葉が情報通信技術を指す一般的な用語として広まりました。「IT化」や「IT革命」等の表現にも多用され、特に「IT革命」は2000年の流行語大賞にも選ばれています。こうして「IT」は日本で市民権を得て、情報通信技術の普及いわゆる「IT化」が進みました。
一方、海外では「IT」の代わりに「ICT」という言葉が一般的に用いられています。
様々な場面で活用されるICTの活用事例
ICTを導入することで、ビジネスにおいて企業に様々なメリットがもたらされます。そのため、ICTは様々な場面で活用されているのです。
教育現場で活用されるICT
ICTは教育現場でも活用されています。文部科学省が発表した「令和5年度 学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」※によると、児童生徒1人あたりの学習者用コンピューター台数は1.1台でした。また、普通教室の通信環境やインターネット接続状況等のICT環境の整備も進んでいます。
ICT環境が整備されたことで、授業がよりわかりやすくなっただけでなく、教師が授業資料を簡単に作成できるようになり、生徒情報の管理も効率化されています。
出典:文部科学省「令和5年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要) (令和6年3月1日現在)」(令和6年11月7日利用)
高齢者のケアとしての活用
慢性的な人手不足に悩む介護業界でも、ICTが活用されています。例えば、インターネットを通じて離れた場所にいる高齢者に不測の事態が発生していないかを確認するサービスです。このサービスは、1人暮らしの高齢者の安否確認にも役立っており、高齢化が進む日本に適したものといえます。
防災にも活用されるICT
災害が多い日本では、防災意識の強化や災害時の対策が求められています。 東日本大震災が発生した2011年、スマートフォンの普及率は29.3%でしたが、2019年には83.4%に達し、8割を超えました。スマートフォンの普及に伴い、モバイル機器によるインターネット利用が欠かせないものとなり、情報収集や伝達において重要な役割を果たしています。
実際、東日本大震災ではテレビやラジオで得にくかった地域情報を、X(旧Twitter)等のSNSが補完し、情報の取得・伝達に大きく貢献しました。SNSの普及により、災害時でも住民が地域情報を容易に取得・伝達できるようになり、発信された情報は被害状況の把握や救助活動にも活用されています。これにより、災害時におけるICTの活用の実態が明確になっています。
出典:総務省「令和3年版情報通信白書 第1部 補論 防災・減災とICT」(令和6年11月7日利用)
参考:【飲食店の抱える課題をIoTで解決!IoT活用事例6選】
飲食店におけるIoT活用事例については、以下の記事をご参照ください。
参考記事:飲食店の抱える課題をIoTで解決!IoT活用事例6選
ICTの今後の動向について
通信技術の発達によりリモートワークが一般的に認知され、今後ますますグローバル化やリモート化が進むと予想されます。
そのような状況の中で、ICT技術の中でも特に「遠隔監視」や「遠隔操作」等、現場に毎回人を派遣する必要がなくなるサービスが、リモートワークと同じモチベーションから注目を集めるでしょう。
また、2020年からの感染症拡大を受け、衛生管理や品質管理は消費者からさらに関心を集める分野になっていくと考えられます。
参考記事:飲食店向け 簡単HACCP対応パッケージ UPR HACCP
参考記事:温度と湿度を計測・管理する IoT遠隔監視ソリューション みえーるど
スマートフォンやスマートウォッチ等のウェアラブル製品をはじめ、複数のIoTデバイスを持つ人も珍しくなくなりました。さらに、車や産業機器、医療器にもIoTデバイスの利用が広がり、サブスクリプション型の配信サービス等通信を前提としたサービスも普及しています。こうして、人々が日常的に利用するデバイスやコンテンツが次々とICTサービス化しているのです。
しかし、日本は米国や英国に比べてICTの導入が遅れており、政府もICTの導入を推進しています。
そのため、PCやスマートフォン、事務機器・産業機機器といった身の回りの設備のICT化は、それぞれの現場でも急務といえるでしょう。今後はICTを利用できる体制を整えた企業が有利になる状況も十分に考えられます。
まずはICTの正しい知識を集め、身近なところからICT化を進めてみるのがよいのではないでしょうか?
政府がすすめるICT
政府や行政機関の中でも、特にICTの利活用に積極的なのが総務省です。
2014年には「ICT地域活性化大賞」を設け、地方創生や働き方改革、少子高齢化対策等、幅広い分野でICTの利活用を推進しています。ここでは、ICTの普及を促進するために総務省が近年取り組んできた活用事例を5つ紹介します。
「ふるさとテレワーク」で地方創生と働き方改革の両立
総務省は、近年の働き方改革の流れを受け、「テレワーク総合情報サイト Telework Net」の立ち上げ等、テレワークの普及促進に向けて取り組んできました。
テレワ―クの実施には、本社とは別のサテライトオフィスや、PC・インターネット・コミュニケーションツール等のICT環境の整備が必要です。
総務省は「ふるさとテレワーク」を提唱し、地方で都市部の仕事を行う環境を整えるため、テレワーク環境の整備費用の一部を補助する事業も行っています。これは、地方創生と働き方改革の両立を図り、地方で新たな雇用と人の流れを生み出すことを目的としています。
出典:総務省「総務省におけるテレワーク推進の取組 」(令和6年11月7日利用)
ICTを活用した環境にやさしいまちづくりを推進
総務省は、環境にやさしいまちづくりの推進のため、2010年(平成22年度)に全国6箇所で地域実証を行いました。そのポイントとなるのが、最先端のICTの活用です。
例えば、愛媛県松山市の実証実験では、電気・ガス・水道等のエネルギー資源の流れを「見える化」し、最適化する「スマートグリッド」の検証を行いました。また、青森県六ヶ所村の実証実験では、各家庭に設置したセンサーを活用し、地域の電力需要を予測するシミュレーションを実施し、資源やエネルギーのムダを減らすためにICTを積極的に活用しています。
出典:総務省「ICTによる環境にやさしいまちづくり」(令和6年11月7日利用)
ICTの導入に取り組む中小企業やベンチャーの支援
総務省は、国内企業のICTの普及促進のため、中小企業やベンチャー、スタートアップを対象に様々な支援事業を行ってきました。
例えば、「全国アクセラレータプログラム」では、地方発のICTスタートアップを創出し、地域課題の解決や経済の活性化を目指しています。このプログラムでは、ICTを活用した事業に挑戦する次世代のICT人材の発掘・育成や、地域発のICTスタートアップの事業拡大をサポートしています。
出典:総務省「地域発ICTスタートアップ創出に向けた全国アクセラレータ・プログラムを実施」(令和6年11月7日利用)
地方自治体向けの「Lアラート(災害情報共有システム)」の普及促進
「Lアラート(災害情報共有システム)」は、地方自治体やライフライン事業者が災害発生時に地域住民へ迅速に情報を提供するためのICT基盤です。川崎市や真岡市等、多くの自治体がLアラートのAPIを活用して防災アプリを開発しています。※
総務省が普及促進するLアラートは、2019年(令和元年)に全都道府県での運用が開始されました。災害情報の配信や避難勧告・指示、避難場所の案内等をワンストップで行う災害情報インフラとして機能しています。今後も、ハザードマップを活用した視覚的な災害情報提供等、Lアラートの機能改善に向けて総務省が取り組みを進めています。
出典:総務省「Lアラート情報を活用した防災アプリ一覧」(令和6年11月12日利用)
パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)の普及促進
パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)とは、患者の医療データ、介護データ、健康データを総称したものです。PHRを患者のマイナンバー等と紐付け、本人の同意のもとでPHR事業者が活用できるようにすることで、医療機関同士の連携強化や、ヘルスケアサービスの付加価値向上が期待されています。
総務省はPHRの普及促進に向けて、様々な取り組みを進めてきました。例えば、日本医療研究開発機構(AMED)と協力し、PHRに関する研究開発を実施しています。令和2年度から令和4年度には「認知症対応型AI・IoTシステム研究推進事業」に、令和5年度から令和6年度には「医療高度化に資するPHRデータ流通基盤構築事業」に取り組んでいます。
出典:総務省「PHRデータ利活用の推進」(令和6年11月12日利用)
デジタル技術の進歩とともにICTもより活用の幅が広がる
デジタル技術は日進月歩で進化しており、それに伴ってICTの可能性と活用の幅も広がり続けています。例えば、働き方改革の一環としてテレワークの導入が進む中、多様化する社会においてICTの活用はますます重要性を増していくでしょう。
ユーピーアールが提案するサービス
ユーピーアールは、IoTをはじめとしたICTを活用し、業務改善や業務効率化に役立つ様々なサービスを提供しています。
ユーピーアールのICTサービスの特長は、短期間でのスモールスタートが可能な点です。ICTの利活用に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。
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