RFIDのコストとは？導入価格を考える上でのポイント、最新の価格動向を紹介

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RFID（Radio Frequency Identification）とは、電子タグを読み取ることで、非接触で個体を識別するためのシステムです。識別情報などを書き込むRFIDタグ、データの読み書きをおこなうRFIDリーダーライター、データを処理するためのソフトウェアなどで構成されています。

RFIDに使われる電子タグには、電力供給が不要なパッシブタグや、内蔵バッテリーを搭載したアクティブタグの2種類があります。

RFIDとは？特徴や導入事例を解説！

RFIDの導入にあたって、どのような機器や端末を用意する必要があるのでしょうか。RFIDの構成要素は「RFIDタグ」「リーダーライター」「ソフトウェア」「周辺機器」の4つです。それぞれの役割やおおまかなコストを表にまとめました。

RFIDタグの購入には1枚あたり約5～10円のコストがかかります。また、RFIDタグへのデータの読み書きを効率化したい場合、RFIDプリンターなどの周辺機器の導入も必要です。RFIDプリンターを導入すれば、ラベルやバーコードの印刷も可能になります。

RFIDの導入というと、「RFIDタグのランニングコストが高い」「リーダーライターやプリンターなどの設備投資の負担が大きい」といったイメージがあります。

しかし、RFIDはコストダウンが進んでおり、汎用タイプのRFIDタグなら1枚あたり約5～10円で購入することが可能です。そもそも、なぜ「RFIDの価格は高い」といったイメージが広がっているのでしょうか。理由は3つあります。

○金属対応タグなど、特殊加工が必要なタグの価格が高額なイメージを作り上げている
○リーダーライターやプリンターなど、一定の設備投資が必要なことが心理的なハードルになっている
○RFIDタグや内蔵バッテリーの交換など、ランニングコストが「もったいない」というイメージにつながっている

RFIDタグはコストダウンが進んでいるものの、金属対応などの特殊タグは1枚あたり約100円～と比較的高額です。また、リーダーライターやプリンターの導入、RFIDタグや内蔵バッテリーの交換など、設備投資とランニングコストの面で出費が必要な点も、RFIDは「高額」というイメージにつながっています。

ただし、汎用タグを使う場合は、バーコードとそれほど変わらない価格でRFIDを運用できます。さらに設備投資とランニングコストについても、人件費やシステム運用費用も含めて総合的に考慮することが大切です。

バーコードを導入する場合と比較して、RFIDの導入コストは比較的高額です。例えば、バーコード（シール印刷）は1枚あたり2～3円で購入できますが、RFIDタグは汎用タイプのものでも1枚あたり5～10円程度のコストがかかります。

しかし、導入コスト以外にも判断基準はいくつかあります。RFIDを導入する場合は、表面的な導入コストだけでなく、ランニングコストも含めたトータルなコストで費用対効果を判断することが大切です。ここでは、RFID導入を考えるときのポイントとして、人件費やシステム運用費用の2点を解説します。

人件費を考える

RFIDの費用対効果を考えるときに大切なのが「人件費」です。RFIDの特徴として、バーコードのようにタグを1つずつ読み込むのではなく、複数のタグを同時に読み取れるという点があります。そのため、RFIDの読み取り作業にかかる時間は、バーコードのおよそ10分の1とされています。

それでは、商品の在庫管理をおこなう場合を想定し、RFIDとバーコードの人件費をシミュレーションしてみましょう。シミュレーションの条件は以下の通りです。

まずはバーコードを用いて在庫管理をおこなう場合、導入費用として50,000点×2円＝10万円のコストが必要です。さらに棚卸作業に100人時の労力がかかるため、2,000円×100人＝20万円の人件費が発生します。

一方、RFIDの導入費用は5満点×5円＝25万円です。棚卸作業はバーコードの10分の1の10人時の労力でこなせるため、人件費は2,000円×10人＝20,000円となります。バーコードとRFIDのトータルコストを比較してみましょう。

このようにRFIDはバーコードより導入コストが高額なものの、人件費も含めたトータルコストでは費用対効果に優れるケースもあります。特に人件費の割合が大きい場合は、バーコードではなくRFIDを導入することでコスト削減につながります。

システムの運用費用を考える

バーコードとRFIDのコストを比較する場合は、システムの運用費用についても目を向ける必要があります。バーコードシステムは、バーコードリーダーやバーコードプリンターなどの最低限の機器だけで構築できます。

また、消費電力もそれほど大きくなく、その他のランニングコストもインク代や印刷用のシール代などに限られます。一方、RFIDの導入には、リーダーライターやプリンター、データ処理用のソフトウェアなど、さまざまな機器やシステムが必要です。RFIDの構成要素を一つずつ洗い出し、システムの運用費用がどの程度か具体的に見積もりましょう。

RFIDタグの価格は低下傾向にある

ICタグの製造技術が発展した結果、RFIDタグの価格は低下傾向にあります。実際にみずほ情報総研株式会社の調査によると、RFIDタグを始めとした電子タグは低価格化しています。

例えば、UHF帯の電子タグの場合、2014年の価格動向はタグが1枚あたり26.8円、インレイ（ICチップ）が1枚あたり8.4円でした。しかし、2018の時点でタグは1枚あたり9.5円、インレイは1枚あたり4.8円まで低価格化しています。[注1]

このようにRFIDタグの価格推移を見ると、以前よりも導入コストが大きく低下したことがわかります。

2025年前後にさらなるタグ価格の下落が予想

さらに今後、RFIDタグの価格はさらに低下することが予測されています。その根拠の一つが、経済産業省が2017年4月にコンビニエンスストア大手と共同で発表した「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」です。

コンビニ電子タグ1000億枚宣言とは、2025年までにコンビニエンスストア5社の商品にRFIDタグなどの電子タグを取り付け、在庫管理やレジ業務を効率化する計画を指します。経済産業省の計画では、RFIDタグの普及に向けて大幅なコストダウンを実現し、1枚あたり1円の水準までRFIDタグを低価格化することを目指しています。

現状の1枚あたり9.5円（タグ）の価格水準と比較するとまだまだ遠い道のりながらも、2025年前後にさらなるタグ価格の下落が予想されます。

[注1]みずほ情報総研株式会社：平成30年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業（RFIDを用いたサプライチェーン高度化に関する調査）調査報告書[pdf]

RFIDの導入には、RFIDタグやリーダーライター、プリンター、周辺機器などの購入が必要です。導入コストだけをみると、1枚あたり5～10円のRFIDタグは、1枚あたり2～3円のバーコードよりも費用負担が大きくなります。

しかし、人件費などのランニングコストも考慮すれば、RFIDのほうがバーコードよりも費用対効果に優れるケースがあります。RFIDタグは年々低価格化し、2017年に政府が「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表するなど、普及に向けた官民連携での取り組みがつづけられています。

RFIDの最新の価格動向を確認し、多角的な視点で導入コストを計算しましょう。

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