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HACCPの衛生管理とは?義務化前にすべきこと

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工場内の衛生管理

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HACCPの衛生管理とは?

「HACCP(ハサップ:Hazard Analysis Critical Control Point)」とは、食品のすべての製造工程で食品事故の原因となる危害要因(ハザード)を取り除き、食の安全を向上させるための衛生管理手法です。国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が共同で設立した「食品規格委員会(コーデックス)」が1993年に発表し、以来世界各国の食品事業者に採用されてきました。

従来の「抜き取り検査」による衛生管理では、抜き取り時の偏りによって偶然正常なサンプルばかり抽出された場合、製造工程の問題点が隠れてしまうという欠点がありました。HACCPに基づく衛生管理は、従来の方法と次の2点で違います。

〇原料→入荷→保管→加熱→冷却→包装→出荷のすべての工程において、「重要管理点(CCP)」を設定し、危害要因(ハザード)のモニタリングを行う
〇「一般衛生管理(PP)」の考え方に基づき、正しい手順で食品衛生管理を行う

つまり、HACCPは完成品ができたあとで検査を行うわけではありません。事前に衛生管理計画を立て、原料→入荷→保管→加熱→冷却→包装→出荷の各製造プロセスの危害要因(ハザード)を分析し、食品の異物混入や食中毒菌の増殖といった食品事故を未然に防ぐ安全衛生管理体制をつくるのが、HACCPの特徴です。

 

HACCPに基づく衛生管理を行うメリット

安全管理

HACCP対応には時間やコストがかかりますし、中小事業者にとっては一定の導入障壁があります。それでは、なぜHACCPを導入しなければならないのでしょうか。HACCPに基づく衛生管理を行うことで、次の5つのメリットが得られます。

〇異物混入(金属片など)や食中毒の発生といった食品事故を減らし、企業や店舗の社会的信用を高められる
〇消費者からの苦情やクレームが減少し、現場の業務負担が軽くなる
〇自治体や業界団体によるHACCP認証を受けることで、食の安全に向けた取り組みを消費者や取引先にアピールできる
〇HACCPに基づく衛生管理を現場に浸透させることで、従業員の衛生管理に対する意識が高まり、組織力が向上する
〇万が一食品事故が発生しても、すみやかに原因となった製造工程を特定し、迅速な対応が可能となる

もし、異物混入や食中毒などの食品事故が発生してしまうと、企業や店舗の信用力が著しく低下します。HACCPに基づく衛生管理によって、製造工程の食品事故を抑制し、社会的信用が低下するリスクを減らすことが可能です。地方自治体や業界団体の「HACCP認証」を取得すれば、食の安全に向けた取り組みを対外的にアピールでき、消費者や取引先からの信用を高めることも可能です。

また、万が一食品事故が発生してしまっても、HACCP体制が整っていれば安心です。衛生管理計画や衛生管理記録を見直すことで、すみやかに原因不明を行い、事後対応につなげられます。「HACCP対応が義務化されたから」ではなく、製造工程の衛生管理の強化や、消費者や取引先からの信用、組織力の強化といった観点から、HACCPに基づく衛生管理に積極的に取り組んでいくことが大切です。


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令和3年6月より完全にHACCPが義務化

カレンダー

日本では、2018年6月13日に改正食品衛生法が公布され、すべての食品等事業者に対し段階的にHACCP対応の義務化が進められてきました。国内のHACCP施行スケジュールは次の通りです。

平成30年(2018年)6月13日 ・改正食品衛生法の交付
・食品等事業者への周知期間のはじまり
・都道府県などの地方自治体での条例の整備
令和2年(2020年)6月1日 ・改正食品衛生法の施行(1年間の経過措置期間あり)
・一部の食品等事業者にHACCPに基づく食品衛生管理が義務付け
・衛生管理記録の「記録」および「保存」が必要
・違反時の行政処分は旧基準に基づく
令和3年(2021年)6月1日 ・改正食品衛生法の完全施行
・すべての食品等事業者にHACCP対応が義務付け
・衛生管理記録の「記録」および「保存」が必要
・食品衛生監視員による実施状況の確認がはじまる

つまり、1年間の経過措置期間を経た令和3年(2021年)6月1日をもって、すべての食品等事業者にHACCP対応が義務付けられます。この日以降、食品衛生監視員の立入検査の際や営業許可の更新などの際に、HACCP対応の実施状況の確認が行われます。このとき、衛生管理の実施記録が保存されていなければ、保健所の指導が入る可能性があるため、早急にHACCP対応を進めなければなりません。

 

HACCP義務化を無視するとどうなる?

前述の通り、令和3年(2021年)6月1日から改正食品衛生法の完全施行となります。完全施行=義務化ととらえた場合に義務を履行しなかった場合、HACCP義務化に従わなかった場合はどうなるのでしょうか?罰則規定などかるのでしょうか?について考えてみましょう。
一般的にHACCPと言われる改正食品衛生法に罰則が明確に記載されてはいませんが、以下のような条文が含まれております。

【改正後の食品衛生法(器具容器包装部分の抜粋)第50条の3(第52条)※新設】
「都道府県知事等は、公衆衛生上必要な措置について、第1項の規定により定められた基準に反しない限り、条例で必要な規定を定めることができる。」
[注1]厚生労働省:食品用器具及び容器包装の規制に関する検討会(改正食品衛生法について)[pdf]

つまり、義務化に従わない場合都道府県の判断によって罰則規定を条例として定められるということです。そのため、条例で定めることができる罰則の上限である「2年以内の懲役、100万円以下の罰金」という罰則、もしくは自治体で発行されるような営業許可証を更新しない、などといった罰則が定められる可能性があります。

まず最初は口頭や書面での指導・改善要望となるとは思いますものの、事前にしっかり準備しておいた方がよいでしょう。

 

HACCPの対象となる業種は?HACCPの適用範囲を事業規模別に解説

食品工場

令和3年6月1日のHACCP義務化の対象は、原則「すべての食品等事業者」となっていますが、業種によっては義務化の対象外である場合があります。ここでは、HACCPの対象となる業種、そうでない業種の違いについて解説していきます。

HACCP義務化の対象外となる5つの業者

厚生労働省によると、HACCPの対象外となるのは次の5つの業種です。[注1]

〇食品又は添加物の輸入業
〇食品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(ただし、冷凍・冷蔵倉庫業は除く)
〇常温で長期間保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品の販売業
〇合成樹脂以外の器具容器包装の製造業
〇器具容器包装の輸入又は販売業

これらの業種は、「公衆衛生に与える影響度が少ない」ため、HACCP義務化の対象外となっています。ただし、HACCPに基づく衛生管理計画の作成や、衛生管理の実施状況の記録および保存の義務はありませんが、食品等事業者である以上は「一般衛生管理(PP)」に基づく食品衛生管理の改善が求められます。

HACCPの適用範囲は事業規模によっても変わる

HACCPに基づく衛生管理では、コーデックス委員会の定める「HACCP7原則」に従い、衛生管理計画の作成や、衛生管理記録の保存を行う必要があります。しかし、事業規模によっては、より簡略なアプローチをとることが可能です。

  対象 実施内容
HACCPに基づく衛生管理(旧基準A) ・大規模事業者
・と畜場
・食鳥処理場
厚労省の作成した「HACCPに基づく衛生管理のための手引書」に従い、HACCP7原則に基づく厳格な衛生管理を実施する
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(旧基準B) ・小規模な営業者等 厚労省の作成した「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」に基づき、より簡略化された衛生管理を実施する

なお、厚生労働省の資料によると、旧基準Bの「小規模な営業者等」とは、以下の4つのいずれかに当てはまる事業者のことです。[注1]

〇食品の製造・加工を行う施設(または隣接した施設)において、食品の小売販売を行う事業者
〇飲食店営業や喫茶店営業を行う事業者
〇容器包装された食品の貯蔵、運搬、販売を行う営業者
〇上記以外で、食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満である事業場

どこまでHACCP対応を行わなければならないかは、事業規模や従業員数によっても変わってきますので、HACCP義務化にあたって確認しておきましょう。


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HACCPに基づく食品衛生管理の手順は?「7原則12手順」を解説

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HACCPに基づく食品衛生管理は、どのように行えばよいのでしょうか。コーデックス委員会は、HACCPの実施手順として「7原則12手順」を定めています。これからHACCP対応を行う食品事業者は、「7原則12手順」に沿って実施しましょう。

日本食品衛生協会の解説に基づき、「7原則12手順」を以下の表にまとめました。[注2]

手順1 HACCPチームの編成 まずはHACCP対応を進めるにあたって、企業や事業所内の各部門から食品衛生の専門的知識を持った人員を募り、HACCPチームを編成します。専門的な知識がある人員がいない場合は、HACCPチームのアウトソースも検討しましょう。
手順2 製品説明書の作成 食品に使われる原材料やアレルギー物質など、製品の基礎資料(製品説明書)を作成します。この基礎資料は、のちの危害要因分析(手順6)で使用します。厳格なフォーマットでなくても、製品の特徴がはっきりわかれば、簡単なレシピや仕様書であってもかまいません。
手順3 製品の用途や対象の確認 製品の使用方法(加熱などの調理方法)や、製品の主要なターゲットである消費者の特徴を洗い出します。製品説明書の作成の際に、同時に盛り込んでしまっても大丈夫です。
手順4 製造工程一覧図(フローダイアグラム)の作成 原材料の受け入れから製品の出荷までのすべての製造工程を書き出し、一覧図(フローダイアグラム)にまとめます。
手順5 製造工程一覧図(フローダイアグラム)の現場確認 製造工程一覧図(フローダイアグラム)が完成したら、現場レベルの担当者や従業員に確認してもらい、実際の人・モノの動きを反映させていきます。
手順6(原則1) 危害要因分析の実施 手順5および6で作成した製造工程一覧図(フローダイアグラム)に基づき、各製造工程で発生しうる危害要因(ハザード)を洗い出し、対処法を決めていきます。このとき、手順2で作成した製品説明書があると便利です。
手順7(原則2) 重要管理点(CCP)の決定 手順6(原則1)で分析した危害要因のなかでも、とくに重要度が高いもの(食中毒菌の増殖や、金属片の混入など)を抽出します。これを「重要管理点(CCP)」といいます。重要管理点(CCP)を決定し、重点的に衛生管理を実施していきます。
手順8(原則3) 管理基準(CL)の設定 特定した重要管理点(CCP)に対し、「どうすればリスクを取り除けるか」「どのレベルまで衛生管理を行うのか」といった基準を決めていきます。これを管理基準(CL)といいます。
手順9(原則4) CCPのモニタリング方法の設定 各製造工程において、重要管理点(CCP)がケアできているか、適切な衛生管理が行われているかをモニタリングする方法を決めます。
手順10(原則5) CLの改善措置の設定 重要管理点(CCP)のモニタリングを実施した結果、管理基準(CL)を逸脱した衛生管理が行われていたことがわかったとき、どのような改善措置をとるかを決めます。
手順11(原則6) HACCP計画の検証方法の設定 定期的にHACCP計画全体を見直し、改善が必要な部分がないか検証する仕組みをつくります。HACCP計画を見直す頻度は、およそ半年に1回が目安です。
手順12(原則7) 衛生管理の記録および保存方法の設定 HACCPに基づく衛生管理を記録および保存する方法を決めます。万が一食品事故が発生したとき、衛生管理記録が保存されていれば、スムーズな原因究明が可能です。また、保健所(食品衛生監視員)の立入検査があった際、衛生管理記録が保存されていなければ、指導が入る恐れがあります。

なお、業種によっては、さらなる衛生管理手順が必要なケースもあります。厚生労働省のホームページでは、HACCP導入に向けた業種別の手引書が用意されています。令和3年6月のHACCP義務化に備え、早めにHACCP体制づくりに取り組みましょう。

 

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まとめ

食品衛生法の改正にともない、令和3年6月1日よりHACCPに基づく衛生管理が義務化されます。HACCPの適用範囲は、業種や事業規模によって変わります。「HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)」「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(旧基準B)」のどちらに該当するのか、HACCP対応に先立って確認しておくことが大切です。

HACCPに基づく衛生管理を導入することで、異物混入や食中毒などの食品事故が起きるリスクを減らし、消費者や取引先の信用を獲得できるというメリットもあります。また、万が一食品事故が起きてしまっても、衛生管理計画や衛生管理記録を保存していれば、すみやかな原因究明が可能です。令和3年6月1月の完全施行に備えて、早急にHACCP体制づくりを進めましょう。

[注1]厚生労働省:HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化[pdf]
[注2]公益社団法人 日本食品衛生協会:HACCP(HACCP導入のための7原則12手順)


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