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GLONASSとは?GPSとの違いやGLONASSを利用する3つのメリットを解説

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GLONASSとは、ロシアの宇宙軍が運用する衛星測位システムのことです。衛星測位システムといえば、アメリカのGPSや、日本が打ち上げた「みちびき」があります。

この記事では、「GLONASSとはなにか」、「GPSやそのほかの衛星測位システムとどう違うのか」といった疑問に答えます。また、GLONASSを活用する3つのメリットを取り上げ、実社会で果たしている役割もあわせて解説します。

 

GLONASSとはロシアの人工衛星を使った測位システム

GLONASS(Global Navigation Satellite System)は、ロシアの人工衛星から発射される信号を利用した衛星測位システムです。アメリカのGPSのほか、欧州のGalileo、日本のみちびき(準天頂衛星)、中国のBeiDou、インドのNAVIC等も、GLONASSと同じ現役の衛星測位システムです。衛星測位システムの総称として、GNSS(全球測位衛星システム)という言葉が使われる場合があります。

GLONASSは、ロシア連邦の前身であるソビエト連邦において開発されました。最初の衛星が打ち上げられたのは1982年のことです。その後、順次打ち上げが進み、1996年ごろには24機の衛星が軌道上で活動を始めました。その後、ソ連の崩壊と共に人工衛星の運用がストップし、老朽化のため利用困難な状態に陥っていましたが、今では再構築が完了しています。現在は計31機の人工衛星が軌道上に存在しており、そのうち24機が地上に信号を送っています。

GLONASSは、もともとロシア宇宙軍が軍事目的で運用していた衛星測位システムですが、2007年には民間用測位信号について、すべての国で無償利用できるようになりました。GLONASSはGPSと共に、様々な製品に使われています。代表的なものはスマートフォンの位置測定機能です。そのほか、ロシア国内においては、車両に搭載が義務付けられている緊急通報システムや、高速道路の利用料金を自動で支払う自動課金システム等にGLONASSが利用されています。

GLONASSは、大きく分けて3つの部分があります。

  • 宇宙部分(Space Segment)
    宇宙部分はGLONASS衛星の本体であり、地上からの信号を受信し、位置測定に必要な軌道情報や時刻信号を送信する役目を持っています。そのため、アンテナや送受信装置を持ち、エネルギー源として巨大な太陽電池パネルが搭載されています。GLONASS衛星は計24機体制で運用されており、地球の3つの軌道面にそれぞれ8つの衛星が配備されています。一つひとつの衛星は、地球の円軌道上を約11時間で周回します。
  • 地上管制部分(Control Segment)
    地上管制部分は、GLONASSの宇宙部分を地上からサポートする役割を持っています。GLONASS衛星の軌道をリアルタイムで追跡する「追跡局」と、追跡局から得た情報をもとに軌道情報を計算し、衛星側に伝える「管制局」の2つにわかれます。GLONASSの地上管制局は、エニセイスク、テルノポリ、サンクト・ペテルブルク、コムソモルスク・ナ・アムーレの4か所に存在します。
  • 利用者部分(User Segment)
    利用者部分とは、GLONASSを利用するユーザー側の端末のことです。受信装置を用い、GLONASS衛星からの電波を受け取ることで、位置測定を行います。身近な例としては、GLONASSに対応したスマートフォンが挙げられます。

 

GLONASSとGPSの違い

ロシアのGLONASSとアメリカのGPSの違いはどこにあるのでしょうか。

GLONASSとGPSは同じGNSSですが、測位信号の周波数が異なっています。GLONASS衛星は、FDMA(周波数分割多元接続)方式を採用しており、地上に送られる電波の周波数は衛星ごとに異なっています。現在では、L1バンド、L2バンド、L3バンドの3つの異なる周波数が存在し、民間用としてL1バンドが提供されています。

一方、GPSや欧州のGalileoは、CDMA(符号分割多元接続)方式を採用しています。こちらはユーザーごとに異なるコード(ビットパターン)を設定することで、ユーザー同士を区別し、同一の周波数帯域内での多重アクセスを可能にする方式です。そのため、GPS衛星の場合、すべての衛星が同一の周波数帯を利用しています。
また、GPSとGLONASSでは、測位信号の最高精度が異なります。GPSの信号精度の誤差は5~10mほどですが、GLONASSでは10~25mほどです。 そのため、GLONASSを単体で利用するだけでなく、GPSの精度を補完する目的で併用するケースがあります。

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GLONASSの利用を始める3つのメリット

GLONASSを利用するメリットは3点あります。主にGPS等の衛星測位サービスと連携することにより、高い測位精度を発揮し、幅広い状況に対応できるようになります。

GPSと併用することで測位精度を向上できる

GPSだけでなく、GLONASSにも対応した「マルチGNSS」を導入することで、測位精度を大幅に向上できます。これは、GPSの衛星31機に、GLONASSの衛星24機も加わることで、合計55機の衛星を利用して位置測定を行うことができるからです。衛星の数が増えれば、位置情報の精度を高めるだけでなく、位置消失が起こるケースを減らせます。

また、なんらかの事故や災害により、衛星測位サービスが失われた場合のリスクヘッジともなります。実際、最新のスマートフォンでは、GPSだけでなくGLONASSやGalileo、みちびきに対応したマルチGNSSが標準的です。

GPS衛星だけでは測定困難な状況もカバーできる

GPSの信号精度の誤差は最小5~10m程度ときわめて正確です。しかし、周囲に高層建築物がある等、上空視界が悪かったり、三角測量に必要な衛星配置が理想的でなかったりすると、精度が大きく劣化する場合があります。衛星からの信号をキャッチできない状況であれば、測位そのものが不可能になってしまいます。

GLONASS衛星を利用していれば、GPS衛星だけでは測定困難な状況でもカバーできます。GLONASSの信号精度の誤差は10~25m程度ではありますが、衛星配置が理想的であれば、GPSよりも高い測位精度を出すことも可能です。

「RTK-G」の利用により、さらに測位精度を向上できる

RTK(リアルタイムキネマティック)とは、近年注目を集めている位置測定技術です。固定局(基地局)と移動局を使い、2つの受信機の間でリアルタイムに位置情報データをやりとりすることで、従来よりも測位精度を大幅に向上できます。理想的な状況であれば、信号精度の誤差は数センチ単位に収まります。

RTKには2種類あり、GPSとGLONASSを組み合わせた「RTK-G」と、GPSとBeiDouを組み合わせた「RTK-B」があります。GLONASSを活用したRTK-Gは、ほとんどの国と地域で利用でき、測位精度も高いという特徴があります。


 

まとめ

GLONASSはロシアの衛星測位システムで、全球測位衛星システム(GNSS)の一部です。このシステムは、1982年に最初の衛星が打ち上げられて以来、多くの変遷を経て現在は31機の衛星が稼働しています。GLONASSはGPSやその他のGNSSとは異なる周波数を使用しており、利用可能な衛星が多いほど測位精度が向上します。また、災害時のリスク分散やGPSがカバーできない地域の補完としても機能します。さらに、RTK-G技術を使用することで、測位精度を数センチ単位まで向上させることが可能です。

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