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工場の「見える化」とは?製造業の生産性効率化事例をご紹介【IoT活用事例】

Contents

工場で働く人々

☑このページで紹介している内容はシステム開発が必要です。
☑このページで紹介している内容はIoTの活用案です。
 

効率化と生産性の違いとは

効率化とは

効率化とは、業務プロセスや製造プロセスの「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省き、作業にかかる手間や時間を減らすことを意味します。

たとえば、「作業員にムリな負担がかかっていないか」「作業にムダな手順がないか」「作業員によって業務スピードにムラがないか」をチェックし、既存のやり方を改善するのが効率化です。とくに業務プロセスを効率化する場合は「業務効率化」と呼ばれます。

生産性とは

一方、生産性は「同じ時間でどれだけの仕事をできるか」を表す指標です。生産性が高い工場は、同じ時間でより多くの製品を生産できるため、収益性も高くなります。そのため、作業員1人が1時間で生み出す収益のことを「労働生産性」と呼ぶことがあります。

生産性を高めるには、業務プロセスや製造プロセスの効率化が必要です。つまり、生産性の向上という「目標」のための「手段」として、効率化を実現する必要があります。

 

業務効率化には何が必要?

必要なもの① 業務の手順やプロセスを改善する

まずは業務の手順やプロセスを見直し、「ムリ」「ムダ」「ムラ」がないかチェックしましょう。

とくに昔からの慣習には、さまざまな「ムリ」「ムダ」「ムラ」が隠れている可能性があります。業務プロセスを改善するときは、たとえば次のような視点を持つことが大切です。

  • その手順やプロセスに本当に意味があるか
  • 作業が正しい優先順位で行われているか
  • 作業の回数を減らせないか
  • 複数に分けて行っている作業を一度に行えないか
  • 特定の作業員だけが行うのではなく、分業制で行えないか
  • 現場に作業員がいなくてもリモートでできないか
  • 業務にITを導入し、機械化・自動化できないか

必要なもの② 工場のレイアウトを見直す

製造業の場合は、工場のレイアウトを見直すことで業務効率化を実現できる場合があります。業務プロセスや製造プロセスを見直し、作業者の動線に合わせて工場レイアウトを改善しましょう。

たとえば、組立作業を行う場合、「組立手順書の場所」「工具や冶具の場所」「組立部品を集荷する場所」が離れていると、本来の業務以外の手間や時間が増えてしまいます。作業員が工場内を歩き回らず、最低限の段取りで作業できるような工場レイアウトが理想的です。

工場レイアウトを改善するには現場の作業員の気づきも重要です。作業員へのヒアリングやアンケートを実施し、現場の目線で工場レイアウトの改善に取り組みましょう。

必要なもの③ 定型的な業務を自動化する

とくに業務効率化の効果が高いのが、決まった単純作業を繰り返す「定型業務」です。

製造業における定型業務として、たとえばパソコン入力やデータ入力などの管理部門の業務や、顧客からの問い合わせを受けるカスタマーサポート部門の業務が挙げられます。こうした定型業務の多くは、人間の作業員がいなくても機械やロボットで代替することができます。

たとえば、RPA(Robotic Process Automation)を導入すれば、パソコン入力やデータ入力を自動化できます。また、チャットボットを導入すれば、よくある問い合わせに自動で回答することが可能です。このようにITツールを導入し、定型的な業務を自動化できないか検討してみましょう。
 

業務効率化には「見える化」が必要!

データ化

業務効率化とは、生産工程に隠れた「ムリ」「ムダ」「ムラ」の3つを発見し、業務品質を高める取り組みを意味します。業務効率化に取り組む目的は2つです。

まず、非効率的な業務を是正することで、従業員が同じ時間で多くの業務をこなせるようになります。従業員の残業時間や工場の電気代を抑制し、コスト削減につながります。

また、業務効率化は工場で働く従業員にもメリットがあります。働きやすい労働環境が整うことで、従業員のワークライフバランスを改善し、従業員満足度を高めることが可能です。

生産工場で業務効率化が必要とされる背景には、少子高齢化に伴う人手不足への懸念が挙げられます。製造業においても、現場の人手が足らない中で働き方改革への対応や、新型コロナウイルスの感染予防などの取り組みを進めなければなりません。そこで、生産工程の「ムリ」「ムダ」「ムラ」をなくし、限られた人的リソースを最大限に活用する策が模索されています。

その一環として、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進め、生産工程をデジタル化する工場が増えています。経済産業省の「2021年版 ものづくり白書」によると、デジタル企業を「活用している」企業は全体の54.0%と過半数を超え、「活用を検討している」企業も17.2%に達しています。[注1]
工場における業務効率化のポイントが、「見える化」です。

[注1]経済産業省:2021年版 ものづくり白書[pdf]

 

工場の「見える化」とは?

「見える化」とは?
様々なシーンで求められている「見える化」。もともとは工場で故障工程がわかるようにランプを点滅・点灯させたり、ブザーを鳴らしたりと現場の作業員等が異変を察知できるように「見える化」することからはじまりました。

その後様々な業界に展開されて、営業マンや巡回の警備員、メンテナンスマン等の外務員が外出時に何をしているかを「見える化」する、といったことも展開されるようになりました。

多くは業務上の情報をアナログな方法によって共有することで予防や解決に役立てていました。経営活動や業務活動の問題をクリアにするための「見える化」であったり、作業やサービス、運用のプロセスにおける無駄を明るみにするための「見える化」等はアナログな共有方法でもできるようになってきました。

また、工場の設備の稼働率や、あまりにも多数の営業活動で集積された顧客の傾向、各マネージャーに一任されていた人の評価や活用方法等データの分析において「見える化」する難易度が非常に高い分野は、徐々にIoTの力を使うことで簡単に、より精密にデータを整理することが可能になり、分析から対策といった改善活動が効率的に行えるようになりました。

IoTにより進化した「見える化」は現在、多くの工場における生産現場で採用を検討されています。IoT(Internet of Things)の意味通り、あらゆる生産活動を行うものに対してインターネットを接続することで、「トヨタ生産方式」の事例に代表されるような「見える化」を実現できるようになってきました 。すでに工場の「見える化」という場合、多くは工場の「IoT化」を意味するようになっています。
 

「見える化」と「見せる化」の違い

注意が必要なのが、「見える化」と「見せる化」の違いです。

「見える化」は、必要な数値やデータを可視化し、現場の問題点を発見する取り組みを意味します。「見える化」によって生産工程に隠れた「ムリ」「ムダ」「ムラ」を発見し、業務改善につなげることが可能です。

一方、「見せる化」は、数値やデータを垂れ流し、いつでも見られるようにする取り組みです。遠隔監視やモニタリングに適していますが、現場の問題点を発見しづらく、業務効率化にはつながりません。

製造業の生産性向上には、「見える化」に取り組むことが大切です。

 

「見える化」の実践方法

そもそも「見える化」は、業務プロセスに隠れた問題を可視化し、誰でも認識できるようにする仕組みを意味します。

「見える化」とは、とある生産現場から生まれた考え方で、「目で見る管理」とも呼ばれます。まさに「目で見る管理」の言葉通り、「見える化」を実践するには、ただ業務上の問題を目に見えるようにするだけでは不十分です。目に入ったら即時に判断し、その場にいる人が「管理」できるような仕組みをつくることで、はじめて業務プロセスの問題点が顕在化します。

代表的な「目で見る管理」の実践方法が、カンバン方式です。カンバン方式とは、前の工程の作業者が指示書(カンバン)を作成し、次の工程に渡す生産方式です。カンバンには、部品の残数や具体的な作業指示が書かれており、次の工程の作業者は現場の状況を瞬時に判断し、生産活動に移ることができます。

このように「見える化」を実践するには、現場の人間の気づきを促し、瞬時に判断できるような仕組みづくりが重要です。
 

工場におけるIoTと「見える化」

オートメーション

前項で説明した通り【工場の見える化≒工場のIoT化】ですが、IoT導入においては「見える化」は最初に取り組むべきものであると言えます。
インダストリー4.0(Industry 4.0)といった言葉で象徴的に示されるIoTの目標は「自動化」「FA(ファクトリーオートメーション:factory automation)」「自律化」であり、それまで人が対応せざるを得なかったレギュラーな対応や、結果やプロセスの状況に合わせた柔軟な作業の調整等を実現することです。 但し、「自動化」を実現するためにはあらゆる状況に合わせ工場の機械を「制御」する必要がでてきます。

また、工場機械を「制御」するためには前述のあらゆる状況をデータ化し、「AがBの状態になったらCを行う」といった命令を多量にしないとなりません。自動化に向けての取り組みには設備投資が高額にかかることもありますが、生産現場のデータを大量に取得しておくことが非常に大事になります。

そのため、工場のIoT導入を検討する場合はまずは工場の「見える化」を行うのです。
 

「見える化」によるメリット

工場をIoT化し、その第一歩として生産ラインの「見える化」に着手することで、工場全体の労働生産性の向上につながります。

これまで、工場の生産性向上に寄与していたのはトヨタ生産方式でした。
しかし、近年の生産現場は複雑化し、さまざまなデバイスやシステムが生産工程に関与します。
そのため、生産方法の「カイゼン」に必要なデータの収集・分析が難しく、トヨタ生産方式が非効率化する局面がありました。

そこで、IoTシステムを使った「見える化」と、従来のトヨタ生産方式を融合させることで、生産効率を改善できます。
生産設備にセンサーデバイスを設置し、機械の稼働状況を「見える化」すれば、人の手で得られるよりも多くのデータをリアルタイムに取得し、効果的な「カイゼン」につなげられます。
生産工場の保守運用にかかる人的コストも削減でき、従業員のワークライフバランスの改善や、コア業務への労働力の再配置などが可能です。
 

IoT導入のフェーズ

工場の生産ライン

工場や生産設備のIoT化のフェーズは3つあります。

見える化(Monitoring) センサーデバイスからビッグデータを収集し、生産ラインの状況をリアルタイムに可視化する
制御(Control) 「見える化」によって得られたデータを分析し、問題点を発見して、生産ラインを最適化する
自動化(Automation) 人工知能(AI)を活用し、人工知能が生産ラインを自律的にコントロールすることで、「制御」のフェーズを自動化する

3つのフェーズの中でも、大前提となっているのが工場の「見える化」です。
生産ラインを最適化する「制御」のフェーズも、人工知能を用いて生産ラインをコントロールする「自動化」のフェーズも、工場内の機械や生産設備の状況をリアルタイムに把握していることが前提です。

まずはセンサーデバイスを設置し、生産設備の稼働状況・運用状況を可視化することが、IoT化の第一歩です。
 

IoT導入による見える化事例を5つご紹介

IoTを導入して「見える化」することは、従来業務の簡略化・効率化につながり、労働生産性の最適化へ寄与します。IoT導入先としては、特に物品の加工・生産を行う工場に多いようです。
こちらでは工場におけるIoT導入事例を5つご紹介します。

  • 1. 工場におけるエネルギー使用量の計測と一元管理を実現した事例

一般的に工場では物品の加工・生産ラインにおいて電力やガスといった様々なエネルギーが使われています。
そのため、省エネは生産コストを抑えるために非常に重要な取り組みです。そのため、省エネは生産コストを抑えるために非常に重要な取り組みです。

各工場で省エネを実現するためには、工場全体の総エネルギー使用量を把握することはもちろん、部門・ラインごとの細かい使用量を把握しなくてはいけません。これに対して、IoTを導入して工場内で使用される総エネルギー使用量の内訳を可視化し、部門・ラインごとに細かなエネルギーコスト削減の目標・計画を制定した事例があります。

エネルギーの測定機器を出力センサーや変換器に装着し、物品が加工・生産される際に使用される電力やガスの消費量をそれぞれリアルタイムに計測。各部門・ラインから集計されたエネルギー使用量のデータを本部にて一元管理し、「Aラインは年間エネルギー消費量を5%抑制」などの細かなガバナンスを定めるという方法です。
測定機器で計測されたエネルギー消費量の値は子機を介して無線で親機に送信され、イントラネットを経由した後に管理者側のデバイスに保存されます。

本事例で扱われる子機・親機のデータ送受信は一定の周波帯に則ったネットワークを形成して行わるため、センサーを単一のネットワークと紐付けて管理できます。

さらにデータ集計・管理の発展形として部門・ラインごとの生産量とエネルギー消費量を照合することで、機器の故障や誤作動などによる異常なエネルギー消費を検出することも可能です。また有線センサーの再利用を試みる場合や配列を変更したケースでもシステムの移設を簡易に実行できます。

  • 2. 作業工程で費やされる人的リソースを可視化し生産性を高めた事例

生産・製造ラインにおいて人的労力を投入する場合、スタッフによって得意な工程と不得意な工程が異なり、能力が正確に可視化できないために個々が持つ能力を活かした人事配置がとられないケースがありました。そこで、それぞれの生産・製造ラインに従事するスタッフの適切な人事配置を行うために、IoTを用いてスタッフが各作業工程に費やす所要時間をデータとして計測・収集した事例があります。

具体的には、各スタッフに携帯型のデータ収集・発信機器を装着させてから作業に従事してもらい、それぞれの作業工程に費やされた時間を計測。集計されたデータから「Xの作業工程は遅いがYの作業工程は早い」といった形でスタッフの能力を分析し、各工程で能力を活かせる配置にするという方法です。

各工程で費やされているリソースを可視化することで物品の生産量に対するコストの細目が簡易に比較できるようになり、また1日単位の生産ノルマを達成するために相応しいスタッフを配置することもできます。
本事例は生産設備や機器などのデバイス類にIoTが導入されたケースではなく、スタッフの作業工程、つまりロボットのように動作の情報収集が簡易ではない「人的な動き」を「見える化」することで生産性の向上に活かした事例です。

工場の生産・製造ラインで人的な労力が発生しているスキームをIoTで可視化することで各工程に費やされるリソースの平均値を割り出せるようになり、スタッフの自発的な業務の改善意識向上にもつながったとされています。

  • 3. 生産設備で故障や異常が生じた際に即時対応を可能にした事例


設備のチェック
メンテナンスや部品交換などを除き人の手を介さない生産・加工ラインで、生産設備の故障や異常を発見するための主流な方法は以下の2つです。

  • 管理者が定期的に設備を巡回する
  • カメラで映し出された映像を管理者が別室からモニタリングする

しかしこれらの監視方法では生産設備の異常や故障を誤認する・見落とすといったヒューマンエラーや、発見に至るまでタイムラグが生じるなどの課題がありました。これに対して、生産設備における故障・異常の監視にIoTを取り入れ、高精度かつリアルタイムな検知とアラート機能によって不具合の即時対応を可能にした事例があります。

生産設備の故障や異常を検知するデバイスから発せられるシグナルをA/Dコンバーターで受信し、データに変換。不具合発生の旨が記されたデータを無線周波のインターネットを介して管理者のデバイスに転送し、見落としやタイムラグを抑制して迅速な対応を可能にするという方法です。

送られるデータには不具合の発生日時や該当生産設備の場所、コンディションといった細目が示されるため、管理者は内容に合わせて最適なツールの手配や関係者への連絡・相談などを的確に行えます。生産設備の動向はリアルタイムで監視されるため、スタッフが定期的に巡回、モニタリングして異常を監視する必要がありません。

さらに本事例では各生産設備の不具合発生率を割り出すことも可能です。算出された値から故障リスクを可視化して、機器のメンテナンスや修理などを適切なタイミングで行えます。

不具合発生率が著しく高い生産設備では、物品の生産・加工の工程を見直して原因究明および改善を図ることも可能です。本事例のように監視業務をIoT化することで、生産設備がダウンして稼働が滞ってしまうリスクやロスを低減できるとされています。

  • 4. クラウド環境の導入で受注と在庫管理のシステムを統一した事例

受注と在庫管理それぞれのシステムが統一されていない場合、事務所側と生産部門において業務が重複してしまうケースがあります。そのような無駄を省き業務を効率的に進めるために、クラウド環境およびハンディ端末を導入することで受注と在庫管理のシステムを統一した事例があります。

物品の受注に対応する事務所側ではクライアントからの注文をパソコン経由でシステムに入力し、生産部門はハンディ端末を使い物品の加工・生産に関する進捗や予定される納期などを入力。同一システムを使い双方の業務をシームレスに進め、部署間を超えた連携を図りクライアントへの対応時間伸張や納期短縮を試みるという方法です。

本事例では物品の加工・生産に関する過程が社内ネットワークで可視化されたことにより、クライアント対応がスムーズになるなど営業部門にも導入効果が生じたとされています。

  • 5. 電力値を分析する方法で生産設備全体の稼働率を可視化した事例

物品の加工・生産ライン各所に設けられた生産設備の稼働率をすべて把握するためには、各生産設備のコンディションを集計できるソリューションが必要です。しかし生産設備のメーカーに統一性がなくソフトウェアの仕様が異なる場合、従来の方法ではデータ通信の互換性がなく工場内すべての生産設備の稼働率を簡易に把握できません。

そこで、それぞれの生産設備にスマートメーターを設置して電力値を分析し、生産設備全体の稼働率を可視化することで生産ラインの効率的な保守・運用に役立てた事例があります。
それぞれの生産設備に積算電力を測定する機能および通信機能を備えたスマートメーターを設置し、生産設備から発せられる電力値を測定。測定値を時系列データとして無線周波を経由して管理者のデバイスに送信し、生産設備が稼働しているかストップしているかを簡易に把握するという方法です。

メーカーごとのソフトウェアを用意して動作を分析する従来の方法と比べて得られるデータは限られますが、本事例のように稼働率を一元的に集計することで故障リスクを低減できます。
 

「見える化」の導入にあたって想定される課題

工場の「見える化」を検討するにあたって工場の各生産現場や、従業員の作業によって改善したい問題が異なっているため、「見える化」にあたって収集すべき方法や、収集の対象となるシステムや機器がバラバラになっており検討が難航している。

工場の「見える化」にあたって、まず注意が必要なのは、導入したツールやシステムが使いやすいかどうかです。IoTシステムは、デバイス・ネットワーク・クラウドの3つで構成されます。管理者や現場の従業員にとってツールやシステムが使いづらかったり、部門や担当者によってバラバラだったりすると、IoTシステムがそもそも定着せず、本来の目的を達成できません。

また、IoTシステムの効果検証の仕組みも必要です。効果検証を実施しなければ、IoTが本当に業務効率化につながったか、具体的にどの程度生産性が改善したかがわかりません。

そのためにも、工場の「見える化」を検討する際は、業務効率化の実現に向けた体制づくり、チームづくりに取り組みましょう。工場の各生産現場によって、業務プロセスの課題は違います。業務効率化チームを起点として、各生産現場の課題を吸い上げていくことで、現場の本当のニーズに合ったIoTシステムを構築可能です。

最後に、「見える化」が「見せる化」になっていないかを確認しましょう。ただ数値やデータを垂れ流すだけでは、現場の課題の発見につながりません。目的と手段が入れ替わり、数値やデータを可視化すること自体が目的になっていないかに注意が必要です。
 

見える化の要素技術・役割分担

スマホを使う男性

  • デバイス

製造機械のPLC(シーケンサ)のデータを取得するために最も汎用的に利用できるModbus対応ゲートウェイを各作業場に設置、各機器のPLCからデータを収集する。またPLC対応ではないモノに関しては接点入力等のできるだけシンプルなデータを取得する。作業員の必要データはスマートフォン等のデジタルデバイスを利用し入力を簡略化

  • ネットワーク

工場内の固定ネットワークを利用、各作業場からの入力や連絡は各スマートフォンの無線通信ネットワークを利用

  • クラウド

IoTプラットフォーム 「UPR OCEAN」を利用。専用のアプリケーションをユーピーアールで構築してデータの閲覧方法を時間や、回数、温度、湿度、電力といった汎用的でシンプルなデータとして一覧で確認できるようにする
 

「見える化」導入におけるユーピーアールの強み

  • スモールスタートによる安価な導入

工場機械のPLC(シーケンサ)のデファクトスダンダート通信であるModobus通信に対応のゲートウェイと標準で通信できるIoTプラットフォーム「UPR OCEAN」を利用してシステム構築を行うため、工場内の機械をネットワークに接続し「スマート工場」化するにあたっての余分なインターフェース開発が必要なく安価に開発が可能になる

  • 豊富なIoT構築実績

実証実験レベルやPOCの提供ではなく、商用の環境でのIoTシステム構築の実績が豊富であるため無数にある、機器のデータ取得の方法、取得するべきデータの整理等をコンサルティングすることができる

  • パートナーリンク

通信機器や各種センサー・デバイスを起用するためのパートナーを多く抱えており相談に応じて、最低限のデバイス提供・システム開発のみで工場における「見える化」をサポートします
 

「見える化」の導入効果

食品工場

  • 「見える化」を推進

「見える化」推進のためのネックとなっていた、IoT機器の導入やIoT導入における課題の整理等を、豊富な導入実績でコンサルティングすることで、「見える化」の実現を推進することが可能になる。

  • エビデンスの活用

ユーピーアールのIoTコンサルティングであれば、顧客や現場の状況に応じてスモールスタートが実現しやすいシステムやノウハウを持っているため、最初の試験導入で一定の効果を観測することができるため、その後の本格的導入の際にエビデンスとして活用しやすくなった。

  • 問題点の明確化

IoT導入によるスマート工場化によって各々の作業を明確化することでネックになっている技術や作業工程上の問題点を抽出できるようになったため各々の問題点に対する具体的な損失(生産高や作業時間、残業賃金 等)が数値化でき、その問題点に対する対策についても明確化することができる。

  • 生産の平準化

問題点とそれに対する対策の明確化を行うことで、属人に行っている作業が減少し、人的なリードタイムや品質のばらつきが抑制され、個人の判断によるロスが障害となっていた生産の平準化を促進することができ安定した生産が可能になる。
 

国内外製造分野における近年のIoTの流れ

あらゆるものがインターネットに接続されるIoT時代、製造業も転換期を迎えています。2011年に、ドイツ政府がスマートファクトリーの考えを背景としたインダストリー4.0を発表したのを皮切りに、アメリカでは「Industrial Internet」、中国では「中国製造2025」と追随する動きが加速。日本においても産学協同の「IoT推進コンソーシアム」が2015年に立ち上がりました。

国内外の工場現場でもIoT導入が進められる中、はじめの一歩が見える化です。エネルギー消費量や設備故障、稼働など、様々な面で浸透してきており、今後はもう一歩踏み込んだ“見えたデータの分析”も普及してくるでしょう。たとえば、生産数・品質などのデータを気温や湿度ごとに合わせて数値化したり、熟練作業員と一般作業員の技術レベルの違いを明確化するなど。製造業へのIoTの影響力はますます強まるでしょう。
 

まとめ

少子高齢化が進み、人手不足への懸念が高まる製造業では、業務効率化・生産性効率化が急務となっています。

ポイントとなるのが、工場の「見える化」と呼ばれる取り組みです。「見える化」とは、現場の人間に気づきを促し、業務上の問題点を可視化する仕組みを表します。近年は先端技術の導入によって生産活動を自動化・自律化する「インダストリー4.0」の影響を受け、IoTを用いた「見える化」の取り組みが各地の生産現場ではじまっています。

工場の「見える化」を行うことで、生産工程に隠れた「ムリ」「ムダ」「ムラ」を発見し、生産効率を大きく改善できます。また、生産ラインの保守運用の手間やコストを削減し、現場の従業員のワークライフバランスの改善にもつながります。

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