仮想化とは?初心者にもわかりやすく仕組みやメリット・デメリットを解説
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仮想化とは?ソフトウェア上で複数のハードウェアを一元管理する技術
仮想化とは、サーバーやストレージなどのハードウェアをソフトウェア上で統合し、仮想環境上で再現する技術です。
もちろん、ハードウェアを仮想化しても、ハードウェアの処理能力の合計は超えられません。たとえば、物理ストレージの容量が100GBなら、仮想化してストレージを分割しても、利用可能な容量の合計は100GBです。
しかし、仮想化することで、ハードウェアのCPU、メモリ、HDDやSSDといったリソースを自由に再配分し、拡張性の高いシステム構築が可能になります。
古くからあるサーバーやストレージの仮想化に加えて、近年はデスクトップ環境やネットワークの仮想化も可能になりました。
ハードウェアの能力を最大限に活用する4つの仮想化技術
仮想化するハードウェアの種類によって、それぞれ使われる技術が異なります。
サーバーリソースを有効活用する「サーバー仮想化」
サーバー仮想化とは、物理サーバー上に複数の論理サーバーを構築し、サーバー環境を効率的に割り当てる技術です。
物理サーバーが持つ性能の合計を超えることはできませんが、アプリケーションごとに仮想サーバー環境を割り当てて、サーバーリソースを有効活用できます。
1つひとつのシステムごとに物理サーバーを用意する必要がなく、システムの処理性能の増加に伴って、自由に容量を増減させることも可能です。
運用コスト低下とセキュリティ強化を同時に実現する「デスクトップ仮想化」
デスクトップ仮想化とは、クライアントPCの作業環境をサーバー上に構築することで、サーバー側による一元管理を実現できる技術です。
従業員用のコンピューターに1台1台アプリケーションをインストールし、セキュリティ対策を施すと、従業員数が大きくなればなるほど手間とコストが増大します。
また、クライアントPC側に業務データや顧客情報が保存されていると、情報漏えいやデータ改ざんのリスクがあります。サーバー上に従業員のデスクトップ環境を構築すれば、サーバーの管理者が一元的にセキュリティ対策を行えます。
VPNなどを通じて社内ネットワークにアクセスすれば、自宅や出張先からでもデスクトップ環境にアクセスできるため、在宅ワークやリモートワークも可能です。
物理ストレージを統合して集中管理する「ストレージ仮想化技術」
ストレージ仮想化技術とは、複数の物理ストレージを仮想環境上で統合し、1つの論理ストレージとして運用する技術です。ストレージを仮想化すれば、繁忙期や拠点の拡張などの業務量の増減に合わせて、ストレージ量を柔軟に変更できます。
また、記憶領域をコンピューターネットワーク上で分割し、業務内容ごとに割り当てることもできます。
物理ストレージのみでの運用では、1台1台のストレージごとに業務の割り当てや空き容量の管理を行う必要がありました。物理ストレージを統合して1台の仮想ストレージとして扱うことで、運用面の手間を減らし、集中管理することが可能です。
ネットワーク構成をいつでも変更できる「ネットワーク仮想化技術」
ネットワーク仮想化技術とは、サーバー、ルーター、LANカード、通信回線などで構成される物理ネットワークを仮想化し、複数の論理ネットワークに分割するための技術です。
論理ネットワークは物理ネットワークをソフトウェア的に分割しているため、ハードウェア構成とは分離されています。したがって、ネットワーク構成を変更する際も、ソフトウェア上の操作だけで完結します。
すでに物理ネットワークで拠点間接続を構成していても、オンサイト作業でハードウェア構成を変更することなく、リモートでの運用保守が可能です。
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仮想化によって得られるメリット・デメリットを比較
サーバーやストレージの仮想化には、それぞれメリット・デメリットがあります。
仮想化のメリットは「コスト削減」と「拡張性」
システムの仮想化を行う最大のメリットの1つは、コストの削減です。物理サーバーにせよ物理ストレージにせよ、通常の運用では100%の性能を発揮できているわけではありません。
しかし、サーバーやストレージを仮想化すれば、CPUやメモリなどの処理能力や、HDDやSSDなどの記憶容量をソフトウェア上で一元管理できるため、ハードウェアリソースの余剰が発生しません。
サーバーやストレージの稼働台数を減らせるため、購入コストを抑えられるだけでなく、既存ハードウェアの老朽化によるリプレースコストも圧縮できます。
また、ネットワーク構成を後から変更する場合、通常はオンサイト作業を行い、ハードウェア構成を修正する必要があります。業務量が一時的に増加するなどして、サーバー台数の増加が必要になった場合も、物理的に機器を購入する必要があります。
しかし、後で必要がなくなった場合は、その分の投資が無駄になってしまいます。ネットワークやサーバーを仮想化すれば、ハードウェア構成にかかわらずソフトウェア上でリソースを割り当てられるため、合計処理能力が足りていれば新規購入の必要がありません。
ハードウェアリソースの余剰を利用することで、高い拡張性を実現できるのが仮想化のメリットです。
仮想化のデメリットは「処理能力が低下する可能性」「運用面の課題」
一方、仮想化にもデメリットはあります。論理的に分割するハードウェアの処理能力が不足していれば、結果としてシステムのパフォーマンスが大きく低下してしまいます。サーバーやストレージなどの容量や処理能力を見極め、最適な仮想化を行わなければなりません。
また、コンピューターシステムの仮想化には、専門的な知識が必要です。物理サーバーやストレージの運用と、仮想環境上の論理サーバーやストレージの運用は大きく異なります。
仮想化に強い情報システム部門がある場合は、自社で運用することもできます。しかし、社内に仮想化のノウハウがない場合は、仮想化に強く、サポートの充実したベンダーに管理運用を依頼しましょう。
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仮想化技術でコスト削減や生産性向上を達成した2つの導入事例
仮想化技術を使い、運用コストの削減や、生産性の向上を達成した2つの事例をご紹介します。
物理サーバーの集約化で管理コストを大幅にカット
国内の私立大学で、物理サーバーを仮想化して、管理コストの削減に成功した事例があります。
この事例では、複数の部門ごとに物理サーバーが稼働していたため、保守運用に当たる組織が分散し、運用コストが増加していました。
これらの物理サーバーを仮想化技術で集約化し、運用組織を統合したことで、管理コストを削減しただけでなく、組織構造の改革にも成功しています。
デスクトップ仮想化で時間外労働の削減を達成
国内の鉄道事業者で、従業員のデスクトップ環境の仮想化と、社外からのリモートアクセスを許可することで、時間外労働の削減を達成した事例があります。
オフィスの外で効率的に働けるようになったため、社員1人ひとりの負荷が減少し、働き方改革の推進にもつながっています。
仮想化技術の今後は?IoTやビッグデータとの連動も
近年、サーバーやストレージなどの仮想化技術が大きく進歩し、多くの企業が採用しています。今後、IoTやビッグデータの需要の高まりを受け、仮想化技術の重要性がさらに高まることが予測されます。
たとえば、IoTセンサーは膨大な量のデータを取得し、ネットワークを通じて送信します。製品や生産設備のIoT化で高い処理能力が求められても、サーバーやネットワークを仮想化すれば、リソースを効果的に再配分して対応できます。
IoTやビッグデータの活用が進む第四次産業革命において、仮想化技術の需要はますます増加していきます。
「仮想化」でシステムの拡張性とコスト削減を両立できる
今回は、「仮想化」の仕組みや、システムを仮想化することのメリット・デメリットを解説しました。仮想化とは、サーバーやストレージなどのハードウェアをソフトウェア上で統合し、仮想環境上で再現する技術のことです。
ハードウェアリソースを効率的に配分できるため、ハードウェアの台数を削減できます。
また、ソフトウェア上でネットワーク構成などを自由に変更できるため、柔軟性の高いシステム設計が可能です。IoTやビッグデータの活用が進む昨今、仮想化技術の需要が高まりつつあります。
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