温度管理システム導入のメリットとは？温湿度管理のメリットや導入ポイントを解説

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温度管理とは？輸送・保管中の品質劣化を防ぐ

温度管理とは、輸送・保管中の過程で商品の温度を計測し、適切な状態を維持する業務のことです。

特に食品・医薬品・精密機械等は温度変化の影響を受けやすく、適切な保管温度が定められています。物流における温度管理の役割は、保管施設内の温度が適正に維持されているかを確認し、温度逸脱の有無をチェックすることで、商品の品質劣化を防ぐことです。

温度管理では、以下の5つの温度帯が設定されています。

	対象
常温	特別な温度管理が必要なく、常温で保存できる商品
中温	野菜・パン等、15～18℃程度での管理が求められる商品
冷蔵	牛乳・豆腐等、10℃以下で保管する必要がある商品
チルド	生肉・鮮魚等、0～5℃以下の温度を維持しなければならない商品
冷凍	アイス・冷凍食品等、-18℃以下の温度を維持しなければならない商品

 

特に温度管理が重要なのが、生肉・鮮魚等のチルド商品や、野菜・パン等の中温で保存が必要な商品です。

チルドは0～5℃以下、中温は15～18℃程度と許容される温度の範囲が狭く、わずかな外気の影響でも品質劣化の原因となります。

そのため、商品の温度を正確に計測する仕組みを整えるだけではなく、外気の侵入を防ぐドッグシェルターの設置や、冷気を逃がさないエアカーテンを設置する等、保管施設では様々な対策がとられています。

温度管理への取り組みが欠かせない2つの理由

輸送・保管中の温度管理が必要な理由は、以下の2点です。

• 食品衛生法の改正によりHACCPが義務化され、食品や原材料の厳格な温度管理と温度記録の徹底が求められるようになった
• 厚生労働省が制定した日本版GDPガイドラインにおいて、輸送・保管中の医薬品の適切な温度管理が規定された

 

特に食品・医薬品を取り扱う物流事業者は、保管施設やトラックの荷室内にデータロガーを設置する等、温度管理の強化に向けた取り組みが求められています。

厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアル

温度管理を実施する上で参考になる資料の1つが、厚生労働省が1997年3月24日付けで公布した「大量調理施設衛生管理マニュアル」です。^※

大量調理施設衛生管理マニュアルは、主に集団給食施設等を対象としていますが、原材料の保管管理に関する注意点や、原材料・製品の受け入れ時の作業手順、原材料・製品ごとの保存温度等が詳細に記載されています。そのため、食品輸送を行う物流事業者にとっても、ガイドラインとしても活用可能です。

また、大量調理施設衛生管理マニュアルはHACCPに基づいて作成されているため、HACCP対応を進める事業者にとっても有用な指針となります。

穀類加工品 (小麦粉、デンプン)	室温
砂糖
食肉・鯨肉	10℃以下
細切した食肉・鯨肉を凍結したものを容器包装に入れたもの	-15℃以下
食肉製品	10℃以下
鯨肉製品	10℃以下
冷凍食肉製品	-15℃以下
冷凍鯨肉製品	-15℃以下
ゆでだこ	10℃以下
冷凍ゆでだこ	-15℃以下
生食用かき	10℃以下
生食用冷凍かき	-15℃以下
冷凍食品	-15℃以下
魚肉ソーセージ、魚肉ハム及び特殊包装かまぼこ	10℃以下
冷凍魚肉ねり製品	-15℃以下
液状油脂	室温
固形油脂 (ラード、マーガリン、ショートニング、カカオ脂)	10℃以下
殻付卵	10℃以下
液卵	8℃以下
凍結卵	-18℃以下
乾燥卵	室温
ナッツ類	15℃以下
チョコレート	15℃以下
生鮮果実・野菜	10℃前後
生鮮魚介類	5℃以下
乳・濃縮乳	10℃以下
脱脂乳
クリーム
バター	15℃以下
チーズ
練乳
清涼飲料水	室温

 

また、大量調理施設衛生管理マニュアルでは、特に保管管理に注意を要する「野菜・果物」「魚介類・食肉類」について、詳細な注意点や作業手順が定められています。そのため、生鮮食品の輸送・保管を行う物流事業者にとっても重要な指針となるため、必ず大量調理施設衛生管理マニュアルに目を通しましょう。

出典：厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(令和7年3月11日利用)

 

温湿度管理をすると品質にどのような影響があるのか

輸送・保管中の品質劣化を防ぎ、製品を安全に消費者の元へ届けるためには、厳格な温湿度管理が欠かせません。ここでは、「生鮮食品や惣菜を扱う食品工場」「精密機器を扱う生産工場」「大量の紙を扱う印刷工場」「繊維類を扱う繊維工場」の4つの事例を取り上げ、温湿度管理が製品の品質にどのような影響を及ぼすのかを解説します。

生鮮食品や惣菜を扱う食品工場

食品工場で取り扱う生鮮食品や惣菜は、温度の変化による品質劣化が起こりやすく、厳格な温度管理が求められる品目です。例えば、厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルによると、野菜・果物は10℃前後での保存、食肉類は10℃以下、魚介類は5℃以下での保存が推奨されています。

もし、食品が急激な温度変化にさらされ、食品ごとの適切な保管温度を逸脱すると、病原微生物が繁殖し、食中毒を引き起こす恐れがあります。そのため、適正な食品の保存温度を維持することで、食中毒リスクを低減し、製品の品質を保つことが重要です。

精密機器を扱う生産工場

精密機器を扱う生産工場では、食品工場とは異なり、温度変化よりも湿度管理することが重要です。

精密機械は高温多湿の環境にさらされると、錆や腐食が発生し、製品品質に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、半導体のように電子回路を含む製品では、湿度が低すぎると静電気が発生し、破損の原因となることもあります。そのため、生産工場では過度な湿度変化を防ぎ、適切な湿度を保つことが大切です。

大量の紙を扱う印刷工場

印刷工場では、湿気の影響を受けやすい紙を大量に扱うため、湿度の管理が欠かせません。紙は湿気を吸収すると波打ちを起こし、印刷機械に詰まる原因となるため、安定した湿度環境の維持が重要です。

印刷工場によって管理基準は異なりますが、一般的に工場内の湿度は55％～65%に保たれ、紙製品の品質維持が図られています。

繊維類を扱う繊維工場

繊維工場では、繊維類の乾燥を防ぐために適度な加湿を行い、工場内の湿度を適正に維持することが求められます。

繊維類が乾燥すると糸切れが発生し、製品品質の劣化につながるため、湿度管理が重要です。また、ホコリや汚れが繊維類に付着しないよう、工場内の清潔を維持するとともに、加湿器を稼働させる環境整備が必要となります。

 

温度管理システムを導入する3つのメリット

輸送・保管中の温度管理に「温度管理システム」を導入するメリットは、以下の3点です。

温度管理の業務負担を軽減できる

温度管理システムの導入により、温度管理の業務負担を大幅に軽減できます。

従来の温度管理業務は、定期的な温度計のチェックや温度記録の作成等、多くの作業が発生し、現場スタッフの負担となっていました。

しかし、温度管理システムを導入すれば、温度センサーを通じた温度データの取得から帳票作成まで自動化でき、業務効率が向上します。ユーピーアールの温湿度遠隔監視IoTソリューション「みえーるど」は、PC・スマートフォン・タブレットを通じて、いつでもどこでも温度データを取得できるシステムです。

さらに、無線通信を用いるワイヤレス通信を採用しているため、設置作業が容易で、導入時の業務負担も軽減できます。温度管理の業務負担軽減なら、温湿度遠隔監視IoTソリューション「みえーるど」の導入がおすすめです。

保管温度の計測精度が向上する

温度管理システムを導入することで、保管温度の計測精度が向上します。

従来の手作業による温度管理では、ロガーや計測器の目視確認、人力での計算・集計作業が必要でした。しかし、手作業には計算ミスやチェックミスといったヒューマンエラーが発生しやすく、正確な温度管理が難しくなるリスクがあります。

ユーピーアールの温湿度遠隔監視IoTソリューション「みえーるど」なら、倉庫や工場、施設内温度センサーを設置するだけで、その場所の温度・湿度を高精度で計測可能です。

24時間リアルタイムでの遠隔監視が実現する

食品や医薬品等、保管温度が定められている商品を取り扱う場合、24時間リアルタイムでの温度管理が必要です。

例えば、「冷蔵庫のドアが閉まりきっていない」「トラックの荷室の扉が開いたままになっている」といった些細なトラブルでも、商品の品質劣化につながるリスクがあります。

温度管理システムを導入すれば、5分間隔や10分間隔等の定期的なデータ取得により、24時間リアルタイムの温度管理を実現できます。さらに、ユーピーアールの温湿度遠隔監視IoTソリューション「みえーるど」には、温度逸脱を検出した際にアラートメールを送信する機能が搭載されており、異常が発生した際の迅速な対応が可能です。

万が一のトラブル時でも、「みえーるど」を活用すれば、素早い初期対応が実現できます。

 

温度管理システムを導入する際の3つのポイント

温度管理システムを導入する際には、以下の3つのポイントに注意しましょう。

計測精度は十分に高いか

まず、温度管理システムのロガーや温度センサーの計測精度に注目しましょう。

食品や医薬品の中には、厳格な温度管理が求められるものが少なくありません。例えば、チルド食品の保管温度は0～5℃以下、中温で保管すべき食品の保管温度は15～18℃程度と、わずかな温度変化でも品質劣化のリスクがあります。

そのため、温度管理システムを選定する際は、計測精度が十分に高いかを必ず確認しましょう。

24時間365日安定して稼働できるか

計測精度の高さだけでなく、24時間365日安定して稼働できるかどうかも重要nなポイントです。

万が一、温度逸脱が発生した際に温度管理システムがダウンしてしまうと、初動対応の遅れにつながる可能性があります。そのため、24時間リアルタイムでの温度管理を実現するには、故障や不具合に強く、安定性の高い製品を選ぶようにしましょう。

設置・メンテナンスは容易か

最後に、温度管理システムの設置やメンテナンスの容易さも重要なポイントです。

端末の構造が複雑で取り付けに手間がかかる製品であれば、導入時の負担が大きくなります。

また、万が一システムに不具合が生じた場合、設置が複雑な製品では復旧作業に時間がかかるリスクもあります。

同様に、メンテナンス性の高さも考慮すべき要素です。食品等の輸送・保管を行う現場では、端末に汚れや泥が付着することがあります。そのため、汚れを拭き取ったり、取り外して洗浄したりするのが容易な製品であれば、日常的なメンテナンスの負担を大幅に軽減することが可能です。

 

温度管理システム「みえーるど」と「なんつい」の特長と導入費用

uprでは、リアルタイムに温度と湿度を管理できるサービスとして「みえーるど」と「なんつい」を提供しています。どちらも専用の端末を利用し、リアルタイムで温湿度情報を取得・確認することが可能です。複雑な工事を必要とせず、端末を取り付けるだけで簡単に利用を開始できます。

ここからは、遠隔監視ソリューション温湿度パッケージ「みえーるど」とモノならなんでも追跡ソリューション「なんつい」のサービスの概要や特長の紹介と、導入に必要な費用について解説します。

みえーるどの特長と導入費用

みえーるどは、温度と湿度を計測・管理する遠隔監視ソリューションです。24時間温湿度環境を監視しデータを取得でき、PCやスマートフォン等からいつでもデータを確認することができます。

食品製造や倉庫での温湿度管理、医薬品の温湿度管理(GDP対応)、HACCPでの温湿度管理自動化、鉄・アルミ工場での品質管理等に利用可能です。

また、みえーるどには、以下のような特長があります。

■導入時の煩わしい工事が不要

無線通信を採用しているため、設置場所を選びません。導入時の煩わしい工事も不要です。

■自動化することでチェック・記入漏れを防ぐことが可能

温湿度情報を自動でデータベースに格納されるため、日々の業務を自動化でき、チェック・記載漏れの心配もなくなります。

■どこからでも簡単に確認可能

PC、スマートフォン、iPad等のタブレットといった様々なインターネットブラウザで簡単にアクセスでき、どこからでもデータの確認が可能です。

■親機1台で無線子機最大100台登録可能

親機と子機は特定小電力無線でネットワーク接続しているため、バッテリーが長持ちします。また、無線センサー子機は親機1台に対して、最大100台まで登録可能です。

■トレンドグラフ表示、CSV出力機能

取得した温度・湿度データは、トレンドグラフとして表示できます。さらに、CSVでデータを出力する機能もついており、データ分析に活用することが可能です。

■異常発生時にアラート通知

あらかじめ閾値を設定しておけば、温湿度データが閾値を逸脱した際にアラート通知が届きます。

みえーるどを導入する際には、まず初期費用として、親機と子機の端末料金と、初回登録手数料が親機の台数につき発生します。その後は、月額費用として親機と子機の利用料が必要です。

みえーるどの詳細はこちら

なんついの特長と導入費用

なんついは、あらゆる「モノ」の情報をリアルタイムに管理できるサービスです。端末を荷物や設備に取り付けるだけで、温湿度情報以外にも位置や衝撃値情報が取得できます。利用するにあたって、新たなシステムを構築する必要はありません。簡単に物流の「見える化」と「効率化」を実現できます。

例えば、以下のような目的で利用されています。

温湿度情報	医薬品(GDP対応)、冷蔵(チルド)、冷凍食品、庫内温度管理、お菓子、生鮮食品、保冷ボックス
位置情報	パレットの紛失調査、トラックの動態管理、セキュリティ輸送管理、カゴ車の紛失調査、建機の盗難対策、シャーシ・コンテナ管理、除雪車の動態管理
衝撃情報	精密機器、ガラス製品、美術品

蓄積された温湿度データは、グラフ表示ができるだけでなく、CSV形式でダウンロードすることができます。さらに、温湿度の上限・下限を逸脱した際には、WEB上の履歴が異常を占める色に変わり、一目でいつ異常が発生したのか簡単に確認することが可能です。

また、なんついには、以下のような特長があります。

■リアルタイム管理

あらゆる「モノ」の位置・温度・湿度・衝撃情報を、PCやスマートフォンでリアルタイムにWeb上から簡単に確認できます。

■異常発生時にアラート通知

あらかじめ閾値を設定しておけば、温湿度データや衝撃値が閾値を逸脱した際にアラート通知が届きます。

■レンタルで導入可能

端末1台を最短1ヶ月からレンタル可能で、気軽に導入いただけます。

利用料金については「レンタル方式」と「端末買い取り方式」の2パターンを用意しています。シーンや用途に応じて、利用形態を選ぶことが可能です。※サーバー・アプリケーション利用料、通信料を含みます。

また、レンタルは最短1か月から行えます。

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「みえーるど」導入までの5つのステップ

屋内の温度管理なら、温湿度遠隔監視IoTソリューション「みえーるど」の導入が効果的です。ここでは、温湿度遠隔監視IoTソリューション「みえーるど」の導入フローを紹介します。

1. お問い合わせ

まずは、「みえーるど」についてお気軽にお問い合わせください。お問い合わせ内容をもとに、ユーピーアールの担当者がヒアリングを行います。

2. 利用方法のご提案

ユーピーアールの担当者が、「みえーるど」の具体的な運用方法や、期待できる運用成果をお伝えします。

3. 利用方法の確定

ユーピーアールの提案をもとに、「みえーるど」の利用方法を確定していただきます。「みえーるど」の導入には設置拠点のすり合わせや親機・子機の台数を決定、電波や電源の状況の確認等が必要です。

4. 本運用開始

利用方法の確定次第、本運用契約を結んでいただきます。本運用契約が完了したら、いよいよ「みえーるど」の運用スタートです。

お問い合わせから運用開始までスムーズに進んでいただけますため、まずはお気軽にお問い合わせください。

 

屋内野菜栽培の温度管理に「みえーるど」を活用した導入事例

屋内野菜栽培の温度管理に、ユーピーアールの温湿度遠隔監視IoTソリューションの「みえーるど」を活用した事例を紹介します。

ある企業は異業種から農業分野へ参入するにあたり、遠隔監視による温度・湿度監視を導入を検討し、「みえーるど」の導入を決定しました。

導入の主な効果は、以下の通りです。

• 遠隔監視により定期的に行っていた巡回が不要となり、業務の効率化と人件費の削減につながった。
• トラブル時のアラート機能により、異常が発生した際に即時検知できるようになり、対応スピードが向上した。
• 温湿度データの蓄積により、栽培計画の精度が向上し、コストダウンができた。

 

長年の経験や勘に頼れない新規参入の中でも、最小限のリソースとコストで高単価な農産物の安定供給が可能となり、収益化に大きく貢献したとのことです。

温度管理の業務負担軽減や輸送品質の改善を検討されている方は、温湿度遠隔監視IoTソリューションの「みえーるど」の導入をご検討ください。

 

輸送・保管中の品質劣化を防ぐために温度管理は欠かせない

物流における温度管理の役割は、輸送・保管中の品質劣化を防ぐ点にあります。

食品や医薬品の多くは保管温度が厳格に定められており、万が一輸送・保管中に温度逸脱が発生すると、品質劣化の原因となります。

輸送品質を高め、温度管理を強化する上で欠かせないのが「温度管理システム」です。温度管理システムを導入することで、貨物の位置情報や温度データを自動で取得でき、温度管理の業務負担が軽減します。

また、無線通信を活用したワイヤレスシステムであれば、設置時の手間やコストも抑えながら導入が可能です。「手間を掛けずに温度管理を行いたい」「輸送品質を高めたい」とお考えの方は、温度管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ

輸送・保管中の商品の品質劣化を防ぐために欠かせないのが「温湿度管理」です。特に温度管理は、食品・医薬品を取り扱うすべての物流事業者が取り組む必要があります。食品業界ではHACCP、医薬品業界ではGDPガイドラインが制定されており、厳格な温度管理基準が求められています。

こうした温度管理を徹底するためには、「温度管理システム」の導入が有効です。温度管理システムを活用すれば、温度管理にかかる業務負担を軽減し、24時間リアルタイムでの遠隔監視を実現できます。

さらに、温度の計測精度も向上するため、顧客や消費者の信頼アップにつながります。HACCP義務化やGDPガイドラインへの対応を進める事業者は、温度管理システムの導入を検討しましょう。