スーパーマーケットの温度管理について解説
Contents
スーパーマーケットの温度管理が大切な2つの理由
2020年6月にHACCPが義務化されたことにより、食品の温度管理の重要性がますます高まっています。特にスーパーマーケットで温度管理が欠かせない理由は、以下の2点です。
食中毒のリスクがある
お惣菜、冷蔵品、冷凍品等、食品には品質を維持するための保管温度が決められています。
食品の温度管理を怠り、温度異常が発生した状態を放置すると、食品内で食中毒菌が繁殖し、食品事故が発生するリスクがあります。
特に鮮度が劣化しやすい魚介類や、精肉部門で加工する牛肉・鶏肉・豚肉、店内調理のお弁当やお惣菜等は、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、ブドウ球菌といった食中毒リスクが高い食品です。食品ごとに保管温度を調整する等、重点的な温度管理が必要です。
廃棄ロスにつながる
食品事故につながらなくても、温度異常が発生した生鮮食品や冷凍食品は販売できません。品質が劣化した食品は、廃棄費用を支払って廃棄する必要があります。
温度管理の仕組みが不十分な場合、食品廃棄率が高くなり、多くのムダや機会損失につながります。スーパーマーケットとしての販売責任を果たし、消費者の信頼を損なわないためにも、厳格な食品の温度管理を行うことが必要です。
スーパーマーケットの温度管理でよくある3つの課題
売り場が広いスーパーマーケットでは、温度管理や監視に課題が伴います。ここでは、スーパーマーケットの温度管理でよくある3つの課題について紹介します。
売り場が広いため、スタッフの業務負担が大きい
スーパーマーケットは売り場が広く、様々な品目の食品を取り扱っているため、温度計をチェックし、温度管理記録を作成する担当者の業務量が多いことが課題です。
食品等事業者のHACCPが義務化され、より厳格な温度管理が求められるようになった結果、現場のスタッフの負担も増加しています。
閉店中の温度異常への対応が難しい
スーパーマーケットの温度管理におけるもう1つの課題は、閉店中の温度異常への対応です。冷蔵庫や冷凍庫の故障等、閉店中にトラブルが発生すると、温度異常への対応が遅れてしまいます。
廃棄ロスや食品事故を防ぐため、閉店中でも食品の保管温度をモニタリングし、異常が発生した際には速やかに通知を受け取れる仕組みが必要です。
ショーケースの設定温度と実際の温度の乖離
また、ショーケースの使い方の誤りや構造上の問題によって、ショーケースの設定温度と実際の保管温度に乖離が発生するケースもあります。
例えば、ショーケースの冷気が十分に届いておらず、食品が適切に冷却されていない場合です。ショーケースの保管温度が食品の保管温度を逸脱していると、商品の品質劣化につながる恐れがあります。ショーケースに表示された温度ではなく、実際の保管温度に基づいて食品の品質管理を行う必要があります。
スーパーマーケットの温度管理で守るべき基準とは
スーパーマーケットでは、どのような基準に基づき食品の温度管理を行えばよいのでしょうか。
食品の品目によって、適切な管理温度は異なります。一般社団法人新日本スーパーマーケット協会によると、食品の管理温度の目安は次の通りです。※
推奨される管理温度 | 食品衛生法上の管理温度 | ||
---|---|---|---|
冷凍品 | -20℃以下 | -15℃以下 | |
冷蔵品 | 食肉 | 0℃~3℃ | 10℃以下 食肉製品の一部と 生食用牛肉は4℃以下 |
鮮魚 | 0℃~3℃ | ||
乳製品 | 3℃~5℃ | ||
青果 | 5℃~7℃ |
出典:一般社団法人新日本スーパーマーケット協会:スーパーマーケットにおけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書[pdf]
特に冷凍品や冷蔵品は、厳格な温度管理が求められます。
食品衛生法では、冷凍品は-15℃以下、冷蔵品は10℃以下で保存することが定められています。しかし、食肉や鮮魚は0℃~3℃、乳製品は3℃~5℃、青果は5℃~7℃等、品目によって推奨される管理温度は異なります。必ず食品に記載された表示を確認し、部門ごとに管理温度を細かく調整しましょう。
また、「常温品」と記載された食品でも、温度管理がまったく不要なわけではありません。日本工業規格で定められた常温(5~30℃)の基準を守りつつ、長期間の直射日光を避けて管理する必要があります。
スーパーマーケットの温度管理の解決のため、IoTサービスの導入を
2020年6月にHACCPが義務化され、スーパーマーケットにおける温度管理の重要度が一層高まりました。食中毒事件や廃棄ロスを防ぎ、スーパーマーケットとしての販売責任を果たすため、より厳格な食品の温度管理に取り組む必要があります。
しかし、従来の温度管理手法には「売り場が広いため、スタッフの業務負担が大きい」「閉店中の温度異常への対応が難しい」といった課題があるのも事実です。
そこでおすすめなのが、IoTサービスの導入です。IoTサービスを利用すれば、ネットワークを通じてリアルタイムで温度を監視し、スタッフが不在時でも温度逸脱をチェックできます。スーパーマーケットの温度管理を効率化するために、導入をぜひ検討してみてください。
物流機器・輸送機器のレンタル | upr > お知らせ > IoTソリューション > スーパーマーケットの温度管理について解説