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食品工場にIoTはなぜ必要?「シンプルなIoT」で現場の生産性向上を

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食品工場の現場が抱える2つのリスク

少子高齢化の進行に伴い、食品工場の現場を支える生産年齢人口の減少が深刻な課題となっています。農林水産省の試算によると、食品産業全体の従業員数が2040年には約557万人に減るといわれているのです。令和5年度(2023年)の食品産業の就業者数は820万人ですから、全体の約32.1%にあたる約263万人分の労働力の減少が予想されます。]

今後予測される人手不足、労働力不足により、食品工場の現場は2つのリスクを抱えます。それは、「労働者の安全衛生」と「食品事故」の問題です。

出典:農林水産省 食料産業局「第1回 働く人も企業もいきいき食品産業の働き方改革検討会 食品産業における働き方改革の推進方向について」(令和7年3月18日利用)
出典:農林水産省「食品産業に関する統計」(令和7年3月18日利用)

労働者一人ひとりの作業負荷が高まり、労災が増加する

食品製造業は、製造業全体の中でも労働災害の発生件数が多い業種の1つです。厚生労働省のまとめによると、令和5年(2023年)の製造業全体の災害発生件数は27,194件でした。そのうち、約30.75%にあたる8,363件の労働災害が、食品工場の現場で発生しています。

100人以上の事業所規模別に見ると、最も発生件数の割合が多いのは100~299人の事業所で、労働災害の発生頻度を示す度数率は2.91%でした。さらに、事業所規模が大きくなるにつれて強度率は低下し、300~499人規模では2.12%、500~999人規模では1.45%、1,000人以上の事業所では0.56%となっています。この結果からも、中小企業では労働災害リスクが高い傾向です。少子高齢化が進む中で、今後ますます現場の労働力が不足すると、従業員一人ひとりの作業負荷が増大します。その結果、作業ミスや注意不足が発生しやすくなり、死傷者を伴う重大事故が多発する可能性があるのです。

出典:厚生労働省「令和5年労働災害発生状況の分析等」(令和7年3月19日利用)
出典:厚生労働省「産業、事業所規模別労働災害率及び死傷者1人平均労働損失日数」(令和7年3月19日利用)

ヒューマンエラーが増加し、食中毒リスクが高まる

また、労働者の作業負荷が増大し、ヒューマンエラーが増加すると、食品工場における食料・原材料の品質管理にも影響が及びます。特に注意が必要なのが「食中毒」です。厚生労働省の「令和5年食中毒発生状況」によると、令和5年度(2023年)の食中毒患者のうち、「製造所」が原因施設であるものは1,169人(9.9%)です。

今後、現場の労働者不足により、食品衛生管理体制が維持できなくなれば、食品事故の発生件数が増加するリスクが高まります。

出典:厚生労働省「令和5年食中毒発生状況」(令和7年3月19日利用)

 

食品工場に適したIoTとは?「シンプルなIoT」が必要な理由

食品製造業の人手不足解決策の1つとして、「IoT(Internet of Things)」の導入が挙げられます。IoTシステムとは、工場内の機械やデバイスをインターネットに接続し、センサーが取得したデータを活用して、生産工程の効率化・自律化を図るソリューションです。例えば、食品工場にIoTシステムを導入すれば、生産ラインの保守作業の自動化や稼働状況の見える化、温度記録表の自動出力等が可能です。今後、労働力不足が深刻化しても、IoTシステムの導入によって作業の属人化を防ぎ、労災リスクや食中毒リスクの抑制につながります。

ロボット革命イニシアティブ協議会によると、食品工場に適しているのは、特定の機能や目的に特化した「シンプルなIoT」と呼ばれるシステムです。例えば、食品の温度管理に特化し、冷蔵庫・冷凍庫・陳列棚のリアルタイム温度監視や、衛生管理記録の自動作成を行うIoTシステムがこれに該当します。

「シンプルなIoT」は複雑な操作を必要とせず、ITリテラシーの高くない労働者でも扱いやすいのが特長です。そのため、あらゆる食品工場で導入しやすく、スモールスタートが可能で費用対効果が明確になりやすいことから、特に人手不足に悩みがちな中小企業に適しています。さらに、食品衛生法の改正により、令和3年6月からすべての食品等事業者に「HACCP(ハサップ)対応」が義務化されました。これを踏まえると、安全で効率的な食品衛生管理の実現に向けて、「シンプルなIoT」の導入がますます重要になるでしょう。

出典:農林水産省「ロボット革命イニシアティブ協議会:中小食品工場へのIoT利活用」(令和7年3月19日利用)
 

食品製造工場でのIoT導入事例3つ

タブレットでの管理

ここでは、食品製造業におけるIoTシステム導入事例を3つ紹介します。

スマートフォンやタブレットで「HACCP対応」を簡単一元管理

令和3年6月から義務化された「HACCP対応」では、厳格な衛生管理基準に基づき、冷凍庫・冷蔵庫・陳列棚の温度管理や定期的な衛生検査の実施、衛生管理記録の作成・保存等が求められます。

IoTシステムを導入すれば、これらの温度管理や温度監視、帳票作成といった業務を簡単に自動化できます。従来は手作業で行っていた面倒な作業も、スマートフォンやタブレットのアプリ上ですべて一元管理可能です。また、携帯電話ネットワーク等の無線通信を利用するため、配線工事等の大規模な設備投資を行う必要がありません。

「温度記録表」をはじめとした温度管理の帳票作成を自動化

HACCP対応の中でも、特に業務負荷が大きいのが「衛生管理記録」や「温度記録表」等の帳票類の作成です。作成に時間がかかることから、温度記録表を記入せずに温度管理のみを実施している食品工場も少なくありません。しかし、フードチェーンにおいて万が一食品事故が発生した場合、温度記録表がなければ、食品工場内で適切な温度管理が行われていたことを証明することはできません。温度記録表の作成は、食の安全性を対外的に証明する上で必要不可欠な工程です。

IoTシステムを活用すれば、食品の保管温度を温度計からリアルタイムで取得し、自動的に帳票として出力できます。保健所の監査時にも、クラウド上に保管された帳票データを提示するだけで済むため、現場の業務負担を大幅に軽減できます。

生産管理のデジタルシフトにより、「脱ホワイトボード」を実現

IoTシステムを導入することで、生産管理の効率化を図ることが可能です。食品工場の中には、生産の進捗状況をホワイトボードで管理しているケースも少なくありません。その場合、従業員や現場監督者は確認するたびにホワイトボードの前まで足を運ぶ必要があり、無駄な手間や時間が発生していました。

IoTシステムを活用すれば、PC・スマートフォン・タブレット等の端末を通じて、いつでもどこでもリアルタイムに進捗状況を確認できます。さらに、ガントチャート等の視覚的にわかりやすい形式で表示できるため、生産現場全体の作業効率や意思決定のスピード向上にもつながります。

 

「UPR HACCP」でHACCP対応を

uprが提供するHACCP対応パッケージ「UPR HACCP」は、高額な初期投資を必要とせず、身近なPC・スマートフォン・タブレットを利用して簡単にできる衛生管理システムです。

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システム導入で簡単に衛生管理・データを記録

一般衛生管理に必要なチェック項目を記載した標準テンプレートを搭載しており、PC、スマートフォン、タブレットから簡単に衛生管理対応をスタートすることができます。

現場の作業負担も軽減

少ない操作で日々のチェック状況をクラウド保存でき、チェック漏れや設定した温度ルールからの逸脱があればアラートメールを飛ばします。

冷蔵・冷凍庫の温度も自動記録

IoTデバイスで温度管理を自動化することで、チェック作業の省力化が実現可能です。また、通信機器やキャリアの通信サービスもワンストップでご提供でき、面倒なく導入いただけます。

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