HACCPの具体例とは?導入事例や運用方法のポイントを解説!
Contents
HACCPの基準について
2021年6月1日より義務化されたHACCPには、「基準A」「基準B」の2種類の衛生管理の基準があります。それぞれの基準のポイントを解説します。
食品工場などに適用される基準A
基準Aは、食品工場をはじめとした大規模な食品等事業者に適用される衛生管理の基準です。
食品衛生法の改正により、現在は「HACCPに基づく衛生管理」と呼ばれています。基準Aは基準Bよりも厳格な基準です。国際食品規格を定める「コーデックス委員会」のHACCP7原則12手順に基づいて、「HACCPの専門チームの編成(手順1)」や、取扱う食品の製造工程をまとめた「製造工程一覧図の作成(手順4)」など、HACCP導入にむけた適切な衛生管理体制づくりが求められます。
衛生管理計画書についても、食品等事業者が取扱う食品の特性に合わせて自ら作成しなければなりません。そのため、基準Aの対象事業者は、食品の製造・加工に直接従事する従業員が50名以上の大規模事業者や、と畜場・食鳥処理場など厳格な食品衛生管理が求められる事業者となっています。
飲食店などに適用される基準B
基準Aに対し、飲食店などの小規模事業者に適用されるのが「基準B」です。基準A同様、改正食品衛生法の施行に合わせて基準Bも名称が変更され、現在は「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」と呼ばれています。
前項で述べたように、基準Aは事業者側の負担が大きく、小規模事業者の場合はそもそも実施するのが困難でした。そこで、基準Aよりも簡略化されたアプローチを基準Bとして、従業員が50名未満の飲食店やスーパーなどを対象事業者としています。
基準Bの対象事業者は、主に一般衛生管理を中心として、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理を行うことが求められます。業種や業態によって衛生管理の基準が異なるため、厚生労働省は基準Bの対象事業者向けに手引書を提供しています。厚生労働省の手引書を参考にすれば、基準Bを満たした衛生管理を実施できます。
食品工場などのHACCP導入のポイント
食品工場など、HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)の対象事業者は、より厳格な衛生管理が求められます。原材料の受け入れや下処理、加熱・冷却工程、最終製品の出荷など、製造工程の全体の流れをイメージし、衛生管理体制を抜本的に見直しましょう。
ここでは、食品工場などのHACCP導入のポイントを3つ紹介します。
原材料の受け入れから下処理段階の管理
原材料の受け入れから下処理段階までは、「準汚染区域」と呼ばれ、食品の汚染を防ぐうえで非常に重要な工程です。
たとえば、原材料の受け入れ時の異物・虫の混入や、食品保管時の病原微生物の増殖防止など、各工程ごとに食の安全を脅かす危害要因(ハザード)を分析し、それぞれの管理方法を決めましょう。コーデックス委員会のHACCP7原則12手順でも、「危害要因分析の実施(手順6【原則1】)」が義務付けられています。
加熱・冷却工程の管理
原材料の受け入れや下処理が完了したら、加熱工程・冷却工程に進みます。加熱工程・冷却工程は「準清潔区域」と呼ばれ、食の安全のために製造工程を清潔に保つ必要がある工程です。
また、HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)でとくに重要なのが、食品の温度管理です。たとえば、大腸菌、カンピロバクター、サルモネラ菌などの病原微生物を死滅させるには、食品を適切な温度・時間で加熱しなければなりません。食品の加熱・冷却工程を重要管理点(CCP)に設定し、科学的根拠に基づいて、適切な管理基準(CL)を決定しましょう。
重要管理点(CCP)の設定後の温度管理
重要管理点(CCP)を設定したら、管理基準(CL)に基づいた衛生管理が行われているかどうか、継続的にモニタリングする必要があります。HACCP7原則12手順でも、「モニタリング方法の設定(手順9【原則4】)」が義務付けられています。
モニタリングの結果、管理基準が守られていなかったり、管理基準の修正が必要になったりしたときは、再度衛生管理計画を見直しましょう。HACCPに基づく衛生管理(旧基準A)の対象事業者は、HACCP7原則12手順を遵守して、HACCP導入を進めていくことが大切です。
飲食店などのHACCP導入のポイント
飲食店など、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(旧基準B)の対象事業者は、従来の一般衛生管理をベースに、より衛生管理体制を強化していくことが求められます。厚生労働省は飲食店などの小規模事業者が取り組むべき6つのポイントを挙げています。[注1]
- 手引書の解説を読み、自分の業種・業態では、何が危害要因となるかを理解し、
- 手引書のひな形を利用して、衛生管理計画と(必要に応じて)手順書を準備し、
- その内容を従業員に周知し、
- 手引書の記録様式を利用して、衛生管理の実施状況を記録し、
- 手引書で推奨された期間、記録を保存し、
- 記録等を定期的に振り返り、必要に応じて衛生管理計画や手順書の内容を見直す
まずは厚生労働省の手引書を参考として、HACCPに沿った衛生管理計画書を作成しましょう。ここでは、飲食店などのHACCP導入の流れを解説します。
食の安全を確保するための衛生管理計画の策定
飲食店のHACCP導入の第一歩が、「衛生管理計画」の策定です。衛生管理計画とは、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の基本的な方針や、各製造工程ごとに管理すべきポイントをわかりやすくまとめたものです。HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の対象事業者は、厚生労働省が公開している手引書を参考にして、衛生管理計画を策定しましょう。手引書は、飲食店やスーパーなど、業種・業態に合わせたものが厚生労働省のホームページ上で公開されています。手引書はHACCPに対応して作成されているため、手引書の内容をよく読み、添付の雛形やフォーマットを活用して、衛生管理計画を策定しましょう。
一般衛生管理や重要管理の方法を決める
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理は、「一般衛生管理」「重要管理」の2種類に分けられます。衛生管理計画の策定にあたって、それぞれの管理方法を決めることが大切です。厚生労働省は一般衛生管理で留意すべき点として、次の14項目を定めています。[注1]
- 食品衛生責任者等の選任
食品衛生責任者を決める - 施設の衛生管理
施設の清掃や消毒を行う - 設備等の衛生管理
設備の洗浄・消毒・整備を行う - 使用水等の管理
使用水の水質検査や、貯水槽の清掃・殺菌を行う - ねずみ及び昆虫対策
ねずみや昆虫の防除措置を行う - 廃棄物及び排水の取扱い
廃棄物や排水は適切に処理する - 食品又は添加物を取り扱う者の衛生管理
従業員の健康状態を把握し、服装や手洗いについて取り決める - 検食の実施
弁当・仕出し屋など大量調理施設の場合は検食を行う - 情報の提供
健康被害のリスクがある場合、食品についての情報を消費者や保健所に提供する - 回収・廃棄
健康被害が発生した場合、食品の回収・廃棄や、消費者への注意喚起などの適切な措置を行う - 運搬
食品の運搬に使う車両やコンテナは、適切に清掃・消毒し、運搬中に温湿度管理を行う - 販売
食品の仕入れ量を適正化し、販売中の食品の温度管理を行う - 教育訓練
食品の製造・加工に従事する従業員の教育訓練を行う - その他
仕入元・販売先の記録の保存や、自主検査の記録の保存などを行う
飲食店の場合、一般衛生管理だけでなく「重要管理」も大切です。重要管理とは、食品事故の原因となりやすい「食品の調理・提供」を対象として、管理方法を決めることを指します。
飲食店などのHACCP導入にあたっては、厚生労働省の手引書に基づいて提供するメニューを3つのグループに分類し、それぞれの管理方法を決めましょう。[注2]
食品の例 | 衛生管理のポイント | ||
---|---|---|---|
第1グループ | 加熱しない料理 | 刺身、冷奴 | 加熱を行わず、食品に付着した有害な微生物を殺菌できないため、 ・冷蔵庫より取り出したらすぐに提供する ・冷蔵庫の温度を管理する などのチェック方法を設ける |
第2グループ | 加熱して提供する料理 | ハンバーグ、焼き魚、焼き鳥、唐揚げ | 食肉など、有害な微生物に汚染された可能性のある食品を取扱うため、 ・食品の見た目を確認する ・加熱時間や温度が適切か確認する ・食品の中心部の温度を確認する などのチェック方法を設ける |
第3グループ | 加熱調理後冷却し再加熱、または、加熱後冷却する料理 | カレー、スープ、ソース、たれ | 加熱調理した食品を長時間放置すると、残存していた有害な微生物が急速に増加するリスクがあるため、 ・加熱調理後、すみやかに冷却する ・再加熱後の食品の見た目を確認する ・再加熱時の加熱時間や温度が適切か確認する などのチェック方法を設ける |
一般衛生管理で具体的に作成するもの
原材料の受け入れ基準や温度管理基準
原材料の受け入れ作業の際、まず到着した原材料の検品をおこないます。中身に問題がないかすみやかに確認するため、外観やにおいなどのチェック確認ポイントや返品する場合の基準をマニュアル化しておきましょう。
また、原材料が到着したら、冷蔵・冷凍品は冷蔵庫や冷蔵庫に保管する必要があります。食品の種類によって常温、冷蔵、チルド、冷凍など保管温度が異なります。原材料ごとの保管温度を分類し、表にまとめておくと食品の保管作業に必要な時間を短くできます。
交差汚染や二次汚染対策
飲食店における食中毒の原因の1つが交差汚染・二次汚染です。交差汚染・二次汚染とは、病原菌に汚染された食品に触れた手指や調理器具を介して、別の食品を汚染してしまうことを指します。
食品を保管するときや調理するときは、「調理器具を介した二次汚染」「従業員の手指を介した二次汚染」「肉や魚などから染み出たドリップによる交差汚染」の3つに注意する必要があります。調理器具の洗浄殺菌やこまめな手洗いはもちろん、肉や魚などを保管するときはドリップが垂れないよう、蓋付きに容器に入れて冷蔵庫の下段に保管しましょう。
器具や製造機器の洗浄殺菌
食品の二次汚染を防ぐため、調理に使用した器具や製造機器は、使用後必ず洗浄殺菌をおこなう必要があります。きちんと洗浄殺菌ができたか確認するため、「目に見える汚れがないか」「食品のにおいが残っていないか」など、具体的なチェック項目を設けましょう。
日本食品衛生協会の作成した手引書によると、調理器具や製造機器は次の手順で洗浄殺菌をおこなう必要があります。[注3]
洗浄殺菌の手順 | |
---|---|
まな板、包丁、へら | ①水道水で水洗いし、目に見える食品、汚れを取り除きます
②スポンジタワシに洗剤をつけ、泡立ててよく洗浄します ③水道水でよく洗剤を洗い流します ④熱湯、塩素系殺菌剤または 70%アルコールなどにより殺菌します ⑤よく乾燥させ、清潔な場所で保管します |
ふきん、タオル | ①水道水で水洗いします
②洗剤をつけ、泡立ててよく洗浄します ③水道水でよく洗剤を洗い流します ④可能であれば、沸騰したお湯で5分間以上煮沸殺菌、または、塩素系殺菌剤で殺菌を行います ⑤清潔な場所で乾燥、保管します |
トイレの洗浄
食品の二次汚染を防ぐには、従業員が日常的に利用するトイレの衛生管理も重要です。
トイレの衛生対策が十分でない場合、腸管出血性大腸菌やノロウイルスなどを原因とする食中毒が発生する可能性があります。トイレの利用後はきちんと手洗いをするのはもちろん、利用中は上着を脱ぎ、飛沫や跳ね返りが付着しないようにすることも大切です。
また、トイレの蓋やドアノブなど、人の手が触れる可能性のある場所は定期的に消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウムなどで拭き取り、殺菌消毒をおこないましょう。
従業員の健康、衛生管理
食品の汚染を防ぐため、従業員の健康管理に気を配ることも大切です。
従業員に下痢や嘔吐の症状がある場合は、ノロウイルスを始めとしたウイルス性食中毒が疑われるため、すみやかに帰宅させましょう。正式な診断がわかるまでの間は、食品に直接手を触れる業務に従事させないことも大切です。
そのほか、従業員の衛生管理に関するチェックシートを作成し、以下の項目に当てはまる従業員がいないかチェックしましょう。
- 下痢や嘔吐の症状がないか
- 手指に傷がないか
- 使い捨て手袋を使い回していないか
- 衛生的な作業着を着用しているか
- 髪が清潔な状態で、髪ゴムなどで結ばれているか
- 指輪や腕時計などを装着したままにしていないか
衛生的な手洗いの実施
従業員入場工程 | いつ | 従業員入場時 |
---|---|---|
だれが | 総務担当者 | |
問題があった時の対処方法 | 体調チェック表に体温・体調・爪の状態を確認する。 問題があった場合は帰宅させる。 |
|
原材料受け入れ工程 | いつ | 原材料受け入れ時 |
だれが | 原材料受け入れ担当者 | |
問題があった時の対処方法 | 減量基準に満たないものはドライバー経由で返品する | |
下処理工程 | いつ | 始業終業時 |
だれが | 下処理担当者 | |
問題があった時の対処方法 | 刃物に欠損があった場合は即作業を中止して上長に報告する | |
温度管理工程 | いつ | 工程巡回時 |
だれが | 工程巡回担当者 | |
問題があった時の対処方法 | 60分に1度の巡回時に保管庫の温度が逸脱していた場合、上長に報告する。 保管原材料の破棄するか否かの判断をする。 |
一般衛生管理の基本は、従業員1人ひとりがきちんと衛生的な手洗いを実施することにあります。肉や魚を取り扱った後、トイレの利用後、金銭のやりとりがあった後など、こまめに手洗いをすることが大切です。
日本食品衛生協会の作成した手引書によると、衛生的な手洗いの手順は次の通りです。[注3]
- 流水で手を洗う
- 洗浄剤を手に取る
- 手のひら、指の腹面を洗う
- 手の甲、指の背を洗う
- 指の間(側面)、股(付け根)を洗う
- 親指・拇指球(親指の付け根のふくらみ)を洗う
- 指先を洗う
- 手首を洗う
- 洗浄剤を十分な流水でよく洗い流す
- 手を拭き乾燥させる
- アルコールによる消毒
※②から⑨までを2度繰り返すとより効果的
計画に基づいて実行する
一般衛生管理の計画を立てたら、計画に基づいて衛生管理をおこないます。従業員1人ひとりにきちんと衛生管理を実施してもらうには、一般衛生管理の作業手順を書き出し、衛生管理マニュアルを作成しておくと効果的です。
衛生管理マニュアルを作成すれば、新しい従業員が加わった際もマニュアルを見せながら衛生管理をおこなうことができます。また、定期的に従業員教育を実施し、衛生管理の手順やポイントを周知することで、計画に基づいた衛生管理を確実に実施できます。
記録・確認する
最後に、一般衛生管理や重要管理がきちんと行われているかどうかチェックするため、従業員が記録・確認する仕組みをつくる必要があります。日々の衛生管理の取り組みは、「衛生管理記録」として記録し、いつでも利用できるように保管しておきましょう。
もし食品事故が発生した場合、衛生管理記録が保管されていれば、すみやかに原因究明を行うことができます。異常やトラブルが起きた場合は、衛生管理記録に具体的に記載しておくことが大切です。衛生管理記録の様式は、厚生労働省の手引書に添付されています。
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【菓子製造業】HACCP導入事例
学校給食用のコッペパンの製造メーカーで、HACCPに基づき衛生管理を改善した事例です。菓子製造業特有の悩みや、HACCP導入のポイントを解説します。
穀物害虫や金属片が混入するリスク
菓子製造業で注意が必要なのが、異物混入のリスクです。
たとえば、コッペパン製造に使う小麦粉の保管の際、保管場所で小麦粉の残滓が放置されていると、穀物害虫が発生し、小麦粉に混入する恐れがあります。
また、パン生地のミキシングや焼成の工程で、金属製の金型や機器が破損し、金属片が混入するリスクにも注意が必要です。コッペパンへの異物混入を防ぐため、各工程での危害要因(ハザード)を分析し、異物混入の恐れがある工程をすべて洗い出す必要があります。
「危害要因リスト」を作成し、潜在的な危害要因(ハザード)を網羅
そこで役に立つのが、「危害要因リスト」の作成です。
危害要因リストとは、原料の受け入れ・製造・出荷の全行程で発生しうる潜在的な危害要因(ハザード)を洗い出し、表にまとめたものです。
この菓子製造業の事例の場合、原材料や包装資材の保管から、パン生地のミキシング・焼成、箱詰めや出荷まで、全工程を26に分類し、個々の危害要因を全てリストアップしています。
その結果として、異物混入リスクについては、「小麦粉の保管」の際の穀物害虫の混入リスクや、「ミキシング(中種混捏、本捏)」「分割・丸め・中間発酵」「焼成」の工程での金属片のリスクがあることがわかりました。
【製麺業】HACCP導入事例
続いて紹介するのは、冷凍うどんの製造メーカーで、HACCPの7原則12手順に基づき、衛生管理上欠かせない「重要管理点(CCP)」を特定した事例です。
どの工程に衛生管理の力点を置くか
HACCPによる衛生管理では、危害要因(ハザード)が発生しやすい重要管理点(CCP)を見抜き、HACCPプランを作成する必要があります。たとえば、冷凍うどんの製造工程では、以下のような危害要因が考えられます。
- 病原微生物の汚染(生物要因)
- 病原微生物の増殖(生物要因)
- 耐熱芽胞菌の残存(生物要因)
- 金属異物の混入(物理要因)
しかし、一般衛生管理の範囲で排除できる危害要因も存在します。食品事故が起きやすい重要管理点を特定し、衛生管理の力点をどこに置くかを考えることが大切です。
「危害要因リスト」を作成し、重要管理点(CCP)を特定
こちらの事例でも、「危害要因リスト」を作成し、各工程が重要管理点に当たるかどうかを検討します。
まず、「病原微生物の汚染」「病原微生物の増殖」「耐熱芽胞菌の残存」といった生物要因が発生しうる工程を洗い出した結果、うどんを98℃以上の温度で10分茹でる工程で、ほとんどの病原微生物が死滅することがわかりました。
また、加熱後のうどんをすみやかに冷却・凍結すれば、耐熱性芽胞菌の増殖リスクを抑えられることがわかりました。
しかし、「金属異物の混入」という物理要因については、箱詰め前に金属検出を行う工程で、金属検出器の異常により金属片を排除できない可能性があります。
そのため、「金属異物の混入」をCCPに設定して、金属検出機が稼働しているかどうかのモニタリングを実施し、「金属検出器モニタリング記録」を作成するようにしました。
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【冷凍食品製造業】HACCP導入事例
こちらは、画像処理システムの導入により、異物混入対策の省力化に成功した冷凍食品製造業の事例です。
異物混入対策の業務負担が大きい
冷凍食品製造業の生産ラインでは、食品の製造・放送・出荷の過程で、工場内のほこりや金属片などの異物が混入するリスクがあります。
こちらの事例では、これまでラインに作業者がつき、目視で容器を1つずつ確認することで異物混入対策を行っていましたが、作業者の業務負担が大きいことが課題となっていました。
また、目視でモニタリングを行う以上、見落としなどのヒューマンエラーも避けられません。そこで、異物混入対策の「効率化」「精度アップ」の2つが課題でした。
画像処理システムを導入し、異物混入対策を自動化
こちらの事例では画像処理システムを導入し、異物混入対策を自動化しました。
画像処理システムのカメラは2100万画素と高精度で、人間の目で発見できない小さな汚れ・ほこり・金属片を発見できます。
また、作業者が容器を1つひとつ確認し、目視でモニタリングを行う必要がなくなったため、現場の業務負担の軽減や、人件費の削減につながりました。
食品製造業では、人手不足が大きな課題となっています。IoTシステムの導入には初期投資が必要ですが、HACCP対応の自動化により、生産性を向上させることが可能です。
【飲食店・レストラン】HACCP導入事例
複数店舗を展開する飲食店・レストランの事例では、ペーパーレス記録計の導入により、食品の温度の計測・記録の自動化に成功しました。飲食店・レストランならではのHACCP対応の悩みや、取り組み時のポイントを見てみましょう。
温度管理の記録には手間も時間もかかる
飲食店・レストランでは、食品の温度管理が衛生管理における重要管理点(CCP)です。
食中毒菌をはじめとした病原微生物の汚染・増殖をふせぐため、食品加熱時に温度管理を行い、適切な基準値に収まっているかどうかをモニタリングしなければなりません。
しかし、こちらの事例では複数店舗を展開していることもあり、温度管理の記録付けを行っていませんでした。
食品加熱時の温度管理は、作業者に管理基準(CL)を通達し、温度逸脱がないか、焼成時間は十分かを各自判断させていました。
しかし、温度管理の記録を残していないため、適切に加熱しているかどうかを証明できない状態に陥っていました。
ペーパーレス記録計により、常時監視・記録を実現
こちらの事例では、温度・時間を計測可能な「ペーパーレス記録計」を導入し、常時監視・記録を実現しました。
ペーパーレス記録計があれば、加熱中の食品の表面温度や中心温度を自動で計測できます。また、温度の記録はデータとして保存されるため、適切な管理が行われていたかどうかをいつでも確認できます。
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HACCP対応なら「UPR HACCP」の導入がおすすめ
HACCPによる衛生管理の導入なら、HACCP対応オールインワンパッケージ「UPR HACCP」がおすすめです。「UPR HACCP」には、次のような機能があります。
- 管理基準(CL)を監視し、逸脱時にアラートでお知らせ
- データはクラウド環境で保管され、HACCP対応のペーパーレス化を実現
- PC・スマホ・タブレットで使える、ムダのないシンプルなUI設計
- テンプレートを使い、簡単に衛生管理計画書や衛生管理記録を作成可能
「UPR HACCP」なら、スマホやタブレットで、危害要因リストをはじめとした衛生管理計画書をワンストップで作成可能です。ペーパーレス化により、温度管理などの記録の作成・保管の手間がかかりません。
また、温度逸脱時にアラートでお知らせする機能もあり、現場の作業者の業務負担を大きく軽減することが可能です。
HACCPの導入事例を知り、HACCP対応に向けた取り組みを
これからHACCPによる衛生管理を取り入れる方は、さまざまな業種の導入事例を知り、取り組み時のポイントを知ることが大切です。この記事では、「菓子製造業」「製麺業」「冷凍食品製造業」「飲食店・レストラン」の4つのHACCP導入事例を紹介しました。
菓子製造業 | 「危害要因リスト」を作成し、潜在的な危害要因(ハザード)を網羅 |
---|---|
製麺業 | 「危害要因リスト」を作成し、重要管理点(CCP)を特定 |
冷凍食品製造業 | 画像処理システムを導入し、異物混入対策を自動化 |
飲食店・レストラン | ペーパーレス記録計により、常時監視・記録を実現 |
2021年6月より、日本でもHACCPが完全義務化されます。この記事で紹介した導入事例を参考にして、HACCP対応に向けて取り組みを進めましょう。
[注1]厚生労働省:HACCPの普及・導入支援のための実態調査結果[pdf]
[注2]厚生労働省:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)[pdf]
[注3]公益社団法人日本食品衛生協会:HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)[pdf]
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