CPS(サイバーフィジカルシステム)とは?IoTとの違いは?
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近年において、IoTという言葉が一般にも普及してきていますが、段階は一歩進み「どう生かすのか」に話題がシフトしてきています。そんな中、耳にする機会が増えているのが「CPS」というフレーズです。CPSとは一体どのようなものなのでしょうか。今回は、IoTとの違いやCPSが現在注目されている理由等について解説していきます。
CPS(サイバーフィジカルシステム)とは
CPSとは、Cyber-Physical Systemの頭文字を取った略称です。フィジカルシステムとは現実世界に存在する物理的なシステムを差し、センサーシステムが収集した情報をサイバー空間でコンピューター技術を活用して解析します。このプロセスにより、経験や勘に頼らず、定量的な分析を行うことで、あらゆる産業において効率化や確信を目指す取り組みです。
例を挙げれば、自動運転がわかりやすいでしょう。自動車のセンサーがフィジカルの様々な情報を収集し、AI・IT技術(サイバー)が分析した上で、駆動系(フィジカル)を動かします。この流れは自動車に限らず、ロボットやドローン等でも、基本的には共通しています。
IoT(モノのインターネット)とは?
すでにご存じの方も多いと思いますが、IoTは「Internet of Things」の頭文字を取った略称で、「モノのインターネット」と訳されます。これは、コンピューターだけでなく、スマートフォンやタブレット、家電等、あらゆる製品=モノがインターネットに接続され、センサーやアクチュエーターを備えたデバイスとして機能し、膨大な情報がインターネットを介して伝達されることです。
また、企業の運営や人々の生活において急速に普及が進んでおり、2020年には市場規模が3,281億ドル、デバイス数が253億個にまで達しました。※その後も成長が続き、IoTはますます重要な役割を果たしています。
CPSとの大きな違い
ここまでを読んでわかるように、CPSとIoTは似ている概念だと言えます。その違いは、IoTがクラウド等のサイバー空間に「つながること」を強く意識しているのに対し、CPSはサイバー空間上での分析・解析および現実世界へのフィードバックまで含めていることです。
つまり見方にはよっては、IoTはCPSにおける情報伝達までを担う一部だとも考えられるでしょう。より包括的な概念がCPSには含まれています。
CPS(サイバーフィジカルシステム)が今、注目されている理由
CPSの大きな特長は、前述の通りデータを定量的に解析し、フィードバックまでを含むことにあります。つまり、自動運転で言えばドライバーそれぞれの経験や勘ではなく、天候等の外的な数字を合わせた客観的なデータをもとに、自動車をコントロールします。
フィジカルを動かすという意味で、近年複雑化が進んでいる組み込みシステムとの関連性は強く、サイバーと実世界にまたがる包括的な設計手法が求められるようになりました。
また、ITが自動車等の製品単体を制御するだけにとどまらず、交通全体や医療、製造、エネルギーといったあらゆる分野に影響を与えるようになったことも大きな要因でしょう。社会インフラと言えるまでになったITですが、複雑に絡み合うシステムをどうコントロールしていくのかというのは、今後ますますの課題となり必然的にCPSへの注目も高まっています。
そのほかに、ニーズの高まりに伴いCPS関連の技術が発展・普及し、導入コストが安価になったことも見逃せません。これまでは検討の余地がなかった分野においても導入が進むことで、そこに追従しようというムーブメントが大きくなっています。
日本でのCPS(サイバーフィジカルシステム)の導入事例
わかりやすい例として自動運転を挙げましたが、そのほかの領域においても、CPSの導入は積極的に行われています。まず前提となるのが、日本政府の施策です。文部科学省が2011年度には、「目的解決型のIT 統合基盤技術研究開発の実現に向けたフィージビリティスタディ(FS)」、2012年度からは「社会システム・サービス最適化のためのサイバーフィジカルIT統合基盤の研究」を実施しています。※このように、国策としてCPSの普及を後押しする取り組みが行われています。
実際の各産業の現場でも、コンビニでは店舗内センサーを設置し、照明・空調機器の制御を行うことで、約10%の省エネを実現しました。陸上交通おいては、「ITS(Intelligent Transport Systems)」の導入により、登録車の位置・速度情報の収集および輸送効率化をするほか、船舶分野では燃料消費量の最小化に向け、天気・海の状況や過去の運航データをもとにした解析で、運行計画の最適化が進められています。
そのほかの業界でも、CPSの基本的な原理はそのままに、医療・農業等の分野で、導入へ動きが進められるようになり、この流れは今後ますます波及していくと考えられるでしょう。
出典:文部科学省-社会システム・サービス最適化のための サイバーフィジカルIT統合基盤の研究
まとめ
現実空間とサイバー空間が一体化し、データの収集から蓄積、解析、フィードバックまでを一貫して行えるのがCPSです。
すでにITが社会インフラとなり複雑化が進む時代において、CPSは今後はますます存在感を高めていくでしょう。世の中の核となる技術として、「すべての前提」となる日も遠くはないはずです。
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