エアコンをIoT化するメリットとは？機能や導入効果例を紹介【IoT活用事例】

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IoTとは？

IoT(Internet of Things)とは、モノ同士がインターネットでつながり、高い付加価値を生み出す仕組みのことです。

IoTを活用することで、遠隔操作やモニタリングが可能となり、膨大なデータを収集・分析することで、新たな製品やサービスを生み出せます。特に製造業では、IoTによる生産設備の自動化が進み、「第4次産業革命(インダストリー4.0)」として注目されているのです。

IoT化は大規模な生産システムに限らず、日常の設備にも広がっています。設備にセンサーシステムを搭載し、稼働データを集めて運転状況を「見える化」することで、設備の効率的な運用が可能となるためです。

例えば、必要なときにのみ設備を稼働させることで、インフラの長寿命化が図れ、ライフサイクルコストの抑制につながります。また、稼働時間の短縮による消費電力の削減により、電気代をはじめとしたエネルギーコストの低減にも期待できます。

そこで、近年特に注目を集めているのがエアコンのIoT化です。最新技術を活用することで、節電や省エネを実現するだけでなく、温度を均一に保つことで快適なオフィス環境を整備し、業務効率の向上を促進します。

今回は、エアコンのIoT化の仕組みやそのメリット、活用事例についてご紹介していきます。

エアコンのIoT化のメリット

エアコンをIoT化することで得られるメリットは次の3つです。

• その場にいなくてもエアコンを操作できる
• 消費電力を見える化し、省エネを実現できる
• 学習データを蓄積し、最適な運転モードを選択できる

IoTの特長の1つが、「遠隔操作やモニタリングが可能になること」です。エアコンをIoT化することで、利用者が外出中でも、スマートフォンやタブレットを用いて手軽にエアコンのオン・オフを操作できます。さらに、エアコンの稼働データを集めることで消費電力を見える化することで、節電意識の向上にもつながります。また、AIが搭載されたエアコンであれば、利用者の生活パターンや気象データ等を学習し、自動で最適な運転モードを選ぶことも可能です。

IoT化したエアコンの機能例

IoT化されたエアコンには、具体的にどのような機能があるのでしょうか。ここでは、一般的なIoTエアコンに見られる3つの機能例を紹介します。

生活パターンに基づく省エネ運転機能

前述の通り、IoT化されたエアコンには、利用者の生活パターンを学習し、最適な運転モードを自動調整する機能があります。例えば、家族が会社や学校に行く時間帯をエアコンが学習すれば、不在時に向けて徐々に運転を弱めることで、消費電力を効率的に抑えることが可能です。さらに、外出時の運転を適切に調整することで、外気と室温の差を抑え、寒暖差が激しい季節に起こりやすい体への負担を減らせます。

気象予報に基づく先回り運転機能

IoT対応のエアコンは、インターネットを通じて気象データを取し、天候の変化に応じた最適な運転を自動で行えます。利用者が操作する前に先回りして稼働することで、部屋を常に最適な温度に調節し、冷房や暖房の過剰利用を防ぎ、節電に貢献します。さらに、エアコンに会話機能を搭載すれば、気象予報等の最新情報を音声で通知することも可能です。

不在時の「お出かけ運転」機能

短時間の外出や買い物のたびにエアコンをオフにするのは手間がかかります。しかし、IoT対応のエアコンなら、人感センサー等を活用して家族の不在を検知し、自動でエアコンの運転を弱めることが可能です。ポイントとなるのが、エアコンのスイッチを完全にオフにしない点です。数分から数十分の短時間の不在時は、エアコンを消すよりも運転を弱めた方が消費電力を抑え、省エネ効果が高まります。不在時の「お出かけ運転」機能を活用することにより、より効率的なエネルギー管理が実現できます。

オフィスのエアコン利用に関わる課題

オフィスのエアコン利用に関わる課題として、以下のような具体的な問題が挙げられます。

• エアコンの電気料金が年間数百万円にも上っており、節電による経費削減を検討している。
• 環境温度に合わせてエアコンの設定温度や風量を調節するのは難しく、自動で温度を調整できるようなシステムを求めている。
• 全国の支店や店舗、工場等の拠点の空調管理を適切に行い、無駄な電力を消費しないような効率的なシステムを求めている。
• 小規模なオフィスでも効率的な空調管理を実現したい。

エアコンのIoT化の要素技術・役割分担

デバイス

各エアコン(空調機)にコントローラーを接続し、風量、設定温度、運転時間等のデータを定期的に収集します。ただし、エアコンメーカによってはコントロールできない機種もあるため注意が必要です。加えて、コントローラー側で独自に￥温度・湿度を測定できるセンサーを設置し、より詳細な環境データを取得します。

ネットワーク

オフィスや店舗等の場合は、コントローラーを現地のインターネット回線に接続し、データをクラウドへ送信します。また、無人の設備や遠隔地の場合は、公衆無線通信網を利用し、クラウドシステムにデータを送信します。

クラウド

クラウド上で5分ごとにエアコン(空調機)の運転データと当該場所の温度・湿度を収集・分析します。設定温度が実際の室温に対して適切かを自動判定し、必要に応じてエアコンの設定を遠隔操作によって調整します。

スマートリモコン

スマートフォンを用いて、外出先からエアコンのON/OFFや温度調整を遠隔操作できます。家庭向けでは、スマートスピーカーと連携することで、音声による操作も可能です。

IoTエアコンにおけるユーピーアールの強み

IoTエアコンにおけるユーピーアールの強みとして、まず、豊富なIoTソリューションのコンサルティング実績を活かし、デバイスやサービスのパートナーの中から最適な組み合わせを提案できる点が挙げられます。

また、設備管理者の要望に応じて、デバイス・プラットフォーム・アプリケーションを組み合わせたパッケージシステムを選定し、必要に応じてカスタマイズすることで、開発コストをできる限り抑えながら、効率的にIoTサービスを導入することが可能です。例えば、空調制御までは不要な場合、「温度・湿度のリアルタイムモニタリング」等の限定機能のみを備えたシステムを導入すれば、限られた予算内でも最大限の効果を期待できます。

さらに、アプリケーションのニーズは各企業ごとに異なるため、ユーピーアールの開発スタッフがコンサルティングを担当し、お客様のニーズに沿った最適なシステム構築を提案します。システム検討から開発まで、一貫したサポートを提供し、スムーズな導入を支援することが可能です。

当社は、ゼロベースからニーズに応じたシステムを開発できる「技術力×コンサルティング力」を強みとする企業として注目を集めています。

一般的なパッケージ商品では、特定のアプリケーションを開発することはできても、各社が求める細かなニーズや個別の運用ルールに柔軟に対応することが難しいのです。そこで当社では、社内の開発スタッフが直接コンサルティングを行い、システムの提案から構築、運用のサポートまでを一貫して提供します。豊富なIoTソリューションの実績を活かし、クライアントごとに最適なシステム開発を実現しているのです。

エアコンのIoTシステムの構築はその一例にすぎませんが、省エネや節電、さらには企業のCSR活動の一環として、環境保全にも大きく貢献しています。多彩な要望に対して的確にカタチにできるユーピーアールのソリューション力を、ぜひご活用ください。

IoTエアコンの導入効果

センサーを活用して定期的に温度・湿度を測定することで、適切な温度管理が可能になります。さらに、冷媒潤滑油の熱交換効率を向上させる対策も並行して実施するため、エアコンの稼働効率が向上し、電気料金が30～60％程度削減できます。

従来のデマンドコントロールが電力のピークカットを目的とするのに対し、IoTエアコンは過度な消費電力を自動制御する仕組みです。センサーによる温度管理によって室内の温度が安定し、消費電力そのものを抑えられるため、ストレスなく快適な環境を維持しながら、省エネを実現できます。

また、エアコンの温度設定は1台ごと(リモコン単位)に個別調整が可能です。例えば、サーバー等の熱源が多く冬期でも冷房が必要な場所のみに冷房を設定をすることもできます。これにより、製造現場や倉庫等での製品の品質向上にも役立ちます。

さらに、湿度の高い箇所では定期的な除湿運転を行ったり、昼休みの時間帯のみ弱運転に設定したりする等、運用に応じた柔軟なカスタマイズも可能です。

IoTエアコンのさらなるメリット

IoT化されたエアコンは、単に自動制御をするだけでなく、インターネット回線を活用して遠隔管理ができることも大きなメリットです。

本社にいながら店舗や支店オフィスの環境を一元的に管理できることはもちろん、無人の店舗や施設内の空調も遠隔で制御できます。これにより、節電や省エネだけでなく、人手不足が深刻化する日本において、限られた人員で効率的にオフィス環境を管理することが可能です。

また、農業の分野においては、ビニールハウス栽培の温度管理を遠隔操作によって行うこともできるようになり、設備管理担当が不在の無人施設でも本部で一括管理することができます。さらに、高齢者施設や住宅の温度管理を外部から遠隔操作によって制御することで、近年問題になっている高齢者の熱中症問題にも化によってクリア貢献できる可能性があるのです。

このように、「温度・湿度のリアルタイムモニタリング」を活用することで、様々な分野において小規模な投資で高い省エネ効果を実現し、同時に効率的な人材活用につなげることができます。

IoTエアコンを小規模オフィスへ導入する際の効果

エアコンのIoT化は、オフィスの規模が大きいほど節電効果も高まる傾向があります。しかし、従業員数が少ない中小企業では一般家庭用エアコンを利用しているケースも多く、そのような環境でもIoT化によるメリットは十分にあります。

まず、小規模なオフィスでは、スマートリモコンを導入することで、メーカーや機種に関係なくエアコンのIoT化が可能です。これにより、外出先からスマートフォンを通してエアコンの操作を行うことはもちろん、GPSシステムと連携しオフィスに近付いた時点で自動的にエアコンを起動させることも実現できます。スマートリモコンは一般家庭用としても普及しているデバイスのため、導入が簡単でコストも比較的安価な点もメリットの1つです。

大規模なオフィスほどの節電効果は見込めないものの、スマートリモコンは手軽にIoT化ができ、高い利便性を実感できるデバイスの1つといえます。

IoTによる制御が地球温暖化を抑制する

近年の猛暑や大雪といった異常気象によって、地球温暖化を実感している方も多いのではないでしょうか。環境保全が世界的な課題となっている中、エコや省エネ、節電は一般家庭だけではなく、企業にとっても重要なテーマとなっています。昨今では省エネ性能の高い最新家電も続々と発売されている中でも、エアコンは消費電力が大きく、稼働時間も長いため、節電や省エネと密接な関係にある家電の1つです。

「エアコンは電源をオンにした際に最も電力を消費するため、付けっぱなしの方が電気代は安くなる」という意見もありますが、これは稼働しない時間が短い場合に限られます。1日の業務終了後から翌日の朝までエアコンをつけっぱなしにしていると、当然ながらエアコンの消費電力は増えるため省エネにつながるとはいえません。一般的な企業のオフィスでは、就業後にエアコンをオフにする方が節電につながります。

節電や省エネの手段は様々ですが、その中の1つが再生可能エネルギーの活用です。近年、スマートハウス、スマートシティといった概念が広がり、太陽光発電による自家発電を活用する動きが進んでいます。電力の自由化を背景に、メガソーラーや風力発電への投資を積極的に行う企業や投資家も増えています。

そして、現在市場で大きな注目を浴びているのが、IoT技術を活用した自動制御機能による省エネ手法です。無駄なエアコンの稼働を自動で制御し、電力消費を最適化することで、高い省エネ効果が期待されています。一般家庭への導入はこれからの段階ですが、企業のオフィスや農地、工場等の事業分野では、すでに導入が進み始めています。

IoT家電による経費削減

IoT家電がこれからの主流になっていくことは間違いありません。今回ご紹介したエアコンに限らず、冷蔵庫や洗濯機、テレビ、オーディオ等、一般家庭の様々な家電にもIoT技術が浸透していくでしょう。

企業においても、オフィスの照明やトイレ混雑管理システム、エレベーター等にIoTを活用する事例が増えています。オフィス環境の最適化や、省エネ・節電の観点からも、今後さらに様々なオフィス機器のIoT化が進むことは間違いありません。

企業にとってオフィスや工場の電気料金削減は、大きな課題の1つです。毎月の固定費として発生するコストだからこそ、多少の初期投資を掛けてでもエアコンをIoT化し、ランニングコストを抑えることが長期的なメリットにつながります。

当社へのIoTソリューションに関するご相談は年々増え続けており、これまでに多様なシステムの開発・導入実績を積み重ねてきました。ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。