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IoTシステムで実現できることとは?適用シーンと併せて解説

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IoT

 

IoTの仕組みは?センサー・ネットワーク・クラウドの3つの構成要素

IoTシステムは、「センサー」「ネットワーク」「クラウド」の3つの要素で構成されています。

まず、様々なデバイスからデータを取得し、製品やサービスに活用するためには、マイコン(CPU)を搭載したセンサーデバイスが必要です。代表的なセンサーデバイスには、温度センサー・照度センサー・加速度センサー・GPS・流量計等があり、目的に応じて最適なものが選ばれます。

センサーデバイスによって収集した膨大な量のデータは、Wi-FiやBluetooth等の無線通信ネットワークや、あるいは3G・4G(LTE)・5Gといった携帯電話回線(移動体通信システム)を通じて、クラウド環境に送信されます。こうした大規模データは「ビッグデータ」と呼ばれ、従来型のデータベースでは処理が困難なため、AI(人工知能)を活用したデータ分析が行われるのが一般的です。

IoTデバイスから収集されたビッグデータを分析・可視化することで、既存の製品やサービスの効率化に加え、新たなビジネスチャンスの創出につながります。

 

IoTが普及した理由は?コストダウンとサイズダウンがきっかけ

総務省の「令和6年版 情報通信白書」によると、IoTデバイスは急速に増加しており、2027年には全世界で572.6億台に達すると予測されています。

IoTはなぜ普及しているのでしょうか。その鍵を握るのは、コストダウンとサイズダウンの2点です。

出典:総務省「情報通信白書令和6年版データ集」
(令和7年3月24日利用)

要素技術のコストダウンに成功

第1の理由が、IoTシステムに欠かせないセンサーデバイスや通信モジュールの低価格化が進んだことです。

要素技術のコストダウンにより、多額の設備投資が難しい町工場や中小企業においても、比較的容易かつ低コストでIoTシステムの導入ができるようになりました。

サイズダウンによりウェアラブル機器も増加

もう1つの理由は、センサーデバイスや通信モジュールが大幅に小型化したことで、よりコンパクトなIoTシステムの構築ができるようになった点です。

従来の携帯電話・スマートフォンに加えて、「いつでも・どこでも・継続的に」データを取得・活用できるIoTシステムの設計が実現可能となり、IoTは私たちの生活のあらゆる場面へと浸透しつつあります。

 

IoTシステムの6つの活用事例

ここでは、IoTが積極的に取り入れられている6つの分野を紹介します。

スマートハウスで快適な暮らしを実現

スマートハウスとは、家電製品や住宅設備機器にIoT技術を取り入れた次世代型住宅のことです。例えば、スマートフォンのアプリを利用して外出先から家電を遠隔操作したり、AIが住環境に応じて室内の温度や照度を自動的に調節したりすることで、より便利で快適な暮らしを実現します。

都市全体がネットワークにつながるスマートシティ

スマートシティとは、個々の住宅にとどまらず、都市全体がネットワークでつながることで、公共サービスの効率化や、省エネルギー・CO2排出量の削減等を実現する次世代型の都市モデルです。交通、エネルギー、医療、行政、防災といったあらゆる分野の情報がリアルタイムで共有・連携され、市民の利便性向上や都市機能の最適化が図られます。

バス利用が便利になるバスロケーションシステム

すでにIoTの活用が進んでいる例の1つが、バスの運行状況を見える化する「バスロケーションシステム」です。各バスにGPSを搭載し、リアルタイムで位置情報を取得・分析することで、バスの現在地や到着予測時刻、さらには道路の混雑状況までも可視化できます。

ヘルスケア分野でもIoTの活用が進む

ヘルスケアサービス分野でも、IoTへの注目が急速に高まっています。スマートウォッチ等のウェアラブルデバイスに内蔵されたセンサーを活用することで、心拍数や体温、睡眠状態、活動量といったユーザーの生体情報のモニタリングが可能です。収集されたデータは、生活習慣のアドバイスや、疾患の早期発見、リモート診療等の医療サービスの質の向上にも活用されています。

自動運転技術にもIoTは欠かせない

自動運転技術の分野においても、IoTは重要な役割を担っています。自動車を安全かつスムーズに走行させるためには、センサーデバイスを活用して、車両の位置情報や走行状態、周辺の交通・道路状況等をリアルタイムで取得することが必要です。こうして収集された膨大なデータはクラウド環境に送信され、AIや各種アルゴリズムによって即時に分析・処理されます。この一連のデータ収集から分析までのプロセスにおいて、IoT技術は大きな役割を果たしているのです。

スマート工場で生産工程の効率化・自律化を実現

スマート工場とは、生産ラインや工作機械にIoT技術を導入することで、生産工程の効率化・省人化を目指す取り組みです。

例えば、各設備にセンサーデバイスを搭載することで、機械の稼働状況や異常の兆候をリアルタイムで把握でき、予防保全の実施やメンテナンス費用の削減に役立ちます。また、経済産業省は平成28年度(2016年)に「スマート工場実証事業」を立ち上げ、中小企業を中心とした「スマートものづくり」の推進に向け取り組んでいます。

出典:経済産業省「平成28年度IoT推進のための社会システム推進事業(スマート工場実証事業)成果報告」
(令和7年3月24日利用)

 

IoTシステムとは?「モノのインターネット」を活用した情報システム

IoTシステムとは、モノのインターネットとも呼ばれる「IoT(Internet of Things)」を活用した情報システムを指します。IoTは、3G回線や無線LAN、Bluetooth等のネットワークを用いて、様々なモノとインターネットを接続する技術です。

スマートフォンやタブレットだけではなく、家電製品、自動車、工場設備、発電システム等もインターネットとつながることで、従来よりも高度で利便性の高い情報システムの構築ができるようになりました。

インターネットを通じてデバイスをリモート制御できるIoTシステムを導入すれば、現場にいなくても遠隔から操作が可能です。

製品にセンサーを取り付け、通信機器を介してデータを外部へ送信することで、自動モニタリングや大量のビッグデータの収集も実現できます。

現在では、生産現場の人手不足に直面する製造業、インフラや構造物の遠隔監視システムの需要が高い土木業、センサーデータを活用して農作業の効率化に取り組む農業分野等を中心に、国内企業によるIoTシステムの導入が進んでいます。

 

IoTシステムの導入で実現できる3つのこと

IoTシステムを導入すれば、大きく分けて3つのことが実現可能です。ここでは具体例を挙げつつ、IoTシステムの導入メリットを解説します。

1. IoTシステムを活用してモノを遠隔操作・自動制御する

IoTシステムの代表的な活用例の1つが、「モノの遠隔操作」です。製品や機械にセンサーを取り付けることで、モノの状態をリアルタイムで把握できるようになります。これにリモコン制御システムを組み合わせることで、遠く離れた場所からの遠隔操作も可能です。

例えば、製品や機械の稼働状況を遠隔で常時監視し、トラブルが起きた際は遠隔操作で対応することで、より迅速かつきめ細やかな顧客サービスを提供できます。また、日常的な暮らしの中でも、エアコンや炊飯器といった家電の状態を外出先から確認・操作することで、暮らしの利便性や快適性を大きく向上させることができます。

2. IoTシステムを活用してモノの状態を遠隔監視・自動監視する

製品や機械にセンサーを取り付けることで、様々なデータをリアルタイムに収集することが可能です。

さらに、携帯電話回線(3G回線)や無線LANといった通信モジュールを搭載すれば、遠く離れた場所からでも収集したデータを安価かつ効率的に送受信できます。

なかでも、IoTシステムにおいて特に期待されている機能が、「モノの状態の遠隔監視・自動監視」です。屋内外を問わず24時間リアルタイムで環境やデバイスの状態を把握したい場面や、人手不足により生産設備の保守や監視が困難な現場において、IoTシステムは有効な解決策となります。

例えば、温度計、湿度計、気圧計、照度計等のセンサーを活用すれば、特定の場所における気候や環境条件を常時モニタリング可能です。特に農業分野では、ビニールハウスにセンサーモジュールを設置し、農作物に適した環境が維持されているかを自動で監視するIoTシステムが普及しつつあります。

また、近年ではモーションセンサー(人感センサー)を活用した遠隔監視サービスも注目されています。モーションセンサーとは、モノの動きや移動、振動や傾斜等を検知できるセンサーであり、防犯やデバイスの異常検知といった多様な用途に対応可能です。

具体的には、モーションセンサーやカメラを設置し、3G回線等の通信モジュールを組み合わせることで、不審な動きを検知した際に自動でアラートを送信する監視システムを構築できます。さらに、生産設備にモーションセンサーを取り付けることで、機械の稼働状況だけでなく、微細な振動や衝撃を捉えて異常の早期検知につなげることも可能です。

3. IoTシステムを活用してモノ同士でデータのやりとりをする

機械同士がネットワークを通じて、直接情報をやり取りする仕組みは「M2M(Machine to Machine)」と呼ばれます。人間の介在なしに機械同士が相互制御を行えるため、従来より自動制御やオートメーション技術の一環として活用されてきました。

M2Mは、IoT技術が登場する前に提唱された概念で、その対象は「機械」に限定されていました。しかし、IoT技術の普及により、現在では機械に限らず、家電・車両・建物等、あらゆるモノとモノがネットワークを介してデータをやり取りし、相互に連携できるようになっています。これにより、幅広い分野での応用が期待されています。

モノを自動制御するシステムの中でも、近年特に注目を集めているのが、車の「自動運転」です。IoTを活用することで、リアルタイムの交通情報をもとに走行ルートを自動で設定し、車載機器同士が連携して運転操作を制御する仕組みが実現されています。これにより、人間の操作をほとんど必要としない自動運転が可能となっているのです。

もちろん、車載システムへのハッキングや不正アクセスといったセキュリティ面のリスクは残されていますが、自動運転技術はすでに実用段階に入りつつあります。

このほかにも、工場における生産ラインのオートメーション化や、スマートホームにおける住宅機能の自動化等、IoTを活用した様々な自動制御システムが開発・導入されています。

 

IoTシステムの活用シーンは?国内の3つの導入事例を紹介

農場でスマートフォンを操作する男性

IoTシステムはどのようなシーンで導入されているのでしょうか。ここでは国内の3つの導入事例を取り上げ、IoTシステムの活用シーンを解説します。

1. ビニールハウスの温度管理にIoTを活用した事例

農業分野では、IoTシステムの導入が着実に進んでおり、その効果が様々な場面で現れています。例えば、ビニールハウス内の温度管理にIoTを活用した事例では、現場にいなくても異常を検知できる体制が整いました。

サーモスタットを用いてハウス内の温度を常時計測し、異常を検知したら携帯電話回線を通じてアラートメールを自動送信する仕組みにより、遠隔地からでもリアルタイムで状況を把握できます。

さらに、ビニールハウスを温める農業用ボイラーの稼働状況の監視や、落雷・事故による停電を検知するシステムも併用されており、より高度な監視体制が実現しています。

これにより、トラブルが起きるたびに現地に出向いて確認する手間が省かれ、農作業における負担が大幅に軽減されました。また、台風等の悪天候時も24時間365日自動で監視を続けることができるため、環境の変化に迅速に対応できるようになり、作物の品質管理がより容易かつ安定的に行えるようになっています。

2. 太陽光パネルの稼働状況のモニタリングにIoTを活用した事例

太陽光パネルの稼働状況を遠隔から監視できるIoTシステムの導入事例があります。太陽光パネルに計測装置を取り付け、3G回線を通じてデータセンターに稼働状況を送信することで、現地に赴くことなく24時間体制での遠隔監視が可能となりました。

アラート情報は、スマートフォンやタブレット等の既存の端末に自動送信される仕組みとなっており、専用の高価な情報システムを新たに導入する必要がありませんでした。そのため、比較的低コストで導入できるスモールスタートが実現しています。

また、複数の太陽光パネルからのデータは1つのIoTシステムに集約されるため、異なる拠点の稼働状況を一元管理できるようになりました。これにより、管理の効率化だけでなく、保守対応の迅速化にもつながっています。

既存の太陽光パネルに「リモートでの遠隔監視サービス」という付加価値を加えたことで、サービスの差別化が図られ、競合他社との差を明確に打ち出すことに成功し、自社ブランドの向上にもつなげています。

3. コインパーキングの管理業務をIoTシステムでリモート化した事例

空いた土地を活用するコインパーキング事業は、精算機や警報装置、パーキングシステムの導入によって管理業務の自動化を図るのが一般的です。しかし、ある事例では車上荒らしや精算機の不正利用が相次ぎ、巡回による監視が必要となったことで、かえって管理負担が増大していました。

さらに、従来のシステムでは駐車場の満空状況がリアルタイムで把握できず、定期的に現地を訪れて確認する必要がありました。こうした課題に対し、パーキングシステムに専用の通信モジュールを取り付け、取引データを自動送信するIoTシステムを構築したことで、遠隔から駐車場の空き状況や売上情報を把握できるようになり、より柔軟に事業戦略を立てやすくなりました。

また、パーキング設備の故障や精算機の不正利用が発生した際には、アラート通知を通じて即時に状況を把握できる機能を追加したことで、PCやモバイル端末からリモートで管理・対応が行えるようになりました。

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