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スマート農業とは?IoT・ICTを活用したスマート農業の導入メリットと課題とは【IoT活用事例】

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☑このページで紹介している内容はIoTの活用案です。

 

日本の農業は長年にわたり、様々な課題を抱えてきました。これに対して、政府も様々な対策を講じてきましたが、近年の技術革新により、新たな解決策が注目を集めています。それが「スマート農業」の導入です。スマート農業は、農業従事者の負担軽減や新規参入のハードル低下、生産性の向上、後継者の育成等、多くの効果が期待されています。ユーピーアールでは、環境測定センサーを活用したクラウドシステムの提供を通じて、スマート農業の導入をサポートしています。

 

スマート農業とは?

スマート農業とは、ICTやIoT、ロボティクスといった先端技術を活用した新しい形の農業のことです。

例えば、ドローンによる土壌・生育状況・害虫のモニタリング、自動運転トラクター、センサーによって環境管理されたビニールハウスの導入等、その具体例は数えきれないほどあります。実際、こうした技術は海外で急速に普及しており、農業面積が九州ほどしかないオランダが、アメリカに次いで世界第2位の農産物輸出国となる等、大きな成果を上げています。

一方、日本においては、導入のスピードが世界と比べてやや遅れているのが現状です。しかし、農業人口の減少や高齢化が進む現状を考えれば、スマート農業の導入は必要不可欠なものといえるでしょう。作業記録・田畑台帳のデジタル化やセンサーで収集した情報のAI分析等、徐々に広がりを見せてきていますが、今後はその普及がさらに加速していくと期待されます。

農林水産省が平成26年3月に公表した「『スマート農業の実現に向けた研究会』検討結果の中間取りまとめ」では、スマート農業について、以下のように定義しております。

「ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業」

この定義の通り、自動運転技術やデータ分析を活用することで、作業の省力化や生産物の品質向上が期待されます。こうした取り組みを、IoT等のテクノロジーによって実現しようとするのがスマート農業です。

出典:農林水産省「「スマート農業の実現に向けた研究会」検討結果の中間とりまとめ(平成26年3月28日公表)」(令和7年4月1日利用)

~農林水産省が研究会を設置~

2013年11月、農機メーカーやIT企業を中心とした研究会を農林水産省が設置しました。その後、平成29年3月には「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」が策定され、改訂も進んでいます。

出典:農林水産省「「スマート農業の実現に向けた研究会」の設置について」(令和7年4月1日利用)
出典:農林水産省「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」(令和7年4月1日利用)

ここからは、スマート農業の導入に伴う課題について解説していきます。


 

~日本の農業が抱える課題とは~

そもそも、なぜスマート農業が現代において必要とされているのでしょうか?その背景の1つとして挙げられるのが、農業従事者の減少です。

令和6年時点で日本の農業従事者の平均年齢は69.2歳に達しており、これは平成27年以降、年々その高齢化が進行していることがうかがえます。また、新規就農者数についても、49歳以下の若手層は減少傾向です。このように、国内の農家戸数は年々減少傾向になっています。

つまり、新規就農者も増えず年々農業従事者の減少が続いており、農林水産業全体にとって深刻な課題となっているのです。

出典:農林水産省「農業労働力に関する統計」(令和7年4月4日利用)

では、なぜ新規就農者数が増加に至らないのでしょうか? 考えられる主な原因を以下に記載します。

~作業自体がきつい~

農業の多くは依然として手作業に頼っており、危険を伴う作業も少なくありません。機械化も進んでいるとはいえ、体力的に厳しい作業が多いのが現実です。その結果、高齢の従事者は離職を余儀なくされ、若者や女性にとっても参入の障壁となっています。

~雇用労働力の確保が困難~

農業は単に作物を育てて収穫するだけではありません。選果や加工といった後工程も欠かせない重要な作業です。しかし、農村地域ではこうした作業に従事する雇用労働力の確保が難しく、人手不足により出荷や加工の負担が農業従事者に重くのしかかっています。

~作業面積拡大の必要性~

農業従事者の減少が進む中、1人あたりが担う作業面積は従来よりも広がる傾向にあります。このような状況では、何らかの効率的な手法を見出さない限り、生産性の限界を打破するのは困難であり、それが新たな参入障壁の一因となっているようです。

~ノウハウ継承の難しさ~

農業で利用されるトラクターは、操作そのものが難しく、効果的に運用するには熟練者の技術力が必要です。その一方で、こうしたノウハウの継承には時間と手間がかかるため、若者や女性にとっては参入ハードルを高める要因の1つとなっています。

 

スマート農業の例

現在、世界各地で進められているスマート農業の取り組みは、「ロボティクス」「ビッグデータ」「人工知能」「IoT」の4つの領域に分かれています。

ロボティクスを活用した例

ロボット技術を農業に活用した例として、農機ロボットによる自動操縦が挙げられます。

従来、作物の収穫や選果・箱詰めを行うロボットは、主に大規模な農場でしか導入されていませんでした。しかし、近年では農機ロボットの低コスト化が進み、小規模な農家でも導入する事例が増えつつあります。

さらに、作業者の負担が大きい農薬散布についても、ドローンを活用した自動化の取り組みが始まっているのです。

将来的には、24時間365日、無人での農作業が可能となり、農業分野における深刻な労働力不足の解消や、生産性の向上につながると期待されています。また、労働力をより付加価値の高い業務へ集中させることで、新たな顧客や市場の開拓にも結び付くと見込まれているのです。

ビッグデータを活用した例

近年では、農場にWebカメラやセンサーデバイスを設置し、農業分野でビッグデータを活用しようとする動きも広がってきました。

ビッグデータを分析することで、従来の勘や経験に頼らず、統計モデルや科学的知見に基づいた判断が可能です。

例えば、ビッグデータを用いることで、野菜の収穫可能な時期をより正確に判断することができます。

野菜が収穫可能な状態になると、炭酸ガス(CO2)の濃度が一定レベルに達する傾向にあるのです。これを検出できるセンサーデバイスを設置し、基準値を超えたタイミングで通知することで、適切な収穫・出荷時期の判断が容易になります。

また、過去の生育データを分析することで、特定の作物を育てる際のリスクを事前に把握することも可能です。

気象データとあわせて解析することで、日照りや水分不足等、天候が作物に及ぼす影響を予測し、あらかじめ対策することもできます。

1人あたりの作付面積が少ない日本においては、ビッグデータを活用して作物の生育管理を効率化し、単位面積あたりの収穫量を適切にコントロールすることが、今後ますます重要になると考えられています。

人工知能(AI)を活用した例

人工知能(AI)は、ビッグデータと同様に人間の知覚や経験に頼らず、客観的な判断を可能にする技術の1つです。

たとえ農業を始めたばかりの方でも、人工知能を活用することで、作物の生育状況や収穫時期について精度の高い判断が可能となります。そのため、労働力不足の解消や新規参入者の増加につながることが期待されています。

中でも、農業分野で特に有効とされているのが画像解析技術です。例えば、野菜の色や形状を機械学習モデルで解析することで、収穫時期の判断や選果作業の効率化が図られています。

実際に、きゅうりの選果に画像解析技術を応用した事例では、Googleの提供するオープンソースのAIエンジンを活用し、自動選果システムの実用化に成功しました。

さらに、人工知能を用いた土壌管理システムの構築事例もみられます。画像解析によって作物の表面に現れる病害虫を早期に発見し、被害が広がる前に迅速な対処を行うことが可能となるのです。このように、人工知能の活用は農作業の生産性を大きく向上させる可能性を秘めており、今後の農業の在り方を大きく変える技術の1つといえます。

IoTを活用した例

農業分野におけるIoT技術は、センサーデバイスを用いてビッグデータを集める上で大きな役割を果たしています。

作物の生育状況や、気温・湿度・雨量といった気象データを定期的に収集することで、農場内の環境を可視化できるようになり、管理が格段に容易になりました。例えば、日照りによる水分不足や、湿度の上昇によるカビの発生を未然に防ぐことで、農作物を24時間365日守ることが可能になります。

さらに、これまで人の手によって行われていた農場の巡回や監視作業もIoTによって自動化が進み、従業員のワークライフバランスの改善につながっているのです。また、従来は紙で記録していた台帳や作業日報も、IoTソリューションを活用することでデジタル化され、作業時間の効率化と時間短縮が実現しています。

これまで、農業分野では休日の確保が難しいという慣習が根強くありました。しかし、こうした技術の導入によって働き方改革が進み、休日や有給休暇を取りやすくなった農園が増加しています。これにより、新規参入のハードルが下がり、若者や女性にとっても、より魅力的な職場環境が整いつつあるといえます。

 

スマート農業のメリット

スマート農業の大きなメリットは、「労働力不足の解消」と「生産性の向上」の2点にあります。

従来の農業分野には、「きつい・汚い・危険」といういわゆる3Kのイメージが根強く、新規就農者の数を離農者の数が上回る状況が続いていました。特に若者や女性の新規参入者の確保が課題となっていたのです。

そこで、農業のスマート化によって、農機ロボットによる作業の自動化が進めば、従業員の負担を大幅に軽減することが可能です。収穫・選果・箱詰めといった工程はもちろん、荷物の積み下ろしのような身体的負荷が大きい作業についても、アシストスーツの活用により、負担軽減が図られています。

さらに、農業経験が浅い方であっても、ビッグデータや人工知能を活用することで、生育状況や収穫時期の判断が容易になり、新規参入のハードルを下げることが可能です。3Kのイメージが根強い農業分野に対して、よりクリーンでスマートな印象を与えることで、若者や女性にとっても魅力ある職場づくりが期待されます。

スマート農業は、生産性の向上だけでなく、市場規模の拡大にもつながります。ビッグデータや人工知能、IoT技術を組み合わせることで、24時間365日、統計モデルや科学的知見に基づく合理的な農場管理が実現可能です。

また、農機ロボットによる収穫・選果作業の自動化は、人件費の削減と利益率の向上にもつながります。省力化によって確保された人手を、コア業務や新たな顧客の開拓、新規サービスの開発といった付加価値の高い業務に集中させることで、より持続可能で魅力ある農場経営を目指すことができます。

 

IoT導入によりスマート農業が解決できる問題とは?

こうした背景を受け、農林水産省は2013年11月に、農機メーカーやIT企業を中心とした「スマート農業の実現に向けた研究会」を設置しました。この研究会では、スマート農業の将来像や、その実現に向けたロードマップの策定が進められたほか、ロボット技術に関する安全性の確保や公的研究機関、異分野の民間企業とのアライアンスの形成等が検討課題としてあげられました。

その後、平成29年3月には「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」が策定され、現在も改訂が進められている状況です。以下は、研究会が目指す日本の農業の将来像です。

  • ~超省力・大規模生産を実現~
    トラクター等の農業機械の自動走行の実現により、規模限界を打破
  • ~作物の能力を最大限に発揮~
    センシング技術や過去のデータを活用したきめ細やかな栽培(精密農業)により、従来にない多収・高品質生産を実現
  • ~きつい作業、危険な作業から解放~
    収穫物の積み下ろし等重労働をアシストスーツにより軽労化、負担の大きな畦畔等の除草作業を自動化
  • ~誰もが取り組みやすい農業を実現~
    農機の運転アシスト装置、栽培ノウハウのデータ化等により、経験の少ない労働力でも対処可能な環境を実現
  • ~消費者・実需者に安心と信頼を提供~
    生産情報のクラウドシステムによる提供等により、産地と消費者・実需者を直結

このように、スマート農業の実現は、作業の効率化を通じて生産性の向上につながります。その結果、農作業にかかる負担が軽減されるとともに、新規参入者にとってのハードルも下がると考えられます。さらに、流通の流れがスムーズになることで、農業経営における収入の安定化も期待できるのです。

出典:農林水産省「「スマート農業の実現に向けた研究会」検討結果の中間とりまとめ(平成26年3月28日公表)」(令和7年4月4日利用)
 

農業のスマート化普及における課題とは

前項「スマート農業が解決できる問題とは?」で示した将来像が実現できれば、日本の農業における効率や生産性は飛躍的に向上すると考えられています。一方で、スマート農業の普及には導入費に関する課題も指摘されているのです。

例えば、トラクター1つをとっても、その本体価格は数百万円にのぼります。ここにスマート化を実現するための自動運転機能を追加すれば、さらに多くの費用が必要です。加えて、農業ロボットの導入となれば、初期投資だけでなく運用コストも発生します。

さらに、環境データを収集するためのセンサーデバイスの購入や設置にも費用がかかります。加えて、収集データをどのように解析するかという点も、簡単に解決できる問題ではありません。必要なデータを正確に取得するためには、適切なデバイスを選定する必要がありますが、それにはIoTに関する一定の知識が求められます。また、広大な敷地に有線でデバイスを設置する場合、配線作業だけでも膨大なコストが必要です。

これらの課題を乗り越えた後も、データ解析の方法をどう構築するかという新たな課題も生まれます。例えば、専用のアプリケーションを自社で開発する場合は、さらにコストが増加するでしょう。また、操作性についても農家によって求める機能や使いやすさが異なるため、一律の解決策を用意するのは難しいのが現状です。スマート農業の普及を加速させるためには、これらの課題をどのように捉え、現場に適した形で乗り越えていくかが、今後の重要な論点になると考えられます。

 

要素技術・役割分担

当社では、環境測定センサーとネットワーク、クラウドといったシステムを一括してご提供することにより、小規模から始められるスマート農業の導入を支援しています。以下に、導入している具体的な技術についてご紹介します。

~様々なデータを収集する環境測定センサー~

スマート農業においては、将来的に“作物の能力を最大限に引き出す”ことを目的とした精密農業の実現が期待されています。ここで鍵となるのが「データ」です。例えば、大気温度の変化に伴い、「土壌の温度・水分量がどのように変化しているか?」といったデータをリアルタイムに測定し、記録・分析することで、農業の“見える化”が実現できます。当社が提供する環境測定センサーは、以下の項目に関するデータ収集が可能です。

  • 大気温度・湿度
  • 土壌温度・水分量
  • 日照量
  • CO2

また、環境測定センサーには太陽光パネルから電力を供給するため、外部電源の引き込みが不要で、設置も容易で迅速に行える点も特長です。

~広域でも利用できる無線LANの提供~

環境測定センサーからデータを取得する際には、無線LANによるワイヤレス通信が用いられます。しかし、農業の現場は広大な敷地であることが多く、一般的な無線通信網ではエリア全体をカバーできないケースも少なくありません。

そこで当社では、指向性を持ち長距離伝送が可能な広域無線LANをご提供しています。これにより、遠距離からでも安定してデータを迅速に収集できるほか、大規模な配線工事を行う必要がないため、導入の手間やコストを大幅に抑えることが可能です。

~リアルタイム監視&統計データ解析をクラウドで~

環境測定センサーで取得したデータは、リアルタイムでクラウドシステムに集められます。そのため、インターネット環境さえあれば、場所を問わず農場の状況を把握することが可能です。さらに、あらかじめ設定した閾値を超えた際にはアラートを発信することもでき、異常の早期発見につながります。こうしたアラート機能により、現在どこで問題が発生しているのかを即座に把握できるだけでなく、蓄積されたデータを分析することで、将来的なトラブルの予兆を検知し、未然に防ぐための有効な手がかりを得ることもできます。

 

ユーピーアールの強み

Case Study~環境データの見える化~

―Bさんは東北地方で野菜農家を営んでおり、現在の農場は父親から受け継いだものです。継承後は父親からのアドバイスを受けて作業を行っていたものの、その内容はベテラン農家である父親の勘に頼ることが多く、ノウハウのすべてを受け継ぐのには時間がかかると見込まれていました。

―経験を積むことで、日々の作業自体は従来通りに行えるようになったものの、Bさんには新たな課題も浮上していました。それが、農場経営における収益の低下です。

―現状維持のままでは、将来的に農業を継続すること自体が難しい可能性も懸念されていました。特に大きな課題として挙げられていたのが、「市場動向の不透明さ」です。どの作物に需要があるのかを的確に把握できず、それによって在庫ロスが起こることも少なくありませんでした。こうした課題の解決のために、Bさんは当社へご相談くださいました。

(画像はイメージです)

農作物の品質向上・均等化により価値が向上

―環境測定センサーとクラウドシステムの導入により、農場の状況をリアルタイムで“見える化”することが可能になりました。これにより、農作物の生産状況と具体的な環境データとの相関を比較・分析できるようになったのです。

―その分析結果をもとに、ビニールハウス内の環境をより適切に制御したことで、生産効率が向上しました。

―さらに、品質面についても均一化が図れるようになったため、出荷時のロスも少なくなり、結果として収益の安定にもつながっています。

農業に必要なノウハウの習得

―父親から伝承された独自ノウハウが、センサーによって取得されたデータと紐付けられることで、「経験」から「根拠ある知識」へと変化しました。これにより、従来の感覚的な判断をデータに基づいた合理的な意思決定へつなげることが可能となり、さらに効率的な生産体制の構築ができるようになりました。

―さらに、蓄積されたデータを基に作業をマニュアル化することで、農業従事者や継承者の教育にも活用できます。

作業員を新たに雇用した場合にも、明確な指示が出せることで任せられる作業の範囲が広がり、結果としてBさん自身の負担軽減にもつながっています。

高精度な収穫時期・量予想と需要予想

―クラウド上で保管・分析できるのは、環境測定データだけではありません。生産量や売上といった経営データを蓄積・活用することで、収穫時期や収量の予測精度が向上し、さらに市場の需要動向の把握にもつながります。

―例えば、「いつ」「どの作物が」「どれだけ収穫でき」、過去に「どれだけの量が売れたのか」といった情報を総合的に分析することで、売上の最大化と作物ロスの最小化を両立することが可能になります。

―その結果、農場全体としての利益率の改善にもつながりました。

 

スマート農業普及に取り組んでいる企業:3つの事例

①ドローンを利用したスマート農業

ドローンは、農薬散布の効率化を目的として多くの農家で普及が広がっています。広い畑に対して人力で農薬を散布するのに比べ、作業の大幅な省力化が可能です。ただし、デバイスの導入には一定の費用がかかるため、個人農家では近隣の農家同士で共同購入するケースもみられます。

さらに、ドローンは農薬散布だけでなく、AIによる画像解析と連携させることで「収穫量の予想」に活用されたり、遠隔監視システムの補助的なツールとして利用されたりするケースもあるようです。

 

②スマート農業を利用した「働き方改革」

とあるワイン農家では、ワイン農園内にセンサーネットワークを導入し、①気温、②湿度、③雨量といった環境データを数分~10分間隔で常にモニタリングできる体制を構築しました。さらに、小型カメラも設置することで、現地の状況をリアルタイム映像で確認できるようにしました。

この「農園内の確認」という作業は、広範囲にわたる現地を歩いて回る必要があり、状況によっては数時間から丸一日を要して行っていた作業です。この確認作業を怠ると、気温の急激な上昇や下降に気づけず、カビの発生等による被害等を未然に防げないケースも少なくありませんでした。そのため、常時監視を行うことは、品質維持において極めて重要だったのです。

遠隔監視システムの導入により、こうしたリスクの早期発見と迅速な対応が可能となり、結果として作物の品質安定化にもつながっています。

スマート農業は、農業現場における「働き方改革」を実現する手段としても注目されています。これまで「休みが取りづらく、現場作業が中心」というイメージが強かった農業ですが、今後は大規模な事業者がパートタイマーを雇い、作業負荷を軽減しながら安定した農業生産を行うといった新たな労働形態が広がっていく可能性もあるのです。

 

③太陽電池駆動機器を利用したスマート農業

従来の農業用の灌漑設備(灌漑:水路を整備して田畑に必要な水を引き、土地をうるおすこと)は、大型の動力装置が必要とされ、発動機等を利用して水を汲み上げていました。しかし、この方式では、常にディーゼル燃料が必要となり、燃料費用がかさむだけではなく、大気汚染やCO2排出量の増加といった環境負荷も懸念されていました。

近年では、太陽光発電の効率向上や2次電池(蓄電池)の性能が向上したため、灌漑設備を太陽光発電で稼働させる取り組みを実現している企業もあるようです。また、設備の小型・簡素化も進んだことで、太陽光灌漑設備を搭載した車両を農地にスポット的に呼び出し、費用は電子決済で完結する等、柔軟で手軽な運用も可能になっています。

また、遠隔監視システムにおいても、これまで田畑の立地条件によっては電源工事自体に大きな費用がかかるケースがありましたが、近年ではLPWA等の低消費電力型通信技術の活用により、太陽光発電のみの電力供給でも、安定した遠隔監視が実現できるようになってきています。

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