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IoTゲートウェイ(ルーター)とは?事例と活用方法【IoT活用事例 】

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☑このページで紹介している内容はシステム開発が必要です。
☑このページで紹介している内容はIoTの活用案です。

 

IoTシステムの構成要素

IoTシステムの構成要素

IoTシステムは、「デバイス(モノ)」「ネットワーク」「ゲートウェイ」の3つの要素で構成されています。末端のモノやセンサーがインターネットにつながる上で、IoTゲートウェイは欠かせない存在です。

デバイス:インターネットの「モノ」の部分

IoTシステムの末端にあるデバイス(モノ)には、「センシング(データの収集)」と「フィードバック(遠隔制御)」の2つの役割があります。

センシング(データの収集)

画像センサー、温度・湿度センサー、加速度センサー等のセンサーを活用し、周囲の環境や自身の稼働状況に関するデータを収集します。

フィードバック(遠隔制御)

リモコン制御システム等を通じて、遠く離れた場所からデバイスを制御します。

 

スマートフォンのような小型モバイル端末、エアコン等装置に内蔵されるもの、スマートメーター等建物に固定されるもの等、様々な種類があります。
センサーと通信機能を備えているため、単体でネットワーク接続が可能です。しかし、事業にIoTを活用しようとした場合、IoTデバイスを数百個単位で配置するケースもあります。この場合、すべてのデバイスが直接インターネットに接続できる機能を持っていると、単価や通信コスト、消費電力等の面で大きな課題となるでしょう。

 

ネットワーク:データをやりとりするための通信技術

デバイスを遠隔操作・遠隔監視し、センサーから情報を集めるには、モノが外部インターネットに接続していなければなりません。
IoTシステムでは、3G/LTE、Wi-Fi、BLE、LPWA等の無線通信規格が中心です。扱うデータ量が比較的少量であることが多いため、低コスト・低消費電力の無線通信が主に利用されます。

 

ゲートウェイ:ルーターのような役割を果たす

IoTゲートウェイは、IoTデバイスをインターネットやアプリケーションに接続するための機器であり、ルーターのような役割を持ちます。
IoTゲートウェイを活用できれば、IoTデバイスに搭載する通信機能を最小限のものへと設定できます。これによって、前項のコスト問題は解決が可能となります。

 

IoTゲートウェイとは?

IoTゲートウェイは、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)において、モノとインターネットをつなぐ中継地点のような役割を果たす機器です。
端末のセンサーが収集したデータは、そのままサーバー側に送信されるわけではありません。データを通信ルール(通信プロトコル)に基づいて変換することで、インターネットの負荷を減らし、通信速度を向上させます。このデータ変換を行うのが、IoTゲートウェイです。

IoTゲートウェイはサイズが小さく、製品設計の邪魔になりません。これにより、センサー本体に高度な通信機能を持たせる必要がなく、製品設計をシンプルに保てます。

また、通信を見守ることで、IoTデバイスの管理・情報処理・制御という役割も担います。これにより、リモートでIoTデバイスを操作することが可能です。また、一部のIoTデバイスの故障等の異常を検知した際には、ユーザーへアラートを発信する機能も設定できます。

 

IoTゲートウェイ導入のメリット

メリット1:コスト削減と効率的な管理

多岐にわたる通信規格を利用できる

一般的なルーターと違い、IoTゲートウェイは複数の通信規格に対応しています。マルチプロトコル対応のため、Wi-Fi、Bluetooth、920MHz帯無線、イーサネット等の通信規格が異なるIoTデバイス同士でも問題なく接続できます。
マルチプロトコルとは、様々なプロトコルに対応できる技術です。複数のIoTデバイスから集めたデータには、異なるプロトコルが使われている可能性がありますが、IoTゲートウェイがプロトコルを変換し、問題なくデータ通信や遠隔制御を可能にします。

IoTデバイスの管理が簡単になる

IoTゲートウェイを通じて稼働監視を行うことで、数十個・数百個単位のIoTデバイスの運用管理の手間を減らせます。また、個々のデバイスが通信を行うことによる電池の消耗を抑え、IoTデバイスの消費電力量を抑えることも可能です。

価格帯が広く、予算に合わせて選べる

IoTゲートウェイは、1万円〜10万円の安価な製品から、エッジコンピューティング機能を持つ高機能な製品まで、価格帯が幅広く設定されています。自社の予算やニーズに合わせて最適な製品を選ぶことが可能です。

メリット2:通信エリアの拡大

IoTデバイスの多くは、到達距離が短い特定省電力無線という無線方式でIoTゲートウェイと接続されます。
これをカバーする方法のひとつに、マルチポップ通信という技術があります。「IoTルーター」をIoTゲートウェイとIoTデバイスとの間に設置することで、通信の橋渡しをしてくれるため安定性が向上し、エリア自体の拡張も可能となります。

 

IoTゲートウェイ導入費用

IoTゲートウェイは通常のルーターよりは高価なものの、求める機能によっては低コストで導入できます。IoTシステムを構築する前に、IoTゲートウェイの導入料金の目安を確認しましょう。
IoTゲートウェイは、1万円~10万円の価格帯の製品と、10万円~50万円の価格帯の製品の2種類に分かれます。

1万円~10万円の価格帯

小型・最小構成でスモールスタートを目指す場合に採用されることが多い製品です。3G/LTE、Wi-Fi、Zigbee、LoRA等のマルチプロトコル対応や、エッジコンピューティングに対応した製品もあります。

10万円~50万円の価格帯

低価格帯の製品よりも多機能です。収集したデータの分析・利活用、生産ラインの歩留まりの改善、PLC(コントローラ)を中継しないデータのアップロード等、単なるゲートウェイにとどまらない導入効果が期待できます。

 

導入の際に気をつけたい注意点

IoTゲートウェイをスムーズに導入するための注意点は3つあります。

打ち合わせ

1. IoTシステム全体の開発・設計費用を考慮する

IoTゲートウェイはシステムの一部であり、単体では動作しません。IoTシステム全体の開発・設計費用を考慮し、予算の見積もりを行うことが大切です。コストを抑えたい場合は、「デバイス」「ネットワーク」「ゲートウェイ」がパッケージングされたIoTソリューションの導入を検討する方法もあります。

2.サーバーへの負担を分散する仕組みを導入する

IoTデバイスが収集するデータは膨大になりがちです。IoTゲートウェイに搭載された「エッジコンピューティング」機能等を活用し、サーバーの負担を分散する必要があります。

3.セキュリティを強化する

IoTゲートウェイは、通信の脆弱性を突かれるリスクがあるため、セキュリティ対策が不可欠です。総務省の「IoTセキュリティガイドライン」を参照し、5つの観点からセキュリティを見直すことが大切です。

方針、分析、設計、構築・接続、運用・保守の5つの観点からセキュリティを見直すことで、IoTシステムの脆弱性を発見し、セキュリティ体制を強化できます。

方針 IoTの性質を考慮した基本方針を定める
分析 IoTのリスクを認識する
設計 守るべきものを守る設計を考える
構築・接続 ネットワーク上での対策を考える
運用・保守 安全安心な状態を維持し、情報発信・共有を行う

出典:総務省「IoTセキュルティガイドライン」(2025年9月26日利用)
 

ユーピーアールの極小ゲートウェイの特徴

ユーピーアールがご用意するIoTゲートウェイは、公衆無線ネットワークに対応した3G、BLE(Bluetooth Low-Energy)、無線LAN等で利用可能であり、サイズが極小のため場所を選びません。
各種センサーはセンサーネットワークとして、IoTゲートウェイ、M2Mルーター、エッジサイドで取得されたデータは、クラウドへと送られる手前や端末に近い場所で、フォグコンピューティングノードとして活用されます。
また、オプションケーブルについても使い分けが可能となり、多彩なインターフェースをご利用いただくことが可能です。様々なセンサーやビーコン・データ収集機器等から検出したデータを処理した後に、クラウドシステムにつなぐゲートウェイとして、IoTシステムの構築を支援することが可能です。

手とネットワーク

無線インターフェースの例

無線インターフェースは、配線の敷設、配線処理の手間や料金がかからないことが、安価なIoT導入の際には重要な要素になります。

規格名 特徴
LoRaWAN LoRa(IoT向け無線通信技術)を使ったネットワーク。バッテリー持続が長く、遠通信距離や多量デバイス接続、安価な通信モジュールといった特徴があります。
3G(W-CDMA) 第3世代携帯電話の通信規格。国内でも広く普及しているほか、料金についても比較的安価です。
LTE(Long Term Evolution) 3G同様、携帯電話用通信回線企画のこと。通信速度が高速であり、広く普及しています。
BLE(Bluetooth Low-Energy) Bluetooth規格を用いた通信方法のひとつ。バージョン4.0から追加された低消費電力が大きな特長で、コスト削減も実現できます。
無線LAN 無線によるネットワーク接続。有線に比べて安定性こそ劣るものの、同時に大量のIoTデバイスを接続するのには最適です。かつ、配線等の手間や料金も抑えられます。
EnOcean 最大の特徴はバッテリーレス無線発信技術。内蔵バッテリーが不要となることで、幅広い製品に用いられるようになってきています。

有線インターフェースの例

大容量のデータ処理やデバイスの接続が多い際は、有線インターフェースによるネットワーク構築にメリットがあることもあります。

規格名 特徴
USB コンピューターと周辺機器を接続する規格のひとつ。汎用性が高く、様々なデバイスとの有線通信が行えます
Ethernet 有線LAN等で用いられるポピュラーな有線接続規格のひとつです。
RS-232C シリアル通信とも呼ばれる有線通信規格。家庭用機器では数が減ったものの、産業分野においては使用され続けているケースも多いです。
RS-485 RS-232C同様、シリアル通信と呼ばれるもの(互換性はなし)。RS-232Cに比べノイズの影響に強く、伝送速度も速いです。

 

IoTゲートウェイとHACCP:食品安全管理の自動化

IoTゲートウェイは、温度のリアルタイム監視と記録の自動化を可能にし、HACCPの要求事項を効率的に満たすことに貢献できます。

HACCPとは?

HACCP(危害要因分析必須管理点)は、食品の製造・流通過程で安全を確保するための衛生管理システムです。令和3年6月1日よりすべての食品等事業者に義務化されています。
このシステムにおける最も重要な要素の1つが、「重要管理点(CCP)」での温度管理と記録です。温度管理と記録が重要である理由は、食中毒の原因の1つが不適切な温度管理であるためです。
厚生労働省の令和6年度の調査では、食中毒事件の約52.8%は飲食店で発生しています。食中毒菌が繁殖する原因の多くは「食品の温度管理不備」や「加熱不足」です。

出典:厚生労働省「令和6年(2024年)食中毒発生状況」(2025年9月26日利用)

温度記録表の重要性

冷蔵庫や冷凍庫、食品の陳列棚等の温度管理で大切なのが、「温度記録表」の作成です。これは、日々の管理温度を「見える化」し、適切な温度管理が行われているかをチェックする仕組みです。
コールドチェーンの発展により、食品に付着した食中毒菌は仮死状態で残存していることが多いため、温度記録表を作成し、日々管理温度を可視化する仕組みをつくることで、食中毒菌の増殖をはじめとした食品事故の予防が可能になります。

IoTゲートウェイによる「記録と監視」の自動化

IoTゲートウェイは、このHACCPが求める記録と監視の要求を自動化するために、以下のような役割を果たします。

要素 HACCP(要求事項) IoTゲートウェイ(実現手段)
監視対象 冷蔵庫、冷凍庫、陳列棚の温度 センサーによって温度をリアルタイムで計測
データ通信 記録・通信の確実性 センサーのデータを集約し、クラウドへ確実に送信する中継役(ゲートウェイ
異常検知 基準温度からの逸脱 ゲートウェイ側でデータを処理し、逸脱時に即座にアラートを発報
記録・証拠 連続的な記録の保持 収集したデータを自動で記録・保存し、監査対応に備える

目視での確認や手動での記録といった人的労力による仕組みがあっても、肝心の衛生管理記録がなければHACCPの証明はできません。IoTゲートウェイは、温度のリアルタイム監視と記録の自動化を可能にし、HACCPの要求事項を効率的に満たすことに貢献できます。
食の安全への取り組みを消費者にアピールするうえでも、温度管理とセットで「温度記録表」を作成・出力する仕組みが必要です。

飲食店向け簡単HACCP対応パッケージ UPR HACCP

https://www.upr-net.co.jp/iot/uprhaccp/

 

ユーピーアールの極小ゲートウェイの活用事例

事例1:ビーコンゲートウェイ

近年では、スマートフォンやウェアラブルデバイス、ICカード等から発信される情報等をビジネスに結びつけようとする動きも活発です。この際にも、IoTゲートウェイはユーザー情報取得に大きく役立ちます。

例えば大型ショッピングセンターや、空港、遊園地等で、人がどのように流れているのかという導線分析も可能です。また、人の誘導自体に技術を応用することもできるでしょう。
そのほか、来場客の入退管理等もアイデア次第で実現可能です。各種の入り口やゲートにゲートウェイを設置するとともに、来場客にはビーコンを配布します。すると、ゲートをくぐる際にワイヤレスで情報収集ができます。
手のひらサイズの小型ゲートウェイを利用すれば、来場客に機器設置を意識させることはありません。また、取り付け場所についても制限が少なくなるため、自由な発想の下にビーコンゲートウェイが導入できます。

事例2:計測機器のセンサーネットワークゲートウェイ

電気メーターやガスボンベ・水道等をスマートメーター化する際にも、IoTの技術が活用されています。この際にも、極小ゲートウェイの利用は非常に有用です。
既存の設備環境の大幅な変更といったコストがかかることなく、各種メーターのデータをゲートウェイが処理し、クラウドシステムへと通知することが可能です。

事例3:POC(Proof Of Concept)システムの試験用ゲートウェイ

山奥や郊外、地下・屋内等では、電波環境が悪くなる可能性があります。極小ゲートウェイであれば、モバイルバッテリー等でも数時間の駆動が可能です。既存センサーネットワークや計測器、PLC等から受け取るデータを処理し、クラウドデータ上に通知がされたかどうかの確認に役立ちます。
試験的に接続したPOC(Proof Of Concept)システム環境を、そのまま本番設置が可能であるため、手軽な検証と工数の大幅な削減にも寄与します。

 

まとめ

IoTゲートウェイは、IoTデバイスをインターネットにつなぐ中継機器です。個々のIoTデバイスがバラバラに通信する代わりに、IoTゲートウェイが中継することで、IoTデバイスの負荷を軽減し、消費電力量を抑えます。

マルチプロトコル対応のゲートウェイなら、異なる通信規格同士のデバイスをつなぐことも可能です。また、IoTゲートウェイには稼働監視の機能もあり、IoTデバイスの管理の手間も減らせます。数百個単位のIoTデバイスを導入する場合、IoTゲートウェイの導入がおすすめです。

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