アシストスーツとは?仕組みから種類、メリットや選び方まで徹底解説!
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近年、物流、製造、介護、農業等、様々な業界で導入が進んでいる「アシストスーツ」。深刻化する人手不足や高齢化、そして「働き方改革」への意識の高まりを背景に、作業者の身体的負担を軽減し、安全で持続可能な労働環境を構築するための取り組みとして注目されています。
しかし、「アシストスーツという言葉は知っているけれど、具体的にどんなもの?」「どんな種類があって、どう選べばいいの?」「導入したら本当に効果があるの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
そこで本記事では、アシストスーツの基本的な定義や仕組みから、導入によって得られるメリットや想定されるデメリット、他にも具体的な活用シーンや失敗しないための選び方のポイント等、アシストスーツに関する様々な情報をまとめてお伝えします。
アシストスーツとは?
「アシストスーツ」とは、その名の通り、人間の動作を物理的にサポートし、身体にかかる負担を軽減するために設計された装着型の機器のことを指します。
アシストスーツに似た名称として、パワーアシストスーツやサポートジャケット、マッスルスーツ等、メーカーや製品によって様々な名前で呼ばれることもありますが、その本質は「人の動作をサポートすることで身体への負担を軽減し、より安全に作業を行えるようにする」という点にあります。

アシストスーツの主な機能
アシストスーツが提供する主な機能は、サポートする身体の部位や製品の設計によって異なりますが、代表的なものとしては以下のような内容が挙げられます。
- 腰部保護・負担軽減
- 持ち上げ動作のサポート(リフトアシスト)
- 姿勢維持サポート(ホールド機能)
- 腕や肩等、上半身のサポート
- 脚や膝等、下半身のサポート
アシストスーツが身体をサポートする仕組み
アシストスーツは、主に重量物の持ち上げ・持ち下げや運搬、中腰姿勢の維持といった、身体に大きな負荷がかかる作業をサポートするために開発されました。電動モーターや人工筋肉、あるいはバネやゴムの弾力性を利用して、作業者の筋力をサポートし、適切な姿勢を保ちやすくします。
その中でも、アシストスーツのサポート方式は、大きく分けて「動力型(アクティブタイプ)」と「無動力型(パッシブタイプ)」の2種類が存在します。
動力型(アクティブタイプ)
動力型のアシストスーツは、電動モーターや油圧アクチュエーター等を動力源とし、センサーが作業者の動きを検知して、必要なタイミングでアシスト力を提供します。比較的大きなアシスト力を得られるのが特長です。
大きなアシスト力を得やすく、重量物の持ち上げ等を強力にサポートできますが、バッテリー駆動のため稼働時間に制限があり、充電が必要となります。また、一般的に無動力型に比べて高価で、重量も重くなる傾向があります。
無動力型(パッシブタイプ)
一方で無動力型のアシストスーツは、バネの反発力やゴムの張力、素材自体の剛性等を利用して身体をサポートするのが特長です。動力源を持たないため、軽量で扱いやすく、比較的安価な製品が多いです。
また、動力源がないため稼働時間を気にする必要がなく、充電も不要なため電源の確保が難しい場所や、長時間の連続使用にも適しています。構造もシンプルなため、メンテナンス性に優れている製品も多いです。しかし、動力型ほどの大きなアシスト力は期待しにくく、素材の特性に依存するため、調整範囲が限られることもあります。
サポート部位別のアシストスーツの分類
アシストスーツは、どのようなサポート方式であるかに加えて、サポート部位によっても分類が可能です。
腰部サポート型
最も製品数が多く、ニーズも高いタイプです。重量物の持ち上げや運搬、中腰・前屈姿勢での作業時に腰にかかる負担を軽減します。物流、製造、建設、介護、農業等幅広い分野で活用されています。
腕部・肩部サポート型
腕を上げた状態での作業(溶接、塗装、組立、農作物の収穫・剪定等)や、重い工具を長時間使用する際の腕や肩への負担を軽減します。反復的な腕の動作が多い作業にも有効です。
脚部・膝部サポート型
長時間の立ち仕事、頻繁な歩行や階段昇降、不整地での移動、あるいは重量物を持ち運ぶ際の膝への負担を軽減します。中腰姿勢を維持する際に、膝で体重を支えるタイプもあります。農業分野や建設現場、警備業務等で活用が期待されます。
全身型(フルボディタイプ)
腰、腕、脚等、複数の部位を同時にサポートするタイプです。より強力なアシスト力や、複雑な動作への対応が期待できますが、一般的に高価で大掛かりになりやすい傾向があります。
機能によるアシストスーツの分類
他にも、どのような機能に特化しているかによってもアシストスーツを分類することができます。
- 重量物持ち上げ特化型 : 荷物を持ち上げる際のパワーを最大限にサポートする
- 姿勢維持サポート型 : 中腰や前屈等の姿勢を楽に保つことを重視する
- 動作追従型 : 作業者の自然な動きを妨げずに、必要な部分だけをサポートする
- 特定作業特化型 : 介護の移乗介助用等、特定の作業に最適化された設計がされている
参考:ユーピーアールが取り扱っているアシストスーツのラインナップはこちら
なぜ今アシストスーツが注目されているのか?~導入の背景と社会的なニーズ~
アシストスーツが急速に注目を集め、導入が広がりつつある背景には、現代社会が抱えるいくつかの課題と、それに対する企業の意識変化があります。
労働力不足と高齢化社会におけるアシストスーツの役割
日本の生産年齢人口は年々減少し、多くの産業で深刻な人手不足が発生しています。また、就業者の高齢化も進んでおり、身体的な負担が大きい作業の継続が困難になるケースも増加傾向にあります。
このような状況下で、アシストスーツは、限られた人材の能力を最大限に活かし、年齢や性別に関わらず誰もが働きやすい環境を作るための有効な手段として期待されています。アシストスーツを活用することで、ベテラン作業員の長年の経験やスキルを活かし続けることや、体力に自信のない方でもより幅広い作業で力を発揮しやすくなる等、人材活用の幅を広げることができます。
働き方改革と労働環境改善への貢献
「働き方改革」が推進される中で、企業には長時間労働の是正だけでなく、従業員が安全で健康に働ける環境を整備することが求められています。特に、身体的負担の大きな作業は、労働災害のリスクを高め、従業員の心身の健康を損なう可能性をはらんでいます。
アシストスーツの導入は、こうしたリスクを低減し、より安全で快適な職場環境を実現するための1つの投資と捉えられます。また、従業員のエンゲージメント向上や、企業の社会的責任(CSR)を果たす上でも重要な取り組みと言えるでしょう。
多様な人材の活躍推進とアシストスーツ
従来、体力的な問題から男性中心とされてきた作業現場においても、アシストスーツの活用によって女性や高齢者の活躍の場が広がっています。
アシストスーツは、身体への負担を軽減し、誰もが安全に作業に取り組めるようにすることで、ダイバーシティ&インクルージョンの推進にも寄与すると考えられます。
アシストスーツ導入のメリットと期待できる効果
アシストスーツを導入することは、作業者個人だけでなく、企業全体にとっても多くのメリットをもたらします。ここでは、具体的な効果や利点についてお伝えします。
作業者から見たメリットと効果
身体的負担と怪我のリスク低減
アシストスーツ導入の最大のメリットは、何と言っても作業者の身体的負担、特に腰部への負担を軽減できることです。
アシストスーツは、荷物の持ち上げ時や不自然な姿勢での作業時に腰部を適切にサポートします。これにより、身体への負担を軽減し、従業員が安心して働ける環境づくりに貢献します。
疲労軽減による集中力の維持と作業品質の向上
身体的な疲労は、集中力の低下を招き、作業ミスや事故の原因となり得ます。アシストスーツによって身体への負担が軽減されると、疲労の蓄積が抑えられ、作業者はより長時間にわたって集中力を維持しやすくなります。
その結果、作業効率の向上はもちろん、製品の品質管理や安全確認といった細やかな注意が必要な業務においても、ヒューマンエラーの削減が期待できます。
特定の作業姿勢(中腰や前傾姿勢等)のサポート
例えば、製造ラインでの組立作業や農作業での収穫、介護現場での移乗介助等、特定の作業では中腰や前傾姿勢を長時間維持する必要があります。
これらの姿勢は身体への負担が大きく、慢性的な疲労や筋骨格系障害といった症状を引き起こす要因となりますが、アシストスーツを活用し身体的負担を軽減することで、リスク回避につながります。
企業側から見たメリットと効果
生産性向上と作業効率の改善
アシストスーツの導入は、作業負担の軽減を通じて、生産性の向上を見込めます。
例えば、疲労蓄積による休憩頻度や疲労を気にしながら作業する頻度が減少することで、単位時間あたりの作業量を増やすことが可能です。
人材確保と離職率低下への貢献、働きやすい職場環境の構築
従業員の健康と安全を大切にするという姿勢は、求職者にとって大きな魅力となります。アシストスーツのような機器は、働きやすい職場環境をアピールする上で有効であり、人材獲得競争において優位に立つための一助となります。
また、既存従業員の満足度向上にもつながり、離職率の低下も期待できます。
企業の安全配慮義務とコンプライアンス強化
企業には、労働契約法や労働安全衛生法に基づき、従業員が安全で健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」があります。アシストスーツの導入は、この義務を果たすための具体的な取り組みの1つとして評価されると考えられます。
万が一の労働災害発生時には、企業の安全配慮義務違反が問われる可能性もあるため、アシストスーツの活用は、そうした労災リスクを低減し、コンプライアンス体制を強化する上でも重要です。
企業イメージの向上、先進的な取り組みのアピールとして
アシストスーツのようなアイテムを積極的に導入する企業は、社内外に対して先進的で、従業員を大切にする企業であるというポジティブなイメージを発信できます。これは、取引先や顧客からの信頼獲得、さらにはブランドイメージの向上にもつながる可能性があります。
アシストスーツ導入の際に考慮すべき注意点は?
アシストスーツには多くのメリットがある一方で、導入にはいくつかの注意点や事前に把握しておくべきデメリットも存在します。
初期費用と費用対効果の検討
アシストスーツの本体価格は、数万円から数百万円と製品によって幅があり、特に高機能な動力型は高価になりがちです。また、バッテリー交換や定期的なメンテナンスにもコストがかかる場合があります。
そのため、導入にあたっては、これらの初期費用や維持費を正確に把握し、期待される生産性向上や労災リスク低減効果等と比較して、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
また、補助金や助成金を活用したり、購入ではなくレンタルやリースで契約することでコストを抑えることも可能です。ぜひ検討してみてください。
装着の手間や作業への影響
アシストスーツは身体に装着して利用するため、着脱にある程度の時間と手間がかかる場合があります。また、体格や作業内容によっては、スーツの装着が逆に動きにくさや違和感につながる可能性もゼロではありません。
多くの製品では、装着感の改善や軽量化が進められていますが、実際に試着し、作業環境でテストしてみることが重要です。作業員がスムーズに装着し、違和感なく作業できるかを確認する必要があります。
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アシストスーツの限界と過度な期待に注意する
アシストスーツは万能ではありません。サポートできる重量や動作には限界があり、全ての作業負担を軽減できるわけではありません。また、誤った使い方をしたり、過度にアシスト力に頼りすぎたりすると、逆に別の部位に負担がかかることや、安全意識が低下する可能性も指摘されています。
アシストスーツの能力を正しく理解し、あくまでも作業を「サポート」するものとして、適切な作業計画や安全管理と併用することが重要です。
適切な機種選定の重要性
アシストスーツには様々な種類があり、それぞれ得意な作業やサポート機能が異なります。自社の作業内容や解決したい課題に適合しない機種を選んでしまうと、期待した効果が得られないばかりか、現場の混乱を招く可能性もあります。
【業界別】アシストスーツの活用例
アシストスーツは、その負担軽減効果から、すでに多くの産業・作業現場で導入が進んでいます。ここでは、業界別の活用例をお伝えします。
製造業での活用例
製造業では、例えば工場等の現場における部品や製品の積み下ろし・運搬、組立ラインでの前傾・中腰作業、重量工具の使用、検品作業等でアシストスーツの導入が進んでいます。
期待される効果としては、以下のようなものが見込めます。
- 重量物運搬時の負荷軽減
- 長時間の繰り返し作業や不自然な姿勢による疲労軽減
- 作業効率の向上、ヒューマンエラーの削減
物流・倉庫業での活用例
物流業界や倉庫業では、トラックからの荷下ろしや積み込み、倉庫内でのピッキング、仕分け、梱包、棚への商品補充等でアシストスーツの導入が進んでいます。
期待される効果としては、以下のようなものが見込めます。
- 身体的負担軽減による、突発的な欠勤の減少
- 作業スピードの向上、1人当たりの作業量の増加
- 女性や高齢者等、多様な人材の活躍促進
建設・土木業での活用事例
建設業界や土木業では、資材(セメント袋、鉄筋、木材等)の運搬、重量工具(ハンマードリル等)の利用、コンクリート打設等の前屈作業、足場の悪い場所での作業等でアシストスーツの導入が進んでいます。
期待される効果としては、以下のようなものが見込めます。
- 腰痛を含む「動作の反動・無理な動作」による労働災害リスクの低減
- 中腰姿勢等、特定の身体的負荷が高い作業の持続サポート
- 繰り返し作業や不自然な姿勢による身体的負担の蓄積軽減
- 身体的負担の軽減による、作業後の疲労感の緩和
介護・医療現場での活用事例
介護業界や医療現場では、利用者の移乗介助(ベッドから車椅子へ等)、入浴介助、体位変換、排泄介助等でアシストスーツの導入が進んでいます。
期待される効果としては、以下のようなものが見込めます。
- 介助者の身体的負担の軽減
- より安全で質の高いケアの提供
- 介護職員の離職率低下、人材定着
農業・林業・漁業での活用例
農業の現場では、野菜の収穫や運搬、肥料や農薬の散布、中腰での植え付けや除草作業、果樹の剪定(腕上げ作業)等、林業では木材の運搬、チェーンソー等の重機操作、漁業においては、 漁獲物の水揚げ・運搬、網の引き上げ作業等でアシストスーツの導入が進んでいます。
期待される効果としては、以下のようなものが見込めます。
- 高齢化が進む農林漁業従事者の身体的負担軽減
- 後継者不足に対する労働力サポート
- 収穫時等の作業効率の向上
このように、アシストスーツは特定の産業に限定されず、身体的負担を伴うあらゆる作業現場での活躍が期待されています。
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アシストスーツを上手く業務に活用してみませんか?
本記事では、アシストスーツとは何か、その仕組みから種類、導入のメリットや活用例等をお伝えしてきました。
アシストスーツは、作業者の身体的負担を軽減し、生産性の向上や人材の確保・定着、そして多様な人材の活躍促進にも貢献する、非常に有効な手段です。
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