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DONのM2M講座 第22回 M2M/IoTにおけるシステムインテグレータの役割2

  • 2016年10月13日

DONのM2M講座 第22回 M2M/IoTにおけるシステムインテグレータの役割2 みなさん、こんにちは。

健康診断の前なのに暴飲暴食が止まらない、DON.マルチェロ・スミーニです。

「DONのM2M講座」の第22回目ということでよろしくお願いします。
前回の記事はこちらに掲載されています。

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皆さん引き続きよろしくお願いします。

前々回の講座において、日本のM2M/IoTのサプライチェーンにおけるシステムインテグレータの役割について解説いたしました。今回は、前々回では触れていなかったもうひとつの視点からシステムインテグレータの役割と生み出す価値について解説したいと思います。


22.1 自分自身がユーザ企業としての経験を持つシステムインテグレータ

M2M/IoTの業界で、歴史を持つシステムインテグレータとして挙げられる会社は、安川情報システム、サンデン、村田機械、そしてこのサイトを運営しているユーピーアールなどがあげられます。これらの会社に共通する特徴は、自分自身がM2Mのユーザ企業としてシステムを利用する経験を持っているということです。安川情報システムは、ロボット・制御装置の大手メーカである安川電機の情報システム子会社が母体となっていますし、サンデンは自分自身が自動販売機メーカです。村田機械は自身が工作機械メーカであり、またユーピーアールは、物流用パレットのレンタル会社として自社のパレットが紛失してしまうという問題に対応するためM2Mシステムの構築を行なったという経験を持ち、このシステムをベースに他社へM2Mソリューションを提供する事業を始めました。

これらの企業がM2Mのソリューションを提供する際には、単にシステムを提供するだけではなく、ユーザ企業としてどのようなデータをどの程度の頻度で取得してどのように処理すればよいか、そしてそれをどのように自社の事業に生かすことができるか、という点をユーザ企業の経験を踏まえてアドバイスすることができるのです。

昨今M2M/IoTのシステムを導入しようとしているユーザ企業は非常に多いですが、それらのユーザ企業がデータの取得方法やデータを使って事業に生かす方法についてのノウハウ知識を持っているわけではありません。そのような会社は、要件定義やシステムの構想の部分から、経験を持った企業のアドバイスを必要としています。このようなケースにおいて、自分自身がユーザ企業としての経験を持つシステムインテグレータからの提案は非常に有効なものとなります。


22.2 大手メーカがM2M/IoTシステムを提供することの意味

このモデルをさらに発展するような動きが現れています。
㈱東芝は、水処理装置大手の栗田工業㈱に対して、M2M/IoTによる遠隔制御のシステムを提供するというプレスリリースを発表しました。

東芝はこれまでM2M/IoTシステムのサプライヤとして広く知られる存在ではありませんでしたが、東芝のグループ内にはエレベータや各種製造装置、インフラ設備用の装置などM2M/IoTを利用していると推測される事業部門が非常に多くあることから、東芝のシステム部門はM2M/IoTシステムを構築運営した経験をかなり持っているものと予想されます。
すなわち、東芝ような大手メーカのシステム部門は自社内ユースだけでも十分なノウハウと経験を手にすることができると思われ、それを外販するのであれば、非常に強力なサプライヤになれると想定されます。
しかし東芝ような大手メーカができることはそれだけではありません。東芝のような大手メーカは、日本国内に多くの工場を持ち、それらの工場ではM2M/IoTシステムのユーザ企業が提供する装置設備を、『その先のユーザ』として使用していることが多いと思われます。
今回の例で言うと、東芝のいくつかの工場では栗田工業の水処理装置をユーザとして使用しているものと思います。(東芝の工場の数と、栗田工業の業界でのシュアから考えて、当然そのようなケースがあると思います。)すなわち、大手メーカからM2M/IoTシステムを導入しようとしている装置メーカにとって、その大手メーカの工場は自社の顧客でもあるというケースがかなり多くあることが想定されるのです。
これは、装置メーカを中心としたM2M/IoTシステムのサプライチェーンで言うと、大手メーカはM2M/IoTシステムのサプライヤとして『上流』に位置しつつ、同時にそれを組み込んだ装置を利用する立場である『下流』側にも位置しているということになります。
装置メーカがM2M/IoTシステムを導入する際に、エンドユーザに対してどのようなサービスや価値を提供すればよいかという点は大きな悩みであるのですが、大手メーカがサプライヤとなる場合にはエンドユーザである工場から要望を取得することができるのです。
大手メーカの工場側も、サプライヤである装置メーカがM2M/IoTを導入し、自社が使っている装置の性能や稼働時間が向上するのであれば、それはもともと歓迎すべきことですし、ましてそのM2M/IoTシステムのサプライヤが自社のシステム部門ということであれば、より踏み込んだ情報の提供を行なうことでしょう。トライアルの実施なども含めてさまざまな協力が期待できるわけです。
さまざまな不確定要素の中でM2M/IoTシステム導入の意思決定をしようとしている装置メーカにとって、上流と下流からしっかりとサポートしてくれる大手メーカが非常に心強い存在に見えることは間違いありません。


22.3 M2M/IoTにおいて更なる発展が見込まれる日本型供給モデル

日本のITシステムの産業構造において、ユーザ企業が要件定義までをもサプライヤに丸投げすることは、さまざまな批判を受けています。確かにITシステム全般に関していうとその通りなのですが、M2M/IoTシステムに関してはある程度仕方がない部分もあると思っています。装置メーカにとっては、通信を使いこなした経験もデータを取得して処理するような経験もほとんどないのが現状です。そのような中で、経験を持ったサプライヤにその部分を委託することは、『時間を買う』という意味でも有効です。

そのような状況なかで、装置メーカやサービスプロバイダとしての経験を持つ企業が、自社の経験を踏まえてソリューションを提供するという形で日本のM2M/IoT業界は発展してきました。そして今回、装置メーカやサービスプロバイダとしての経験だけではなく、その先のエンドユーザである工場までもを持った大手メーカが参入してきたことにより、このモデルはさらに発展していくことが期待されます。
海外でもあまり例のない日本独自の手法だとは思いますが、M2M/IoTシステムの普及を引っ張っていくには非常に強力なモデルと言ってよいでしょう。特にこれから大きな伸びが期待できる工場のIoT化の分野において、このような大手メーカの参入はマーケットの発展に大きく寄与すると期待できます。


今回の講座はここまでとさせていただきます。
次回のテーマはまだ検討中ですが、M2M/IoTに関するホットな話題を取り上げたいと思います。次回をお楽しみに。

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