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DONのM2M講座 第21回 設備系装置におけるM2M/IoTの普及状況

  • 2016年09月29日

DONのM2M講座 第21回 設備系装置におけるM2M/IoTの普及状況 みなさん、こんにちは。

最近なかなか展示会に顔を出す時間が取れない、DON.マルチェロ・スミーニです。

「DONのM2M講座」の第21回目ということでよろしくお願いします。
前回の記事はこちらに掲載されています。

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皆さん引き続きよろしくお願いします。

今回は、日本のM2M/IoTのマーケットにおいて大きな存在である『設備系の装置』におけるM2M/IoTの普及状況と、それを提供する『日本の大企業』がどのような状況におかれているかを解説したいと思います。


21.1 設備系装置のメーカのM2M/IoTの利用状況

今回取り上げようとしている設備系の装置とはどのようなものを指すのかについて、まずは解説したいと思います。例えばビルディングでいうと、電源、空調、水の供給などを行なう各種の装置が動いていますし、またエレベータも常時稼働していることが求められる設備となっています。あるいは工場においては、製造ラインに各種の製造装置が稼働しているのですが、製造ラインに入らない形で圧縮空気や工業用水、熱水などを供給する設備が稼働しています。このような装置について今回取り上げたいと考えます。

これらの装置のM2M/IoTの普及状況は、他の分野と比べても非常に進んでいると言ってよいでしょう。

例えばエレベータは法規制への対応もありほぼ100%の普及状況ですし、空調装置や水供給装置などもすでにM2M/IoTによる遠隔監視は実施されていました。しかし、昨今の端末装置の価格低下と、海外で利用可能なソリューションが整備されてきたことから、展開する領域と数量はさらに拡大しているのが実体です。またこれまでM2M/IoTを使用してきていなかった装置についても、すでに導入が決定されていて、現在は開発や実証実験の途上であったり商用展開が始まりつつある状況であったりするものはたくさんあります。

このような状況の中で、システムや通信装置のサプライヤでは、新規に受注した案件のための技術検討や開発を行ないながらも、既存案件については運用体制に移行していくという、多忙な状態になっていると思われます。数年前までは、売り上げが上がらない中で出費ばかりがかさむ日陰の存在だった部署が、売り上げが上がっていくことによりいまや会社の中でももっとも重要視される部署となっているところも多いのではないでしょうか。

つまりサプライヤにとって現在はこれまで蒔いた種の『収穫期』に入っていると言える状況でしょう。

一方、この流れに乗ってM2M/IoTの導入を決めた設備系装置のサプライヤ、すなわちM2M/IoTについてはユーザという立場で採用する企業にとっては、いまが出費がかさむ時期です。システム開発や通信端末の購入費用などがすでに発生していたり、直近で発生する状況になってたりするわけですが、M2M/IoTを導入した効果というものは、すぐに得られるわけではありません。しばらくは、先行投資として通信端末を多くの装置に搭載して、送られてくるデータを溜め込む時期を過ごさなければなりません。このような時期を過ぎると次はこれらの企業が「データの価値」という収穫を得ることができるようになるでしょう。


21.2 設備系装置メーカが積極的にM2M/IoT導入を進める理由

前章で述べましたように、設備系の装置のM2M/IoTが活況となっている理由はどのようなものが上げられるでしょうか。

ひとつは競合の存在です。海外(特に北米や一部のヨーロッパ)では2011~12年ごろからM2M/IoTの普及期に入りました。これが、1~2年後にはヨーロッパ全体に拡大したのですが、これによって実際のマーケットにおいても2014年ごろからはM2M/IoTを搭載した機器が市場で多く見られるようになってきました。日本の企業の中でも、海外においてこれらの海外企業と直接の競合状態にある企業は、このころから競合企業がM2M/IoTを積極的に導入していることを認知できたと思いますし、脅威も感じ始めていたと思われます。これが日本企業の中でも特に海外に進出している大企業における意思決定をうながし、これが今年になると商用展開にまで到達しているという側面があると思われます。

もうひとつは、ユーザ企業側にもM2M/IoTの効果が認知されてきたことが挙げられると思います。実際に私が仮の姿で働いている企業にとっての顧客の多くは、設備系装置のサプライヤであったりそこにシステムを納入しているSIerであったりするのですが、実際のエンドユーザ、すなわち工場やビルディングの保有者からM2M/IoTを早く導入してくれと言われているという話をよく聞きます。

すなわち、特に海外でもある程度のシェアを持つ設備系装置のサプライヤからみると、競合がすでに実施しているうえに顧客からの需要もあるということで、M2M/IoTをやるしかない、という状況になっているわけです。 とかく意思決定が遅いと言われる日本の大企業であっても、このような状況であればそれなりの速度で意思決定を行なって、キャッチアップしてきます。現行では、グローバルにビジネスを行なっている企業が導入を始めている状況ですが、次はその企業と日本市場で競合しているドメスティックな企業においても同じ状況が現れてくるので、そちらに普及が波及していくものと思われます。


21.3 日本の大企業のM2M/IoT導入時の特徴

このような設備系の装置のメーカというのは、大企業である場合が多いのですが、本章では私個人の感想として、日本の大企業がM2M/IoTのシステムを導入する際に行なう特徴的な行動を書いてみたいと思います。 前章で、『とかく意思決定が遅いと言われる日本の大企業』と書きましたが、たしかにこれまでは非常に長い期間を調査のために過ごしてきた企業は多かったと思います。しかし、いまや競合からもユーザからも突き上げられている状況ですので、今後は長い期間をかけて調査するというパターンは減っていくのではないかと思っています。 いざ実施することが決定すると、プロジェクト推進の能力は高いので、意外と迅速に物事が進んでいくという印象があります。ただし、細かい要求事項は非常に多いです。つまり、即断即決ですべてが進むという感じではなくて、考えられる課題をすべてリストアップしてそのすべてをひとつずつ解決してゆきながら、それでも前には進んでいくという感じで物事が進んでいくという印象です。

逆に言うと、大企業へのサプライヤは、膨大な量の宿題をこなしてゆきつつ、ゴールにたどり着けるだけの体力が必要になるということです。これは技術分野だけではなく、品質保証や供給体制、法務的な処理なども含んでのことになります。

ただ、私の印象では日本の大企業はサプライヤに対して理不尽な要求をすることは少ないですし、礼儀正しい人が多いという印象があります。おそらく下請け企業への対応などについて、コンプライアンスをちゃんとしてゆこうという意識があるものと思います。若い人を鍛え上げて将来の戦力にしてゆこうとしているところも随所に見受けられます。つまり長い年月の間存続してきた組織として、人材を育ててゆくという伝統とノウハウをちゃんと持っているという印象です。 このような点を見ると、やはり日本の経済を支えている人たちなのだと実感することも多いです。

日本の将来は暗くない。それを今回の結論とさせていただきたいと思います。

今回の講座はここまでとさせていただきます。
次回のテーマはまだ検討中ですが、M2M/IoTに関するホットな話題を取り上げたいと思います。次回をお楽しみに。

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