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DONのM2M講座 第20回 M2M/IoTにおけるシステムインテグレータの役割

  • 2016年09月16日

DONのM2M講座 第20回 M2M/IoTにおけるシステムインテグレータの役割 みなさん、こんにちは。

この原稿の執筆期間は外国人上司が来日しているため「4日間の完全英語漬けコース」に入っているような状態になっている、DON.マルチェロ・スミーニです。

「DONのM2M講座」の第20回目ということでよろしくお願いします。
前回の記事はこちらに掲載されています。

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皆さん引き続きよろしくお願いします。

今回は、M2M/IoTの業界においてシステムインテグレータと呼ばれるレイヤの企業がどのようなサービスを提供し、どのような価値を生み出しているかについて、解説したいと思います。


20.1 M2M/IoTのシステム構築におけるシステムインテグレータの役割

M2M/IoT業界でシステムインテグレータがどのような役割を果たしているか、まずは技術的な側面から見ています。

M2M/IoTのシステムは、大まかにいうとモバイル通信端末、通信キャリアの通信サービスそしてサーバアプリケーションにて構成されるわけですが、それらを別々に調達してしまうと、相互接続がうまくいくかどうかは購入した側、すなわちM2M/IoTのシステムを導入する企業が保証しなければならなくなります。

また通信キャリアからサーバまでの間でデータを運ぶためのネットワークの構築であったり、サーバアプリケーションと通信端末上で動くローカルアプリケーションとの間でデータ連携を行なうためのカスタマイズ、さらに、モバイル通信端末のローカルインターフェースに自社の装置を接続してセンサーから得られた情報を適切にモバイル端末で処理できるようにするなど、さまざまな構築、開発、カスタマイズの業務を行なわなければなりません。

すなわち、M2M/IoTのシステムを構築するということは、異なるサプライヤから提供される個々の装置を、物理レイヤからアプリケーションレイヤまでのさまざまな階層において接続し、問題がなく動作することを試験にて確認していく作業になります。

また、システムの運用が始まった後で障害が発生した場合に、もしユーザ企業が個々の要素を別々に調達しているとすると、障害の原因はどのサプライヤが提供した装置に起因するのかを自分で切り分けて、障害の発生源となっているサプライヤに修理交換を依頼することが必要になります。これを行なうためには、システム全体の動作を理解できるだけの高度な技術的な知識を持った人間が必要になります。

ほとんどのユーザ企業は、このようなことに対応できる専門的な知識を持っているわけでもないですし、十分なリソースを持っているわけではありません。そのような状況において、個々の装置やサービスを独自に選定して別々に調達するということは、それらの装置やサービスの相互接続性の責任をすべて自社で持つことになり、現実のビジネスにおいてこれを実施するのは非常にハードルが高いと言えます。

システムインテグレータは、この世に数ある通信端末や通信キャリア、サーバアプリケーションのなかから、相互接続可能なものを選定して、相互接続性を保証したうえでユーザ企業に提供するという役割を果たします。個々の要素に関して言うと、ユーザ企業が直接選定して調達するよりも高くなる場合もあるでしょう。また当然ながら個々の要素をシステムインテグレータを通じて購入する場合は、システムインテグレータのマージンの分だけコストは上昇します。
しかし、それらの価格上昇要因があっても、相互接続性の保証と障害発生時の手順の簡略化はユーザ企業に十分なメリットがあると言えるでしょう。


20.2 システムインテグレータのビジネス面での役割について

それでは、システムインテグレータのビジネス面での役割はどのようなものになるでしょうか。
まず言えることは、契約とそれに付帯する調達や請求の一本化でしょう。個々の要素を別々に調達するとすると、契約は個々のサプライヤと個別に締結することが必要になります。海外企業から調達する場合は、契約書が英語だったり、準拠法や管轄裁判所が外国のものだったりして、個々の条件交渉は非常にたいへんです。調達においても、個々のサプライヤごとに最小購入数量や納期などが異なる中で、必要な時期に必要な物品を確保するのはかなり煩雑な作業になります。使用する通貨も円だけではなく、外国通貨が入り混じってくる可能性があります。システムインテグレータはこれらの部分をある程度吸収して、ユーザ企業の煩雑な作業を減らすというメリットを提供します。

またオペレーション面でもシステムインテグレータが効力を発揮する場合があります。M2M/IoT用のモバイル通信端末は、使用開始までの間のどこかでSIMを装着して、通信や動作に関する各種設定を行なう必要があるのですが、システムインテグレータの多くは、これを実施した状態でユーザ企業に提供する機能を持っています。

また品質保証や輸出入関連の手続きなどにおいても、システムインテグレータを経由して機器を購入するほうがトラブルが少なくなると思われます。日本の企業において通信端末を調達する場合には、各種の品質保証や有害物質含有などに関する各種の試験結果の提出が必要になります。また輸出入に関する書類の準備も非常にたいへんであり、もしユーザ企業が自分で通信端末を選択した場合に、ここをあまり考慮せずに海外製の製品を選んでしまうと、このようなものがあまり用意されておらずにたいへん苦労する場合があります。ある程度M2M/IoTの経験を持っているシステムインテグレータの場合、提案してくる機器自体がこのような点を考慮して選択されている(と信じたい)ので、この部分の苦労はかなり差が出ると思われます。


20.3 システムインテグレータが生み出す価値とは

これまでの説明を踏まえて、システムインテグレータが創出する価値を考えてみたいと思います。

あるユーザ企業がM2M/IoTのシステムを構築するためには、さまざまなサプライヤの機器やサービスを選択して、それぞれが組み合わされた状態で相互に問題なく動作するように調整していくことにより全体のシステムを作り上げていく必要があります。また構築途上でも運用状態に入った後からも、さまざまな問題が発生するので、それぞれに対して適切に対応していくことが必要になります。システムインテグレータは、この部分を代行することにより、ユーザ企業が多くの人的リソースを使うことなく計画通りにシステムの導入を実現できるようにします。
もしシステムインテグレータが、1社だけの顧客を持っているのであれば、効率という意味ではまったく向上する要素がありません。しかし、システムインテグレータが複数のユーザに対してシステムを提供する場合、ノウハウやドキュメント、実施した試験の結果やプログラムコードなどが再利用できるので、効率が向上します。

すなわち、システムインテグレータが提供する価値とは、ノウハウなどを横展開することにより、ユーザ企業のM2M/IoTシステムの導入と運用の負荷を減らすこと、と言えるでしょう。

日本のユーザ企業の多くは、システムインテグレータを活用してM2M/IoTのシステムの構築と運営を行なっています。日本のM2M/IoT業界におけるシステムインテグレータの存在価値は非常に高いと言ってよいでしょう。

最後になりますが、この文書が掲載されているサイトを運営しているユーピーアール株式会社は、M2M/IoTのシステムインテグレータとしてかなり長い経験を持った会社です。私自身がM2M/IoT業界におけるシステムインテグレータの役割の重要さを理解するうえで、ユーピーアール株式会社の行なっている事業の内容が非常に参考になりした。文章を掲載していただいていることと合わせて、ここに御礼申し上げたいと思います。


今回の講座はここまでとさせていただきます。
次回のテーマはまだ検討中ですが、M2M/IoTに関するホットな話題を取り上げたいと思います。次回をお楽しみに。

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