新着情報

MR.スミスのIoTコラム インダストリー4.0を読み解いてみる (2/2)

  • 2016年07月07日

MR.スミスのIoTコラム インダストリー4.0を読み解いてみる (2/2) アメリカーーーン!!!

7月に入って気候はもう夏の装いだね。スミスの住む東京では、先日昼間の気温が35.4度に達したそうだよ!ワオ!毎年毎年言われていることだけど、今年の夏は暑くなりそうだね。

————————————————————————-
インダストリー4.0を読み解いてみる (2/2)
————————————————————————-

さて前回のスミスのコラムでは、インダストリー4.0の戦略や目標といった、やや概念的な考え方を紹介したね。覚えてるかい?今回はその概念を現実のシステムに落とし込んでいくための指針とも言える、リファレンス・アーキテクチャ・モデル (RAMI4.0) を紹介しよう。

リファレンスアーキテクチャ、標準化、規格化

インダストリー4.0実現戦略によると、リファレンスアーキテクチャの基本的な考え方とは「様々な技術やプロセスをひとつの共通モデルとしてまとめるもの。バリューチェーン全体を通じて、生産手段や半加工品をめぐって発生する技術データ・管理データ・商業データなどの整合性が価値連鎖のあらゆる部分において保たれ、ネットワークを通じていつでもアクセス可能にすることを目指」すものだ。

ひとつの工場という枠を越えた、製品のバリューチェーン全体を最適化しようとするのが、インダストリー4.0の基本的な目標だよね。すなわち、様々なアプリケーション領域で異なる仕組みや手段をきちんと理解した上で、その本質的な部分を捉えて共通のモデルとして表現したものが、RAMI4.0というわけ。ってことは、あらゆる規格がてんこ盛りになってて収拾がつかないようなメタボな仕組みになってるんじゃないかって、ちょっと心配になっちゃうよね?

実は半分は当たっていて、インダストリー4.0の規格を現場に浸透させるには20年ほどかかるんじゃないかとも言われていたりするんだ。とは言え、インダストリー4.0が目指すのは出来る限り少ない標準で統一的なリファレンスアーキテクチャを作成すること。そのために冒頭の図に示すようなシンプルなモデルを定義している。(図:リファレンスアーキテクチャモデル/出展:Umsetzungsstrategie Industrie 4.0)

このモデルは欧州のスマートグリッドコーディネーショングループが作成した、スマートグリッドアーキテクチャモデル (SGAM) をベースに作成されたものだ。SGAMは、発電から送電と配電を経て消費者に至るまでの電力系統を扱ったもの。つまり電力というプロダクトのライフサイクルを定義するモデルと言えるよね。インダストリー4.0では工場での製品の開発と生産のシナリオが中心になるから、それにまつわるプロセスや機器などを記述できるように、SGAMを拡張してRAMI4.0を作ったんだ。


Layers

縦軸 (Layers) ではデータイメージや機能的記述、通信挙動やビジネスプロセスなどの異なる視点を表現・議論するためにレイヤー構造を用いていて、以下の6つの層からなる。
  (1) Businessレイヤー
  (2) Functionalレイヤー
  (3) Informationレイヤー
  (4) Communicationレイヤー
  (5) Integrationレイヤー
  (6) Assetレイヤー
上に行くほど抽象度の高い層になっていて、「Businessレイヤー」では、規則や法律の議論、異なるビジネス・プロセスを連結するためのエレメントなどが定義されている、ハイレベルなレイヤーだ。「Functionalレイヤー」では規則・意思決定のロジックが生成される。「Informationレイヤー」ではFunctionalレイヤーで生成されたロジックに従ってイベントが生成され、「Communicationレイヤー」では統一したデータフォーマットを用いた通信の統一が規定されている。「Integrationレイヤー」では物理層とソフトウェアのインターフェースなどが規定され、「Assetレイヤー」では機器や人間(人間もアセットの一つとして定義されている)などの現実世界と仮想世界の接続などが行われる。


Life Cycle & Value Stream

横軸では製品ライフサイクルとその中に含まれる価値連鎖を表している。まずライフサイクルについてなんだけど、これを理解するには「タイプ」と「インスタンス」という 言葉を明確に区別することが重要だ。簡単に言うと「タイプ」は製品の青写真とかアイディアといったようなもの。開発段階におけるプロトタイプの製造までも含む概念なんだ。これに対して「インスタンス」は、タイプに基づいて製造された製品を指す。

Value Stream(価値連鎖)はインダストリー4.0において非常に重要な概念ということは前回のスミスのコラムでも話したよね。製品ライフサイクル全体において、ひとつの工場だけでなく、製品の製造に関わるあらゆる関係者を含んだ価値創造プロセスを横断的に連結することを目指している。


Hierarchy Levels

RAMI4.0の第三軸では、ある状態のインダストリー4.0内での機能的な位置づけを記述するものだ。インダストリー4.0という製品ライフサイクル全体を最適化する枠組みの中において、様々な業種のプレイヤーがそれぞれの機能を遂行するわけだけど、それらの機能(例えばフィールドデバイスであるセンサー機器の機能レベルなどを記述するのがここだ。第三軸の大きな特徴は、製造に関わる機器の機能だけではなく、製品自体もここに定義されていること。それは製造プロセス最適化の分析のためには、製品と生産装置の相互依存関係を共に分析できることが重要だからなんだ。同じように、最上段にはConnected Worldという項目も追加定義されていて、ここでは工場外部との連携や協業などを記述できるようになっているんだ。


インダストリー4.0コンポーネント

そして最後に、インダストリー4.0の肝とも言える「コンポーネント」という拡張されたオブジェクト(機械やソフトウェアなど)の概念が重要な役割を担っていることを説明しておきたい。

既に説明しているように、インダストリー4.0では製品ライフサイクル全体を統合することが重要だったよね。そのためには各プロセスにおいてオブジェクト(機械や装置、ソフトウェアなど)がお互いにきちんと通信できることが重要だ。だけど今日では様々な通信規格が乱立していて、異なる通信規格を持つ機械Aと機械Bを同じ制御機器で統一的にコントロールすることが難しかったりするよね。そこでインダストリー4.0コンポーネントは工場内のあらゆる接続に対応することが意図されているんだ。具体的には、管理シェルと呼ばれる、規格の差異を吸収するラッパーのようなものでオブジェクトをカプセル化して、様々なオブジェクトを相互に通信可能にしているんだ。それによって終始一貫性のあるエンジニアリングという、インダストリー4.0の重要な要件が満たされるわけだね。

管理シェルには、オブジェクトに関するバーチャルイメージ(オブジェクト自身に関するデータ)や専門機能(オブジェクト関する付加価値やビジネスロジック実行のための機能)に加え、通信能力が規定されている。これらを備えて初めて「インダストリー4.0コンポーネント」と呼ばれるようになり、各層間で適切にデータのやり取りができるようになるんだ。

さて、今回はRAMI4.0というアーキテクチャを駆け足で紹介してみたけど、少しは全体が掴めたかな?正直言うと、これを紹介するのはスミスにとってかなり困難なチャレンジだったよ。インダストリー4.0実現戦略の中身が非常に抽象度の高い議論な上、それが及ぶ範囲も広範だからね。これを規定している団体は、今後も引き続き議論を尽くしてより具体的な標準化を進めていくそうだから、次のアップデートも注目する必要があるね。みんなも是非チェックしといてくれよな。

じゃ今回はこの辺で。そろそろ夏バテが気になる季節だから身体には気をつけるんだぜ!
アメリカーーーン!!!

一覧へ戻る