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MR.スミスのIoTコラム インダストリー4.0を読み解いてみる (1/2)

  • 2016年06月16日

MR.スミスのIoTコラム インダストリー4.0を読み解いてみる (1/2) アメリカーーーン!!!

前回のコラムで少しだけインダストリー4.0について触れたのは覚えているかい?え、読んでないって?なんてこった!読んでないぜっていうけしからん読者はここにアクセスしてすぐに読んでくれよな!

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インダストリー4.0を読み解いてみる (1/2)
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今回のコラムではインダストリー4.0についてちょっと掘り下げてみたいと思う。JETRO(日本貿易振興機構)のサイトにインダストリー4.0実現戦略という、まさにインダストリー4.0の骨子を記述した文章の日本語訳が載っているから、一読をオススメするよ。PDFで103ページとボリュームたっぷりだからそんなの読んでられないぜって人のために、ヒマな親切なスミスがみんなのためにスミス視点でまとめてみたから早速チェケラ!

概略
まずはお約束の言葉の定義からしっかり押さえておこう。リンク先資料によるとこう定義されているよ。

「インダストリー4.0とは、第四次産業革命を表す言葉であり、製品のライフサイクルを通じて価値連鎖全体の組織と制御が新たなる段階に入ることを意味する。」

なるほどなるほど。さらに続いて「このサイクルは個別化の進む顧客の要望に対応するものでアイディア段階から開発および製造の指示、製品の末端顧客への納品、果てはリサイクリングまですべての段階を指し、それに関連するサービスも含む」

となっているね。工場でのモノづくりを効率的に行うという側面が注目されがちだけど、目指すところはモノのライフサイクル全体の最適化と、さらにはそれに関連するサービスまでもがその対象になっているところが重要なんだ。

戦略と目標
インダストリー4.0が目指すところは「工業生産国としてのドイツの存続を確実なものとし、さらに強化する」ことと明確に宣言されている。だけどこれだけ見て、あぁやっぱりインダストリー4.0ってドイツのためのものじゃんって思うのは早計だぜ。もちろん第一義的にはドイツの製造業が生き残るための戦略なわけだけど、忘れちゃならないのは、インダストリー4.0が対象にしているのは、「価値創造に関与する全てのインスタンス」であること。つまりドイツ国内でものを作る企業だけじゃなく、そこに材料を納める企業、さらには成果物が製品として流通して現実世界と交わるところまでをも含んだ概念なんだ。言葉の定義にあった通り、製品の納入やリサイクリングにまでその範囲は及んでいる。つまりドイツのみならず、バリューチェーン全体に関わる国や団体全てに影響を与える枠組みだと言ってもいいね。

インダストリー4.0の核心
こうして見てみると、インダストリー4.0のカギは、製品の企画、開発、製造、調達、生産、販売、保守、廃棄(リサイクル)といったモノの振る舞いをデジタル化することにあると言える。言い換えるとバリューネットワークのデジタル化による可視化と共有化かな。

これを実現させるために、インダストリー4.0実現戦略では、以下の5つを「インダストリー4.0の核心をなす重要事項」として定義しているんだ。

1.価値ネットワークを横断する水平統合
2.ライフサイクル全体を通じて終始一貫したエンジニアリング
3.垂直統合とネットワーキングされた生産システム
4.職場環境に配慮した新たな労働インフラ
5.分野横断的技術の継続的開発

最初の定義にあった、ライフサイクル全般とか製造工程の最適化は1, 2, 3あたりできちんと取り上げられているね。そしてそれらを支える技術基盤として5が重要であるということだね。ちなみに「IoT」は5に入るぞ。それぞれ簡単な説明は後述するけど、ちょっと馴染みのない概念は4の「職場環境に配慮した新たな労働インフラ」じゃないかな?

なぜ職場環境といったような、技術革新とは少し毛色の違った事項がインダストリー4.0の核心をなす重要事項の一つに上げられているんだろう?それを理解するために、インダストリー4.0には以下の3つの命題が存在することを説明しておきたい。それは『人間』、『技術』、そして『組織』だ。

『人間』について一言で表すと、仕事や役割を通じて自己実現を成し遂げようというもの。あくまで主役は人で、インダストリー4.0は人に優しい社会技術システムでなければならないということ。

『技術』については一言で表すのは難しいけど、モデル化・コンポーネント化による複雑な処理の単純化を目指している。モノを作るための資源利用の自律的最適化が可能で、他システムとの連携も容易でなければならない。

『組織』はバリューネットワークにおける分担と協力の推進による価値創造を目指す。

話を戻して、1~5の簡単な説明はこうだ。

1.価値ネットワークを横断する水平統合
企業間の横の繋がりだね。派生する形で新たなビジネスモデルやメソッドなども含まれてくる。

2.ライフサイクル全体を通じて終始一貫したエンジニアリング
PLM (Product Lifecycle Management) 支援型のエンジニアリング。システムエンジニアリングとモデリング、シミュレーションの統合解析など。

3.垂直統合とネットワーキングされた生産システム
生産のネットワーキング。工場の生産プロセスの可視化や機器の予防保全など。多くの日本企業の工場が今検討しているのはこれだ。

4.職場環境に配慮した新たな労働インフラ
あくまで人が主役であるということ。技術革新が進んでも、決定的な成功要因が人間であることは不変。だからインダストリー4.0によって生じる変化は関係者全てにきちんと理解され指示される必要がある。

5.分野横断的技術の継続的開発
上記を実現するための技術要素。通信技術、クラウド、ビッグデータ分析、M2Mなどは個々に含まれる。

こうして見ると、インダストリー4.0が目指すのは単純な生産効率の向上ではなく、あくまで人を主役に置いた社会技術システムであり、それを支える様々な技術や仕組みをだれにでも使える形で策定しようとしているものだと言えそうだね。であれば、インダストリー4.0の核心の一つとして、「職場環境」という組織の中の人間が置かれている状況について言及していることは、ある意味当然かもしれないけど、そういう点を「核心をなす重要事項」としてきちんと定義しようとしているところは感心するね。

さてこういった目標や命題、戦略といったものを現実のシステムに落とし込んでいくためのモデルが、インダストリー4.0のリファレンスアーキテクチャ・モデル (RAMI4.0) だ。

これからそのアーキテクチャについて見ていこうと思ったけど、紙面が尽きてきたようだから次回説明したいと思う。こういった仕組みがきちんと明文化されてオープンになっているからこそ、インダストリアルインターネットのような別のプラットフォームとの連携も可能になるんだよね。

じゃあ今日はこの辺で。首を長くして続きを待っててくれよな。
アメリカーーーン!!!

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