お知らせ
新着情報

INFORMATION

新着情報

DONとスミスの新春対談 vol.1

はや2月の声が聞こえようという時期ですが、新春に開催したDONとスミスの対談を3回に分けてお送りします。
まず第1回目は2015年の振り返りからです。

-2015年を振り返ったとき、ユーザ、サプライヤ、テクノロジの側面からどんな印象がありますか?

DON(以下D):サプライヤのリリースが多かったので、サプライヤが先行しているイメージがありますね。ユーザのリリースはほとんどなかったのですが、2014年以降コングロマリットがバラバラだった各事業部ごとの情報を中央に集約させる動きがでているようで、回線の伸びが続いています。しかし、期待したほどの急激な変化とは言えないのが実状です。

スミス(以下S):製造業界においては、産業機器の監視・メンテナンスなど、M2M的使い方が伸びているようだね。事例も多く、ROI(費用対効果)の説明がしやすいことから、この業界から動きがではじめている印象だね。

-それでは製造業界にフォーカスして、ユーザサイドでの変化を聞かせてください。

D:国内の製造業はM2Mを検討していない企業はほとんどなくなったと言ってもいいですよ。M2Mってなに?という段階はもう終わりました。手を付けていない企業でも、やらなくちゃ!という気持ちになってきています。2014年検討、2015年トライアル・全面展開といった構想を持っている企業が多かったのですが、なかなかスピード感をもってスタートできるところは少なかったようですね。

-M2Mは以前からありましたが、なぜ今のタイミングで検討や導入に動き出したのでしょうか?

S:M2MからIoTへ呼び方がかわったことで、IoTの概念が先行したせいではないかな。それこそ、ドイツの製造業界の Industrie 4.0 やアメリカのGEが提唱する Industrial Internet といったバズワードのおかげでIoTっていう概念が浸透し、やんなきゃまずいと経営者がその気になったっていうのはあるよね。

D:日本企業がグローバルに遅れを取らないようにと焦り出したのもある。2011年から北米や一部のヨーロッパのIoT化が進み、その翌年くらいからヨーロッパ全域に拡張し始めていました。日本へは2014年後半にその波がやってきたと思います。

S:まさにガイアツ、クロフネだね。欧米に遅れを取ってる感がそうさせたんじゃないかな。

-やはり日本のM2Mは海外に比べ数年遅れているのでしょうか?

D:実際にはコマツや20年間データをとっているエレベーター業界のように先行している企業がいくつもあります。そのような企業ではデータ解析や予兆診断も行っており、けっして海外に負けてはいないんです。でもそうした先行した優秀な企業を除いた平均値をみてみると、かなりやばいかなと思います。

-日本企業はコンペティターが始めるまで様子見をしがちといった特徴もさることながら、他にも海外から遅れをとった理由はありますか?

S: 遅れた原因としては、日本独自のサービスクオリティの存在があるよね。何かあったらすぐさま駆けつけてくれるのがサービスだとお客が思っていると、製造業者はIoTを導入したくてもなかなかできない。海外はもともとのサービスレベルが日本ほど良くないことが多いから、遠隔のデータ収集・監視・コントロールはサービスアップとして受け入れられやすいよね。

D:日本だと今まで人が駆けつけていたのが、遠隔でコントロールされるとなるとサービスダウンととらえてしまう場合もあります。M2Mの導入に伴って保守契約内容の見直しも必要になる場合も多いです。

S:製造業側の思いとお客の思いのギャップこそがM2M導入の障壁となっている感じだね。

-その障壁はどうやって解くことができますか?

S:海外事例がガイアツになるかもしれないね。良いか悪いかは別として日本企業には効くだろうね。

D:事例ももちろん、先ほどの Industrie 4.0 のような概念も影響していくのではないでしょうか。海外では概念をスローガンにして上手にアピールしています。企業が導入を決める際の最後の一押しをするという意味で、そうしたプロモーションが効くことがあります。

S:例えば Industrie 4.0 なんかだと、日本でも工場の可視化を推進していたり、サプライヤに製造の可視化を要求したりと、同じようなことをやっている大手メーカも何社かあるけど、海外は見せ方、プロモーションがうまいよね。

D:大手製造業のM2M導入は、海外のコンペティターを意識したケースも多いです。そしてさらにその競合の国内企業が追随する形で、日本にM2Mが浸透するきっかけとなるでしょう。

S:純粋に製造業が伸びていたらこうはなっていなかったかもしれないね。物をつくるだけじゃだめだとなって海外の事例を参考にIoT化、M2M化を急げ!となってきている。中小に波及するのはもう少し先かな。

D:中小でもとがった企業はスコープに入っています。一般人にはさほど有名ではないが高い世界シェアを持つような優良企業は、意思決定も早いですし、かなり積極的ですよ。

-IoTの概念の中には、保守・保全の観点だけでないアプローチが重要だと言われていますね。いわゆる物売りからサービス化への転換というか。そのあたりの考え方は世界的に見てどうなのでしょうか?

D:海外の工場建設のRFP(提案依頼書)で、例えばもう物は買いたくないからあなたの装置を成果物見合いで提供してくれといった記載が結構出てきていると聞いています。

S:パフォーマンスに対する課金の考え方が広まりつつあるね。とある講演で紹介されていた、「Pay Par Laugh」といった観客の笑いに対して課金するなんていうのはわかりやすい事例だと思うよ。Hahaha!(upr注:課金されました)

-たとえばuprのようなレンタル会社はむかしから所有することよりもお客様が利用することに主眼をおいたビジネスを行っていると言えますが、今後M2Mの導入によってシェアリングサービスが伸びる可能性はどうでしょうか?

D:物だけ貸してくれというよりは、作ってくれという方向になるんでしょうね。サービス業に転換できる製造業はそんなに多くはないでしょうから、RFPにそんな記載が増えれば、あいだにリース会社がかむことが必要になります。今後はリース会社・レンタル会社がそのノウハウを「Pay Par ○○」という形で売り出すことがあるのではないでしょうか。

S:IoTが、実際の利用内容を可視化することを可能にしたよね。いままでは期間で貸していたのが、今後はサービス内容に即した貸し出しになるだろうね。

D:レンタルビジネスは、実際には新興国のほうがシビアに運営されているので、今後は新しいビジネスモデルが新興企業から台頭してくるかもしれないです。

S:そうなると製造業は変わるしか道がないんじゃない?例えば自動車は時間でみると5%しか利用されていないとよく言われるよね。それをシェアリングすると全体の数は減ることになるよ。

D:資産の利用効率が上がるので、製造業者にとっては売れなくなっちゃうわけですが。

S:製造業は今まで過剰につくっていたことになるから、売るためにはサービス化といった新しい取組を始める必要がでてくるね。新会社を作ってでも買収してでも、そこを埋める何かを準備することになるだろうね。


-製造業側がそうしたビジネスモデルを描けると、導入理由になりますね。そしてそれは利用する側から見てもやさしいサービスになり、M2Mシステムが入っていて当たりまえの世界になりそうです。

D:その通りですね。先ほどのような利用単位で課金することになれば、サービスを提供する側と利用する側の両方がどれだけ稼働したかというデータをもっている必要があるわけです。同じデータを2か所に送り、両者が共有することになります。いや、むしろそれぞれがとったデータが一致することを確認する仕組みになるかもしれないですね。となれば今まで1か所に送っていたデータが2か所に送られるようになる、もしくは2通りのデータ収集が行われるとなると、いままでと違うアーキテクチャも必要となるから、M2Mの方向性に影響があるでしょうね。

S:データを活用できるようにするサービスが台頭しそうだね。BI(Business Intelligence)よりも下のレイヤーで、2次利用できる形にしてくれる。例えばuprは自社の太陽光発電所の稼働状況を遠隔で見えるようにしているけど自社で利用しているだけだよね。そうした情報をオープンにすることで、いろんなアプリケーションから利用できる状態にして、2次利用ができるように加工するようなサービスが出てくると思う。

-ビッグデータの有効活用といった話とつながるわけですね?

S:そうすると、データ取引所のような業態ができて、ブローカーが活躍。そうしたサービスが出てきて活性化してゆくのかも。

D:データを集めるという意味では、そうしたオープンな流れとともに、もうひとつコングロマリットがIoTを推進する部署を内部に作り社内のデータを一つにまとめだしたように、データを集めることで価値を作り出そうという流れも活性化するでしょう。大手製造業、それから重工業系のいくつかの会社など、日本を代表するような企業でそのような動きが始まっています。

S:Industrie 4.0 はドイツがそれを国を挙げてやろうとしているところがすごいと思う。1企業ではなく国策。

D:日本のコングロマリットが本気を出せばGEよりもすごいことができるはず、と私は以前から思っています。

-日本はまだ本気をだしていないだけってことですかね。

ここまで国内の製造業を中心に2015年のM2Mへの取り組みの傾向を振り返りました。ガイアツを受けてIoT化を意識しはじめサービス化という新しいビジネスモデルを描くようになってきたといえそうです。スピード感は期待ほど早くはないもののIoT化・M2M化は進みそうです。こうしたお話の中で、利用の見える化が進むことで今後はシェアリングビジネスが拡大しそうなこと、またデータを活用するサービスや、データ取引所のようなサービスが新たに生まれそうなお話もうかがうことができました。
次回はサプライヤサイドでの考察を予定しています。次回の対談もお楽しみに。