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DONのM2M講座 第17回 今後M2M/IoTがサポートすべき通信方式

DONのM2M講座 第17回 今後M2M/IoTがサポートすべき通信方式

みなさん、こんにちは。

最近もの忘れが激しくなった、DON.マルチェロ・スミーニです。

「DONのM2M講座」の第17回目ということでよろしくお願いします。

前回の記事はこちらに掲載されています。

私のプロフィールはこちらのサイトに載っています。
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皆さん引き続きよろしくお願いします。

前回までの数回にわたって、NB-WANの動向や2Gネットワークの廃止およびLTE通信について解説してきました。これに対して知人からの質問で「では結局M2M/IoTの端末はどんな通信方式をサポートすればよいのか」と問われましたので、今回は通信方式の状況を総合的に見てこれからのM2M/IoT用の端末はどのような通信方式をサポートすればよいかについて考察しようと思います。

17.1 北米の通信キャリアの動向

北米の2大キャリアは、一般の携帯電話のためのネットワークとしては、LTEの単一のネットワークを目指しています。

Verizonは世界中で利用者が減少しているCDMA2000のネットワークはできる限り早く廃止したいという意図を持っています。

またAT&Tは2Gのサービスを終了して、空いた周波数をLTEに転用することによりLTEのカバレッジの拡大を一気に進める方針でいます。

この2社が目指すものは、LTEの単一ネットワークによる全エリアのサービス展開です。この2社はこのような方針を明確に打ち出すことにより、半導体チップなどの主要なLTE用パーツの生産量を増加させ、大量生産による価格の低下→普及の拡大→さらなる生産量の拡大というループを回そうとしています。

ではM2M/IoT、その中でも特に高速の通信を必要としない用途にはどのように対応するのでしょうか。

AT&TもVerizonも、通信インフラのメーカであるEricssonとの間で「NB-LTE」の導入に関する実証実験を実施しています。そして、この「NB-LTE」は、Vodafoneと華為技術(ファーウェイ)との間で検討されてきた別の方式との間で、標準化の場で一本化する方向となっています。この一本化された方式というのがこの講座でも説明してきた「NB-IoT」となるわけですから、AT&TとVerizonは標準化が完了した際には「NB-IoT」を導入するという方向性になっているわけです。

すなわち、AT&TもVerizonの2社の方向性は、LTEの単一ネットワークで全域をカバーし、M2M/IoTの需要には「NB-IoT」で応えていくという方向性となります。

ちなみに、大手2社に次ぐシェアを持つ通信キャリアであるT-MobileとSprintはどうなるでしょうか。こちらについては明確に予測することは難しいですが、LTE化と旧世代ネットワークの廃止については、大手2社からは遅れるものの進めていくものと思います。

ただ、大手2社に追随してNB-IoTの方式によるM2M/IoTのために専用のネットワークを構築するという決断をするかどうかは微妙なところです。もうひとつの可能性として非ライセンスバンドを利用するLP-WANを通信キャリアとして推進していくという可能性もあるでしょう。

17.2 ヨーロッパの方向性

ヨーロッパは北米のような明確な方向性がいまだに見えていません。

前回のM2M講座でヨーロッパでは2Gを廃止せずに3Gを廃止する動きがあることを紹介いたしました。まあ、3Gを廃止するかどうかはこれから検討されるのでしょうが、2Gが廃止されずにかなり長期間存続するという可能性は非常に高まっていると言ってよいでしょう。

これは、NB-IoTを導入する動きには逆風となります。NB-IoTの特徴はいくつかありますが、やっぱりなんといっても最大の魅力は端末のコストが安くなるという点になります。しかし2Gのみに対応した通信モジュールのコストはかなり安いため、2Gが存続するのであればNB-IoTに移行しなくてもよいと考えるユーザがかなりの比率で発生すると思われます。

LTEのカバレッジの拡大もいまひとつ進んでいません。LTEはあくまでも人口密集地域に限定されるサービスとして提供されており、積極的にカバレッジを広げているキャリアは限定されます。

M2M/IoTの用途でいうと、今後の方向性が明確になるまでは、現在の状況のままの2G+3Gの端末装置を引き続き出荷し続けるしかないのですが、このような端末が市場に多く出回れば出回るほど次の施策を打ちにくくなります。EUと各国政府が連携してこれからのネットワークのあり方をどうするかという指針を出すのが一番効果的ですが、各国にいろいろな規模でさまざまな経営状態の通信キャリアが存在するヨーロッパにてどこまでこれからの変革の方向性を打ち出せるかは大きなチャレンジになるでしょう。

現実的にもっとも合理的な方向性は、一般の携帯電話はLTEに移行させて、3Gを廃止し、2Gは割り当てる周波数を縮小した形で存続させるが新規の加入は厳密に限定する、そしてNB-IoTを積極的に展開するという内容なのでしょうが、決断は困難を極めるでしょう。

17.3 日本とAPACの状況

では日本はどうでしょうか。日本は、既に2Gを廃止してしまっているので、北米と同じ方向性に進むことに抵抗感はありません。LTEのカバレッジを早急に広げて、低速な用途はNB-IoTでカバーするという方向性に進むでしょう。

東南アジアやオーストラリアでは、2Gの廃止が着々と進行しています。これらの国では2Gを廃止するために3Gのカバレッジを精力的に整備して、3Gが全国をカバーするネットワークとなる状況を作り出しています。LTEも当然多くの国でサービスを開始していますが、LTEのカバレッジを早急に全国に広げて3Gを置き換えていくという動きは当面は行なわないものと思います。

中国は、3G自体がTDS-CDMAという中国独自方式に力を入れていて、LTEもTD-LTEのほうに注力しています。中国については、中国独自方式を広めながら全世界で主流となった方式も何らかの方法でサポートするという、かなり複雑な方向性で動いています。これはこれで注目すべきものですが、他国への影響は限定的と考えてよいでしょう。

17.4 今後M2M/IoTがサポートすべき通信方式

上記で考察してきた内容を踏まえると、今後M2M/IoTがサポートすべき通信方式を考えるにあたっては非常に難しい状況になると思われます。

現在から2~3年後において、NB-IoTの仕様が確定すると思われますし、北米と日本はLTEによる全国カバレッジが完了するとおもわれます。その時点で、北米や日本ではこれまで主流だった3G+2G(厳密に言うとWCDMA+GSM)のみをサポートする端末をできる限り新規に設置させず、LTEに対応した端末を積極的に設置させるような施策をとってくるものと思います。

価格面を考えると2Gや3Gをサポートせず、LTEとNB-IoTのみをサポートする端末を普及させる動きを行なうと思われます。

一方、ヨーロッパや東南アジア/オーストラリアでは、LTEは導入されているものの全国をカバーしているわけではなく、旧世代の方式でカバレッジを確保しなければならないという状況が残ると思います。そしてそのための旧世代の方式というのが、ヨーロッパでは2G(GSM)、そして東南アジアやオーストラリアでは3G(WCDMA)ということになります。

そして、前回の解説でも説明しましたようにLTEの周波数は地域ごとに大きく異なっており、全世界をカバーする周波数の組み合わせというものを作ることが非常に難しい状態にあります。

このような状況では、全世界を一種類の端末でカバーするということが非常に難しくなります。これまで、WCDMAの5周波数とGSMの4周波数をサポートすれば「ほぼ全世界」で通信サービスが利用可能だった、という時代から、端末が使用される場所に応じて提供する端末を分けなければならないという状況に変わっていくでしょう。これが影響することにより、通信サービスやハードウェアのサプライヤの勢力図が今後大きく変わる可能性もあると思います。

これからM2M/IoTのサプライヤは、今回解説した通信方式の変化の方向性を踏まえた戦略を取らないと、競争で負けてしまうということが起こると思います。

今回の講座はここまでとさせていただきます。

次回のテーマはまだ検討中ですが、M2M/IoTに関するホットな話題を取り上げたいと思います。次回をお楽しみに。