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DONのM2M講座 第15回 M2M/IoTの用途におけるLTE

DONのM2M講座 第15回 M2M/IoTの用途におけるLTE

みなさん、こんにちは。

日本の夏は暑すぎます。暑くて夜眠れないDON.マルチェロ・スミーニです。

「DONのM2M講座」の第15回目ということでよろしくお願いします。

前回の記事はこちらに掲載されています。

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皆さん引き続きよろしくお願いします。

今回は、M2M/IoTの用途でLTE通信がどの程度使われているか、また使う際の課題について解説したいと思います。

15.1 LTEネットワークはどの程度カバレッジが広がっているのか

まずLTEのネットワークが全世界にてどのように整備が進んでいるかを説明します。

まず世界で最も積極的にLTEの普及に注力している国はどこかというと、それはアメリカでしょう。すでにVerizonはLTEの全域展開をほぼ完了している状況ですし、AT&Tもほぼそれに近いところまでエリアを広げています。AT&Tが現状でVerizonに遅れをとっている理由のひとつにはLTE用の周波数帯域の不足がありますが、2016年末に2G網を廃止してその周波数をLTE用に使うことで帯域の不足を解消できるので、Verizonに追い付くことも可能でしょう。(皮肉なことに2G廃止の際に難しい対応が必要になるもののひとつに、ConnectedDevice、すなわちM2M/IoT用途の端末が挙げられています。)

次にヨーロッパを見てみましょう。

ヨーロッパでは、特殊な事情で郊外へのエリア拡大を行なっているドイツを除くと、LTEのエリアは都市部にとどまっており面的な拡大は積極的には行なわれていません。さらにいうと3Gのカバレッジすら2Gと同等なレベルにまで拡大していない国も多く、アメリカや日本に比べるとネットワーク世代の更新が遅れているといわざるを得ません。

アジアの多くの国もLTEのサービスは開始はしているものの、やはりカバレッジは都市部にとどまっているケースが多く、ヨーロッパと似た状況かと思われます。

そして日本ですが、LTEのカバレッジは全国を完全にカバーするところまではいっていませんが、かなり拡大しています。その意味では、日本はアメリカと並んで世界でもLTEの導入が進んでいる国といってよいでしょう。

このように、LTEが導入されているというレベルでは世界で多くの国で使われ始めていますが、カバレッジをその国の全域に広げようとしている国は非常に限定されているというのが現状です。

15.2 M2M/IoTの用途でLTEを使いたいという需要を持っている業界はどこか

LTEをM2M/IoT用途で積極的に使おうとしている業界はどこでしょうか。それは、自動車です。自動車のメーカではいわゆるTelematics、それも車両の製造時から通信装置を組み込むという供給の方式を行なう際にはLTEを必須の条件として検討をしています。LTEを必須としている一番の理由は、ネットワークサービスがいつまで継続されるかという点を考慮してのことです。つまり、自動車はかなり長期のライフタイムで通信が利用されることを見込まなければならず、3Gのネットワークですら自動車のライフタイム期間よりも先に廃止される可能性があるという見込みにより、現在から見てより長期にサービスが継続されるLTEを必須としているということになります。自動車で、かつ製造時に通信機を組み込む形態での供給となりますと、1案件のビジネス的な規模も大きくなりますので、その意味ではLTEの需要として大きな存在といえます。

LTEをM2M/IoT用途で使用する際のメリットは、一般的には以下のように言われています。

  ・通信速度が早い

  ・データ伝達の遅延が少ない

  ・IPレイヤの通信が常に起動された状態になる

  ・ネットワークのライフタイムが長い

この中で、自動車業界は「ネットワークのライフタイムが長い」という利点を生かすためLTEを必須条件にしているということになります。

では、自動車以外にLTEを使おうとしている業界はどこかとなりますと、私が把握している範囲では明確にLTEを必須としている業界は存在しないという状況になります。もちろん、LTEをできれば使いたいというレベルでの検討をされている例はいくつもあります。しかし必要性を突き詰めていくと実際に必須というレベルではないというのがほとんどです。

つまり、自動車業界には大きな規模の需要があるものの、一般産業用途という辺りに目を向けてしまうとLTEの需要はきわめて限定的なものになるというのが、現在のM2M/IoT市場の現状といえるでしょう。

15.3 LTEがM2M/IoTで使われていくときの技術的な課題と将来像

LTEがM2M/IoT用途で普及していくときに技術的にはもうひとつ大きな障壁が存在しています。それは、LTEで使用される無線の周波数があまりにもバラバラで、多くの地域をカバーするような端末装置を作ることが困難ということがあります。

例えばアメリカでは主要な周波数としては700M、AWSバンド(上りが1700Mで下りが2GHzのバンド)そして1900Mが使われますが、それ以外に2.5GHzや800Mも使われます。ヨーロッパでは2.6GHzと1800Mおよび800Mが主に使われていますが、いくつかの地域では2.1GHzや900Mも使われています。

ここだけを見ても、アメリカとヨーロッパの両方をカバーするような端末を作ろうとすると対応しなければならない周波数が多すぎて、実際に作ることは非常に難しいという状況が生まれています。

全世界的にいうと、中南米はアメリカと共通する周波数を利用することが多く、アジアはヨーロッパと共通する周波数が主に使われているので、北中南米向けとヨーロッパアジア向けの2つの種類の端末を用意して、それを使用するエリアで使い分けるというのが一般的です。

では、日本のLTE用の周波数はどうでしょうか。日本では、2.1GHz、1800M(1.7GHzと言ったほうがわかりやすいかもしれませんが、LTEの世界では1800Mと呼ばれてます)、1500M、900M、800M、700Mが使用されます。これって、アメリカと共通性が高いわけでもないし、ヨーロッパと共通性が高いわけでもありません。つまり全世界を可能な限り少ない種類の端末でカバーしたいと考えた場合に、日本はいささか困った国という扱いになるわけです。

話がそれましたが、結論として、LTEにおいては無線周波数の種類が多すぎるということから、全世界を一種類の端末でカバーするという製品ができにくく、それがM2M/IoTにおけるLTEの普及の大きな障壁となっているということです。

このような状況から考察していくと、いわゆるモデムや産業用ルータ的な装置を使用するコテコテのM2M用途でLTEが使われることはかなり先の将来となり、当面はPC/タブレットやスマートフォンのような端末の設計を流用した装置によるIoT端末がLTEに対応するという流れほうが主流になると思います。自動車向けとあとはそのような端末を用いたソリューションという部分で普及が始まり、M2M/IoTで使われる無線方式全体という中で言うとLTEは特定の分野に特化する形で他の方式との間で住み分けていくことになるでしょう。

今回の講座はここまでとさせていただきます。

次回もまたM2M/IoTに関するホットな話題を取り上げたいと思います。

次回をお楽しみに。