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DONのM2M講座 第14回 工場のネットワーク化最先端企業の動向

DONのM2M講座 第14回 工場のネットワーク化最先端企業の動向

みなさん、こんにちは。

ネタに詰まったときはMR.スミスに便乗するDON.マルチェロ・スミーニです。

「DONのM2M講座」の第14回目ということでよろしくお願いします。

前回の記事はこちらに掲載されています。

私のプロフィールはこちらのサイトに載っています。
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皆さん引き続きよろしくお願いします。

MR.スミスがインダストリー4.0についての解説を書いていますね。今回は、私もそれに便乗して工場のネットワーク化について話したいと思います。工場のネットワーク化については、第6回から第9回まででいろいろと解説させていただきましたが、今回は明るい未来ではなく日本の方向性の問題点を話してみたいと考えます。

14.1 ネット上の記事に見る工場のネットワーク化最先端企業の動向

いささか古い記事という印象をもたれてしまうかも知れませんが、2015年1月に日経ビジネスのサイトに掲載された三菱電機の取り組みに関する記事は、今読んでも非常に興味深いものとなっています。

三菱電機はPLC(programmable logic controller、シーケンス制御装置)のシェアが日本のトップであり、工場内で稼動している多くの装置は三菱電機製のPLCによって制御されているといってよい状態です。その三菱電機は2003年ごろから工場のネットワーク化とそれによる生産性や品質の向上をもたらすソリューションの提供を始めていて、非常に多くの賛同を得ている状態と書かれています。生産性向上の例では、三菱電機内のサーボモータの工場において2005年に工場のネットワーク化を行ないそれによって生産性が1.8倍に向上するという結果を出しており、以前の連載で紹介しましたオムロン社の実証実験よりもさらに良好な結果を出しているといえるでしょう。

オムロンも、PLCのメーカとして有力な企業の1社ですが、三菱電機ほどのシェアではありません。オムロンの実証実験以上の結果を、2005年の段階で出しているというのは、非常に先進的であるといってよいでしょう。

記事の中では三菱電機の役員の方の発言として「ドイツのインダストリー4.0は、大きなコンセプトは示されているが、まだ実体が伴っていないように見える。現場のカイゼン活動に根ざして総コストの削減を目指してきた我々の活動の方が先行している」という言葉が載っています。

この発言には、日本の製造業はドイツも負けないという強い自信を感じます。オムロン社の取り組みとともに、IoTを実際の企業の利益の増大につなげるソリューションとして、非常に高く評価してよいものでしょう。

14.2 両社の活動から見える日本の「工場のネットワーク化」の特徴

三菱電機、オムロンの両社の活動内容に共通する内容は、工場のラインや装置の稼動状態を見える化して、それを「現場のカイゼン活動」に利用するという図式であるように思えます。オムロン社の実装実験では、タイムラインという手法を用いて生産物のライン上での流れを図式化することによりラインが停止している状態を見える化するというシステムを使っているのですが、これは当然ながらなぜラインが止まったのかという情報はもっていません。この情報は、工場の稼動日誌などから拾ってくることになります。つまり、それぞれのラインの停止の原因を手動で集めてきて、停止時間を短縮する方法を考えて実施していくという、まさに改善の手法そのものを実現するような実験となっています。三菱電機のソリューションも、「工場や装置の稼動状態を見える化」して、「現場のカイゼン活動に根ざしてコストを削減」するということですから、こちらもほぼ同じ思想で作られていると考えてよいでしょう。

日本の製造業は、基本的な姿勢として、このようなソリューションを好むものと思います。したがって、カイゼン活動の支援を目的とした「工場のネットワーク化」は着実に日本の企業に採用されていくものと思います。

しかし、それでよいのでしょうか。ドイツのインダストリー4.0は、ドイツの製造業の今後の生き残る道をマス・カスタマイゼーションと定め、ネットワーク化をこの方向に進める手段として推奨しています。アメリカのインダストリアルインターネットの世界では、GEが航空業界向けに実現したような新しいビジネスモデルを確立するという明確な目標があるように思います。それに比べて、日本の多くの企業がそろって目指すものが、カイゼン活動のツールとしての工場のネットワーク化の導入ということであれば、これは非常にスケールの小さい視点といわざるを得ません。

私は、世界での地位を低下しつつある日本の製造業において、IoTは再度その地位を引き上げるくらいの効果を持つのではないかと期待しているのですが、もし各企業が工場のネットワーク化によるカイゼン活動(つまり生産性や品質の向上)に満足してしまって、それ以上の何かを求めないのであれば、地位低下の歯止めにはならないでしょう。

14.3 日本の工場のネットワーク化への期待

それでは、日本における工場のネットワーク化をより価値の高いものにしていくためには、どのようなことを考えればよいのでしょうか。

サプライヤ側が注意すべき点は、工場のネットワーク化によって生み出される価値を、自社装置(PLCなど)の付属品として無料で提供することはしないということでしょう。たとえば今回例であげたPLCのサプライヤが、自社のPLCを売るための付加価値として特に料金を取らずにシステムやノウハウを提供してしまうと、直接的に工場において実現される生産性や品質の向上にのみ成果物が限定され、ユーザ企業の経営にプラスになるような価値に広げていくことができません。また、他社のPLCを連携の対象とすることができず、工場全体の情報を統合することができなくなります。工場のネットワーク化のシステムやノウハウの提供は、他社製品であっても気にせずに提供するべきもので、PLCなどの装置売りのビジネスからは切り離さないと将来の発展の余地がありません。

ユーザ企業側でも、単なる生産性や品質の向上のためのツールとして考えるのではなく、経営支援情報を得るためのシステムと認識して導入を図るべきでしょう。

サプライヤとユーザ企業がこの意識を共有すれば、蓄積されたデータを活用して経営的な価値を生むような使い方が現れてきます。これを他の国に負けずに早期に実現できれば、日本型モデルの工場のネットワーク化が世界に認知されることになるでしょう。

今回の講座はここまでとさせていただきます。

次回のテーマはまだ検討中ですが、M2M/IoTに関するホットな話題を取り上げたいと思います。

次回をお楽しみに。