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DONのM2M講座 第13回 NB-WANサービスの今後の発展

DONのM2M講座 第13回 NB-WANサービスの今後の発展

みなさん、こんにちは。

先週今週とLoraについて取り上げていますが、やっぱりローラといえば西城秀樹ですよね。DON.マルチェロ・スミーニです。

「DONのM2M講座」の第13回目ということでよろしくお願いします。

前回の記事はこちらに掲載されています。

私のプロフィールはこちらのサイトに載っています。
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皆さん引き続きよろしくお願いします。

前回は、「狭帯域広域ネットワーク」=NB-WANの現状について解説をしましたが、今回はNB-WANがこれからどのように発展していくと予想され、それが通信キャリアのビジネスにどのような影響を与えるかという観点で解説していきたいと思います。

13.1 非ライセンスバンドを利用するNB-WANサービスの今後

前回の講座では、非ライセンスバンドを用いるM2M/IoT用のサービスとしてSigFoxとLoraを紹介し、さらに多くの方式が乱立している状況を説明いたしました。これらのサービスは今後どのように発展していくと予想されるでしょうか。

まず現在の資金調達やアライアンスの状況から見て、SigFoxとLoraに関しては一定の成功を収めるだろうと予想されます。しかし、どんどんユーザの数を増やしていけるかというと、誰もが使えるISMバンドを使っているため他社の無線通信が干渉してきて通信品質の低下を招きますし、自社の端末が多くなると無線帯域としての容量が不足するという事態も考えられます。つまり、普及すればするほど無線帯域の確保や他システムの干渉が問題になってくるということです。これを打破するには別の無線周波数を使ったり、方式自体を拡張する必要がありますが、そのような拡張を行なうためには現状の方式にてある程度のビジネス的利益を確保しておく必要があります。

この「サービスの拡張」を行なえるところまで到達できれば成功とみなしてよいと思うのですが、確固たる収益性の確立ができない状況のまま無線の干渉や帯域不足による事業拡大の困難さが現れてきてしまうと「成功」と呼べるレベルに到達しないまま低迷してしまう可能性もあるかと思います。

後述するNB-IoTとの関係はどうなるでしょうか。私の感覚では、それぞれが得意な分野が微妙に異なるため、正面から競合するのではなく得意分野ごとに住み分けるという形になるだろうと思っています。非ライセンスバンドを使用する以上、通信が必ずつながるということは期待できないので、ベストエフォート的なつながり方で問題ないもの、具体的には一般消費者が使用するような機器や統計データを取得することが目的のものを中心に広がっていくものと思います。

このような需要をどれだけ喚起することができるかが成功のカギとなるでしょう。

13.2 通信キャリアによって提供されるNB-IoTの今後

通信キャリアがライセンスを受けた周波数バンドでサービスを提供することが前提のNB-IoTについては、ある程度の普及は確実に見込める状況と思います。しかし、爆発的な普及に到達するかある程度のレベルで止まってしまうかは、通信キャリア側に存在するいくつかの懸念事項を払拭できるかどうかにかかっていると思います。

どんな懸念事項が考えられるかをピックアップしてみましょう。

(1)通信料金の高止まり

NB-IoTの構想では、通信端末の価格が大幅に低下することが目標となっていて、当然ながら通信料金も下がることが期待されていると考えます。しかし通信キャリアにとって、NB-IoTへの移行を契機に通信料金を下げることは簡単ではありません。もしNB-IoT用に安い通信料金を設定してしまい、既存の通信を使っている顧客が大挙してNB-IoTに移行してきてしまうと、大きな収入減が発生してしまいます。通信キャリアは一般的にはそのような料金施策をとらないので、NB-IoTでの通信料金が大幅に下がることは期待できません。端末価格の低下に見合わないレベルで通信料金が高止まりしてしまうと、これが普及を促進する際の足かせとなる可能性があります。

(2)世界での展開国が増えない

NB-IoTは、Vodafoneなど一部の通信キャリアが非常に力を入れて標準化を進めていますが、世界中の多くのキャリアがM2M/IoTに熱心なわけではなく、それなりに通信インフラに投資が必要なNB-IoTの導入を世界各国の通信キャリアが積極的に進めるかどうかは微妙な情勢と思われます。NB-IoTがサービスを開始しても、利用できる国が少ない状態が続くのであればこれは普及の阻害要因となるでしょう。

(3)周波数割り当ての複雑性

NB-IoTでどの周波数の無線を使用するかについては、GSM(世界160の国や地域で使用可能で、現在世界で最も多く採用されている通信方式。3Gよりも前の世代。)の空いたバンドやLTEのガードバンド(隣接する周波数帯域を利用する別のシステムとの干渉を防ぐために設けられる未使用の周波数帯域のこと。)が利用可能といわれていますが、実際に世界のネットワークにおいてどの周波数が使用されるか、要するに世界で共通化されたNB-IoT用の端末というものが、何種類の周波数に対応しなければならないか、というのは端末設計上の非常に重要なファクターとなります。

現状のLTEの周波数割り当ては、世界各国で種類が多すぎて、全世界をすべてカバーする端末を作ることが非常に困難な状態となっています。このような周波数の複雑さがNB-IoTにも持ち込まれてしまうと、世界で共通化された端末装置の実現の阻害要因となり、それがNB-IoTそのものの普及にも影響する可能性があるのです。

このようなマイナス要因が発生しないような形でNB-IoTがスタートできるか、注目してみていく必要があるでしょう。

13.3 NB-WANが実現する世界

NB-WANが普及を開始すると、いわゆるM2Mと呼ばれる企業の業務システムのための用途においてはNB-IoTが通信方式としての第一の選択肢となる形で普及するでしょう。ただし、このマーケットはそれほど大きくありません。大きなマーケットを見込めるのは、一般消費者向けのサービスとなります。一般消費者向けのサービスへの普及の鍵は、ズバリ言いますと「あたかも無料に見えるような料金体系」を確立できるかどうかにかかっていると言ってよいでしょう。「あたかも無料に見える料金体系」とは、広告料で採算を取っている情報サイトであったり、アイテム課金で利益を上げているゲームであったりという、そのようなビジネスモデルの事を指すわけですが、NB-WANを用いたIoTサービスにおいてそのようなビジネスモデルを確立できれば大きな普及の原動力となるでしょう。

通信サービスにおいて、「あたかも無料に見える料金体系」にトライした例としては、広告料だけでサービスを提供しようとしたインターネットサービスプロバイダ、ADSLモデムをタダで配ったSoftbank、あるいは一部の公衆WiFiスポットサービス(現状で有料のものと無料のものが混在している状態ですが、無料のものはまさにこういうモデルですね)などがあるわけですが、当然ながら成功するものはごく一部であり、失敗したものが非常に多いビジネスです。このような業界において、NB-WANそのものというよりはNB-WANを用いたサービスにおいて、魅力的でかつ持続可能なビジネスモデルを確立することができれば、それが勝利への道となります。

インターネットの世界でも、インターネットを使って利益を上げるビジネスモデルが確立するまで、かなりの期間にわたって模索する時期がありました。IoTにおいては、サービス提供者だけではなくハードウェアのメーカも含めてビジネスモデルの確立までの模索が始まるでしょう。さまざまなビジネスモデルが考案され、多くは失敗とともに消え去り、生き残ったもののなかから「勝ちパターン」のようなものが現れてくるまで、何年にもわたる試行錯誤が繰り返されるでしょう。

NB-WANが現れるまでは、このような検討ができるまでのスタートラインにつくことすらできていなかったと言えると思いますが、NB-WANによって初めてこのような検討ができるようになったということがNB-WANの最大の意義なのかもしれません。

最終的にどのような姿が現れるかはわかりませんが、大きな変革の第一歩が踏む出されるということになるでしょう。

今回の講座はここまでとさせていただきます。

次回のテーマはまだ検討中ですが、M2M/IoTに関するホットな話題を取り上げたいと思います。

次回をお楽しみに。