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DONのM2M講座 第12回 M2M/IoT用の新しい無線方式NB-WAN

DONのM2M講座 第12回 M2M/IoT用の新しい無線方式NB-WAN

みなさん、こんにちは。

最近は昔の歌謡曲を流している店が増えましたね。DON.マルチェロ・スミーニです。

「DONのM2M講座」の第12回目ということでよろしくお願いします。
前回の記事はこちらに掲載されています。

私のプロフィールはこちらのサイトに載っています。
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皆さん引き続きよろしくお願いします。

前回は、国際MVNOというべきサービスプロバイダが既存の通信キャリアにとって脅威になっているという解説をしましたが、今回はM2M/IoTのための新しい通信方式について、特に通信キャリアのビジネスにどのような影響を与えるかという観点で解説していきたいと思います。

12.1 M2M/IoT専用の無線方式が検討される理由

現在M2MやIoTでは携帯電話のネットワークがよく使われています。携帯電話ネットワークをM2M/IoTで使用する場合にも、使用する通信方式はスマートフォンと全く変わりがないもので、通信キャリアのネットワークとしては両方の通信を全く同じ方法で制御しています。しかし、データ使用量の観点で言うと、スマートフォンは私が普通に使っていると1GBを超えることもよくあるのですが、一方M2M/IoT用途では1MB~10MBくらいがもっとも多い使用量になります。すなわちスマートフォンとM2M/IoTでは100倍~1000倍くらいにデータ使用量の違いがあるのです。また携帯電話は外から電話がかかってくると、すぐに呼び出し音が鳴り始めます。これを実現するために、通信機は頻繁にネットワークからの電波を受信しており、これが消費電力の多くの部分を占めています。M2M/IoTでは、このような即時的な呼び出しは不要な場合が多いし、そもそも呼び出し自体を行なわないような使い方をされるケースも多いのですが、そうであっても携帯電話と全く同じ呼び出しの仕組みを動かしています。

このように、携帯電話のネットワークを使用しているがゆえに本来M2M/IoTでは不要な機能に対応することが必要になり、そのためデータ処理能力や消費電力に関して無駄な実装が必要になっているという状況が存在している中、M2M/IoT用の別の制御方式の無線ネットワークを作りだそうという動きが現れました。

このような形で系統が始まった無線方式を総称して「狭帯域広域ネットワーク」=NB-WAN(NarrowBand-WideAreaNetwork)と呼ばれることが多いですが、この動きは大きく2つに分類されます。ひとつは通信キャリアがライセンスを保有して通信事業に使用している無線周波数の一部分を使ってM2M/IoT用の専用の方式で制御されるネットワークを作るといういう動き、もう一つはライセンス不要で使用できる無線帯域を使用してM2M/IoT用の専用ネットワークを作るという動きです。

次章では、非ライセンスバンドを使用する狭帯域広域ネットワークの動向を、そして次々章で通信キャリアがライセンスバンドを使って実現しようとしているM2M/IoT用の通信サービスについての動向を解説したいと思います。

12.2 非ライセンス周波数を用いたNB-WANの動向

非ライセンスバンドを用いた狭帯域広域ネットワークについては、参入しようとする企業や団体がいくつも現れていてすべてのプレイヤーを把握することすら無理、という状況になっていますが、現実的にはSigFoxとLoraという2つの方式を把握しておけば十分でしょう。本章ではこの2つの方式について解説いたします。

まずSigFoxですが、これはフランスに本社を構える会社の名前であって、900MHz帯の非ライセンスバンド(=ISMバンド)を使用した独自方式の通信サービスを提供しています。通信速度は上り100bpsと非常に低速ですが、無線の到達距離は最大50㎞となっていて少ない基地局で広域をカバーすることができます。通信機の消費電力は低く抑えることが可能で2.5AHの電池を用いて20年の電池寿命を実現できるといっております。SigFoxはすでに16か国でサービスを展開していますが、巨額の出資が集まっているため今後もエリアを拡張していくことでしょう。出資者の中にNTTドコモ系のベンチャーキャピタルが含まれていることも注目されます。

もうひとつのLoraのほうは、通信機器や半導体のメーカと一部の通信キャリアが参加したアライアンスの名称ですが、こちらもISMバンドを使用したM2M/IoT用の無線通信サービスを提供しています。通信速度は最大50kbps到達距離は15㎞で、消費電力はSigFoxの20年に対してこちらは8年となっているようです。注目すべき点は、アライアンスのメンバーの中にフランスのOrangeやBouyguesTelecom、オランダのKPNなどが含まれており、通信キャリアがLora方式を用いてM2M/IoT用のネットワークを構築するようになる可能性を秘めているということろでしょう。

12.3 携帯電話網を用いたNB-WANの現状

この章では、携帯電話用のネットワークを利用した狭帯域広域ネットワークの現状を解説します。

携帯電話のネットワークにおいて、M2M/IoT用の狭帯域のサービスを実現しようという動きは2014年にはすでに発生していました。この時点では、いくつかのグループがそれぞれの独自の方式で実証実験を行なっていました。そのなかでも有力だったのは通信キャリアであるVodafoneと、通信キャリアのインフラ装置のメーカである華為技術(Huawei)、そして通信モジュールのメーカであるUbloxが共同で実施していた実証実験だったと思います。それ以外にも、インフラ装置メーカのエリクソンも別の方式を提唱して実証実験を行なっていました。

そして2015年の後半の時期に、これらの複数のグループの間で合意が実現し、ひとつの統一された方式で標準化を行なっていく動きが始まりました。現在は、標準化団体である3GPPにおいて、統一仕様の策定に向けた動きが始まっています。また、一般的にはこのような新規の標準を作成するのは数年かかるのことが多いのですが、早期に標準を完成すべく(2016年6月と言われていますが、どうなんでしょう。)活発に活動が行なわれています。おそらく、ここまで急いで標準化を進めている理由は、前章で解説した非ライセンスバンドでのM2M/Iot用のサービスの動向を気にしてのことでしょう。

実際に策定しようとしている通信方式は、通信速度が250kbpsで到達距離が15㎞以下、電池寿命は5Whの電池で10年という値を想定しているようです。通信端末の価格として5ドル程度を目指すという記事もあるので、通信機の低価格化にも期待が持てるようです。

ただし、実用化の時期については、記事によっていろいろと歯切れの悪い書き方をしているものが多いです。非ライセンスバンドを用いるものと違って、こちらは通信キャリアが自社の通信インフラを改修する必要があり、通信キャリアがどの程度の意欲を持っているかが普及の速度に大きく影響します。先行するキャリアでは2017年に開始すると書かれていることもありますが、世界の広い地域で利用可能になるのはかなり時間がかかるのではないでしょうか。実際に、通信キャリアの商用のネットワークに新機能が実装されていくのは時間がかかるものですが、マーケットの需要はもっと早く使うことを求めています。需要に応えるために、通信キャリアがどこまですばやい動きができるかが今後の焦点となるでしょう。

今回の講座はここまでとさせていただきます。

次回は今回の続きで、狭帯域広域ネットワークのサービスが今後どのように普及していき、M2M/IoT業界にどのような影響を与えるかについて予想してみたいと考えています。

次回をお楽しみに。