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DONのM2M講座 第9回 実証実験の積み重ねが『日本型インダストリー4.0』になる

DONのM2M講座 第9回 実証実験の積み重ねが『日本型インダストリー4.0』になる

みなさん、こんにちは。

最近ネットゲームにはまっている、DON.マルチェロ・スミーニです。(ハンドルネームにはDonっていう文字を入れています。)

「DONのM2M講座」の第9回目ということでよろしくお願いします。
前回の記事はこちらに掲載されています。

私のプロフィールはこちらのサイトに載っています。皆さん引き続きよろしくお願いします。
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さて本題に入りましょう。

過去3回にわたって、製造業界の最新状況として工場のネットワーク化や予防保全の動向について記載してきました。今回は、そのシリーズのまとめとして、工場のIoT化のこれからの姿を予想してみたいと思います。

9.1 ひとつの装置に2つのネットワークが常識に

まずここ数年で工場のネットワーク化は急速に進展すると予想されます。これまでも製造ラインのなかの製造装置は制御系のネットワークにつながっていたわけですが、このネットワークが製造装置から管理センター側への稼働状態の情報送信を行なうように進化していくでしょう。また工場内には設置されているが、生産ラインの外に置かれている装置についても、この工場内ネットワークへの接続が進展していくでしょう。

それと並行して、製造装置のサプライヤが遠隔での装置の保守メインテナンスのために工場のネットワークとは別の通信手段を用いて装置の稼働情報を送るという動きも加速しています。これは前々回に述べた予防保全を目指した動きということになります。これまでは生産ラインのなかで稼働しているような装置にはサプライヤへ直結する通信回線はあまり設置されていなかったのですが、このような装置にもサプライヤによるセルラー無線を用いた遠隔監視の導入が加速しています。

この結果として、工場に設置される製造装置は、工場内ネットワークとサプライヤ向けのセルラー通信という、2つの通信ネットワークへの接続に対応することが必要になります。

この動きは、ここ数年のうちに一気に広まると予想しています。

9.2 2つのネットワークへ対応するためのアーキテクチャ

それでは、製造装置が2つのネットワークと接続するのはどのような装置構成になるのでしょうか。現状では3つの動きがあります。ひとつめは個々の製造装置を制御しているPLC(programmable logic controller、シーケンス制御装置)に無線通信機能を付加する動きです。私の『世を忍ぶ仮の姿』として勤務する企業にもPLCに通信機能を搭載したいという要望が多く寄せらるようになりました。PLCのメーカはそのような需要を見込んで動き始めています。2つめは、これまでも装置をM2M通信に接続するために使われてきたゲートウェイ装置に工場内ネットワークとの連携機能を付加する動きです。最近、複数の高速イーサネットのポートを持ち、RS485などのレガシーのインターフェースにも対応したゲートウェイ装置が通信機器側のサプライヤから供給されるようになっています。そして3つめは、工場内ネットワーク用の通信装置を作ってきたメーカがセルラー無線を搭載する動きです。工場内ネットワーク用の通信装置とは、複数のPLCプロトコルに対応していることによりいろいろな製造装置に外付けで設置することができ、そこで製造装置から得られた情報を処理加工したのち工場の中央管理装置に情報を送るという機能を担ってきた装置ですが、ここにセルラー無線を搭載する動きも始まっています。

まあ2つめと3つめは、もともとその両方を提供していたサプライヤもいくつかありますので、あまり区別はないとも言えますが。いずれにしろ、現状では外付けの装置が情報を処理加工する機能を持ち、その加工した結果の情報を工場内ネットワーク側とサプライヤ向けのセルラー通信の両方に送るような構成がもっとも普及すると想定されます。ただし、この構成だとコスト削減に限界があるので、ひろく普及していくにつれてこの機能を製造装置内に取り込む動きも出てくると思われます。

さらに将来には、2つのネットワークへの接続が並行して行われること自体がコスト的に問題となってくると思われます。工場内のネットワークを経由して製造装置サプライヤが自社が提供した装置の稼働情報を取得できる仕組みが将来は作られていくでしょう。そのような構成が普及した時代になると、セルラー通信が使われるケースは減少していくものと思います。

9.3 実証実験の積み重ねが『日本型インダストリー4.0』になる

このシリーズの最初の回で紹介したオムロン社草津工場での実証実験は、私が紹介した富士通のほかにも東芝などいくつかの企業が参加していて、今後の製造業のIoT導入の指針を示すような成果が出ています。国内で工場のネットワーク化を推進する動きが出ていることにも、この実証実験が非常に大きな影響を与えていると思います。また産総研なども同様な実験を行なっているようですし、他の民間企業のグループでも同様の実験を検討しているところもあるでしょう。

日本では、ドイツのように政府が大々的にコンセプトを打ち出す、というのではなく、このような民間企業や政府系団体が行なう実証実験の成果が、その実験スキームに参加していなかった企業までも含めてなんとなく共有されていって、それが結果として日本のひとつの業界全体に対して大きな流れを作っていくのではないでしょうか。日本では、いろいろな分野で技術発展の黎明期に行なわれた複数企業参加のプロジェクトがあって、(そのプロジェクト自体は往々にしてビジネス的には失敗に終わっているのですが)その参加メンバーがそれぞれの企業に戻って業界をリードしていくという図式がよく見られます。オムロン社の実証実験も今後その成果がいろいろなところで参考にされていくことになると思います。(あ、オムロン社の実証実験は、ビジネス的に失敗に終わるということはあまり考えられないですね。むしろ大いなる成功へつながる可能性すら感じています。)

外部から見たわかりやすさではドイツのようにドカーンとコンセプトを打ち出したほうが良いのでしょうが、これが日本に合ったやり方ということなのでしょう。今後も同様な実証実験には注目していきたいと思っています。

今回の講座はここまでとさせていただきます。

次回からは、また新しい視点からM2Mの業界を見ていきたいと思っています。

次回をお楽しみに。