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DONのM2M講座 第8回 『装置のサービス化』

DONのM2M講座 第8回 『装置のサービス化』

みなさん、こんにちは。

カラオケで「私の首領(ドン)」を歌う、DON.マルチェロ・スミーニです。
「DONのM2M講座」の第8回目ということでよろしくお願いします。前回の記事はこちらに掲載されています。

私のプロフィールはこちらのサイトに載っています。皆さん引き続きよろしくお願いします。
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さて本題に入りましょう。

前々回より、製造業界の最新状況として工場のネットワーク化や予防保全の動向について記載してきました。今回は、工場における通信の利用を大きく変える要因となる『装置のサービス化』について解説したいと思います。

8.1『装置のサービス化』とはなにか

工場に設備を導入する際には、普通は装置メーカから装置を購入すると考えますが、最近は装置を購入するのではなくて『その装置を使った分だけ費用を支払う』という形で装置を調達しようとする動きが始まっています。

特に工場用のボイラーやコンプレッサー、あるいは水供給装置など、工場における共用設備的な位置づけで利用される装置においては、それぞれの装置が生成した熱水や圧縮空気、あるいは工業用の水の量に対して費用を支払うことにしたいという要求が寄せられることが多くなっています。(ちなみにコンプレッサーの業界では、圧縮空気の生成量に応じて装置コストの使用料を取る方法を『空気売り』、工業用水生成装置の業界であれば『水売り』と呼ばれることがあるようです。そうだとするとボイラーならば『お湯売り』、プレス装置がプレスした回数に応じて費用をとるのであればであれば『たたき売り』ということになるのでしょうか。あ、話がそれましたね。)

これは言わば装置を売るという『モノ売り』の発想から、生成物を供給する『サービス』へ転換することを意味しており、この流れが『装置のサービス化』ということになります。

よく要件定義の難しさを表現するときに例に出される話で、『(ドリルを買いに来たお客さんについて)お客さまはドリルが欲しいのではない。お客さまが欲しいのは壁にあいた穴だ』というたとえ話がありますが、つまりドリルを売るのではなく穴を売るという考え方が実際の取引形態となるほどに浸透してきた時代になったということです。

8.2『装置のサービス化』の功罪

それでは、装置を利用する企業はどのような理由で装置のサービス化を要求するのでしょうか。理由は大きく2つあります。ひとつは、ビジネス的な要因で生産量が増えないときのリスク低減です。不況や、競争での敗北により自社の製品が売れなくなり、生産を縮小せざるを得なくなった際に、サービス化された装置は使用頻度が減るので、当然費用の支払いが少なくてすみます。これにより、リスクを減らす(まあ、弱い立場の装置ベンダーにリスクを押し付けただけですが)ことができるわけです。もうひとつは固定費の削減でして、保守の責任についても装置メーカ側の責任になるため、利用者側は保守費用を固定的に支払うことはなくなりますし、固定資産税の負担も工場側ではなくなるということが挙げられます。

これって、工場側がリスクを装置のサプライヤ側に押し付けているだけに見えてしまいますよね。当然、そういう側面はあると感じています。
サプライヤ側の声を聞いてみると、『できればこんな売り方はしたくない』という感じがひしひしと伝わってきます。まあ、実際にはサプライヤ側はリスクを押し付けられたら、その分提供する生成物の単価を上げるなり、サービスとして提供する会社を間に絡ませるなり、何らかの対抗措置をとるしかないわけで、結果として全体的なコスト削減になるかはDon的には微妙と思っています。

しかし、『装置のサービス化』にもひとつだけ利点があります。現在の飽和したマーケットでは『同じ価格の装置でより大量の生成物を作ることができる』とか『長期間使用しても故障や部品交換が発生しない』という方向での装置の性能の向上は、市場の縮小を招いてしまうという問題があります。これによって、装置メーカの技術開発へのモチベーションを低下させているのです。しかし、『装置のサービス化』の世界では、このような装置の性能向上は直接的なコストの削減につながることから、サプライヤ側の利益に直結します。これが技術開発のインセンティブとなります。技術開発の方向性を見失いつつある日本の製造業の企業にとって、これはプラスに作用するものと思っています。

8.3『装置のサービス化』におけるM2M通信の役割

それでは、装置のサービス化の世界ではM2M通信はどのような意味を持つのでしょうか。装置の稼動や生成物の量によって課金を行なうという場合、料金の請求元である装置メーカと請求先である工場運営者は、装置の稼動情報を取得する必要があります。しかも、どちらかがどちらかの取得した情報をコピーしてもらうというような相手側に依存した情報の取得方法だと、情報の信憑性に疑義がわいてしまいます。そのため、請求元と請求先は、それぞれ独立した方法によって装置の稼動情報を取得する必要があります。

このなかで、特に装置メーカ側が稼動情報を得るためにM2M通信が使用されることになります。

今回の講座はここまでとさせていただきます。

次回は、これまで3回にわたって説明してきた製造業のM2M通信の動向から、製造業においてこれから通信サービスの利用方法がどのように変わっていくかを予想します。

次回をお楽しみに。