DONのM2M講座 第5回 「データ二毛作」とはどのようなものか
みなさん、あけましておめでとうございます。
あなたも狼に変わりますか?
あなたが狼ならこわくないDON.マルチェロ・スミーニです。
「DONのM2M講座」の第5回目ということでよろしくお願いします。
前回の記事はこちらに掲載されています。
私のプロフィールはこちらのサイトに載っています。皆さん引き続きよろしくお願いします。
さて本題に入りましょう。
前回までの連載にて、M2Mシステムが生み出す情報の価値について、
蓄積情報を利用して「未来の予測」という形で生み出される価値
と、
リアルタイム情報を用いてオペレーションの効率化という形で生み出される価値
の2種類があることがご理解いただけたかと思います。
5.1 「データ二毛作」とはどのようなものか
「データ二毛作」とは何か、M2Mboxに連載されているM2M講座にて、どのように定義されているかを確認してみましょう。
M2MBoxのM2M講座では、リアルタイム情報から生み出される価値は、システム導入からすぐに価値を生み出し始め、その価値はオペレーションを行なっている部門に現れるのに対して、蓄積情報から生み出される価値は、情報が蓄積されるための時間が経過した後で価値を生み出し始めるがその価値は営業販売や生産さらに経営など非常に広範囲におよぶと説明し、ひとつのシステムにてこの時間的に異なる2つの価値が生み出される状況を「データ二毛作」と定義しています。
私、DON.マルチェロ・スミーニとしては、M2Mシステムの本質的な存在意義としてこの2つの価値の両方を生み出すものであるということを主張したい。よく、IoTやM2Mについて語っている評論記事において、IoTの本質はビッグデータによって生み出される価値である、との論評をよく見かけます。また、逆にM2MやIoTは究極的にはオートメーションを目指すものという記事も見かけることがあります。このような論評が間違っているというわけではありませんが、どちらか片方のみに目を向けた議論は、M2M/IoTの本質を見えなくなると思います。
一般的には、企業が業務用に使用するM2Mシステムは、リアルタイム情報の価値を生み出すことを目的に設計され導入されることが多いと考えています。しかし、このシステムは(たとえそのような意識がなくとも)蓄積情報を作り出すことができ、そしてその蓄積情報から何らかの価値を取り出すポテンシャルを持っているということを理解していただきたいと思います。
5.2 「データ二毛作」はなんのためのキャッチフレーズか
M2MBoxのM2M講座では、「データ二毛作」という用語を提唱する理由として、日本企業がM2Mシステムを導入する際の意思決定の遅れを改善したいということを挙げています。
すなわち多くの日本の企業では、M2Mシステムを導入することによるROIが不明確であるという理由で導入が先延ばしにされているケースが多いと指摘していて、それを改善するためにM2Mシステムが将来生み出す蓄積情報の価値を意識して意思決定することを推奨しているのです。
M2MboxのM2M講座では、「データ二毛作」が流行語になり日本の多くの経営者に知られるような用語になれば、経営者も蓄積情報が生み出す将来の価値を意識して意思決定をすることになるので、このような状況は改善されるだろうと言っています。
私、DON.マルチェロ・スミーニとしては、そこまで簡単に状況が改善されるとは思っていませんが、やはりこのような考え方を普及したいという信念には共感しています。もしあなたが、M2Mシステム導入の際のROIの説明をする立場でしたら、「データ二毛作」という概念を意識して説得を試みてください。
では、今回はこれにて終了といたします。
次回は、ミスター・スミスとDON.マルチェロ・スミーニの対談を掲載する予定です。
次回をお楽しみに。