【IoT活用事例】
食品物流におけるIoTデバイスの活用事例

食品物流は輸送中の徹底した品質管理が重要
食品物流は常温だと傷んでしまう生鮮食品や冷蔵・冷凍食品といった荷物を輸送するケースもあるため、一般的な物流と異なり輸送中の徹底した温度管理が求められます。
物流センターから納品先まで鮮度・品質を損なうことなく荷物を届ける物流システムが「コールドチェーン」であり、食品物流はもちろん血液や化学薬品などを輸送する業態で活用されることも珍しくありません。
- 1. 共同配送で車両の積載効率を高めて輸送コストダウン

食品物流では荷物ごとの小口な輸送ではなく、複数のメーカーがそれぞれの荷物を車両に積み合わせて同一の納品エリアに一括配送する「共同配送」が取り入れられています。同一の納品エリアに各メーカーの荷物をまとめて輸送することで車両の積載効率が高まり、コスト低減・ロット問題の解消といった利点が生じるのです。
想定される課題
食品物流では輸送に際して、荷主企業や納品先から様々な要望を請ける可能性があります。但し、それは全て運賃に変換できるような話ではなく物流企業側の努力として達成しなければならないケースがあるため、極力安価に荷主企業からの要望に応える必要があります。
例えば
- 食品メーカー等の荷主企業から輸送中のリアルタイムでの温湿度管理を依頼されたが、すぐに導入できるようなサービスがない
- 納品先である食品取扱店などから、いつ納品されるのかといった問い合わせが多く、問合せに対して人的リソースが割かれている
- 物流業としてHACCP対応を今後求められる可能性があるが、どのように対応すればよいかわからない
物流企業の方々は上記の様なことを頼まれることも少なくないのではないでしょうか?
こういった課題は、食品物流のビジネスを行う上で検討していかなくてはならない課題の一部です。その食品物流の課題をIoTによってどのように解決できるかを御紹介いたします。

食品物流におけるその他2つの課題
食品物流の課題は極力コストを抑えつつ荷主企業の要望をクリアしなくてはいけない点に加え、以下2つの課題も擁しています。
- 1. 輸送中の過剰なドア開閉などによる温度逸脱

物流センターにおける固定された冷蔵冷凍設備であれば温度管理が容易な一方、輸送中は温度管理が難しく、過剰なドア開閉などによる温度逸脱が発生して食品の鮮度・品質が落ちてしまうことが考えられます。とくに同一エリアで複数の配送先に納品する場合はドアの開閉頻度が多くなり、常温食品以外は冷蔵庫内の温度上昇によって劣化するリスクが伴います。
物流センターから納品先までの輸送中における温度逸脱を防ぐためにはトラブル発生時の場所や時間を把握するトレーサビリティの整備に加え、現場での適宜な対応が必要です。しかし、これらを実現するためには、冷蔵庫内の温度変化をリアルタイムで監視・把握できる体制を構築しなくてはいけません。
- 2. コールドチェーンは導入コストが高く作業の手間もかかる

コールドチェーンは生産・加工および物流センターから納品するまですべての工程で常温にしないよう温度管理を徹底するため、多大なイニシャルコストが発生します。また、コールドチェーンは輸送中の位置情報や温度・湿度変化などのデータを随時取得するためにデータロガーを利用するプロセスが一般的です。
しかし有線式のデータロガーから内包データを取得するためには、その都度デバイスを取り外す必要があり作業の手間もかかります。一方で無線式のデータロガーは遠隔によるデータの取得が難しいため、温度変化をリアルタイムに把握するためには他の設備機器を併用して副次的なシステムを構築しなくてはいけません。
運用するデバイスが増えるごとに管理・作業の工程も複雑になるため、無線式のデータロガーは結果的にコストが増加してしまうのです。
要素技術・役割分担
デバイス
- 物流でエビデンスとなる位置情報、温度、湿度のデータが取得できるIoTデバイス「なんつい」端末を利用
通信
- 「なんつい」端末は公衆無線ネットワーク(3G等)を利用して10分に1回(可変可能)定期的に上記データをサーバにアップロードする
- 通信モジュールは端末の中に内蔵されており、通信料金もサービスの利用料と合わせて提供する
アプリケーション
- 標準アプリケーション「なんついWEB」に位置情報・温度・湿度などの端末が取得したデータが保存される
- インターネットからであればいつでも、様々なデバイスからリアルタイムでデータの閲覧が可能
ユーピーアールのメリットと期待される導入効果
- IoTデバイスのレンタルが可能
「なんつい」は1台、1カ月からレンタルが可能なので、イニシャルコストをそれほど気にせずにすぐに安価導入ができた。
- 長寿命バッテリ
「なんつい」は端末内にリチウムイオンバッテリーを内蔵しており、バッテリーが1カ月持つ(通信間隔によっては半年以上持たせることができる)ため、電源工事などの設備投資もなく、バッテリー交換等の手間のかかる運用も最小限に抑えることができた。
- 自動アラート機能
温度逸脱が発生した際、管理者、乗務員の携帯電話にアラートメールを送信する設定にしたことで、食品の品質が低下したまま納品をすることがなくなり、定期的な輸送依頼を受けることができるようになった
- HACCP対策
IoTサービス導入による温度管理や輸送状況のエビデンスが取れるようになったことで、HACCPで求められる輸送品質に対応することが出来るようになった